猫目太郎さんのレビュー一覧
投稿者:猫目太郎
紙の本日本会議の正体
2016/07/17 10:26
トンデモ団体の内情
19人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
この団体の懐古主義には目眩がする。愛国心と自国民族(日本民族という曖昧な主張)優越主義を振りかざす。天皇中心主義で、宗教と政治とに分離を否定し、国民の主権を否定する。近代民主主義は、伝統ある(この伝統も所詮は明治以降)日本には合わないと一括。憎き「戦後体制の崩壊」を掲げ、運動を行うこの団体も「現実への不満」が、暑苦し運動へと駆り立てるのか?読後、いち早くこの団体の消滅を願い、支離滅裂な主張と権力志向の強い「団体関係者」に取材し、本を仕上げた著者の苦労に敬意を払いたい。
2017/03/11 14:18
オシャレなヨガグッズは必要ない
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
著者のサイトで、これなら出来ると本を購入。わかりやすいイラストと初心者に「これなら出来そう」と思わせる安心感。実際やってみると(からだが硬いので苦労したが)思ってた以上にスッキリ。会社でも出来るのでいいですよ。
紙の本自分ひとりの部屋
2017/03/20 21:31
女性の自立と創作
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
イギリス女性達に「自立と文学」、そして「いかに創作するか」を講演した内容。肩苦しさは無く、読み易い文体で講演の聴衆である「若き女学生達」に語りかける。参政権を得たとは言え、まだ平等とは言えない当時の女性達に、創作を通して自立を促している。そしてそれには、充分な資産と「ひとりの部屋」を得る事が必要だと言う。80年以上たった現代でも、ウルフが語る年収を男女共得られて居ないし、若い女性達が、学ぶことを良しとしない国もある。彼女が将来に夢見ら希望も叶えられていない。それがいかに難しいか読後、嫌という程強く感じた。だが、世界中に優れた女性の作家が誕生し、作品を世に出している。諦めず、まだ期待したい。訳者あとがきえお読んで、この本が、当時でも多くの人に読まれていたことを嬉しく思う。
2016/11/25 10:50
読者も打ちのめすすごい書評
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
その圧倒的読書量、著者のロシア(主にチェチェン熱)の造詣の深さ。500ページと膨大な書評集だが、紹介本に対する真摯な感想と内容を保管する(と思われる)知識には感服。マーカーでラインを引く箇所が多数あり、電子書籍で良かったと思う。掲載された時期と、著者の闘病生活が重なり、巷に溢れた「ガン関連本」の治療内容を自身で検証する姿に涙が出た。読書後、米原女史と「すごい本」に打ちのめされた読者が多数出たと思われる。早逝が惜しまれてやまない人だ。
2017/02/16 12:34
そんな新化にも意味がある(と思うよ)
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
本書に紹介されている動物たちは、一生懸命に生きて、進化した動物。現代にも生き残ったのだから、その進化は素晴らしいものだろう。読後「そんな進化でよく残れたな」と思える残念な動物ばかり。運が良かったのか。いや違う。何かしら理由があるはずと人間は思う。「その進化の意味は」と動物たちに聴いたら、「別に」「なんとなく」と答えが返ってきそうだ(あくまでも妄想)。巻末のさくいんは必読。けして電車では読んじゃ駄目(ゼッタイ)
電子書籍絶望名人カフカの人生論
2016/05/04 21:14
弱さが安心
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
己の弱さ、絶望を力に変えて生きたカフカ。希望さへも「不安」に思い、結核に罹った事を「安心」に思える究極のネガティブ思考。そんな彼が残した、数々の言葉から読み取れる「心の不安」。その不安と身体的な虚弱が彼の創作意欲を左右し、常に情緒不安定な生活をさせたと思う。
当時の有名作家で、遺言に従わず彼の死後、遺稿の出版に努力した親友。その反対に、彼の遺言に従い、遺稿を燃やした恋人。両者共に批判されているが、それぞれカフカを思った行動だったと思う。彼はその想いを知っていただろうか。
2007/11/24 22:52
現代日本語解説書
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
会話の中で、なにか引っかかる日本語がある。気にしなければ、そのまま聞き流すが何故か、喉に引っかかった魚の骨の様に気になる。
若者だけではなく、いい大人も使っている日本語。知らずに私も使っている変な日本語。「その表現おかしいだろう」と。
著者は変な日本語を「おバカな日本語」と命名し、「私って、コーヒーの飲めない人じゃないでうか」や「じゃがいもの皮をきってあげてください」など例に挙げ、言葉が作られた社会背景や心理を解説している。
本書はただ単に、若者言葉を批判するではなく、かと言って大人語(こちらも変だ)を礼賛するわけでもない。「おバカ言葉」の解説本として楽しく、分かりやすい本です。
2017/04/26 18:15
前作に続く、読んでほしい本。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
大局的から語る戦争(おもに男達)は多い。だが、まだ青年と呼べない15歳以下の子供達が語る本は少ない。白ロシアと呼ばれたベラルーシで、ナチスドイツの虐殺から逃れることのできた子供達が、経験した戦争体験を著者に語る。当時、子供だった者の記憶が、大人達のように整理されず、読みてを苛立てせると思う。その整理されない、経験したものだけが語れる「リアリティ」だと感じる。本書に記載された事柄だけが「真実」だと思わない。無意識に消し去った「辛い記憶」や、どうしても語る事が出来ない事もある。著者はそこを汲み取り、あの頃子供だった語り部達の話に耳を傾ける。今必要なのは「英雄譚」ではなく、力なき小さき人々の「生きてきた声」だと感じる。
紙の本ブスの本懐
2017/04/22 13:16
何か見えたがそれは幻想
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「ブス」に関する高尚な考察を多方面から、読者(多分ブス)をタコ殴りする。だが、不思議な事に、嫌な気分にならない。酷い事を真正面から言われているが、文章が面白いので気がつかない。あとがきに、「ブス」という言葉をタイピングするたび徳がガンガンに下がる」という一文を読んで「あれ私、酷い事言われてた」と気がつく。「えらい良い事が書かれているが、読後何も残らない」で有名なカレー沢先生。流石です。「ブス」という呪文は、ここぞという時に使いたい最終兵器であり、アホな小学生男子の如く連呼してはいけないと肝に銘じたい。読後、何かしら運命が開けたように感じたが、それは幻想であり、やっぱり何も残りませんでした。
紙の本1★9★3★7 増補版
2016/03/06 17:38
忘れられた事
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
著者は「そんな事件は無い」と言う人々がいる、あの事件が起きた1937年を書き綴った。本書で知った「ヘレン・ケラーの来日」。盗難事件に対する日本国民の善意による行動と数ヶ月後に起こる事件。現代の自分は、双方を対比して「同じ国民か?」と思う。あの時代の罪を「戦争だから仕方ない」と言えるだろうか。自分は、あの時代の人々を責める事はできるだろうか。出来ない。読後「ニポンジン」の一人である自分に、嫌なものが流れている様な気分になる。何か重要な事が、深層に潜み隠れている様に感じる。
電子書籍【期間限定半額】あしながおじさん
2016/01/04 17:33
少女の成功物語ではなく
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
アニメは見た事はあるが、原作を読んだ事はない。
少女文学だとおもいきや、40代前の女が面白く読める作品だったとは思わなかった。
主人公が成長するにつれ、「おじさま」との書簡のやり取りに、20世紀初めに出た「国民の福祉と平等」という社会主義的な事柄に興味を示し、「女性の自立」が学歴のある女性の問題として認識されていることがわかる。
文学性だけではなく、当時の社会性もわかる名作だと思える。
2007/12/17 16:29
女の生き様
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「中村うさぎ」という作家は体を張った作家だ。出版物を読んでも「頑張ってるな」と頭が下がる。だが、世の中には彼女さへ「まだまだ」と思いたくなる女性作家が存在する。本書は、中村うさぎと5人(一人女性?)との過激な爆笑と人生勉強になる対談集だ。
対談相手は花井愛子、岩井志麻子、マツコ・デラックス、西原理恵子、斉藤綾子。彼女らは、相続バトルから自己破産を経験、ストーカーと結婚、130キロの女装ゲイで、税金対策で会社を設立し、ダメ人間の夫を飼育、人生の再出発で購入した家が、欠陥住宅という、人生最悪と思える事件を逞しく、前向きに(?)生きている。
本書を読み終えた後、彼女たちと対談した著者を羨ましく思う。表道を普通に歩んでいたら、一生経験できない事を彼女たちの口から、直接聞けたのだから。本書には載せられない話もあっただろう。無頼で体を張った話が読みたい人や、こいう世界を覗き見したい私のような一般人(小心者)に進めたい一冊だ。
紙の本断片的なものの社会学
2017/12/28 04:46
不充分な人間の
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
全体的に暗く、重い内容だが、どんどん先を知りたくなる。不思議と他者に冷たい様な著者の暖かい眼差しと、どんな人でも突き放さない優しさを感じる。「人は孤独で、なにもない存在」と絶望してしまいそうだ。不充分な存在で、それを生きていかなければならない辛さがある。それでも、不充分な存在同士、寄り添う社会が必要だと感じる。読み終えるのが惜しい本だった。
電子書籍合本 IT【文春e-Books】
2017/11/26 07:16
現在と過去が交差する。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
街に住んでいた頃の思い出と(なにかしらの理由で)街を出て、成功した今が交錯する。街を支配しつづけ、主人公達も支配していた「IT」とはなんなのか。それを退治した彼らがその後、次第に記憶をなくしてしまう。少年少女には「見えた」「感じた」存在が見えなくなり、感じなくなる。それは大人になった事だろうか。生存者が「IT」を倒した事で、過去を忘れてゆくのは「新しい人生」に舵をきる事だろうと本書を読み終えての感想。ホラーの様な後味の悪さも無く、青春小説の様な感じもする。不思議な作品。
2017/05/03 15:18
窮屈な男女論からの解放
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
本の題名から、反発する人々が多いと思う。だが、著者の誠実な語りが心地良い。自身の経験から読者に「なぜ?」と問われる。読むこちら側も、ハッと気づかされる。著者の出身地である、ナイジェリアを例に出して、男女間の社会的地位の問題を語っている。それは、この日本でも当てはまると思う。女子は「こうあるべきだ」と教えられ、そこから逸脱しようものなら、男女両方から攻撃される。そんな窮屈な縛りから解放されれば、女性だけではなく、「男らしさ」に縛られる男性も楽になると著者は言う。人には、そんな縛りがあってこそ「生きやすい」という人もいるだろう(著者は否定しない)。男女が、一人の人間として「より良く生きる世界」を手を取り合って考える。「ジェンダー」を考える良い本であり、これから将来を考える10代に読んでほしい。