藤森 敏雄さんのレビュー一覧

激変にさらされる社会福祉法人に，新しい事業展開のチャンスととらえ，財務やマネジメントの改善を提言

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　社会福祉施設は，介護保険制度の導入と社会福祉基礎構造改革によって，従来の措置制度に守られた施設運営から，企業や医療法人との競争にさらされながら利用者に選ばれる施設作りへと変革を迫られている。さらに，平成12年度からは社会福祉法人会計基準が導入され，減価償却の概念の導入など，企業の会計に近い財務諸表の作成が必要になった。一連の動きは法人のマネジメントに変革を迫っている。
　とかく危機感ばかりがあおられるが，立教大学教授の橋本正明氏は，介護保険制度によって社会福祉法人が得られる利益は「一般企業と比較して少なくない」ため，それを社会福祉法人らしい「自立的な福祉事業展開」に利用できるのではないかと説く。
　本書は，施設関係者向けセミナーをもとにしているだけに，堅苦しくなりがちな会計基準についても社会福祉法人の経営全般との対比の中で説明されている。経理や経営に詳しくない現場の担当者が，会計基準の改正の影響，およびマネジメントの重要性について理解するのに必要十分な解説となっている。　
(C) ブッククレビュー社 2000