廣多 勤さんのレビュー一覧
投稿者:廣多 勤
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アブラムシの生物学
2001/01/29 00:15
系統進化から,種間関係,殺虫剤抵抗性まで,アブラムシ研究の最新の知見を集大成した本邦初の総合解説書
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アブラムシ類はこれまでに約4300種が知られている。それぞれに宿主も天敵も異なり,極めて複雑で多様な生活史をもつ。本書は,このアブラムシ類の全体像について,世界の最先端の研究成果を取り込みながら,日本の第一線の研究者が共同して編集,執筆にあたったアブラムシの総合解説書。これまでアブラムシに関する書籍としては,防除法の技術解説書程度のものしかなく,農業生物学の基礎研究の立場から,アブラムシを生物群としてここまでトータルに解き明かした総説書は,少なくとも本邦ではこれまで出版されたことがなかった。
本書の各章に引用された文献の総数は792編に上る。このうち,1990年以降に発表されたものが351編(44%)で,95年以降のものが195編(25%)を数える。これは,この10年間にいかにこの分野の研究が幅広く飛躍的に進展してきたかを示すと同時に,本書が,それらを,余すところなく網羅していることを意味する。内容は形態,分類,系統進化から,天敵,種間関係,社会生物学,そしてアブラムシ研究の中心的関心のひとつである生殖生理と生活環の各論,殺虫剤抵抗性の分子生物学にまで至る。現時点におけるアブラムシ研究の全体像を知る参考書としては,世界的にも希有な書籍であるだけでなく,ユニークな構成で,かつ,もっとも新しい正確な情報に基づいてていねいに解説されている良書である。
昆虫の1つのグループをテーマ対象としてまとめられた生物学書として,非常に読みやすく編集されており,昆虫以外の生物を扱う生物研究者をはじめ,専門外の読者でもアブラムシという生物群の際立った面白さを十分に整理して理解できる。もちろん,農業生物学の研究者には必読の1冊であろう。
(C) ブッククレビュー社 2000
ゲノムが世界を支配する
2001/04/09 18:16
ゲノム研究で何がわかるのか。社会は,生活はどう変わるのか。来るべきゲノムの世紀の実像が見えてくる
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2000年6月26日,当時のクリントン米大統領は,米バイオ企業のセレーラ・ジェノミクス社と日米欧中の国際ヒトゲノム計画の共同研究チームが,ヒトゲノムの解読作業をほぼ完了した,と発表した。クリントン米大統領は「世界の人類が待ちに待った日だ」と述べ,衛星を通じて会見に加わった英国のブレア首相は「科学と人類に輝かしい未来をもたらす成果」だと称賛した。しかし,正確に言えば,“解読”は終了したわけではない。実際には,ようやくおおまかな遺伝子情報の地図が描けたにすぎない。ゲノム研究は,これからが正念場を迎えるのである。
著者は,これまで日本は国際ヒトゲノム計画で解読作業の一翼を担ってはきたものの,戦略的な視点が欠けていたと指摘する。その結果,日本のゲノム研究は欧米に大きく後れをとることになってしまったという。さらに,21世紀は“ゲノムの世紀”であり,この分野での研究の遅れは,単に医療や医療経済に大きな影響を与えるだけでなく,国家経済の破綻にもつながりかねないと警告している。ゲノム研究が新たな段階にさしかかるこの時期にこそ,日本はゲノムに取り組む国家的な戦略を明確に打ち出していかねばならない。
本書は,日本のゲノム研究のリーダーの1人である東大医科学研究所ヒトゲノム解析センター長の中村祐輔氏と前日経サイエンス編集長で日本経済新聞科学技術部次長の中村雅美氏の共著である。ゲノム研究の最先端で,何がわかり,何がこれからの課題になるのかを極めて易しく解説すると同時に,本格的なバイオの時代になるとわれわれの社会,生活はどう変わるのかをわかりやすく整理して示してくれる。英文で付けられたサブタイトル「The Genome Century: Scioeconomic Change in the Era of Biotechnology」が著者の意図と本書の内容を的確に表している。一読すれば,21世紀がまさに“ゲノムの世紀”であることが,実像としてよく見えてくるだろう。
(C) ブックレビュー社 2000-2001
芸術的ガン治療 患者さんと家族で造る体内環境
2001/03/30 15:16
抗ガン剤から東洋医学まで,患者の環境変化に臨機応変な最適治療をめざす“芸術的”なガン治療戦略とは
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ガンは非常に複雑で性質の悪い病気であり,一筋縄では太刀打ちできない。抗ガン剤で無理やり攻めるだけでは患者自身も疲弊して,不幸な結果に終わりかねない。ひとりひとりの患者の身体的環境,家庭・社会的環境をトータルに評価し,日々の容態の変化までを考慮して,最善の治療法を科学的に選んで組み立てて行くのが「芸術的ガン治療」である。
著者は東京医大婦人科講師で,ガン遺伝子治療なども研究してきた気鋭の臨床医である。しかし最先端の治療法だけでは患者にとって理想的な結果は得られないことを痛感し,東洋医学を含む多様な治療法の統合をめざす。その治療戦略は「科学的根拠を前提とした臨機応変な最適治療」である。そしてこうした質の高い医療を行うには,医学知識だけでなく「芸術的」センスが必要だと指摘する。本書はまた,ガンの本質に迫る最新の医学知識をわかりやすく説いている。「芸術的ガン治療」の神髄が納得できる。
(C) ブックレビュー社 2000-2001
コンパクト検査値診断マニュアル
2001/03/30 15:16
正確で最新の信頼あるデータをハンディに使いやすく要約した,臨床現場で素早く役立つ実用マニュアル
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世界中の臨床現場で使われている「Interpretation of Diagnostic Test」第6版簡約版の訳書である。この簡約版は,検査技師のバイブルとして信頼の厚い完全版をもとに,臨床でしばしば遭遇する異常に絞り込んで要約した。
どのような検体のどんな物質がどういう値を示すとき,なにをどう考えて検査を進めればよいのか,日常の臨床で必要とされる情報だけを簡潔に解説している。検査項目と疾病の両面から臨床検査全体の理解を深めることもできる。リストやフローチャート,比較表などの一覧性のよい表現を多用していて要点の確認が容易にできる。「略語索引」では,原著の略語索引には掲載されていないが実際には本文中に使われている略語を大幅に追加収載して読者の理解を助けている。「即座の参照にすぐ役立つ」ことを旨として編集し,徹底的に使いやすさを追及した,ハンディで非常に実用度の高いマニュアルである。
(C) ブックレビュー社 2000-2001
ハーバード医学部
2001/02/23 12:15
医学教育の最高峰,ハーバード医学部の実像。そこで学ぶ医学生の成長を通じて医師のあるべき姿を提言する
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本書は, 世界の医学教育の最高峰と言われる「ハーバード医学部」に入学した学生が,どのような教育を受け,どのようにして医師になっていくのか,実際に在学生や卒業生,教官にインタビュー取材をして構成した,いわば一種のドキュメンタリー記録である。「第五章 はじめての人体解剖」では,著者自身が新入生の解剖学のクラスに聴講生として参加して,学生とともに講義を受け,人体解剖の実習に臨んだ体験を克明に綴る。新入生が戸惑いながら必死に取り組み,成長していくプロセスが生の姿で描かれており,医学教育の現場の実況中継を見ているような感がある。
「ハーバード医学部」が,1782年に米国で3番目の医学部として創設されたとき,学生はわずか2人。これに対して3人の教授がいた。ここから「ハーバード医学部」の歴史をたどると,それは米国の医学教育,医学研究の歴史に重なる。「ハーバード医学部」が,なぜ,どこが全米で一番(世界一)なのかを説明するためには,比較のために全米の医学部の現況を具体的なデータで提示することになる。従って,「ハーバード医学部」の実像にあらゆる側面から迫る本書は,結果的に米国の医学教育の実像を生き生きと描き出す。ひいては,米国医療の舞台裏とそこで悩む米国の医師たちの等身大の姿をつぶさに知ることができる。米国の医学部の入学試験制度の資料としても貴重なデータが記載されている。そして,著者は「ハーバード医学部」が特別の存在であることを示すことを通じて,普遍的な医学の使命,医師のあるべき姿を明快に示すことに成功している。
A5判で,外見上はさほどのボリューム感はないが,ページを開くと,小さめの字が2段に組まれ,情報量はかなり多い。訳者によると「原文は一つの文がやたらと長い,難解きわまるものだった」そうだが,「『原文より読みやすい』と自負」するだけあって,確かにこの訳本の文章はたいへんに読みやすく,わかりやすい。ただ残念なことに,本書の訳語には明らかな誤訳や”異訳”が散見される。例えば,「AMA(全米医学協会)」と訳語を充てているが,American Medical Associationには『米国医師会』が定訳。「エイズ菌」は『エイズウイルス』の誤りであろうし,「管理看護」は『マネジドケア(強いて訳出すると「管理医療」)』の誤訳だと思われる。その他,読みようによっては誤解や不消化を起こしかねないところもある。版を重ねる際には是非,修正してほしい。
本書は,「ハーバード医学部」に留学を考えている学生はもちろん,医学を学ぼうとするすべての人に必読の書と言える。もっとも,最高峰の「ハーバード医学部」を目指すならば,本書は原書で読んでおくべきかもしれない。少なくとも,原書の「難解きわまる」英文が難なく読みこなせないようでは,合格はおぼつかない。
(C) ブッククレビュー社 2000
嚙むかむクッキング 嚙むことは歯を丈夫にし、脳の発達をうながし、全身の健康を作ります
2001/01/29 00:15
よくかんで,おいしく食べる,健康レシピシリーズ。かむことは,歯を丈夫にし,全身の健康を作る
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日本歯科医師会会長の臼田貞夫氏は,本書の冒頭で,歯科医から見た現代の食生活の問題点を解説し,現代人はかむ力が衰えつつあると警告する。よくかむことは,歯周病など歯の健康に大切であるだけでなく,全身を活性化して生活習慣病の予防にも重要な働きをしている。よくかんで食べることが,健康づくりの基本として,その重要性をクローズアップしている。かみごたえのある食材を選ぶのは確かに大事なポイントだが,硬いものばかりをたべなければいけないわけではない。ほんの少し調理法を変えるだけで,かむ回数が自然に増える。本書の料理のレシピはすべて「噛むかむポイント」付き。食材選びのポイントはもちろん,調理法の工夫でどれだけかむ回数が変わるのも具体的な料理の例で解説している。やわらかい食材でもかみごたえのある調理法など,おいしく食べて自然にかめる工夫のヒントが満載の,ユニークで役立つレシピ本。
(C) ブッククレビュー社 2000
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