日野 さんのレビュー一覧
投稿者:日野
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吉野家の経済学
2002/01/29 01:30
「うまい、安い、早い」いつも通っている吉野家がまた違って見えるはず
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本書は、経済ニュース番組WBSのコメンテーターとしてもお馴染みの東京大学伊藤元重教授が、吉野家ディーアンドシー代表取締役安部修二社長に対して、2001年9月〜10月にかけて3日間行ったインタビューを元にした書き下ろしである。対談形式で読みやすいが、中身は濃かった。
280円への価格変化の舞台裏で何が起きていたかを始めとして、濃密かつ広範なケーススタディとして、読み応えのある内容だった。
例えば「(経営トップが)説明のロジックもモチベーションのロジックも持っていないと、もう馬鹿にされて面従腹背しか出てこない」「人の質量がいかにほかより、広いか、深いか、厚いかということが大切」といった経験に裏打ちされた社長の言葉からは、企業体質や経営に関する色々な事が学べるだろう。
マニュアルによる硬直の打破と品質統一について、チェーンオペレーションについて、あるいはまた1980年頃の「倒産〜再生」劇について、何より「現場」について、ここまで書いていいのだろうか、と思う程、詳しく具体的な内容になっている。
「どれだけ考えてやっても成功する保証なんてない。でも、失敗の条件についてだけは、(倒産という逆境から)100%学習した」と安部社長が言っているように、外から見たらそれほど変わってないように見える吉野家の舞台裏で、ブランド・品質は守りつつ「全てを変える」ことを、どこまでも本気で実践し続けているのが伝わってきた。
「280円」という価格の10円、1円に込められた歴史と戦略と想いが、安部社長という人物像と共ににじみ出てくるように感じられた本だった。
「うまい・安い・早い」。この本を読み終わった後、いつも通っている吉野家がまた違って見えるはず。そしてきっともう一度「ヨシギュー」を食べに行きたくなるはずです。
ちなみに私はいつも「並・たまご」です。
読了時間のめやす:2時間
(目次)
第1章 並盛280円−価格を変える 会社が変わる
第2章 「うまい、安い、早い」の変遷
第3章 「食材」の秘密
第4章 肉盛り一発 飯盛り二回
第5章 店舗の形が変わっていく
第6章 倒産と復活の舞台裏
第7章 吉野家ブランドの未来
解説 牛丼に経済の真理が宿る
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