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投稿者:ikoba

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紙の本奴草 吉岡実句集

2003/04/23 11:42

究極の吉岡実本

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吉岡実生誕84周年の2003年4月15日、かねて予告されていた吉岡実の句集《奴草》が刊行された。詩集《赤鴉》(十三回忌の配り本)所収の〈奴草〉全篇(ただし「泥道やふりにし町のむら燕」1句が削除され、「夜濯ぐ……」が「衣濯ぐ……」と改められた)に〈拾遺〉として22句が加えられた、文字どおりの「全句作」である。
造本面で気づいた点を記す。まず書名・著者名を「吉岡実/句集/奴草」と3行にしているのが目を引く(本扉は函の箔押し文字を縮小したものか)。次に、帯の句が色紙に白で刷ってあるようで不思議だ。帯紙を外してみると、裏は白。OKミューズコットンと見えたのは印刷によるものだった。しかも2色(以上)で刷ってある。表紙の鳥のカットと見返しの紫色は《赤鴉》からの援用である。亜令の装丁は、細部まで見事だ。
ここで吉岡の俳句の発表歴を振りかえると、生前はついに自身の手で一本にまとめられることがなかった。歿後の1993年、活字化されたまま埋れていた俳句が、宗田安正さんの解題とともに〈吉岡実句集〉として《雷帝》誌に掲載された。2002年、《赤鴉》の〈奴草〉124句が出現して、吉岡句の全貌が見えてきた。今回の句集の刊行によって、《吉岡実全詩集》(歌集《魚藍》も収録)と併せて、吉岡実の詩歌句の作品世界がようやく顕かになったのである。
句集《奴草》は、おそらく吉岡実最後の単行本になるのではないか。《アンソロジー》からビートルズの音楽に入ってはまずいように(by中山康樹氏)、本書は吉岡実の詩を読み漁った挙句に読むのがふさわしい、究極の吉岡実本である。

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