長山 弘さんのレビュー一覧
投稿者:長山 弘
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脳卒中を生きる意味 病いと障害の社会学
2006/12/09 21:17
「障害受容」を超えて再び生きるためにー
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脳卒中に倒れた障害者は、自らの「生」を否定する深い苦悩に陥る。
その苦悩の深さは「生き甲斐と生きる価値の喪失感」を伴い、どのような過去の経験を参照しても対処できない絶望を伴う危機に出会う。
脳卒中の後遺症は、障害を受けた部位や大きさによって異なり、「個人差のある障害と個人ごとの障害受容のあり方」が説かれ、障害者にとってある一点以上は自分個人の問題であると「孤独な、耐えるしかない、悲しみを内包せざるを得ない課題」に出会う。
数々の「ステージ理論」は、いずれは「受容の段階」に達することを前提としている。
しかし、実際の障害者や家族にとっては、「慢性的悲嘆」「絶えざる悲しみ」を内包している。
この悲嘆の状況を細田氏は、「生きるを成り立たせる5つの位相ー生命・コミュニケーション・身体・家庭生活・社会生活の分裂」という視点で捉えた。
「分裂した生」は、「真の出会いー危機に陥った人と支える他者が互いに必要としつつ支え合う関係」によって、「新しい自分」を見出したとき、バラバラになった「生をかたどる5つの位相の再統合」がなされていく「変容」を齎すと結論付けている。
この結論に到るまでに、著者は気の遠くなるような時間を、多くの「脳卒中患者とその家族」「医療関係者」「行政」等への聞き取り・傾聴を実施している。
個人差を超えて、障害者の「変容の条件と再び生きる意味」を問いかけている。
障害者の私にとって、「障害受容」の先にある「変容」という
「人間の可能性への新たなる指標」を得た思いであった。
多くの、医療行政の方・医療関係者・PT・OTの先生に読んでいただきたい珠玉の名著に出会えたことを感謝する。
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