どら さんのレビュー一覧
投稿者:どら
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紙の本わたしが・棄てた・女
2002/03/27 13:31
映画のような作品で語られる愛
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映画を見ているようだ。場面場面で流行歌が流れたり、道玄坂に霧雨が降ったり、戦後の東京近郊の風景が映像を見るように頭の中に入ってくる。そして歌や雨や風にのせて登場人物の微妙な心理が伝わってくる。
ミツは容姿もいいわけでなく凡庸な娘だが、その彼女の、人の苦しみを自分の苦しみとして感じ、行動していく姿をとおして「愛」が語られているのだ。ミツのことをなんとも思わず一度犯して棄てた吉岡は、彼女のことをもう思い出すこともないといいながら、最終的には、彼の人生にしっかりと痕跡を残していることを知る。
私はこの本で語られる「愛」に感動した。もし今自分の不運な人生をつらく思っているひとがいたら、一度読んでほしいと思う。ほんの少し救われるかもしれない。
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