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よのさんのレビュー一覧

投稿者:よの

14 件中 1 件~ 14 件を表示

TOEIC900なら中級というレベル設定が嬉しい

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

英検1級を持っていても、TOEICで900以上をスコアしても、英語ができるようには全然感じない。こういう人はきっと山ほどいるに違いない。
この本を手に取って最初に目に付いたのは、巻末近くの「単語力即席チェック表」だった。
チェックしてみる。判定レベルは「単語力2級」。7段まである14の段階の、「下から5段階目」だ。このランク付けで即刻買った。やっぱりそうだよね!という嬉しさがあった。
英語ができることにされてしまって、英語関連のことを何でも振られるようになって四苦八苦という時に、手頃な参考書がない、語彙が少なくて焦りまくりという状態だったため、この手応えが欲しかったのだ。
もちろん、もっと下のランク付けされる人にも、もっと上にランク付けされる人にも役に立つヒントが沢山あると思う。単語の勉強の仕方や、単語の特徴など、それぞれのレベルで使えそうな内容が沢山だ。
あとは、気合い入れてめくり、繰り返しやるだけ…なのだろうが、そこは個人の努力次第だろう。
持ち歩きにはちょっと大きいので、通勤で勉強できるというものではない。そこはちょっと難点ではあるが、この情報量では仕方がない。
情報が多すぎるきらいがあるので、気軽にやりたい人には向かないかも知れない。

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紙の本若旦那・空を飛ぶ

2002/07/20 22:09

粋で品のいい大正小田原ロマン

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

たけうちりうとさんの穏やかな物語の描写というのは大好きなのだが、とりわけこの「こゆるぎ」シリーズはいい。
時は大正。小田原の町に住まう数人の惣領息子(跡取り息子)たちが道楽半分で集う「こゆるぎ探偵団」。筆頭となっている小由留木楓はきれいで優しい面差しの旧制中学4年生で、小由留木酒造の惣領息子。メンバーの中でも若い楓だが、おっとりしたお坊ちゃん的性格ながらひらめきは冴えている。そして楓を想い、また楓に想われている大工の若棟梁の一色祐太朗は新しいもの好きで、発売直後のフォードの車も上等のスーツもすぐに自分のスタイルに取り入れる粋な男で行動派。
おとなしく気のいい小鳥屋の郁さんやら、写真の腕は小田原一とうたわれる、はなちゃんこと写真館の塙。楓の同級生で剣道場の跡取り息子ながら文学を愛する加納に、素晴らしい腕で欧州への留学が決まっている真面目一徹の職人気質の金物屋の善田。以上6名が探偵団のメンバー。
穏やかな気候の小田原に合った、おおらかでそれぞれに個性的で粋な青年たちの繰り広げるちょっとした謎解きと冒険のお話。

大正という時代と長男というそれぞれの立場や身分による枷は現代よりももっと明確にあるものの、その中でおおらかに、自由に恋をし、青春を楽しんでいる様がとても爽快で読んでいて気持ちがいい。

ボーイズ・ラブ的要素はナチュラルにさらりととけ込ませるのはたけうちりうとならでは。人が人を恋うのは当たり前のことなんだなぁ、とそんな風に思わせる。とりたてて男同士だとかなんとか大騒ぎしないさりげない恋模様の描き方が気持ちいいのだ。楓と祐太朗の周りの人も、二人の恋をなんとなく見守る体勢。とにかく、全てがおおらかなのだ。

大正の小田原を舞台に繰り広げられる、上品で粋なロマンをお茶でも飲みながら楽しみたい。

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紙の本Xazsa Ver.1

2002/07/20 07:19

摂氏37度くらいの温もり

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

心が小休止を求める時に、この作品を読み返す。若木未生という作家が書く作品の中でいちばんホッとできる作品だ。
ある日街で、ロボットの真似をする大道芸人ザザに出会ったが、彼は、本当の機械仕掛けの少年だった。 話してみればごく普通の少年のようなのに、でも彼はピノキオのように「どうしたら人間になれる?」と考えている正真正銘の機械仕掛けの男の子。彼を作り出した大好きな優亜のために「人間になりたい」と、人間を見て勉強するために、研究室を飛び出したのだと言う。
こんなザザを拾ってしまった京平さんは京平さんで、妻を失ったことで命を鳴らすように弾いていたギターを鳴らすことできなくなってしまったギタリスト。妻の弟と一緒に暮らす家で、ザザと、血の繋がらない兄と弟との奇妙な3人の生活が始まる。
微妙に悲しく、微妙に強く、微妙に優しい3人の若い男たち。
すごくピュアな感情をぶつけてくる、まっすぐなザザを中心に色々な事件が起こり、「人間らしい」って何? なんていうなんとも答えに窮するような問いに、誠実に一歩一歩答えを導き出していこうとする優しい世界がここにある。
短編集なので読みやすいし、ふと思いついたときに読み返したくなるような、37度くらいの暖かいものが、この1冊にはあると思う。是非ご一読を。

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何と言っても問題を解くのが一番

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衛生管理者試験は、何と言っても問題をひたすら解くのが合格への近道だと私は思います。
そういう意味では、ある程度数をこなせるならどんな問題集でもいいんですが、
私は簡単な要点をまとめた本をざっと読んで、この本を一通りやることで2種に合格しました。

この本のいいところは、右ページに問題、めくった次の左ページに解答と解説という、
通勤電車での学習に向いたつくりをしているところだと思います。
解答・解説が後ろにまとまってるものだと通勤でやりにくいのでお勧めしません。
しかも、1ページに2〜3問程度なので、見た目の厚さよりもどんどんと次のページへと
進んでいけるので、なんとなく、「もうここまで来たぞ」と思えるので嫌気がささないのもいいです。
まず解いてみる。めくって答えを確認。解説を読んで根拠を確認。
で、根拠が今ひとつピンと来ないなぁと思えば、ページを折って後でチェックできるようにしておく。
という感じで繰り返していけば。案外さらっと一通りの問題を解き終わってしまいます。
あとはページ折ったところを、もう一度参考書なりでおさらいしていけば、
まず2種なら一発合格できるのではないでしょうか。

以下、私の使った本です。
1.概要をざっとつかむ→オーエス出版の『一発で合格!衛生管理者試験』
2.問題集をとにかく解いてみる。→この問題集
3.ひっかかったところの確認→上記1と、この本と同じ法学書院の衛生管理者試験の要点と基本問題

という手順でやりました。準備ゼロでは討ち死にでしょうが、問題を解いてツボさえつかめば決して難しい試験ではないです(2種は)。
頑張ってください。

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ここから手を付ければイヤにならない

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衛生管理者の資格をとろうという人って恐らく社命なのではないかと思われます。
私も社命で2種をとれと言われて、渋々と「試験会場が遠いんじゃー!」とか文句を言いながら受験したクチなのですが…。
で、あまりやる気がないという場合でも、この本なら割と気軽に入っていけます。
とりあえず、訳が分からずとも、とにかく、この本を一回ざっと読む。
すると、全部を理解はできなくとも、別段ものすごく難しいことを言っている訳ではないらしいことが分かる。
ということで、「イヤだなぁ、面倒だなぁ」という気分が除去できる。
で、中身を全部理解している訳ではなくとも、続けてとにかく問題集を解いてみる。
そうすると、案外解けるものなんです、これが。
というか、常識の範囲で半分は解ける。暗記も多数ですが、あとはダメだと思ったところを繰り返せば合格ラインには、届くものです(少なくとも2種については)。

そういう訳で、とっかかりとしては、この本はお薦め。
あとは、問題集をひたすら解けば、まず二種なら一発合格できるんじゃないでしょうか。
ちなみに、私が使った問題集は、
法学書院の『衛生管理者試験予想問題集』。
で、これでひっかかったところを、
同じく法学書院の『衛生管理者試験の要点と基本問題』で確認しました。

以上、通勤電車往復30分だけを使っての1ヶ月コース。
先に受験申し込みしてから、勉強を開始するという背水の陣戦法でもなんとかなります。
どうぞ頑張ってください。

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やがて大人へと−−全7冊の物語と、「ハリー」の少年から青年への転回(展開)点

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子供が主人公の物語は、いつまでも子供が子供のままなのだとなんとなく思っていた。
なのに、いつの間にか大人になろうとしているハリーの「かっこよさ」に、感慨の溜息を漏らした4作目だった。

初めの1冊目『賢者の石』。ハリーは11歳。
第4作にあたるこの『炎のゴブレット』。ハリーは14歳。
思えば自分の11歳と14歳は、確かに違った。
そして、やはりハリーも11歳と14歳で確かに違う。
まだティーンエイジャーにもなっていなかったハリー・ポッターという「かわいい」男の子の物語は、ティーンエイジまっただ中の「少年」と「青年」の間の微妙な色合いの時期の子供の話にいつの間にか突入していたのだと、読み終わって思った。

ネタバレはできないから詳しいことは言えないが、さんざんハラハラし、叫び、ドキドキし、涙を流し、色々なことを噛みしめ、次への伏線だらけで「なんてこった! どうしよう!」と、ジェットコースターの後のような、深いため息と満足感とともに本を閉じてから、深呼吸を2つほどして思ったのは、「ああ、ハリーったらすっかり男前になっちゃって…!」という感慨だった。
そう、ハリーは男前に育っている。「成長」している。
1巻から、一つ一つの事件をクリアするたびに成長し、そしてこの4作目で、これまでよりずっと重い事件を通じて、またグンと心が大きくなっていた。

今までの3作が、全7作(予定)のストーリー全体の長い導入部だとするなら、恐らく、この4作目は展開(転回)点。
これまで少しずつ出そろってきたキャラクターたちが、一人ひとり役割をもって動き出すのが見え始める巻だろう。
決戦へ向けて、大きな流れがここから生まている臭いが色濃く漂ってくる。ああ、この人も、この人も…と、今後への期待にドキドキしてしまう。それだけでもすごく読み応えがある巻だ。

けれど、それに加えて、物語の転回とともに「ハリー・ポッター」という男の子も“少年”から“青年”への転回点を迎えている。
帯などで書かれているような恋や友情といった、ただ表面的な内容だけでなく、彼自身の自分のとらえ方や、自分の直面している世界のとらえ方、それとどう関わっていこうかという覚悟の面で。
「心構え」で大人になろうとしている、と言おうか。
いや、そうならざるを得ないところに、ハリーが連れてこられてしまったという方が正しいかもしれない。

これまでの4作品でどれが一番好きかと聞かれたら、3冊目の『アズカバンの囚人』なのだが、4作目は、ものすごくずっしりと「濃」くて、楽しさとは違う面で、とても愛しくなった。そして、やはり文句なく「面白い」。

最初は気楽に読み始めたこの物語。いつの間に、こんな大きく重たい話になっていたのだろう。
そして、子供っていつの間に大きくなるんだろう。

たかが物語。されど物語。
物語も育っていれば、登場人物も育っていた。
永遠の子供などでなく、不自然でなく心が育っていく少年ハリーへの感慨が沸いた巻だった。

これからハリーはどんどん大人の「男」になっていくのだろう。
それも、この4作目から伺える範囲では、心がたくましいとびきり「いい男」になりそうな予感がする。
11歳だったハリーは、いつまでも11歳のままなどではいられないのだ。最後の7作目では17歳になっていなければいけないのだから。

この巻で、これまでよりはるかに重くて辛いイベントを経験するが、ハリーはそれも吸収して大人になっていく。そしてこの先、どんどん華やかに大きくなっていくだろう物語とともに、どんどんかっこいい「青年」になっていくだろうと予感させる。

物語全体の大きな流れの変化とともにハリーの変化も描き出されているそんな一作だと思った。
迷っているなら買って損はない。多少高くとも。
「ベストセラー嫌い」だった私がすっかり虜になった作品シリーズの大事な1作だ。
騙されたと思って読んでみて欲しい。

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紙の本花姫純情

2002/07/20 08:29

うわあ、ラブラブだ…

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とにかく、本作、真堂さんのうまさ炸裂。微妙なところで、するりとはずす艶っぽさ。久しぶりの四龍島なら、こうでないと。
言っていることは相変わらずいけずなマクシミリアンと相変わらずかわしてばかりの飛。なのに、読んでいて赤面するくらいのラブラブっぷり。
一生やってなさい、とクレイ・ハーパーならずともさっさと席を外してため息をつきます。でも、のぞき見をしたいような、したくないような。
とりあえず花路の「孫」と孫が世話になっている商家のお嬢さんの絡んだ事件というのもあるのですが、事件の核が「恋」なだけに、マクシミリアンと飛のやりとりも相変わらずど真ん中ではないものの、本編では決してなかったようなストレートな「恋」にまつわる内容で、ああ、恥ずかしい…。
どうぞ、一生ラブラブとやっていてください。
とりあえず、「相変わらずな二人」(多少色ボケ気味)に身悶えするにはもってこいです。
あ、いきなりこの話からスタートするのはお勧めでないかも。
まずは『龍は微睡む』からスタートして盛り上がってから、デザートにどうぞ。

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紙の本竜は微睡む

2002/07/20 07:55

美青年満載中華風ファンタジー

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いやあ、楽しいです。この本、女の子にはたまらないでしょう。
小道具や舞台設定などありとあらゆうところで中華風な味付けがきいていて、中華風ファンタジーの醍醐味が味わえます。しかも美青年満載。大変おいしいです。
長身に長い銀髪。酷薄な銀の瞳で何事も興味なさげに見やる「白龍」ことマクシミリアンは、西洋風な「本土」に生まれた先代白龍のご落胤(白龍とは舞台である四龍島の西の自治区の名であり、そこを治める者の呼称でもある)。
純粋四龍島出身でないために、周囲からは半龍と言われ侮られていますが、その実相当な切れ者。でも、島をよくしようだとかそういうようなやる気は全くなし。何事にも興味薄。そんな彼が唯一興味を示すのが、主人公の飛(フェイ)。
飛は、白龍市の色街「花路」の束ね役で白龍市を心底愛する青年。色町の束ね役という割には、華奢な美青年で、腕は恐ろしいほどたつものの、ほとんど色町の猛者のアイドル状態。
こんな二人が出会い、飛の反発やらマクシミリアンのいけずやらで、互いの関係はこんがらがり、内乱やら何やら、事件もあれこれ。
とはいえ、一見複雑そうなのに、読み始めたら一息に行けます。この作者大変に筆が達者で読み手をすんなり複雑な世界に馴染ませ、そして決して飽きさせません。

両親が分からない「飛」の出生にかかわる謎やら、本土も絡んだ他市との内紛あれこれやらがこの先展開していきますが、まずはこの1冊。
マクシムと飛の微妙な関係に「萌え」られれば、その先楽しく読めること請け合いですが、そうでなくとも充分面白いです。

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紙の本英検Pass単熟語1級

2002/06/29 08:48

分冊できる文例集がありがたい

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単語を単体で覚えられる人はいいが、私は単語は文脈の中でないと覚えられない。
もちろん他の単語集でも、例文はついているが、例文集だけまとめてくれている上に、それが本体と分けて持ち運べるというものはあまりないと思う。
しかもこの例文集、見開きの左ページに英文、右ページに対応する訳文となっており、それぞれ、問題となっている単語の部分と、その訳語の部分が赤字表記されていて、本についている昔懐かしい赤フィルムをかぶせると単語(訳語)を隠してくれるという親切設計。サイズもちょうど良くて通勤電車の中でも手軽に英→和も和→英も勉強できる。
英検1級合格したあとに、やはり自分の語彙の乏しさが嫌で準1級と1級のPass単を買ったのだが、1級レベルのもの自体が少ない中で、この文例集つき単語帳は、とてもありがたかった。

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実践的で「つかえる」問題集

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 何しろ試験費用が高いので、一発合格したい。同僚に勧められて購入してみたが、勧められた通り、非常に試験対策に有効だった。
 まず、問題形式が本試験とまったく一緒で、全く同じ問題さえ出るというあたりが非常にありがたい。また、見開きの右ページに問題、めくった左ページに解答と解説というレイアウトは、答えが目に入ってしまうこともなく、通勤電車での自習などにもいい。繰り返し問題を解いて、間違えたところを確認していけば、ほぼ本番試験に100%対応できる。私は、間違えた問題の解説のところにマーカーをつけて、試験直前までそれを確認した。
 ただ、各章の最初にある「ポイント」は簡潔過ぎるので、初学者の場合はこれだけ読んでも、問題全部は正解できない。参考書などで概要を把握してから、この本で実際の問題を解いてチェックし、抜けている細部を補うか、問題を解いてから、解説を読んでもわからないところについて参考書を見る、という方法が有効かと思われる。
 いずれにせよ、実践問題集としては非常に有効な本だと思うのでお勧めできる。ある程度オラクルを触ったことがある人であれば、4〜5日かけてこの本をさらえば、充分合格ラインに到達できると思う。

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紙の本不忍の恋

2002/07/20 22:36

おおらかな恋

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

たけうちさんの秀作『こゆるぎシリーズ』より時代はさらにさかのぼり明治時代のお話。
南の島(おじいさんが紬の名人ですから大島だと思われます)で、海や木や風を愛し絵を描いてきた素直でおっとりした少年・夏海が、その絵を目にとめた外交官の家柄の男・海棠に絵の勉強を勧められて書生として東京へ連れられるところから物語りは始まります。
初めて暮らす東京で出会った、お屋敷に出入りする古物商の三男坊の兵部(ひょうぶ)のチャキチャキの江戸っ子ぶりに目を白黒させつつ、その明るい人柄に夏海は好感を持ち、兵部もまた、夏海のあまりの天然っぷりに嘆きつつも、惹かれます。

この二人が展覧会で出くわして巻き込まれてしまう、絵画盗難事件。事件を解き明かしてみればそこには時代の悲しさでいかんともしがたい恋模様があります。

人を恋うことの自然さ、優しさをこれだけナチュラルに書くボーイズ・ラブ系の作家さんはあまりいないように思います。恋だなんだとかしましく騒ぎ立てずとも、生きていれば人を恋うのは当たり前。実らぬ恋も当たり前にあれば、実る恋も自然にそこにあるのです。
今市子さんの美しい挿絵とともに、穏やかでおおらかな恋の風景が描かれていて、是非次作も読みたくなる、素敵な作品です。

過激なボーイズ・ラブに食傷気味な人にも、ボーイズ・ラブって何さ? という人にもお勧め。過激なものがお好きな方には向かないかも。

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働こうと思うことができた。感謝している

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仕事でつまづき、ストレスが募ってプチ出社拒否状態になったちょうどその時、
この本をフラフラとさまよっていた書店で見つけた。
3日連続で午後出勤(ようするに遅刻)をし、その後2日続けて会社をサボり、
その罪悪感と自らの無用感に鬱々としていたまさにその時のことだった。

人事部員として、社員に「キャリアを考えよ」と大本営の言葉を伝え、
その空虚さにぬるい笑いを漏らしつつ、自らも何をしたいのだと
鬱々と考えながら過ごす日々の中、この本はたったの一晩で、
確実に、丁寧に、易しく、「働くこと」の意味を教えてくれた。

プチひきこもりに今日で終止符を打つ。
働こうと思う。
たとえ、今している仕事そのものが私の天職なんかではないとしても、
また、一生天職なんてものを見つけられないのだとしても、私は生きているから。
自ら身体を使って働くことでしか得られないものがあるのだという、
筆者の言葉に心の底から頷くことが、私はできた。
そして、考え、もがき苦しむことを止めてはいけないのだというそのことにも。

やれ、「自分探し」だ、「キャリアデザイン」だ、「ポジティブシンキング」だと、
はるか頭上を飛び交う、私の目には眩しすぎる「正論」の数々からは決して得られない、
密やかで静かな「真」がこの本にはあると思う。

少なくとも、私には、一つの救いとなった本だ。
同じ視線に立つ人がいることを知る安堵感とでも言おうか。

筆者にともかく感謝している。
私でも、働けるし、生きられる気がしたのだから。
働こう、生きていこう、と思う。その力を一時的にでもくれた。
いつかまた躓いた時には、また読み返すだろうと思う。
そういう大事な一冊になった。

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紙の本グラスハート

2001/12/12 20:13

「音楽」そのものが言葉となった小説

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 若木作品は、どれもこれも好きだが、その中でも『グラスハート』シリーズは、ダントツのイチバンだ。最初の一行からもって行かれる。他の作品にはない、走るような言葉の連なり。読むと息が灼けるように感じる。全力疾走したように熱くなる。呼吸そのものが苦しくなるような熱量。熱く、熱く、読み手を『グラスハート』の世界にもっていってしまう。
 私はこの作品で、生まれて初めて「音」が聞こえる小説に出会った。文字を読んでいるだけで耳の裏に「音」が聞こえる! そのことに強烈に驚いた。キラキラと光る「音」が、ザックリと斬りつける「音」が、腹の底をすくうような「音」が、確かに聞こえるのだ。
 痛みを伴うキーボーディストの鍵盤の音。強烈な引力を持つベーシストのベースの音。冷静そうでいて斬りつけるように割り込んでくるギターの音。そして主人公、朱音のスカっと気持ちよく体に届くドラムの音。どの音も、確かに耳に響いてくる。これはバンドものなどというくくりにできる小説ではない。
 グラスハートは、他に同じようなものなど一つもない、「音楽」そのものが言葉になった小説だ。読んだら、きっとその人にしか聞こえない「音」を聞くだろう。これは、そういう小説だ。
 何はともあれまず「読め」と言いたい。言葉に置き換わらない、あの「熱」と「音」を体感してみないことには始まらないのだから。

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胸が、灼ける。

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問答無用で5つ星。でも、評価なんて本当はできない。
冷静な評価なんてできないほど、私を狂わす一冊だから。
この一冊のイメージは、ただひたすらな「熱」。胸が灼けるあの「熱」。ただそれだけだから。

読み終わったとき、熱くて熱くて、泣いた。悲しいのでも、悔しいのでも、何でもなく、ただ熱くて熱くて泣いた。ボロボロ泣きながらうずくまっていた。自分が持っているわずかな言葉が全部飲み込まれて、私の頭の中で渦を巻いて嵐のようだった。そんな経験したことがなかった。本を読んでこんなにまで打ちのめされるなんてこと、それまでなかった。
今よりももっとずっと、心が脆かった二十代前半の頃のこと。でも、あの時の熱と痛みと震えは、今も忘れない。あの痛みをまだ私は覚えていて、今でもこの本を開くのには勇気がいる。読み返すと、やはり胸を灼かれる。
1作目『グラスハート』でも充分に打ちのめされたのに、2作目はさらに完全KO。何がどうという理屈になる前に、言葉を受けて、感じて、音を聞いて、ただ胸を灼かれた。
熱くて、痛くて、どうしようもなく、心がかき回されて、涙が止まらなかった。
ストーリー? そんなものは、考えなくていい。主人公たちがどういうストーリーを歩んでいるのかなんて気にしなくていい。そういう次元の話じゃない。
「音楽」の小説というイメージさえも吹き飛ばす、ただひたすらな「熱」。
ただ、灼けるようなあの痛み。

悲しい話なんかじゃ全然ない。
感動的な話なんかじゃ全然ない。

ひたすら音楽を愛する人たちが、必死で自分たちの音楽をするために走るような話。

そんな疾走するような話のはずなのに、涙が止まらなくなる。
心が灼けて、涙が止まらなくなる。
静かな場所で、一息に読んで欲しい、私の大切な一冊。
現代を生々しく生きる、熱い、熱い十代と、その余韻を残す二十代、三十代のために、きっとこの本はあるのだと、私は思う。
読んで、胸が灼けるあの感覚を知って欲しい。
この本の出す周波数と帯域があう何パーセントかの人が、これを逃してしまったら本当にもったいないと思うから(もちろん、この本の前に「グラスハート」を読んでいて欲しいことは当然の前提)。

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