まるさんのレビュー一覧
投稿者:まる
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紙の本羽の音
2002/09/28 02:59
女子中高生必読!冬の透明感にどっぷりひたろう!
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1999年12月、推薦で大学進学が決まっている菜生は、自殺未遂を理由に入院しているふたつ年上のミキオのお見舞いに行ったり、結婚を控えて突然出社拒否になった姉につられたりして、ずるずる学校をさぼっている。
この本は高校生くらいのときに読みたかった。
例えば冬の寒い日に女子高生がはく白い息みたいに、この小説に出てくる人たちは体温を感じさせない。『羽の音』の世界の透明感は一つのイメージとして私をひきつける。しかしこの透明感は年を取ることで損なわれて行くもののように思われる。高校生の私ならあるいはこの透明感を共有できたかもしれないと思うのだ。
何かが大きく動き出して、ぼんやりとしている菜生を置いていこうとしている。好む 好まざるにかかわらず、高校生は、菜生はたくさんのことに気付かなければならないし、自分の足で自転車をこがなければならない。骨の軋む音を聞きながら、フニクリフニクラを呪文のように唱え、じっとその痛みに耐えなければならないのだ。
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