ありすさんのレビュー一覧
投稿者:ありす
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紙の本愛ふたたび 下
2007/06/21 11:03
やはりすばらしい!
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まだヤングアダルトという言葉さえ一般には知られていない頃、私は11歳でこのシリーズの第1作「愛の旅立ち」と出会った。それまで慣れ親しんだ子どもの文学とは全く異質の作品から受けた衝撃は大きかった。人格形成に影響を与えたと言っても過言ではない。この本を読んで子ども時代と決別したような気がする。圧倒的なリアリズム。生身の人間が描かれていた。以後三部作を何度も何度も読み返し、K.M.ペイトンと掛川恭子は私の中で不動の位置を占める名前となった。第3部「めぐりくる夏」の12年後に発表されたこの「愛ふたたび」は前3作を含めこのシリーズをより完全なものにしたと言えるだろう。随分久しぶりに1作目から読み通してみた。心躍る2日間だった。主人公クリスチナとともに泣き、笑い戦争で失われた命に思いを馳せ、郷愁に胸しめつけられ、未来に希望を見出せた。複数の登場人物たちに共感し人と人との出会いや別れ、愛の形に深く感動を覚えた。このシリーズの復刊を心から望んでいるが、どうだろう、
以前と同じ児童書という形では、この作品はおさまりきらないのではないだろうか。今のYA層には手にとってもらえないだろうし、さりとて見かけが児童書であれば一般の文学好きの大人の目にもとまらない。特に第4部は完全に大人のものだと思う。編集も装丁も一新して大人向け海外文学作品として出版されることを切に願う。忘れられてはならないこの名作を再びよみがえらせてほしい。
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