LYUTAさんのレビュー一覧
投稿者:LYUTA
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国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて
2005/11/25 18:11
権力についての考察
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
賛否両論ある著作だが、私はこれを、高度な洞察力と分析能力を持った男による「権力」についてのひとつの考察として、面白く読んだ。
佐藤氏の考えには偏りもあるだろうし、鵜呑みにしてしまうとまずいところもあるだろうが、思想・信条的なことはともかく、ひとりの男が権力とどう対峙したかという記録として本書を読み、社会という理不尽きわまりない環境の中で個人がどうすれば強く生きられるか、また、信念を貫き通すためには何と闘わなければならないのか、といったことに思いを巡らせながら読むと、なかなか為になる。
マスコミによる報道は嘘だらけ、とか、検察や裁判所は必ずしも正義ではない、といった当り前のことを再認識するための教材としても良い。
いずれにしろ、私は本書から、ある意味で「生きる勇気」みたいなものを貰ったような感じがしている。
裁判官が日本を滅ぼす
2005/12/08 18:37
被害者の視点から見る裁判官の無能
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
エリートの世界から一歩も出ない裁判官は世間を知らず、民衆の心も知らず、ただ裁判の数をこなして自分の出世を急ぐだけ。そこには正義感も使命感も無い。そうした裁判官の現実を世に知らしめるという意味で、本書はたいへん価値がある。
ただ一点疑問なのは、そうした裁判の実態に疑問を投げかけながらも、真実を追求する精神のない裁判官によって「死刑」が宣告されることの不条理について、その矛盾をまったく突いていないばかりか、死刑制度を積極的に肯定しているようなニュアンスさえ本書から感じられる点だ。また、裁判や刑罰の立脚点に関して、社会的正義よりも「被害者感情」に大きなウェイトを置きすぎている偏りも気になる。
鵜呑みにすることなく、より大きな視野をもって批評しつつ読むべき書であろう。
現代小説のレッスン
2005/11/14 20:45
エンタテインメントって何?
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
小説に対するひとつのアプローチとしては大変おもしろい評論だと思います。
しかし、一読して感じるのは、「エンタテインメント」の定義が曖昧なまま著者が論を進めているということです。定義が明確でないと論理も曖昧になります。そのせいか、たとえば村上龍に対する評価などは、かなり頓珍漢な印象を受けました。
小説とエンタテインメントの境界とは何なのか、ここらでいっぺんはっきりさせたほうがいいのでないか、と思わされました。
個人的には、そんな境界線は不要だと思いますけど。
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