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もりそばさんのレビュー一覧

投稿者:もりそば

41 件中 16 件~ 30 件を表示

「ライアーゲーム」作者のスポーツ漫画。盤外戦術があふれるド汚い頭脳戦

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 低迷を続ける弱小球団リカオンズ。その中心打者・児島は、沖縄で自主トレ中、賭け野球で勝ち続ける奇妙な青年・渡久地に出会う。
 辛くも勝利した児島であったが、勝負師である渡久地に「リカオンズに持っていないもの」を見出し、プロ野球へと誘うのであった。
 
 「ライアーゲーム」があまりに面白かったので、同じ著者のこの本も手に取ってみました。
 期待に違わず、すばらしい。
 渡久地は投手としてリカオンズに入団しますが、契約にあたり、オーナーと「1アウトとれば500万もらう。しかし1点取られれば球団に5000万支払う」などの条項を盛り込んだ「1ナウツ契約」を結びます。これは防御率が2.7でも赤字になるという厳しいルール。
 
 オーナーは試合の勝ち負けはどうでもよく、渡久地に点を取らせて金を巻き上げようとする鬼畜。主人公最大の敵は、敵チームではなく自軍のオーナーという異様な設定です。
 オーナーはあらゆる手段で渡久地をつぶしにかかります。
 連投なんかまだいいほうで、とにかく「なんでも」やってくるので、これは一度見ていただきたい。あまりの汚さに清々しさすら覚えます。
 しかし渡久地はそれを上回る奇策で立ち向かう。しかもそれは投球術だけではない。「野球のルール」を最大限生かした戦法です。「ピッチャープレートを一度も踏まないで投げると、ボールになる」なんてルールを、渡久地は活用するのです。
 
 契約のちょっとした条項や、野球のルールブックの片隅に載っているような文章を戦略の重要な鍵とし、オーナーと渡久地は火花を散らす。敵の戦略を踏まえ、それを逆手にとって、戦う。スポーツマンシップなどどこにもない、騙し合いです。
 絶体絶命の状況から、主人公が思いもよらぬ方法で勝つ……野球漫画でありながら、頭脳戦漫画「ライアーゲーム」を読んだときと同じ読後感を堪能することができました。傑作であります。
 
 
 しかし……物語途中からワンナウツ契約が渡久地だけではなく、チームメイト3人と連帯責任になる、というルールに変わるのですが、そのあたりから戦略の緻密さが失われてしまい、大味になってしまいます。トラウマの克服や、ちょっとしたアドバイスなどが戦略の決め手となってしまい、物足りなく感じました。
 そこが唯一、残念なところです。

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長い間かけて仲良くなっていきたい本

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 週に数回、四キロ走るだけの、にわかランナーだった私がどうせなら正しく努力しようと思って買った本がコレ。
 内容を読んでみると「普通の人間が二年でマラソンを三時間以内で完走できる本」である。
 マジで!? と思いつつ、初心者用の箇所を読むと、書いてあるのは、とても基本的なこと。
 しっかり年間計画を立ててトレーニングせよ、ゆっくり、長く走ることを心がけよ、少しずつ長い距離にしていくこと・・・。
 やはりランニングに近道などないのだなあ、と、今はじっくり初心者用の練習をしています。
 この本を読んだことによる一番の収穫は、ビジョンを大きく持てるようになったこと。
 自分で勝手気ままに走っていたときとは、いつかフルマラソンを完走しようとも思ってもいませんでした。でも、この本に書いてある通り地道に練習すれば、いつかできるようになるのだ・・・そう考えると、普段のランニングにも張りが出てきます。

 とりあえずの目標は一年先のハーフ・マラソン。レース三ヶ月前の追い込みトレーニングの方法も書いてあるので、それをするのが今から楽しみです。
 ランナーのクラスごとにも、課題や、練習方法が書かれています。

 現在のところ、私が、この本の中で活用しているのは初心者向けのページだけですが、全てのページを活用できるようになったとき、この本は私にとってかけがえのないものになっていると思います。その期待値をこめて、今は星四つです。

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被差別者だからこそ得た視座が、世界を変える物語

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「戦記」という名前に惹かれて読み始めると、主人公が仮面をつけて幽閉されており、それを忠義心の強い部下が助けにくるという展開。
(なんかどっかで見たパターンだな、大丈夫かな)
 と思って読み進めていくうちに、予想以上に面白くなってきて、気づけば四日で全七巻を読了してました。まぎれもない傑作だと思います。

 主人公ユリアスは呪われた星のもとに生まれた王子で、仲間以外ほとんどの人間から差別されます。
 しかしそういう生い立ちだからこそ、身分制度に疑問を抱き、被差別民族「騎遊民」の苦しみを知り、彼らを盟友とし、差別をなくすために戦う。弱みが強みに変化し、世界を変えていく力になる。
 ユリアスは有能ですけど、かなりミスも犯します。自分が見たい現実しか見ないときがある。そのためしっぺ返しを喰らい、傷つきながらも成長していく。

 あと主人公軍の人間たちが、感情に流されてミスしたり、「騎遊民」を差別したりと完璧じゃないんですよ。
 聖人君子はひとりもいない。そのあたりが生臭くていい。差別を乗り越えて強い絆が生まれ、読むこちらの心をアツくしてくれるわけです。

 戦略や会戦もきちんと描かれていて、戦記もの好きな私は十分満足できました。
 

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紙の本ビン~孫子異伝~ 3

2009/08/08 23:07

足を失った異色の軍師が主人公。先が楽しみ

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この巻まで一気に読破。いやー……これは面白いですな。
 
 主人公「孫ビン」は「孫子」の著者である孫武の子孫。
 
 史実では、友人であったホウケンの罠にかかり、膝から下を落とされ車椅子生活となる。しかし、その軍略を斉王に認められて軍師となり、「馬陵の戦い」でホウケンの指揮する魏軍を完璧に打ち破った……という男。
 
 これほど異色の軍師は、世界中の歴史を探してもそうはいないでしょう。それを漫画にしたんだから、もうたまらない。
 史実の孫ビンには、歴史上のエピソードがあまりありません。ゆえに作者は漫画化にあたり、オリジナルの戦いを挿入して厚みを加えています。
 主人公にほとんど戦闘能力がないため、ほとんどが知略を使った戦いです。兵法好きの人は、十分に楽しめると思います。多少「そんなにうまくいくか?」と思うところもありますが……。
 あと、ヒロインのシンフェン(他にも孫ビンのことを好きな女性はいるが、あえてヒロインと呼ぶ)が悲惨すぎて、どうにか孫ビンのもとで幸福になってもらいたいものです。こんなに暗い過去を持つヒロイン、初めてだ。
 
 主人公の孫ビンはいい人すぎる感じもしましたが、3巻の後半で無能な将軍を死に追い込む黒さもあってグッドだと思いました。
 単なる善人キャラでなく、彼の職業ゆえに持つ暗さが出てきて、人物の深みが増してきました。
 
 次の巻からは、篭城戦が始まるみたいです。篭城戦の名作「墨攻」にも負けない描写を期待したいと思います。先が楽しみな漫画です。

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紙の本鋼鉄の白兎騎士団 1

2007/10/03 00:07

単なる萌えではない。戦記小説として期待の出だし

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 知勇兼備の美女ばかりで構成される「鋼の白兎騎士団」。
 小さな貴族に生まれた少女ガブリエラは、入学試験に向けて心身を鍛える日々。しかし試験会場に行ってみれば、出されるのは難問奇問。しかも受験者たちも曲者ぞろいで・・・。



 「美女ぞろいの騎士団」って時点でかなり狙ってる感があります。挿絵も結構エロいですし。隊員の格好はミニスカだったり谷間が見えたり、そんなので戦ってたら、敵兵の士気はめちゃくちゃ高まると思います。
 1章から女性二人が裸同然で剣の稽古をしてたりして、読む人をかなり選びます。私は選ばれました。

 しかしこの小説を単なる萌えだけにとどまらせないのは、試験のシーン。
 特に第二試験の「宝探し」がよかった。
 「森の中に隠した宝を見つけ、試験官に渡す」という単純なものですが、一人が何個宝を持ってもよかったり、試験官のいる場所がわからなかったりと、いくつかの「ルール」が存在します。
 そのため、受験者達がそれを活用するための戦略を考えて、ぶつけ合う、という展開になり、意外性が生まれてかなり楽しめました。
 「賭博黙示録カイジ」の「限定ジャンケン」を読んでるときの感覚と似てます。
 
 主人公のガブリエラは、試験官すら気付かないルールの盲点を見抜いたり、大局的に戦況を見て布石を打ったりと知将の素質十分。
 今後の活躍に期待です。というわけで今日既刊の三冊注文しました。

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紙の本朝鮮戦争 1

2010/06/09 23:41

戦争をもって戦争を語らしめる

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 1950年6月25日、北朝鮮軍は「暴風(ポップン)」の暗号電とともに38度線を突破した。
 奇襲を受けた韓国軍は、練度も装備も北朝鮮軍に劣る。防衛線は各地で崩壊し、首都ソウルも陥落。
 トルーマンが米軍を投入するも、北朝鮮軍の進撃はすさまじく米・韓軍は釜山まで追いつめられる・・・・・・。

 朝鮮戦争の勃発から休戦までを描いた作品。
 この一巻目は戦線が非常に激しく動き、そのぶん劇的です。
 人々を置いて真っ先に逃げる大統領や議員、橋を落とされ敵地に取り残されたソウル市民。
 米軍とすら互角に戦う北朝鮮軍。戦局を逆転させる仁川上陸作戦を決行したマッカーサー・・・・・・。
 
 米・韓陣営と北朝鮮陣営がそれぞれ大きな錯誤を犯していたのも興味深いところ。
 たとえば米軍は、中国軍の参戦は無いだろうと思っていた。しかし毛沢東は大部隊を送りこみ、遊撃戦によって戦線を押し戻した。
 北朝鮮軍の場合は38度以南に攻め込んでも共産党員の蜂起が起こらず、戦闘の終結地点が見えなくなってしまったこと。
 
 この本はどちらの陣営の肩も持たず、善悪を語らず、「戦争によって戦争を語らしめる」ことに徹していると思います。

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吹奏楽漫画の傑作。打ち切りが無念極まりない

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 主人公は「ゆるい校風だから」という理由で高校を選ぶほどの無気力な少年。
 しかし、ふとしたことから休部状態だった吹奏楽部の部長となり(未経験で)、少しずつ吹奏楽の楽しさに目覚めていく。
 
 主人公の平音はとにかくフツーの人物で、楽器を持ったら天才だったとかいうことはありません。
 でも彼は「自分が下手だ」ということを素直に認めて、演奏以外のこと……メンバー集めや部の相続に力を尽くします。
 それと平行して、地味な練習を繰り返し、少しずつうまくなっていく……そして、仲間たちと演奏する楽しさを覚えていきます。だんだん、彼は吹奏楽に魅せられていくのです。
 その過程に説得力があり、ディテールも凝っていて作者の努力を感じました。
 
 ただ非常に残念なことに、連載が終わってしまったみたいです。まだ始まったばかりだというのにっ……!
 
 平音がこれからどのように成長していくのか、ヒロインとの恋のゆくえ、
 それに、名門校との圧倒的な差をどのように埋めていくのか……そもそも、どんな演奏を目指すのか。
 あとあまりにも可愛いメガネ先輩のその後を見せろ!
 
 これほどの作品が、短命で終わってしまったのは返す返すも無念。ジャンプ本誌でつまらない新連載するくらいなら、これをやりゃアいいのになあ……。

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こんな傑作が打ち切りとは……!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 無念ながら打ち切られてしまった傑作。
 
 なぜだ……この巻もいい展開ですよ。主人公たちの部は一生懸命練習やったけど、強豪高はそれを「あたりまえ」にやっていて、しかもそれをずっと続けてきたから致命的なまでに差がある。主人公は天才じゃないし、努力を続けてうまくなっていくしかない。
 主人公の部は、どう見ても、強豪高に勝てる気がしないんです。
 それでも、部活を一生懸命にやったことで、得るものがある……こういう表現は陳腐ですが、この漫画をよめば、その「得るもの」がどれだけ素晴らしいものか、丁寧に描写されている。そういう細部が、傑作たるゆえんだと思うんです。
 
 主人公たちはどういう演奏を目指すのかとか、登場人物の関係の変わり方をもっと見たい……魅力的なキャラクターが多いだけに、終わってしまうのはあまりに残念。ステージを変えて、続けてほしいものです。

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もっと続けてくれ!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 シリーズ最終巻。ということでメインヒロインでありながら、どうも影が薄かったユーナが大活躍します。
 つっても11巻までのユーナとは別の世界のユーナなんですけど。

 色々事情があって、椿やホタルなどの他のヒロインがマモルのことを忘れてしまいます。でも当のマモルは「まあ、ユーナが無事ならいいか」てな感じで受け入れてしまう……それでいいのか! お前! あんだけ皆にアプローチかけられてたのに結局ユーナなのか! と相変わらず性欲皆無のマモルにやきもきします。

 でも最終巻らしくマモルの「ユーナを守る」という掟に正面から向き合ったのは見事。
 掟がなくなって、忍者の力を失って、当のユーナにストーカー扱いされても、彼女を守ろうとするマモルに胸が熱くなります。

 結末は……意見が分かれるところでしょうね。作者が「こんな感じのが好きだ」とあとがきで書いているので、仕方ないかなとは思いますけど。

 個人的には「守るユーナと結ばれてはならない」という掟を打ち破るような熱い展開を見せてほしかったです。

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紙の本東京皇帝☆北条恋歌 1

2009/04/25 14:49

コメディの切れはさすが

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 現実とはちょっと違う世界にある「東京帝国」。普通の少年・西園寺一斗が通う高校に、帝国宰相(美少女)が転校してきた。彼女は一斗の許婚なのである。
 宰相を追って、皇帝や帝国軍司令長官(二人とも美少女)も編入してきた。


 この著者の作品にしては、主人公がえらい大人しいです。巻き込まれ型という感じで、慣れない学園生活でボケまくる皇帝たちに終始ツッコんでいます。
 「ひまわり」や「秋桜」みたいな主人公のボケを期待していた人は肩透かしを食うかも知れません。
 ただやはりコメディとしての出来は流石。スベり知らずといっていいでしょう。欲を言えばもっとギャグの数を増やしてほしいですが。
 
 過去の超兵器とか、色々シリアスな設定が、ほの見えるのですが、触れるのは最小限にとどめてコメディパートを優先させてるのも好感がもてます。
 竹井10日さんはシリアスモードに入るとグッと面白さが減ると思ってますので。

 気になるのはヒロインが決まっていること。宰相がすでに許婚です。
 彼女よりも帝国軍司令官や、主人公を異常に慕う妹の方が魅力的だと感じたんですけどね。
 何より望むのは、

 完結させてくれ

 ということです。前作「ポケロリ」が二巻までしか出てないのに新シリーズですからね。
 あと出たばかりなのに、やたらと手に入りづらいです(なんで?)ビーケーワンでもアマゾンでも、一時期買えなかったですから。

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ひきこもりだって、魔人と戦える

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 主人公ヒデオは、目つきの悪さから就職もできず、外出といえば週一でコンビニに行くだけのひきこもり。
 たまたま拾ったパソコンから飛び出してきた電子の精霊ウィル子にけしかけられ、優勝者は世界を手に入れるというバトルロイヤル「聖魔杯」に参加する。



 この作品のおもしろさは、参加者3024人中最弱のヒデオが、勝っていくプロセスにあります。

 ひきこもりのヒデオに対し、他の参加者は軍人、魔人、正義の味方など圧倒的な力の持ち主ばかり。
 普通なら絶対勝てませんが、ヒデオは知略を使って緒戦に勝利をおさめます。
 この大会は、基本的に卓越した者しか参加しません。
 だからこそ、他の参加者はヒデオに対し「何か凄い能力で勝ったんじゃないか」という疑念を抱く。まさかひきこもりだとは思わない。ヒデオが就職できない原因だった「目つきの悪さ」だって「修羅場をくぐって来た目」に見えてくる。
 結果、深読みしすぎて力を発揮できない。

 そのような「無形の力」や、作中で何気なく出てきたアイテムを使い、ヒデオは勝ち進んでいくわけです。単なる殴り合いのバトルより、よっぽどスリリングで面白い。

 もちろん電子の精霊ウィル子なども手助けしますが、戦いの主役はあくまでヒデオ。
 彼が、大会に参加した昂揚感や、仲間との出会いによって、少しずつ自分を変えようと努力するところも、微笑ましくて素敵です。

 いや、先が楽しみです。

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ゲームで真相を知ってから読んでも、十分に面白いが……内容以外のところが不満

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 以前読んだ本で「再読に耐えうる本こそ、自分だけの”古典”となりうるのだ」という文章を読んだことがあるが、「ひぐらし」こそ、まさにそれだろう。

 ゲームとほとんど文章が変わらないにもかかわらず、十分に面白いのである。伏線をたどっているうちにいつのまにか夢中になり、読み通してしまった。
 オチを知っている人は、その視座から登場人物の行動を観察するだけで十分に楽しめるだろう。それだけの力強さを持った文章だ。


 だがしかし、大きく不満に思うのは講談社BOXの仕様だ。

 大きい上に(DVDケースくらい)、辞典みたいに紙のケースに納められている。
 読み返すたびに一々出さければならないのが面倒くさく、付箋もロクに付けることができない。
 私がゲームを持っているのに小説版を買ったのは、ゲームにはないレスポンス能力に期待したからだ。
 本は、いちいちパソコンを立ち上げたりすることなく、付箋さえ貼っておけばすぐに望みのシーンを読むことができる。
 この仕様では、その長所が大きく殺がれる。胸ポケットに突っ込んでおくこともできない。

 しかも「鬼隠し編」上下巻揃えるだけで2000円以上かかる。ゲームより遥かに高い(「問題編」を集めたゲームディスクには「鬼隠し編」だけでなく「綿流し編」、「祟殺し編」、「暇潰し編」が収められているが、1575円)というのに理不尽さを覚えるのは私だけか? 講談社BOXの高さは、毎月刊行でページ数が少ないにもかかわらず1200円くらいした「刀語」の時も思ったことだが……。


 内容以外のところで色々思うところではあるけれど、「ひぐらし」が傑作であるのは間違いない。 ただ、やはり小説より、ゲームから「ひぐらし」世界に入っていただきたい。演出も音楽も、「ひぐらし」世界の構成に大きな役割を果たしているからだ。(この小説買ってゲームやってない人もあまりいないだろうけど)

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紙の本ビン~孫子異伝~ 4

2009/10/25 22:04

絶望的迎撃戦開始

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 遊牧民の大軍団に、斉は初戦で主力10万を失った。
 孫ビンは迎撃のために兵を召集し、首都を出て戦う。兵力差は三十倍以上。どう戦うのか。
 
 戦記ものの定番、迎撃戦です。孫ビンは、大河にかかった橋(人工物ではなく、自然にできたもの)に布陣して戦います。圧倒的な兵力差や、自陣にもぐりこんだスパイなど問題点は山積みで、これをどう克服してゆくかが見所。
 
 わくわくして読み始めましたが、今のところちょっと物足りない印象。どうも小細工という感じがして、「そこまでうまくいくかな……」という感じがぬぐえない。
 あと最近、本誌で作戦の決め手として、「この時代には絶対にない道具」が出てきました。アレはさすがに反則だと思います。手持ちのカードで勝負して、それでアッといわせてほしい。
 
 それに最近やたらと孫ビンが「さすがだ……」「なんと優しい人なのだ……」みたいな感じで賞賛されるのが、少し鼻についてきました。この巻では感謝のあまり涙を流す人も多数です。まあ状況を考えれば無理もないのでしょうけど、あまりにこれをやられると興ざめしてしまいます。
 
 なんかダウナーな感想になりましたが、期待はすごくしています。
 斉にスパイとして入り込んでいるシンフェンの立ち位置はすごく面白い。
 それに斉軍の主力軍は全滅し、会戦を行う兵力はない。敵の撤退を狙おうにも、略奪により兵站は万全なのでそれも難しい。
 孫ビンが、どんな鮮やかな軍略で、この大問題を克服するのかを楽しみにしています。 

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紙の本もっと!陰からマモル! 1

2009/08/20 01:02

良くも悪くも、いつも通り。今シリーズは掟を打ち破るマモルが見たい

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 喜ばしいことに(私にとって)影からマモルが新シリーズで復活しました。
 
 おおっ、と思い早速購入。まあ、毎度のゆるい話が続いてあんまり印象に残らないのですが……よくも悪くも「いつも通り」といったところでしょう。
 
 せっかく再開したのだから、キャラクターたちの距離感に変化をもたせた展開も見たいところ。前のシリーズなんて、ヒロインたちがマモルを好きになるのは速攻でしたが、当のマモルがまったく気付かないまま終わりましたからねえ……。
 ヒロインの一人が勇気を出して告白したのに、マモルが忍術で記憶を消して、なかったことにしたという恐ろしい展開もありましたし。
 
 ユーナを守る、というマモルの任務にも一区切り欲しいです。「護衛の対象であるユーナと結ばれてはならない」という掟を、マモルはどう破るのか(今のところ本人にやる気はまったくないですが)。伏線らしきものが出てきたので、そういう展開も期待したいと思います。
 
 

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紙の本東京皇帝☆北条恋歌 2

2009/07/25 22:21

相変わらず笑えるけど、期待値からすると物足りない

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ギャグの切れは相変わらず素晴らしいです。妹は程よく腐っているし、新メンバーのフミさんも完璧超人ながら楽しいキャラ。
 ただどうにも、その頻度が低い……戦闘シーンがありますが「デルタの聖騎士」とか、「マナスラスター」とか、よくわからない言葉ばかりで退屈ですし、主人公が子供のころのあまりにどうでもいい事件を何頁もかけて追ってるのを読むと、、
「そんな過去のことはいいから、キャラの掛け合いを見せてくれよ……」
と思ってしまいます。
 しかも真相が、個人的にがっかりな内容。ゆかり子さんでいいだろ!
 

 冒頭のギャグパートで爆笑し、ツカミは抜群だったのですが、そこから失速していった印象。あんな散発的なギャグでは、私の作者に対する期待値からすると全然足りない。
 ……まあギャグでなくても、シリアス面で楽しませてくれればいいのですけど。そこもあまり……。
 
 このシリーズ、まだエンジンがかかってないように思います。

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