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hachiさんのレビュー一覧

投稿者:hachi

35 件中 1 件~ 15 件を表示

日本人で良かった!

32人中、31人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ブッダとキリストが東京で、ルームシェアして
休暇を楽しんでいるという、宗教に無頓着な日本でしか
読めないような漫画だ。

浪費癖がある上にカナヅチで、ジョニー・デップに
似てると言われて喜ぶキリスト。
小学生が天敵で、シルクスクリーンが趣味の
手塚信者なブッダ。

後光が差したり、奇跡を起こしたりもするけど、
そういえば彼らも元々人間だったんだなぁ、
と思わずにはいられなかった。

しかし、やっぱり神と仏ということもあってか
引くような下ネタや、暴力シーンはないので、
家族で読んで笑えると思う。
こんな漫画が読める日本に住んでいて良かった!

続きが本当に楽しみな作品だった。

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可愛い子供。

17人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

主人公の高校生がいとこのあっくんと、仲良く遊んだり
話をしたり、お菓子を食べたり・・・
とそんな日常生活がゆったり、淡々と描かれている。

あっくんは幼児で、両親が仕事で忙しいから
という理由で、主人公宅を度々訪れるようになる。


「コミックブレイドアヴァルス」のコミックスは、初めて買った。
アヴァルスコミックスは、BL要素のあるファンタジーや、
同人誌が好きな人に、人気のありそうな作家の作品が目立っていて、
あまり手に取る気になれないレーベルの一つだった。

そういった中でこの作品は、看板作品などに多く見られる
要素がほぼなくて、すんなり手にとることができた。


絵に関しては上手だと思う。
ただ、背景が白い部分が多くて、それがどうも気になってしまう。
絵柄は流行っている絵柄なのか、時々見る感じだが、
魅力は感じるので良いと思う。


しかし、一番気になったのは場面転換を含む、間の取り方
があまり上手いようには思えなかった。
見せ場のシーンの前などが、あまり効果的に見えない。
かと思えば、「そろそろ見せ場か・・・?」と思っていたら、
全く見せ場とは関係ないシーンを見せられ、妙なフェイントを
かけられた気分になることもあった。
淡々とした漫画は、間の取り方が命、というところも
あると思うので、現在ある程度、間の取り方が上手に
なっていれば、と思う。


また作者にはあまり関係のない話だとは思うが、
この作品は終わり方が絶妙なので、装丁ももう少し
考えたものにしてほしいと思った。
せめて次の話の前に、白紙を1枚入れるか、
白紙を入れることが出来ないのなら、扉を付ける
などして、1話終わったということを、分かるように
してほしかった。
終わったのに、気づかずいつの間にか急にシーン
が変わっていて、驚いたことが何度かあったので、
言わせていただいた。


とはいえ、見せ場のコマそのものは雰囲気があるし、
何よりも話の空気感が良い。
脇役達のちょっとしたお節介ぶりも、見ていて
ほんわかとした気分になれる。

そしてこの漫画の、メインキャラの一人である
あっくんが、文句無しに可愛らしい。
無愛想だったあっくんが、ふとしたきっかけから、
主人公の平介になついていく様子は、あまりの可愛らしさに
ついつい笑顔になってしまう。



評価は4にしようかとも迷ったが、今後さらに良く
なることを期待して、今回は3にした。

「コミックブレイドアヴァルス」を敬遠している人にも、
是非読んで欲しいと思える作品だと思う。

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惜しいなあ・・・

16人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

申し訳ない話をすると、今まで「ヘタリア」には興味がなかった。
それよりも、Webで面白かったからと言って、
何でもかんでも本にするのは、そろそろ控えた方が・・・
とまで思っていた。
が、何の縁なのか、友人から先日「ヘタリア」を借りてしまった。


正直に漫画の感想を言うと、面白かった。
予想していたものと全くちがったのだ。
もっと自己満足で、内輪や作者自身を気に入った人しか、
分からないネタが散りばめられ、そこから外れた人が
読むと「え?」となるような内容ばかりだと思っていた。

絵もなかなか上手だと思う。
また、擬人化された国々は、ただ想像で描かれた
ものではなく、しっかり調べた上で描かれているようで、
その点にも、好感が持てた。
思いっきり笑える、という漫画ではなかったが、
「なるほど」と思えるものが多く、そういう意味で面白い作品だった。


ただ、いくつか気になる所があるのも事実だ。

まず漫画のほとんどが、サイトに掲載されていたもので、
落書きに色をつけたようなものである。
これは流石に、ペンを入れた方が良かったのではないだろうか。
「ヘタリア」ファンの中には
「落書きっぽいのが味」という人も、少なくないかもしれないが、
商業誌で出すとなると、これは気になる。
鉛筆線がぼけすぎてしまって、細かい字が読めない所もあった。

またキャラの説明が不十分で、どれがどの国なのか分かりづらい。
途中、何箇所かキャラ紹介があったが、あれでは足りないと思う。

また、作品の掲載の順番が、何を基準にしているのか分からず、
第二次大戦の話を読んだかと思ったら、次は「え?今度は何?」
と訳が分からなくなることが、少なくなかった。


他の方の書評にもあったが、このような多くの気になる点は、
編集段階でかなり改善できたはずだ。


しかし「ヘタリア」は数多くある、ネット本の中では珍しい
当たりの部類だと思う。(つまり、内容は悪くないということ

コミックスは今後も買う予定はないと思うが、
作者さんのサイトは、時々見ててみようと思う。



最後に余談になるが、漫画家になる方法というのは、基本的に
Webで漫画を公開する→いつのまにか出版社の編集の目に留まり→
コミックス化の誘いが来て、→コミックス刊行、めでたくデビュー!
ではないので、間違えないように。

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紙の本車輪の下 改版

2007/09/20 23:00

結局何が車輪の下敷きだったのか。

13人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ヘルマン・ヘッセの自伝的小説とも言われている「車輪の下」。
ハンスが神学校の試験を志すところから、不遇の最期
を遂げるまでが描かれている。

「車輪の下敷きになってはいけない。」という言葉が非常に印象的だ。
何気ない台詞のようにも思えるが、作品のタイトルにもなって
いるように、実は重要な言葉である。

ハンスは純粋で正直すぎる子供で、また天才だった。
ギーベンラート氏含め、周りの大人たちはハンスに勉強
することを進めた。ハンスは期待に応じようとせっせと勉強
するが、疲れていくばかり。大人たちは休む暇もくれない。
神学校に入れば、ハイルナーという親友ができるものの、
結局その友情も大人によって引き離されてしまう。
やがてハンスは疲れきり、世間についてゆけなくなってしまう。

一見すると不幸な少年の物語、で終わってしまいそうだが、
「普通の人にはわからない天才の生きる苦悩」というものが
所々垣間見られる。年齢の近い友達がほとんどいないハンス。
周りの人間と衝突し、神学校から脱走するハイルナー。
飛びぬけた才能というものは、なかなか理解できるものではない。
この二人の天才も本当ならば、自分を理解してくれる人を
欲していたに違いない。だから2人は親友になれたのだろう。
もし、あの世界にあの二人の少年しか存在しなかったら、
二人は引き裂かれることなく、親友でいられただろう。
天才と世間とは相反する言葉なのかもしれない。

この物語で一番の車輪の下敷きになったのは、ハンス自身
ではなく、むしろこの二人の友情なのではないだろうか。

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許される物語。

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

昔の少女漫画に興味を持ち、割とすぐに手に取った作品だった。
「風と木の詩」を読んだ直後で、よく比較されているこちらの
作品はどのような話なのだろう、と読んでみた。
はっきり言うと、それぞれ「愛」というものを視点を変えて捉えてあり、
比べるだけ野暮ということがよくわかった。

トーマという少年が陸橋から身を投げ自殺した。
トーマはユーリ(ユリスモール)という先輩を慕って自殺した。
ユーリはトーマの遺書に困惑し、さらにトーマそっくりの転校生、
エーリクにトーマの影を見ては、その都度感情を露にしてしまう。

難しい内容なので、何度も読まないと理解できない部分はあるが、
理解できた時には読んでいる自分も、なんだか許されたような
気分になってしまう。
最近は流し読みをしただけでも、割と理解できる漫画品が多いが
そういう作品が多い今だからこそ、読むべきだと思う。

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紙の本デミアン 改版

2007/12/12 23:46

永遠のテーマ

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

10歳の少年だったシンクレールが、デミアンという
少年に出会い、それがきっかけで今後の人生が自分自身
を見つめるとともに、少しづつ変わってゆく。

最初は気弱な少年が、いつしか飲食店で不良少年たちと
酒をあおるようになり、そのうち恋に目覚めその生活
を改め、その後は自分に助言をしてくれる新たな友人に
出会い、18になったころに再びデミアンに再会する。

シンクレールがデミアンと密接に接触するシーンは
出会った10歳くらいのころと、ほぼラストの方に
あたる18歳をすぎたころだけである。
しかし、シンクレールにはデミアンという人間が
言葉も姿もなくとも、いつもそこについている。
それは不良少年と一緒にいた頃もそうだし、新たな
友人に会ったときにも変わらない。
デミアンはそれだけ、シンクレールに影響を与えた人間だったのだ。

デミアンははじめに「カインとアベル」の話を持ち出し、
殺されたアベルよりも、カインの方が偉いのではないか、
という一つの説を教えてくれる。
しかしこれは単純なアベルへの批判ではなく、デミアン流
「自己とは何なのか」ということを示すための、一つの例のように思える。

その証拠にデミアンに会ってからのシンクレールは、
周囲の人間とあまりかかわりをもたず、一人自分自身に
ついて思い悩んでいるように見える。
特に絵を描くシーンからは、それが強くうかがえる。

「カインのしるしのあるもの」というのは、
「罪深き人」ということではなく、「自己に没頭しすぎて
周囲に順応しにくい人」ということのように思える。
確かに、シンクレールのように自分自身のことを考えすぎると、
周囲のことはそれで手一杯になってしまうように思える。
しかし、それは悪いことではなく、むしろ大切なことだと気づかせて
くれたのがデミアンだったのだ。
人間は実際自分自身でも、自分のことは良くて半分くらいしか
わからないだろう。「自己を見つめる」というのは一生かけて
考え続ける、永遠のテーマなのかもしれない。

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ロマンチックね。そうかもね。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


私は北国生まれの北国育ちなので、雪と言えば
吹雪、雪かき、圧雪アイスバーン・・・
などと、嬉しくない言葉が多く浮かんでくる。

雪の降らない地方の人が「雪ってロマンチックね」というのを
聞くたびに、「雪かきしてみろよ」などとよく思う。



この写真集を手に入れたのは、去年の夏だった。
ちょっとした事情があって買ったものだったが、
一ページ、一ページめくるごとに、表情の違う雪の結晶に
いつの間にか夢中になっていた。

写真そのものの出来もよく、細かいところまでよくわかる。
見れば見るほど、まるでガラス細工のようで、これが自然に
作り出されたものだとは思えない。
美しいの一言に尽きる。


また、雪の性質や、結晶の出来方などの解説も豊富だ。
セーターやマフラーの模様にあるような、五角形の雪の
結晶はない。雪のほとんどは綺麗な結晶ではない。
など、このような本格的な研究の内容も知ることができる。


夏に読めば涼しい気分に。
冬に暖房の効いた部屋で、うっとり酔いしれるのも良い。



こんな綺麗な結晶が振って積もっているのだ。
やはり雪はロマンチックなんだろうと思った。
(しかし、雪かきは是非していただきたい)



余談になるが、雪の結晶の出来方などを詳しく知りたい場合は
中谷宇吉郎氏の「雪」(岩波文庫)がお勧めである。
結晶の写真はいまひとつではあるが、雪の研究の部分は
非常に興味深い。

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紙の本アーモンド入りチョコレートのワルツ

2007/10/05 23:25

なんだか切ない。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「子供は眠る」、「彼女のアリア」、「アーモンド入り
チョコレートのワルツ」の3つの短編が収録された、短編集だ。
それぞれ主人公は中学生で、短く駆け足で過ぎて行きそうな
時間を、クラシックをモチーフにゆったり描かれている。

「子供は眠る」は主人公や従兄弟達が、親戚の別荘に
泊まりに行き、そこで夏休みを過ごす話だ。
毎日、勉強し、海に行き、買い物に行き、皆で料理をし、
そして寝る前には必ずクラシックの時間。
勉強はともかく、主人公を含めクラシックを聞かせている
章という少年以外は、この時間がとにかく苦手だ。
しかしラストまで読むと、このクラシックの時間を、
最後まで寝ずにいられた少年が、一人もいなかった
ことが本当に悔やまれてしまう。
最後の最後に主人公が最後まで聞いた時、
ゲームの隠しステージのように隠れた、章の優しさが
垣間見られるからだ。

他の少年は寝入っていて、それを知らないのが
読み手としても、なんとも歯がゆい。
反対に主人公だけでも、その一面を見ることができて
よかった、とも思ってしまう。



「彼女のアリア」、「アーモンド入りチョコレート」の
ワルツも「子供は眠る」とはストーリーは全く違うものの、
不思議な優しさに包まれた作品だ。
性描写などを無駄に入れたりせず、それぞれ短い作品ながらも
時々読み返したくなるような、気分にさせられる。

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長編が苦手な人にも。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

週刊少年サンデーで長期にわたって、連載されてきた
作品の一つである。
全43巻ということで、他の長期連載の漫画にもあるように
途中で飽きるのではないか、余計なわき道にそれているうちに
本題からずれたストーリーになるのではないだろうか、
と思っていたが、その心配は無用だった。


ストーリーは主人公の一人、勝が父から莫大な遺産を
相続させられたがために、叔父に命を狙われるところ
から始まる。しかし、これはほんの序章にすぎず、
この展開は一度閉幕し、そのあとは「からくり編」、
「サーカス編」と閉幕、開幕を繰り返し真相に
迫ってゆく。
オートマータと呼ばれる人形たち、それを壊すために
生きる「しろがね」と呼ばれる人間、サーカスを展開
しながら、この両者の確執はストーリーが進んで
行くと、以外にも200年ほど前にあった些細なことが
原因だったということがわかる。

ところどころ回想などが入り、時代を行ったり来たり
するように200年の時の流れが描かれているが、
どれ一つとして不必要な部分はなく、43巻の長編に
なったのも納得できる。
コミックスの最初の方に年表がついていたことがあるが、
細かく突っ込んでいけば、もっと細かい年表を
作ることも可能だろう。

ストーリーの展開が起承転結をなんども繰り返して、
最終的な結末に向かうように進んでいくので、
ほぼ飽きずに読むことができた。
たとえ飽きたとしても「一旦閉幕」の部分まで読んで
しまうと、次からは違ったストーリーが読めるので、
また楽しんで読むことができる。


メディアとのタイアップなどがほとんどないため、
知らない人は知らない、といった作品かもしれないが、
名作には違いないので、1度は読んでほしい。

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紙の本鉱石倶楽部

2007/11/19 15:24

なんだ、食べられないのか・・・

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

パラパラとこの本をめくった時に、鉱物の写真に
添えてある文章の「食べられる」、「美味しい」などの
言葉が気になって仕方がなかった。
ただでさえ鉱物の写真自体も飴や、氷砂糖のようで
美味しそうに見えるのに、そんなことを書かれてしまうと、
「もしかしたら食べられるのかも・・・」と子供でなくとも
うっかり信じ込んでしまう。
勿論実際は食べることはできない。
食べることができるのは、この小説のストーリーの中で
だけである。

一つ一つのストーリーが短く、また写真も大きいため
同じ厚さの他の文庫と比べると、かなりさっくり読めて
しまう。文体には好みが分かれそうだが、2ページ程度
の短い爽やかなストーリーと、綺麗な写真は長編を読んだ
あとの息抜きにぴったりだ。

また、巻末には鉱石を売っているお店などの紹介もあり、
本書で鉱石に興味を持った人には有難い。

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紙の本どんなときもきみを

2010/02/24 02:48

神様がいたころの記憶。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。



この本を何度か読み終えた時に、頭を過ぎった歌がある。

「小さい頃は神様がいて 不思議に夢をかなえてくれた」

アニメ映画のエンディングにも流れる、松任谷由美のあの歌だ。



この物語は子犬が主人公の物語である。

子犬は、大好きな女の子を守るためには何だってする。
小さな虫や動物を追い払ったりすることは勿論、
挙句の果てには「あれくるうなみだってしずめる」なんて
ことまでしてくれようとする。
その姿は頼もしくもあり、いじらしくもある。


子犬の女の子に対する愛情はとても大きい。
それは、この物語の世界が小さく、愛する対象が少ないからだろう。
子犬と女の子(その家族もいると思われるが)とその自宅が
中心の世界である。そんな世界にある家はとても大きい。
まさしく「おしろ」である。


しかし二人が成長していくにつれ世界は広がるのだ。
女の子は学校へ行けば友達ができるだろう。
その友達の家に遊びに行くこともあるだろう。
世界が広がるにつれ、おしろだった家は小さくなっていく。

子犬は女の子ほど身動きが取れないだろうし、
女の子自身も成長するにつれて、友達や恋人に
夢中になって、子犬と一緒にいる時間も減るに違いない。

小さい世界だからこそ、これほどまでに大きな愛で
守ってもらえるのだ。


本当はこの本は
「愛する人を守るためなら、自分を犠牲にだってできる。」
と解釈するのが正解なのかもしれない。
しかし、二人(特に女の子)の成長のことを考えると、
少し切ないような感慨を抱くような、そんな気持ちになった。


女の子が成長しても、神様(子犬)に見守られていた日々を
忘れないでほしい、そう思ってしまった。

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様々なテーマで自己主張しよう。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

久しぶりに英語を勉強しようと思った。
しかし、いかにもテキストらしい、というか
単純に解説文がだらだらと書かれたものは、読む気がしなかった。

あまり高額ではないものが良い、手紙を書けるようになりたい、と
本屋で数種類のテキストを見比べていた時に見つけたのが、
本書だった。


価格も手ごろ(学生には少々高いかもしれないが)で
一つ一つの例文が長くなく、読みやすい。

またキャラクターの設定があり、前半はデザイナーに復帰した主婦、
後半は女子大学生。この二人がそれぞれ、英文メールやブログに
取り組んでいる。


テーマも豊富で、花見やクリスマスなどの四季の行事、仕事、家庭、
学校、趣味など一般的で使いやすいものから、親としての悩み、皇室、
自動車免許、ラッシュアワーなど、日常的だが少し変わったもの
まである。

文章そのものも面白く、
友人から来た手紙を読むような感覚だった。
解説もわかりやすい。



ただ、一つ残念な点をあげるとすれば、キャラクターの設定である。
前半の主婦のブログの内容は、やや愚痴っぽい部分が目立ち、
後半の女子大生は、高学歴で留学経験有り、何故か文才有り、
やや自信過剰、休日は派手に遊んでいる様子。
気にならない人は気にならないだろうが、せっかく
内容が面白いのだから、読者が友達になりたいと思えるような
キャラクターの方が良かったのではないだろうか。

しかし、リアルさはある。
愚痴っぽい話、自慢げな話はすると嫌がられるが、
本書の書き方を上手く利用すれば、上手な自己主張になるだろう。



自己主張上手になって、楽しく手紙はブログを書いてみたくなった。

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紙の本さらば、わが愛 覇王別姫

2009/07/02 00:00

悲しい

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

何が悲しいかと聞かれると、総てが悲しいのだ。


母と別れて、辛い京劇の修行に耐える日々。
戦争による日本軍の侵略に怯え、
戦後は共産主義運動のいざこざに巻き込まれる。
実らない愛を貫こうとする、主人公(京劇では女役)。
その愛に気づかないもう一人の主人公。
そして、タイトルにもなっている「覇王別姫」。


「覇王別姫」は四面楚歌で有名な
項羽と虞姫の物語である。
四方から楚の歌が聞こえる中、虞姫は項羽のために
舞を一さし舞い、項羽の刀で自害し愛を貫く。
総て失った項羽も、後を追うように死を選ぶ。
悲劇、という言葉以外に何が言えるだろう。


この物語には勿論、希望も少なからずとある。
しかしその希望のほとんどは、いずれ打ち砕かれてしまう。
厳しい修行の中、相方になるもう一人の主人公を常に信じ、
京劇に命をかけて生きても、愛す彼は娼婦を妻にし、
共産主義の運動の中で、京劇の存在も民衆に身近だったものから、
贅沢な伝統芸能の保存のように姿を変えていく。


希望が費えたラストのシーンは、京劇の「覇王別姫」と
重ねて描かれている。演じている二人はもう若くない、
とわかっているにもかかわらず、美しい。


二人も「覇王別姫」の項羽と虞姫のように四面楚歌
なのだろう。それは愛を貫いたばかりに、我を貫いた
ばかりにそうなったに違いない。
ただ、この主人公二人が項羽と虞姫と違うのは、
死を選ばないというところだ。
二人はただ、過ぎ行く時代の渦に、ただ流されていくだけである。
その姿は本当に死を選ぶよりも、貫くものがなくなった以上
本質的な死に近いように感じる。


激動の中、民衆に親しまれてきた京劇の終わり、古き良き時代の終わり
そして二人の京劇俳優の終わり、様々な終わりの描かれた作品だと思う。

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紙の本いつかはきっと

2009/02/15 22:27

大人になっても・・・

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


この本は大人になってから、久しぶりに何か
新しい絵本を読みたい、と思い購入したものだった。

買った理由としては、絵本にしては比較的価格が安い、
ということと、小さい頃にアーノルド=ローベル氏の
絵が使われている絵本を、読んだことがあったから
ということだった。



1度目に読んだときは、文章があまりにも
簡単だったので「これは小さい頃に読んでおくべき
本であって、今読むにはあまりふさわしくなかったかな。」
と思ったが、それは誤解であった。

2度目読んだとき、小さい頃のことを思い出した。
おけいこごとで「あなたが一番すばらしい」と言われる。
欲しいと思っていたものが、突然届く。
いつもはいじわるなお兄ちゃんが、大人の女の人の
ように扱ってくれる。
お金持ちになって、みんなにプレゼントをあげる。


大なり小なり、統一性もないけれど、
小さい頃はいつも、そんな夢を見ていた。

この絵本には、そんな幸福で優しいものが詰まっていると感じた。



「いつかはきっと」は大人と子供、
それぞれ違った視点で楽しむことができる本である。

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紙の本小川未明童話集 改版

2007/11/05 16:31

大人も子供も

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書を手にするまで小川未明という作家は、
「名前は知っているけど作品は知らない」作家の一人だった。

表題作が「赤いろうそくと人魚」だったため、
少しダークな大人の童話を書く作家なのかと思っていたら、
良い意味で予想を裏切られた。

25編の短編が収録されているが、ジャンルは現代物、
ファンタジー、寓話的なものなどとバラエティに富んでいる。
しかし、そこには予想していたダークさはなく、
むしろ暖かさや輝かしさを感じるものがほとんどである。
バッドエンドのものでさえ、悲惨すぎるという結末には
なっておらず、そこには小川未明自身の優しさが伝わってくる。

どの作品も短いものばかりだか、読むたびに何かを
考えさせられる内容だ。
また文章も美しく、日本人でよかった! とさえ思ってしまった。

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