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岡埜謙一 さんのレビュー一覧

投稿者:岡埜謙一 

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絶対にしてはいけない・・・

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 「絶対に何々してはいけない」とか「絶対に入ってはいけない」などといわれると、逆にそそられてしまうのが人情というもの。また、「絶対にしてはいけない****」なんていうタイトルの本もよくあるが、実際に読んでみると否定しているのではなくて奨めている場合がほとんどだ。天の邪鬼な人間心理を衝いたつもりらしい。アライグマについては、見かけの可愛さとは裏腹に相当気が荒いとか、飼うのが難しいという噂はよく聞いていた。しかしテレビアニメの「アライグマラスカル」のイメージがあまりにも強いし、動物園で見るアライグマはとても愛くるしい。私自身、アライグマを見るのが大好きだし、飼ってみたいと本気で思ったこともある。この本はカバーに可愛いアライグマが描かれていて、つい手に取ってしまった。だからこの本も、「気が荒くてたいへんだけど、やはり可愛いから飼ってみれば」という結論なのかと思いながら読んでみたのだが・・・。
 児童文学者のさとうさんの家では、石鹸のテレビコマーシャルからすべてが始まった。私は記憶にないのだが、アライグマが石鹸を手のひらに出して手を洗うという内容だったらしい。このときも、息子さんの発した言葉は「あっ、ラスカルだ」である。スターリング・ノース(「はるかなるわがラスカル」の原作者。角川文庫)も、はるかなる日本でこれほどラスカルが有名になるとは思ってもみなかったに違いない。まったくテレビ恐るべしである。母子そろってこのコマーシャルに夢中になり、ついにアライグマを買ってしまう。アライグマの子がどれほど可愛かったか想像に難くない。さとうさんちに来たアライグマは「ラッキー」と命名された。しかしラッキーは次第に野生の本性をあらわし、数カ月後のある日、ついに流血の惨事と相成るのであった。その後はもう、さとうさん母子はアライグマとの戦いの毎日である。ついに去勢と牙の除去で対処。それから8年、ラッキーはほとんど懐かないまま、また去勢の結果おとなしくなりほとんど檻の中に入ったまま、さとうさん母子とラッキーは平穏な日々を過ごす。
 ある日ラッキーは尿毒症にかかり、生死の境をさまようことになるが、さとうさん母子の懸命の看護で奇跡的に快復。これを契機にラッキーはようやくさとうさんに懐いてくれる。本文はここで終わっているが、じつはあとがきにその後のラッキーの消息が書かれている。結局ラッキーはそれから間もなく容態が悪化して、8歳7カ月でこの世を去ったのだ。8年間も懐いてくれないアライグマの世話をし、泊まり込みの看病をするなんて、私にはとても自信がない。普通ならとっくに手放しているだろう。あちこちで野生化したアライグマのことが話題になるのがその証拠だ。さとうさんは、あなたも飼ってみろとは決していっていない。「野生動物は絶対にペットにするな」といっている。しかし、最後までラッキーを見放したり手放したりしなかったことが何を物語っているのか。たとえ修羅場の8年間でも、ラッキーは大切な家族だったのだ。あとがきの最後をさとうさんはこう結んでいる。「ペットを飼っているかたも、いないかたも、これから飼おうとしているかたも、少しでも命について、家族について考えていただけたら、幸せです」

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