格 さんのレビュー一覧
投稿者:格
水滸伝 6 風塵の章
2002/02/03 22:39
楊志亡きあとの二竜山と相変わらずの宋江の旅
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楊志亡きあと,林冲が二竜山をみるが,あくまで暫定的体制.では,どうするか.ついに青州の将軍,秦明の出番.魯達による秦明の説得術は見事.『腐敗を取り除くのに,新しい国家を建てるのが是か,古い国家のまま改革をしていくのが是か』.今の日本はどうすべきなのか.この言葉には,大物もさすがに寝返らざるをえない.そして期待に違わぬ大物ぶりで,大きな勝利.こうして,梁山泊は人材をまたまた増やしていく.しかし,秦明の気持ちの中のもの足りなさとは何か.けっしてあまりに簡単な勝利が原因ではないだろう.
北方水滸伝の魅力の一つに敵の強さがある.また一人登場した敵方の若き天才聞煥章.いったい,どこからこういう男が現れるのか,説明がないのは不満だが,中国という巨大な国の底力なのだろう.『やってみよう,と決心した以上,私は自分を若すぎると思わないことにいたします』.どこか,三国志における諸葛亮孔明の登場を思わせる.もっとも国家がどうあるべきか,という思想がない,という.だからこそ,強いという面ががあるのかもしれない.そしていきなり,聞煥章の戦略により,宋江はまたしても窮地に…
毎度のことだが,シビレるセリフのオンパレード.少しだけ,記しておこう.こうして改めて見てみると,ちょっと臭すぎる,と思えるのもあるが…
『少華山で闘ったことが誇りだ.そう言える山塞にしよう.そう言えるだけの軍に,みんなの力で成長していこう』
『人は,ともに生きる者がいて,はじめてほんとうに生きられるのです』
『人は誇りに生き,死するもの』
『志があるから信じられる』
『人は信でつながっていなければならない』
国境
2001/12/09 00:42
極道が盗まれた金を追って,中国から北朝鮮国境を越える
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面白い.でてくる登場人物達が皆面白い.副主人公の大阪のやくざ桑原のキャラクタが最高.主人公二宮は建設コンサルタント.とは言っても建設現場のサバキなど危ない仕事をしている.これもまたとぼけていて,桑原との絡みは絶妙.そのアシスタントの気の強い娘悠紀との会話もまた面白い.さらに悪徳刑事中川,中国における助っ人の爺さん李,皆どこかユーモラスでかつアクが強い人物だ.
さて,ストーリは,二宮と桑原がともにだまされて,金を奪われ,それを追って,北朝鮮まで行く.一度はツアーに紛れ込んで正常ルートで行くのだが,不自由な行動を強いられ,うまく行かない.しかし,ある程度の行方をつかみ,今度は中国国境から違法に北朝鮮まで入っていく.
最初の北朝鮮行きで,たっぷり北朝鮮の現状を知ることができる.あらためて凄まじい国であることがわかる.二度目の北朝鮮行きは,スリル満点の冒険小説.素晴らしい.
白鷹伝 戦国秘録
2002/05/19 21:02
白鷹を使い,信長,秀吉,家康と仕えた天下一の鷹匠,小林家次の一生
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小林家次は,もともとは浅井家の鷹匠。しかしながら,浅井落城のおり,信長にすでに名前が聞こえていたことから,信長に仕えることになる。この信長と家次(のちに家鷹),および捕らえて使う大きな白鷹の交流が本書の中心である。
表題から鷹が主人公のようにも読めるが,そうではなくあくまで鷹匠が主人公。ただし,当然ながら鷹はかなり大きな存在ではある。戦国を扱う小説は数多く書かれてきているが,鷹と鷹匠を中心に描かれたものは初めてであろう。綿密な取材により,鷹,鷹匠の世界への案内書にもなっている。挿絵もかなり入っており,理解を深めるのに役に立つ。
鷹匠の地位が意外に高く描かれている。これは事実なのか,それとも,鷹匠が主人公の故,しかたなくなのか。また,家次(家鷹)の信長に対する言葉づかい,あるいは信長に対して再三いさめるようなことがあるのは,まさに,驚きである。
白鷹を使った雁についてはそれほど多くなく,また,意外に早く生を失ってしまうのは残念。もっと活躍してほしかった。
百名山の人 深田久弥伝
2002/05/12 23:53
深田久弥はどんな人生を送り「日本百名山」はできたのか?
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「日本百名山」がいかにして生まれたか,を直接的に描いているわけではない。ほとんどその周辺の話は書かれていない。しかしながら,生まれて子供のころから,どんな人生を送ってきたかを詳述することによって,だからこそ,このような本が生まれたのか,となっとくすることができる。
山に登ることだけでなく,旅というよりもむしろ,放浪ともいうべき行動が子供のころから好きだったようである。そして,そのクセが結局死ぬまで続いていたということなのだろう。好きなことだけを繰り返した人生。幸せな人であった。
二人の女性と結婚した暮らしが描かれている。最初の北畠八穂。すさまじいエピソードである。北畠が下書きをしたものを深田が書き直して小説が売れる。貢献度の割合の実態がどこまでのものであるのか。二人が別れてしまえば,盗作問題になるのは分かりきった話ではあるが,それが大問題とならず,また,深田はそれほど気に病んでいなかった,というようにも読めるのは深田の性格か。まわりの鎌倉文士達にも愛された性格のゆえなのか。実際には,かなりの部分が北畠のものによるように読めるが,だからといって,独立後の北畠にそれほどの傑作がかけなかったということは,深田による部分がそれなりにある,ということなのだろう。もっともそれは単に編集者としての腕の部分にすぎないのかもしれない。
二人目の志げ子。この人も裕福な家の出身ながら,深田との貧乏くらしに堪え,深田を支えた心から支えたようである。
太宰治など,意外な文士達との交流が面白い。小林秀雄をも深田は山に連れ歩いたという。あの小林秀雄のイメージにあわないが。。しかし,小林の読売文学賞への推薦理由はさすが。『近ごろ,最も独特な批評文学であると考えたからである。批評の対象が山であるという点が,たいへんおもしろいのである。著者は,山を人間と見なして書いていると言っていいのだが,山が人間なみに扱えるようになるのには,どれほど深山の山々と実地につきあってみなければならなかったろう』。
女性にも友人にも恵まれた深田。人柄のせいではあるが,幸せであったといえる。
キャピタルダンス
2002/03/17 18:19
ネットビジネスベンチャーを立ち上げる日中混血女性の闘い
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シリコンバレーで2つのネットビジネスを立ち上げたものの結局は失敗.日本で3つめネットビジネスベンチャーを立ち上げようとする日本,中国の混血女性,林青(リンチン)が主人公.高騰した株を売って大金を得れば,あとは悠々自適というのではなく,あくまでビジネスの遂行を図る.
一つ目の会社は無料メールサービス,2つめがPtoP,3つめが逆リンクの数で重要度を図る検索エンジン(Googleに謝意を表している).いずれもインターネット界での超重要技術である.これらをすべて,一人の女性が自身のアイデアで立ち上げるという設定は多少,無理がある.しかも,一つ目のビジネスはビル・ゲイツからの買収提案を蹴ってしまう,という.まあ,ありえないことではないが…。ホットワイヤード等実名がかなり使用されている.この類の本には珍しく,コンピュータ,インターネット技術に関しての記述がかなり正確なので許しておこう.
ただし,ナビゲーションズはナビゲータの間違い(P.92),また,肝心の株,出資の説明にも誤りがある(P.180).おそらく4倍の20万円に設定しないと意味として通らない.
この主人公の性格はハードボイルドの主人公並に,厳しいものがあるが,好感はもてる.『パイオニアは評価されなければいけない』と言って,家には野茂のポスターを貼る.『なにかネットの世界がひどくつまらなくなっていることもある.だから,嵐を起こしたい,ネットの中で商売をしているのに矛盾しているようだが,ビジネスではないムーブメントを青は起こしたかった.』ということで,ある目論見をもつ.これまた,今のインターネット界における注目の技術だ.そして,買収騒動に巻き込まれ,なかなか出資を得ることができない.急転直下の投資からビジネス立ち上げの成功のくだりは,実際にもそんなものなのかもしれないが,この点はちょっと安易.
戦士たちの挽歌
2002/03/17 18:16
本物の男を描く短中編5編
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訳者は唯一の共通点は,『できるだけ少ない言葉でストーリーを語ろうとするフォーサイスの硬質の文体』だというが,帯びにあるように,本物の男を描く短中編集と言ってもいいだろう.
第3編,第4編は今一つの感があるが,第1編,第2編,特に第5編は素晴らしい.アメリカ大陸のインディアンとの闘いというフォーサイスとは思えないテーマから一転して,ありえないファンタジーとなり….もう少しこの男に長生きをさせたかった.
長さにばらつきがある,以下の5編が収録されている.
-戦士たちの挽歌 100ページ
明らかに有罪の悪者を救う著名弁護士
-競売者のゲーム 100ページ
騙した上司を騙そうとする元競売屋の担当者
-奇蹟の値段 50ページ
昔の奇蹟を語る男
-囮たちの夜 50ページ
密輸を企てる男たち
-時をこえる風 200ページ
100年前,インディアンとの闘いで生き残った騎兵隊員の闘い
八ケ岳挽歌 随想八ケ岳 続
2002/03/17 18:12
八ヶ岳周辺の登山,ハイキングに関するエッセイ
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有名になった『北八ツ彷徨』の40年振りと言う続編のエッセイ集.北八つよりも南八ヶ岳が中心.ほとんど今はなきアルプに1960年頃から1970年くらいにかけて掲載されたものである.
八ヶ岳のそれぞれの山を題名にしたエッセイから始まって,信玄棒道を歩く話や,八ヶ岳周辺の各所を歩く話.そして,地獄谷における格闘.そして,最後に2000年に書き下ろされた表題の『八ヶ岳挽歌』(中編)が載っている.
古いものが多いのだが,まったく古さを感じさせない.適度なユーモアと瑞々しい感性の美しい文章.地名の由来などを執拗に追求し,推理していく.そんな中でも,あくどい山小屋の主人の実名を出して批判する.しかしなんとなく優しげな批判で,こういう批判だと,訴えられる心配もないかもしれない.
そんな暖かい文章に思わず誘われてしまう.場所を確かめるため思わず,八ヶ岳の地図を買い,確かめながら残りの文章を読む.『北八つ彷徨』も読み直して,暖かくなれば,ぜひ,ハイキングに行こう.
著者は八ヶ岳に対する開発の進み具合に対し,徐々に足を遠ざけてしまう.そして,なぜか,約30年振りに,取材で北八つへ.期待していなかったことが気持ちを変えたのか.著者の中に変化が現れる.このあと,著者は続けて,最新のエッセイを発表してくれるのであろうか.期待したい.なお,約40年もの沈黙に対し,著者は,単に文章の推敲に時間がかかったためと言っている.本当なのだろうか.
砦なき者
2002/02/17 19:27
テレビはどこまでできるのか
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4年前の江戸川乱歩賞受賞作『破線のマリス』の続編.首都テレビのニュース番組『ナイン・トゥー・テン』はそのまま続き,登場人物たちもそのままである.
最初の短編.テレビ局にかかってくる『私は今夜,殺される.殺した犯人をあなたたちの手で告発してほしい』という電話.事前に番組に流し,殺人を阻止することはできるか…テレビ人の苦悩と打算,そして,テレビではできないこととできることが描かれる.なかなか面白い短編である.ただし,終わりに別の人間の視点でそのことへのコメントがあり,なんだこれは,と思わせる.
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そして,短編の2作目.これも同様テレビの可能性を示す小品.そして,また,ここで余計なコメント…と思いきや…本作は短編小説集ではなかったのが,ここで明らかになる.この複雑な構成はなかなか面白いのだが,後半のストーリーはやや荒唐無稽.
後半の中心は,前の短編におけるコメントの主.その主人公は,意図してテレビ界に乗り込み,そして,まさにテレビによって,若者たちのカリスマに成長,化け物に作り上げられた.しかし,本当の化け物とは『大衆の総意』.たしかに怖い.しかし,その『大衆の総意』を作り上げるのはテレビほかのマスコミにも大きな要因があるはずであり,問題のすりかえがあるように思える.
なお,カリスマへの成長の過程はあまりに急.なぜそこまでの人気を獲得できるのか,少し理解不能な面がある.
邪魔
2002/01/13 23:00
うまくいかない人間たちの闘い
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主人公は三人か。不良仲間に流される高校生祐輔。サラリーマンの夫と子供二人を持つ三十四歳の主婦恭子。上司の命令で同僚の捜査をする刑事久野。この中で恭子だけはうまく行っていたのだが、夫の会社でおきた放火事件から、この三人が複雑に絡んで来る。さらに,パートをしている会社で条件闘争に巻き込まれはじめ、しだいに恭子の生活もおかしくなってくる。
東京郊外の日常生活など各種のエピソードは、詳細に描かれ、リアルで面白く、なかなか読ませる。
しかし、起きる事件はたいしたことがない上に、放火事件の犯人もすぐ分かる。直接の動機は分からなくはないものの、そこまでに至る動機についてはほとんど何も書かれておらず、よく分からない。
温泉教授の温泉ゼミナール
2002/01/13 22:52
温泉の現状と選び方
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衝撃的内容と言っていい。温泉につかったことが原因で死亡者がでているという。静岡のつま恋温泉で200年の3月、レジオネラ菌が原因である。温泉は湧き出てきたものを流しているだけなのかと思ったら、それを循環させていて、そのために菌が培養された結果によるものらしい。むろん、循環風呂の場合、塩素で殺菌しているのだが、それはそれで問題が多い。ここの場合は、塩素の濃度が低かったためらしい。平成12年上半期だけで10人以上が循環風呂でレジオネラ菌に感染して死亡しているという。衝撃的である。もっともこの数字は温泉だけでなく、公衆浴場の分も含んでいる。純粋に温泉で死んだ人の数を載せて欲しかった。
著者は、ここ数年で増えてきた公共の温泉が最も悪の元凶のように言っている。建物にだけ金をかけ、運営に金をかけないために、湯は循環させる。掃除を省力化させるためである。また、このような公共の浴場によって、本当の温泉を守っている秘湯が危機にさらされる、という面もある。消費者もまたいけないのである。見た目が綺麗なお湯を求め、湯の花が散っていると掃除をしていない、と非難をするのであるから…
循環風呂の見分け方は、いろいろあるが、一番簡単なのは『湯が浴槽からあふれているかどうか』だそうである。そして、中に吸入口があるものは間違いなく、循環風呂。
この本を読みながらたまたま、下呂温泉に泊まったのだが、ショックであった。泊まったホテルは、まさにこの見分け方によって、循環風呂であることが簡単に分かった。下呂もダメなのか。接客がよかっただけに残念である。もっとも一日に一回、湯を落とし、掃除をしている、ということで、最低限のラインは守られているようではあるが。
黒川温泉ほか、今はやっている、いい温泉に関する情報も載っている。これからは源泉の宿に注意して泊まっていこう。
緋色の時代 下
2001/12/31 15:22
ソ連崩壊後のロシア,エカテリンブルグにおけるにアフガンツィたちの闘い
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同じアフガン戦争を戦った6人の男達が、エカテリンブルグの街に集まり、敵、味方に分かれ殺し合う。それに、ロシアの内務省組織犯罪局の警察官や、日本から派遣された捜査官が絡んでいくが、これが普通の警官ではない。帯によれば、死者累計800人! 凄まじい抗争。殺人というよりはほとんど戦争である。生き残るのはいったい誰なのか。
『緋色の時代』には、共産党の赤旗、真っ赤に染まる内部粛清、コサックの自由などの意味があった。主人公たちは意味は違っても、とにかく緋色の時代を生きてきたのだ。
登場人物たちはすべて犯罪者であるが、どこか皆憎めない。ロシアではそれが普通の生き方だからなのか。ロシアの大地の原則『一切か、無か』にしたがって生きる無私の男たちだからなのか。それにしてもこの物語で言いたかったことは何なのか。緋色の時代の日本への波及への警告か。
編集を急いだのか、誤植が目立つ。
P.46/行ったのは→行った
P.158/ドニエステル→バンジシール
P.181/エニセイ→ドニエステル?
P.396/他人眼→他人の眼
緋色の時代 上
2001/12/31 15:21
ソ連崩壊後のロシアにおけるアフガンツィたちの闘い
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ソ連からアフガン戦争に派遣され、帰還した者たちをアフガンツィと呼ぶ。そのアフガンツィ達はその過酷な経験と能力を生かし、ソ連崩壊後、ほとんどが犯罪組織に身を投じるようになる。KGBやGRU出身者も例外ではない。それは、男たちの性格だけでなく、そうでもしなければ、まともな暮らしをしていけない、というロシアの事情もある。この凄まじいまでの腐敗社会は、ほとんど事実なのだろう。ソ連崩壊とアフガン戦争の傷跡が修復され、まともな社会がいつロシアに戻って来るのか。
冒頭の60ページは、1986年のアフガニスタンが舞台であり、ソ連から派遣された男たちのアフガンでの戦いを描く。ここで戦った男たちが、2000年ロシアのエカテリンブルクで敵、味方に分かれ新たな戦いを行う。
表題の『緋色の時代』は、アフガニスタンの芥子を意味する。アフガーニ(アフガニスタンでソ連と戦ったアラブ人)は、それにより、資金を調達し、アメリカに爆弾を仕掛け、アフガンツィはロシアを食い散らかす。それにしても、アフガニスタン製の阿片のシェアが世界の75%を占めるとはすごい。
ロシアにおいて、共産党が落ち目になったもののまだかなりの活動をしている、とは初めて知る。まだ完全に崩壊しきっていないのか。東ドイツなどはどうなのだろうか。
99年から船戸が週刊誌に連載してきた物語だが、あらためて、時代の先端に立つ船戸の先見性に驚く。物語の中には、『おれたちアフガーニは、その必然に則り、唯一神アッラーのために行動を起こす。一、二年後には世界を震撼させるようなでっかいことをやってみせる』との発言もある。これはさすがに後から書き加えたか。
雨は激しく
2001/12/23 23:05
広告業界ハードボイルドとは
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小さな広告会社が受けおったイベント直前に,担当の部長水谷が失踪.そして,引き継いだ社員進藤がなんとか代りにイベントを実行しようとするが,イベント当日に事件が起きる.部長の失踪に関係があると見て,部長の行方を追っていく.
広告業界に関しての迫真の描写が鋭い.イベントそのものも含めて,まさに虚の世界.そして,実行者たちはそれが分かっている.それでもやらずにはいられないのだ.ハードボイルドたる所以.
しかしながら,イベント前日から準備を始めて,当日朝にモノを持ち込むなど,私の経験ではありえない.絶対にリハーサル日を一日は開けるはず.もっともそれでは物語がなりたたなくなる面があるのだが…
いっしょにチームを作ってやっていく進藤とアシスタントの京子,パソコンマニアの森下のやりとりはまずまず.婚約者玲子の存在が悲しい.
鬼子
2001/11/11 22:50
息子が悪魔に豹変したとき,親はどう対応するのか
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売れない恋愛小説ばかり書いている45歳の作家が主人公。妻、息子、娘がいる。ところが、同居していた主人公の母親の死とほぼ同時に息子の態度がおかしくなる。どんどんエスカレートし、家庭は目茶苦茶になっていく。主人公のあまりの弱さが歯がゆいが、描写のうまさを褒めるべきかもしれない。そして、あまりのひどさに、ついに主人公もある決意をする。このあたりの展開はちょっとゆっくり気味だが、ぐいぐいと読ませていく。
なぜ、息子が豹変して行ったのか、はずっと明らかにならないのだが、その原因にはがっかりさせられる。これもまたか、というところ。納得はできるものの、あまりに安易というか、逆に理由はそのくらいしか元々あり得ないのか。それにしてもいただけない。
編集者や、作家の世界の記述はおもしろい。二重進行のように、物語が本の内容として語られていく部分もある。主人公が新海夏樹という作家をこきおろすあたりは著者の遊びだろうが、少しは引け目があるのか。
なお、息子の娘に対する態度、主人公の手書きへの拘りなど、少し納得できない部分がある。
初段合格の死活150題
2002/03/17 18:00
初段レベルの死活問題集150問
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日本棋院の文庫版問題集で,手筋,定石,死活の三冊が同時に刊行された.一問1ページで,150問.持ち歩いて一日に少しずつ解いていくのにちょうどいい.レベルも約一級の私にピタリ.ということで,三冊同時に購入.『手筋』『定石』とそれぞれ約1か月で終了.最後に『死活』である.これも約一カ月かけて終了.
章には分かれていないが,優しい問題から難しい問題へとは並んでおり,『何分で何級(初段)』というレベル表示がある.第1問,1分で5級から始まり,第150問が10分で初段である.また,初めから58問が級レベル問題,残り92問が初段レベル問題である.
死活の場合,その問題固有の考え方を説明してしまうと,ヒントになりすぎることもあるのか,死活を考える順序として,以下を繰り返し説明している.これはあまり役に立つとは思えない.
(1)スペースを広げる
(2)眼形の急所に打つ
(3)相手の欠陥を突く
その他の問題の説明もあまり有効なものは少ない.もう少し意味のあるもの,たとえば,その死活の場面までの手順などにならなかったのだろうか.
なお,全体としての初段の目安は明記されていない.このあたりも不満.
結果は,以下のとおり.やはり,初段にはまだまだ遠い.手筋よりもさらに遠いようだ.もう一度やって,いったいどこまで行けるか.
問題数 正解数 正解率
級レベル 58問 45問正解 69%
段レベル 92問 35問正解 38%
全体 150問 80問正解 53%
