T.Satohさんのレビュー一覧
投稿者:T.Satoh
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ネット&ケータイ人類白書 「多感階級」の誕生
2000/12/30 20:21
ネット&ケータイを越えたコミュニケーション論
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表題や装丁から感じるより、はるかに綿密で深い分析とユニークな視点に満ちた本である。
副題の「多感階級」は語呂遊びのようだが、その内容は「マルチ・パーセプション=多感」であり、「『マルチ・メディア』という供給者側の概念から脱皮しようとした」ものである。消費者主体の時代と書きながら、その実は供給者の論理で書かれた本が多い中で、先日読んだ、松原隆一郎『消費資本主義のゆくえ』とともに、消費者/消費について深く考察されている本である。
この本の特徴の1つは、「ダイナミズム」である。コミュニケーションや消費を考察する視点が、一方向、一視点ではなく、「調整」と「創造」、「情報」と「人間関係」、といったダイナミズムで構成されている。
また、この結果、逆に今までは関連を考えていなかった「ザッピング」と「超整理法」、「捨てる技術」や「コミック・マーケット」と「カスタマイズ」に通底するものがあぶり出されている。
その他にも「電子メールの忍者的機能」として「会いたくない人と会わずに済ませるメディア」というのものや、「厚底サンダル」と「ジベタリアン」が「いつもと違う道を通ること」と同じ理屈であることなど、私には発見続きだった。
またこの本は、1999年6月〜2000年3月に行われた3回の綿密な消費者調査に基づいている。ネット&ケータイという分野においては、調査時期からして表層的な調査だったら、データが古くなり価値を減じる所であるが、この本の場合しっかりとした仮説の構築と充分な分析のために、21世紀のネット&ケータイ社会というより、21世紀のコミュニケーション社会で生きる我々に役立ちそうな多くの視座を与えてくれている。
二十一世紀の資本主義論
2000/12/30 20:19
グローバル市場経済のパラドックス
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21世紀を迎え、「グローバル市場経済」に対する様々な意見が、様々なメディアから入ってくる。その多くは、「グローバル市場経済」成立の背景やその影響、あるいは功罪に関するものが多い。
しかし、この本のタイトルになった「二十一世紀の資本主義論」(書き下ろし)は、それらの意見が前提としている「グローバル市場経済」自体のパラドックスについて書かれている。
著者は、「世界がまさにアダム・スミスの時代になったことを実感している」21世紀に対して、
1)アダム・スミスの「見えざる手」は、市場経済が「不純」であったが故にかろうじて働いていたこと(ここで「不純」とは、規制や不確かな情報など市場の自律を妨げるもの)
2)グローバル市場経済とは「外部」を失った純粋な市場経済であり、純粋で効率化されたが故に、「アダム・スミスの見えざる手が力を失っていく」時代であることを述べている。
私は、この本を読んで、インターネット・ビジネスにも同じ論理があてはまるのではないかと考えざるを得なかった。だれとでも、安いコストで瞬時につながるという環境においては、情報が価値になるのだろうかと。著者の論が適用されるならば、インターネットがビジネスになるのは、インターネットにつながっていない部分(外部)を必要とするのではないだろうかと。
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