そらさんのレビュー一覧
投稿者:そら
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紙の本「いのちの授業」をもう一度 がんと向き合い、いのちを語り続けて
2007/06/28 07:15
子どもたちは大切なものを見つけた!
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子どもが、子どもとしての時間の半分を過ごす場なのに、学力中心ですべてが動いていく学校。
でも、山田先生=山ちゃんは、学力の問題をほとんど無視し、学校を「いのち」や「ささえあって生きること」を考える場に変えてしまいました。すると、「死ね」「ぶっ殺すぞ」などと騒いでた子どもたちが輝いてくるのです。
いやいや始めたハンセン病学習で、法律によって療養所に追い込まれた感染者が、実は地域の普通の人たちの差別に追い込まれていったことを知って、教科書を読もうともしなかった子どもが自分で辞書を引いて調べ始める。山ちゃんは、教室からハンセン病療養所に直接携帯電話をかけて、子どもとハンセン病回復者を結び、ついには自分たちの町に招待します。そして宿泊拒否事件が起きると、子どもたちは総理大臣に手紙を書き、知事や大学教授と並んでシンポジウムで自分たちの意見を発表するのです。「差別は自分たちの心の中にある」と。
末期がんの女性、足で書く書道家、地域のシンガーソングライター、元総理大臣などいろんな人を教室に招き、出会いを通して子どもたちは、人と社会について学ぶのですが、何よりも心がやさしくなっていく姿が感動的でした。
がんになった山ちゃん。でもくじけません。今度は自分のがん体験を生かして「いのちの授業」です。子どもたちの心が動き、大切なものを見つけます。子どもたちが、学び成長するのは、そんな授業を通してでした。
学力、点数を問題にする今の教育現場はおかしい、そして競争と押しつけをさらに強めようとする「教育再生会議」はもっとおかしいと言いたい人は多いと思うのですが、山ちゃんはそんな言葉は使わず、笑いと涙ですべてを語っているのです。
山ちゃんの「心のメッセージ」を1人でも多くの人に読んでもらいたいと思いました。
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