まいさんのレビュー一覧
投稿者:まい
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かはたれ 散在ガ池の河童猫
2007/05/04 01:13
八寸と麻の心が触れ合うとき、やさしさと希望が見えてくる。
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主人公のかっぱの八寸の抱えるさびしさ、せつなさ。それでも、優しさを失わない八寸の心の温かさがしみじみと心に沁みる、とてもいい物語です。
ある事件が起こったため、家族みんなが行方不明になり、ひとりぼっちになったかっぱの子ども、八寸。あるとき、長老から「人間の世界に出かけていって、人間を観察して来い」と言われ、猫に変身させられ、人間の町に出かけます。出あったのは、丘の上にある家に住む女の子の麻。麻は、お母さんを病気で亡くし、お父さんとふたりで暮らしていました。
麻と、その家の犬チェスタトンと、猫として家に入り込んだ八寸の生活が始まります。さびしい気持ち、ひとりぼっちのせつなさを知る者どうし、言葉には表さなくても、心がふれあっていくあたたかさ。そのうち、麻は、八寸の正体にも気づいてしまいます。
一方、麻は、お母さんが亡くなったあと本当のことを語れる相手がいなくて、自分の感じ方や、見方、自分の目で見たこと、自分の気持ちに、自信が持てなくなって深く悩んでいました…。
「かはたれ」とは、おぼろげな夜明け前の朝刻のこと。「いろんな魔法がいちばん美しくなって解ける、はかない時間。今まで見えなかったものが見えてくる時間」のこと。
麻の気持ちにやっと気づいたお父さんが、娘に宛てて書いた長い手紙には、ほろっとさせられるし、脇役のチェスタトンもとても
重要な役回りで、その活躍にニッコリさせられます。
かわいい八寸と麻の気持ちが、心をゆさぶり、あたたかくする物語。章立てもうまく、八寸と麻の、成長と再生の希望が見える結末もとてもいいです。心配なのは、表紙が地味(私は大好きですが…)なので、子どもが手にとってくれるかな、ということ。子どもに届けて欲しい、おすすめの1冊です。
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