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シャリアさんのレビュー一覧

投稿者:シャリア

36 件中 16 件~ 30 件を表示

株式投資は偶然を味方にするもの。けっして偶然に期待するものではない。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

グロース株の成れの果ての「安き」を売って、「さらに安き」を買い戻す。
いったん市場に公開され、放たれた株は「資金調達」という役目を終え、投資の顔から投機へと脱皮していく。
それでもまだ、株価を基にファイナンスをかけようとする企業の株は、ある種、制御されたような動きを見せるが、そうでない企業の株は、「野となれ山となれ」のごとく、感情的需給そのもので行ったり来たりする。乱高下をトレーディングの源泉とする手法もあるが、ボラタリティの幅と高さが大きいがゆえにチャンスもあるが、振りきられる可能性が高い。

一方、バリュー株を「バイ・アンド・ホールド」するのは、一見、「投資」に見えるが、「高き」を買って、「さらに高くなる」ことを夢見るのは、どこか宝くじに似ている。それでも評価益がプラスならば、「夢」のコストとしては悪くない。
塩漬けなら、それはもはやギャンブルより性質が悪い。運を天にまかせて、射幸心を満たすなら、ラスベガスの方がトータルコストにおいて、まだましだ。

そこで本書のテーマ「割安な株を買って、適正価格で売り抜ける」が有効になる。
ユニークなのは「割高になったら売る」としてないところだ。
割高になると自信過剰になり「不思議なことだが、しなければならないことと反対のことをする」と著者は感情面にから、鋭い指摘をしている。

なるほど、これからの動きをレンジ相場と規定すると、このテーマはドンピシャではまる可能性が高い。
さらにレンジを抜けたときの強気相場、弱気相場のバイアスについても解説しているあたりは冷静なアナリストらしい一面をうかがい知ることができる。


何を持って適正価格とするかの分析は「企業の質、成長、評価」をそれぞれ詳述し「優良企業が必ずしも優良株ではない」と結論づけているあたりは、さすがプロだ。
さらに「物事は変化していく(良い方にも悪い方にも)」とし、分析結果で買いっぱなしにする愚を戒めている。

割安な株価だということは、後になってわかる結果であって、今、判断できるものではない。本書の手法で一旦、はじきだした適正価格の考え方は、損する可能性をできる限り排除することが肝だ。
分析によってセグメントされた企業の株価が上がるとは限らない(下がる可能性が低いだけであって、下がらないとは限らない)。
そこに、本書のトレーディング戦略価値が有る。
著者は言う「”正しかったときの利益”ではなく、それよりもはるかに重要な”間違ったときのコスト”に基づいて」戦略を立てるべきだと。

「過去は未来を語らない」を例に上げ、分析の限界と偶然の必然性に話しが及んでいるあたり、ただ者ではない。「もし偶然というものがなかったならば、われわれのすべての決定は良いか悪いかだけの結果になる」と指摘。すなわち相場がトレードの場として成立しているのは、決定と実際の違いがあるからとし、「理論上は理論と現実の違いはないが、実際はやはり違う」事実を例に表現しているところがわかりやすい。

「バリュー株のトレーディング」というレンジ相場での戦い方を「ランダム性を友にする」の項でも見事にあらわしている。
「ランダム性は時に保有株を本質的価値以上に押上げて、予想外の利益のチャンスを与えてくれることも有る。その反対に、ランダム制は優良株を本質的価値以下に引き下げ、絶好の買いのチャンスを提供してくれることも有る。」
米国のファンドマネージャーは、一味もふた味も違うと感心させられた一冊でした。

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ポートフォリオ・マネージメント・サービス(PMS)

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「あなたは何のために投資をするのですか?」
このシンプルな質問の答えが、重大な失敗の始まりにも、成功への道しるべにもなると著者はいう。

 答えが「とにかくお金を増やしたいから」なら、増やす方法は「とにかく」になってしまう。
儲かりそうなものなら何でもとなると、極端な場合、詐欺に引っかかったり、ギャンブルにはまったり、となってしまう。
そこまでいかなくても、「利益は出したいが損はしたくない」という人間特有の心理状況が自らを失敗に導いてしまう例は日常茶飯事だ。

「将来のためにいくら」となると、その将来とは明日か10年後か。10年後の貨幣価値は現在と同一か、でないとしたら、そのヘッジは。また10年後を目標としているのに、明日から上がりそうな株を血眼になって探している本末転倒。などなど、質問のシンプルさに比べ、答えの複雑さときたら、事業計画に近い。

 手段としての海外ファンドなど多数をシュミレーションを含めて解説してある本書は初心者向きに見えるが、目的設定については、どのレベルの人にとっても参考になる。
 時間をかけてでも目的が決まれば、運用プランや金融商品、運用期間が決まっていく。

 興味深いのは、それに加えて、自分の性格をよく理解することも必要だとしている点だ。
 運用する本人の考え方や性格によって、結果の「受け止め方」がまったく違ってくるからと紹介されている。慌てふためくのか、「リスクとは自分の投資に対する期待値とのブレである」と平常心を保てるのかでチョイスする金融商品が確かに違ってくる。

 一方、「世界恐慌が起ころうが、日本国の財政が破綻しようが、日本の円の価値が半減しようが、何が起ころうと私たちは自分自身と家族の生活を守らなければならない」と著者は現実を見据えながら「資産運用哲学」の必要不可欠さを熱心に説いているところが心に残った。

「人間は投資や資産運用を行うために生まれてきたわけではない」という著者の思いがポートフォリオマネージメントの執筆をさせたのだと納得する逸品だ。
 その第一の扉が「何のために投資をするか」にあることに今さらながら、考えさせられた。

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紙の本幸運を呼びよせる朝の習慣

2009/01/31 23:42

「いま、ここ、わたし」

5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 脱いだ靴を揃える習慣。ほんのちょっとの時間と、ほんのちょっとの労力。何も損をすることはないし、恐怖でも不安でもない。
 その「ほんのちょっとの手間」をかけることが、人間は苦手。
なぜなら、その時そのこと自体は、たいしたことがないからだ。つまり、やってもやらなくても、たいした差が無いことは、そのモチベーションは皆無に等しい。(無意識の)習慣になっているかどうかの差、習慣になれるかどうかの大きな違いともいえる。
 このちょっとづつの膨大な積み重ねが、気がつくと自分から大きく乖離している。

 著者はいう「自分から(例えば)25代さかのぼると、3335万5432人」もの人(サポーター)がいたことになり、そのうち一人でもいなかったら、あなたは存在していなかったと。
 その一人ひとりは、まさにちょっとづつ生きていたし、やがてあなたも、その中の一人になるのだと。
 この奇跡に気づいても、気づかなくても、もちろん生きてきたし、生きていけるだろう。ただし、ただ存在していたのと、たしかに存在していたとでは、明らかに違う。

「たしかに」というのは自ら意識的に認識しなければならない。
私達は日常の雑事、雑念に追われて、自らのことをどこかに置いてきぼりにしている。「それどころでない、今しなければならない目の前のこと」という言い訳を見つけながら。(もはや習慣的にそう思っている状態)

 置いてきぼりにされた自分は、朝、自分をアピールしてくる。目覚めのまどろみの中で7.5ヘルツの波動をともなって。「ねむいなぁ、もう少しねてようか」とすり替えがちなあの瞬間こそチャンスであると本書で知ってしまった。(寝起きに、潜在意識に働きかける)

 玄関で靴を揃える、ほんのちょっとの瞬間に「いま、ここ、わたし」の存在を意識する。それは、朝の目覚めの布団の中の状態と非常によく似ている。「靴を揃えるのはめんどくさいなぁ、また履くんだから、まぁ、いっかぁ」と。自分を”ぞんざい”に扱うか”ていねい”にみつめるか。「幸運」というのは「自らを発見」することだと理解できた。

 さて、本書は「朝」がテーマであるだけに、朝ならではの効用をいくつも紹介されている。(太陽とともに生きてきた自然のリズム)
 まず「一人静かに心を落ちつけて、自分の夢とサシで向かい合う時間というのは朝だけだ。夜は一日のさまざまな残像と感情の屈折をひきずっている」と。「自分自身との心の対話、その沈黙が怖くて、あえてザワザワを自分から引き寄せるクセ」を断ち切れと。
 また朝、鏡を最後に見てから、その日に自分の顔をゆっくり見る機会は他に無いので、朝の洗面で鏡の前を離れる時「にっこりほほえむと自分が最後にみた(自分の)表情が印象として残る」。
 応用としてベストショットを携帯していると、リラックス効果により「ニュートラルな自然体」を取り戻すことができる”心のマッサージ”になると。
 加えて「空腹で目が覚めると朝食というリズム感。”三隅の水”の波動、バナナでセロトニン」するとしないでは長い間に、とんでもない差がでてくると力説。
 そして「元旦のワクワク感が一年に一回なんてもったいない。毎朝、自分自身の人生のヴィジョンに向かって敬礼するところから、スタート」と。これらのことから、ちょっとしたことを思い描いた。
 (直感で)右手を上げて一瞬止めて(目は右手人差し指の先へ)、次に肘を曲げて脇につけると舞い降りてくるものがあると感じる、それから腕を前方に伸ばすと同時に「いけると」つぶやく、その後、腕を左胸に胸に戻し、こぶしを心臓にあてて目をつむり(腹式)深呼吸、息を吐ききって、ゆっくり目を開ける。(五感で朝を味わうと第六感という直感が働きだす)

 さらに「朝」以外にも「夢を口にだして十回唱えると、叶うという字になる」、とくに朝の静かな光(生命エネルギーを高める作用のある波長)の中で素直に唱えると良いと。
 他に「トイレの中、シャワーや顔を洗いながら夢をつぶやく」と。
「人間は一日におよそ5000個の事柄を考えていて、なんと九割がマイナスの事柄。従ってマイナスに引っ張られがちな人間の悪いクセを(夢をつぶやくことによって)矯正していくことができる」と。(不安を蹴散らす大きな夢、マイナス感情は文字化すれば浄化される。共鳴効果を逆にうまく利用する)
 
 また、変わったところでは、「素足に音楽を聞かせる。素足の感性」「作品を書き出す前の"ありがとう”三回のサクセス・ルーティーン」「ピーク・パフォーマンス・ツールのための五感を刺激するグッズ、特に嗅覚信号を刺激するものや自分にとってのオリジナル・ラッキーアイテムを持つ」「こだわりの文房具、カバンを持つ」「起きる時は、布団の中で手を握るアイドリング・ウォームアップ」「グレープフルーツの香りで快感体験をフラッシュバックするトリガー・ミスト効果」「成功体質はズバリ姿勢と体温。仙骨を立てる、呼吸が深くなる、酸素が行き渡る、体温が保てる、5000種類の酵素がキチンと働く」「筋力をつけてストレッチ。神経ネットワークが増加し、ストレスが息とともに、ふーっと自分の中から外に出て行ってしまう」などなど。(ストレスは背中にたまるので"ぶら下がり”や”ブリッジ”、”逆立ち”が有効)

 極めつけは「陰徳」(気づかれないところで人のためになることをする)
「ありがとう」といわれてしまったら、プラマイゼロ。気持ちよくさわやかになるので悪くは、もちろんないが、普通の出来事。「ありがとう」を言われなかったら徳を積むことができる。これは「あいさつ」にも通じる。「挨拶を返されなかった、或いは、お礼を言われなかった」時こそ「やったー、バンザーイ」という発想には、恐れ入った。

 そして、とっておきは『「人は、合掌したまま怒ることはができません」うそだと思ったら試しにやってみてください。逆に笑ってしまいます。』これにはひれ伏した。腹立たしい時は”合掌”、これで決まり。

 著者は「目に見えないものに感謝する姿勢」といっている。これはまさに「気づき」だ。人はサポーターに応援されると実力以上の力を発揮できる。ただし、そのサポーターに気がついていれば、そして、その応援を感じていればの話だ。
 「自分がこの世に出現するまでにには多くのサポーター(例えば25代で三千万人以上)がいる。こんなに目に見えないサポーターの方たちの応援を受けて、うまくいかないわけがない。もしうまくいってないと感じているのなら、代表としての自覚と感謝の二つが、たりないだけです。」

 朝、一人静かに、夢のイメージを広げている人は言うことが違うと、感心させられた。と同時に再度、靴から合掌まで、「いま、ここ、わたし」をしっかり見つめようと決心した。それが習慣になるまで。

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7人の達人の”7’s”ストーリー 成功への道

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「成功に王道なし」とは「”努力しか”道はない」ではなく、「成功にいたる道は、いろいろある」ということがよくわかる。
 努力の人、気分の人、特異な人、普通の人、変な人、、、それぞれに可能性を秘めている。
 問題は自分にフィットしたやり方を、多くの場合において行っていないことだ。
「王道なし」=「努力しかない」と一般的に思われがちであり、自分に合わない手法を繰り返し、「苦しいこと」=「成長」と勘違いする場合が多いのはなぜだろう。

 本書は達人たち一人ひとりに対してインタビュを行って、そのまんまかと思われるほど荒削りという感じで文章におこされている。「マーケットの魔術師」(パンローリング)では敷居が高すぎる人にとって、ちょうどいい目線となっている。
 質問とそれに対する話がそのまま載せてあるので、内容がまとまってなかったり、いったりきたり、繰り返してたりと、まさに「原石」にふれている感触をえることが、できる。
 これは大変貴重である。マーケットに相対している人間心理そのものだ。一貫しているようで、右往左往にゆれながら、答えを見つけていくさまに非常によく似ている。

 読み込めば読み込むほどに「原石」の一部が輝きだす。その光る部分が個性ということなのだと気づかせてくれる。
 自分にあった個性を発見できた時、「達人への道」が開かれるのだと感心する一冊である。
 7人の達人の個性に共通しているものは「”共通点が無い”ことが共通点である。」ということだ。それに対して各章の最後にまとめられている7つの”共通の質問”が大変興味深い。「思いと行動とそのルール」が7人7様で大変面白く、しかも得心が行く。
1、売買対象を選ぶ時のポイント
2、仕掛けるタイミング
3、手仕舞いのタイミング
4、含み益の場合のマネーマネージメント
5、含み損がある場合の資金管理
6、投資(トレード)で重視すること
7、読者へのアドバイス
 それぞれの達人は、ブログやHP、本を出版している。興味をもった達人にさらにアプローチすることも容易にできる。けれども、対談というのは、相互創造作用をもっていて、話手自身も気づかない”思わぬ発見”がある。そこに一味もふた味も違う一面を感じることができるできるのは本書ならではの特典です。

 日本版「マーケットの魔術師」への第一歩ととらえるならば、価値ある一冊となるであろう。
 ぜひとも第二弾、第三弾を期待したい。そこには、投資哲学、人生のゆれ、理由、失敗からの生還そして「お言葉」(トレードとは何か、生きるとは、自分とは何かまで深めた質問)があることを期待してやまない。

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”たしかに”、「ツイてるな」と思うことも、「ツイないな」と思うときもある、。”たとえ”それが確率の問題だとしても。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「ツイている人間は、必ずツキを大切にしている」これが著者によるとツキの第一法則だそうだ。
 
 ツキの無い人ほどツキを大切にしないと著者は断言している。これは、お金の無い人ほどお金を大事にしない。友人のいない人ほど、人を大切にしない。愛が必要な人ほど愛を大切にしないことに非常によく似ている。
 水は水のあるところに集まってくるように、お金はお金のあるところに集まってくるように、人は人の集まるところに集まってくるように、愛は愛のあるところに集まってくるように。
 愛は愛を必要としているところに集まってくるのではなく、愛を大切にするところに集まってくるのである。
 
 ツキについては、いろいろな考え方があると思う。そもそも、ツキを大切にしない人は、本書を手には取らないだろう。お金が必要なのに、お金の勉強をしないように。

 衝撃を受けたのは「当たってほしくない予感ほど見事に的中するのは、悪い予感は努力の必要がないからである」という考え方である。
 例えば「ツイている」と予感し、予感を実現させるためには相当な努力がいる。
 それは、「ツイている」と予感するだけで、何もしなければ、成功しない確率が高く、「ツイていると思ったのに、ついてなかった」とマイナスの成功体験を積んでしまう。
 このことが、ツキなんて信じられないとなり、確信にかわり、相場で言う「理路整然と曲がっていく」状態になる。
 ツイていると思って相当な努力をしても成功しないことが多いのだから、ましてや、ツイててないと思うと、何もしなくてもツイてない結果になるのである。

 そもそも、なぜ「やってもダメかもしれない」と思うのだろうか。その答えと対策、改善方法は本書に詳述されているのがありがたい。
 キーワードは「心の壁」。ほおっておくとやはり、自然に理路整然とツキとは逆方向へ流されていくことが理解できた。
 
 「ツキとは出会いであり、運とはツキの持続である」という著者の言葉は意外と深い。
 そして、”確率とは後講釈”なのかもしれない、本当の努力をしない時の。

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紙の本プロ弁護士の思考術

2008/04/27 01:41

そうかもしれないし、そうでないかもしれない。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 説得力ある文章は、断定的に言い切り、いかにも論理的に展開する方がわかりやすいし受け入れられやすい。しかし、理解はしたものの実践できないのが世の常、人の常である。だからこそ、本が売れ、売れては実践できずに、次が売れるのである。著者の言葉を借りれば「白か黒かの二分法的思考は、俗受けはするが、いかがわしい」といったところだ。

 同じ出来事でも、人によって、立場によって、全く違った事実として受け止められ、結果、目的とは正反対の結末になってしまうことがある。本書で紹介されている例では、夫の帰宅時間が遅い場合、妻は「家庭を顧みない」ととらえ、夫は「家庭のために寝食忘れて仕事に打ち込む」ととらえている。妻も夫も目的は家庭なのだが、結末は下手をすると家庭崩壊となる。

 おおざっぱに物事をとらえ、たとえば三つの解決策で前に進むといったような風潮がもてはやされているが、なかなか現実にあわないのは、日常はそれほど単純明快ではないからだ。同じ出来事が違った解釈になることは日常茶飯事であるとともに、複雑であるからこそ単純なものにあこがれるといった程度のことである。

 長い弁護士活動の中で著者は「いかに正しい判断をしたところで、偶然が介入する余地(マサカの出来事)が介入する余地は30%はある。従って、最善を尽くしても正解はない可能性があるのだから、踏ん切りができる」と行動の原点を教えてくれている。
 「人間は一般に理性より、感情に基づいて行動する」、「感情をぶつけることが目的なのか、感情はひとまず脇に置いておくのか」、「過去と他人は支配できない」、「反対意見は情報収集の一環」、「有力な少数意見のない社会は必ず暴走する。」などなど思考の刺激を受ける一節がふんだん盛り込まれていて、「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」と受け止めることが、状況変化へ即時に対応することができるとしめている。
 確かに「そうかもしれないし、そうでないかもしれない。」

 自分に経験のないことや、新しい知識に触れることが、読書の醍醐味だとするならば、本書はまさにそのとうりの良書である。


追記として本書を貫く”7つの思考法”を下記にご紹介しておきます。

「私の人生は、私の思考によってつくりだされる。
  私の思考が現在をもたらし、未来を決める。」

1,具体的に考える
    考えることは戦いである。
2,オプションを発想する
   常識をすて極論から考える。
3,直視する
   フィルターを突き抜ける。
4,共感する
   優れた少数意見のない社会は崩壊する。
    反対意見拝聴は情報収集の一環
5,マサカを取り込む
   「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」
     状況変化への即時対応。
6,主体的に考える
    事実を確認し、根拠を吟味する。
7,遠くを見る
    局所最善、結果最悪を避けるための
    俯瞰型、考える遠近法。

人間は一般に、理性より感情に基づいて行動する。
 物事の手順を考える習慣が、
過去に悔やむことなく、また未来を悩むことなく
 現在の自分を含む全体を見通せる鍵となる。
時代の熱狂を超えた視点を持って変化に対応できると
 「近い将来には30%のマサカがあり、
   遠い将来には70%のマサカがある。」ことがはっきりみえてくる。

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お腹をすかせた人は、どんな食事でも喜んで食べてしまうように、プライドの高い人は、基本的に、どんなホメ言葉でもよろこんでくれます。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ホメて、励まし、面倒みてやらねば、人は動かじ。(読後の感想)
叱る時は具体的に、ホメる時は曖昧に。(本書からの教訓)
 
 「頭のいいタイプをホメるコツ」として抽象的にホメると、後は勝手に相手がいいように想像をふくらませてくれるので効果的である、逆に叱る時には具体的行動や場面に絞ることによって、マイナスイメージを限定的にすると良いと著者はいう。確かにその逆がありがちだ。叱るときは感情にまかせて、非論理的になり、叱られた方はマイナスイメージを膨らませ、全否定された気になり、叱った目的からどんどんかけ離れていく。加えて「叱る」のではなく「心配する」そして「励ます」のだと著者はアドバイスしてくれる。”すごい叱り方”だ。

 もっともスゴイのは、ホメるところが全くない場合の技術、それは「”仮定法”を使ってホメる方法」
 これは、何でも応用が利く。何せ仮定(もしも)の話なのだから、言いたい放題、ほめたい放題、最高にして、だれでもできる技術である。(ただし、その技を知ってさえいれば、であるが。)
 その技を使用するための準備、心得、場面、タイプ別などは詳しく本書にて説明されている。プライドが高かろうが、頭が良かろうが、威圧的であろうが、人はホメられていやな気はしない。(ただし嘘でなければの話であるが)嘘か誠かの技術も本書で詳述されている。ぜひ一読をおすすめする。

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鳴かぬなら 鳴かずとも良い ホトトギス

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 日常にありふれた出来事の中に金融工学の原理が働いていて、多くの人は当然のように、そのことには気づいていないことが非常にわかりやすく著者は、お話ししてくれている。

 金融工学を知っていても知らなくても日常生活には支障はない。
しかし知ると知らないでは、リスクに対するアプローチが大きく違ってくる。その差が、リターンの差となって、いま流行の格差社会が形成されている。持つ者と持たざる者の差は、知っているかどうかの差なのである。
 勝ち組・負け組は誰かが作っているわけではなく、自ら選択している結果なのである。
 もちろん意識している、していないにかかわらずであることがよくわかる著書である。

「人間は幸福よりも不幸の方が二倍多い(と感じる性質がある)」と著者は明かす。
さらに「理論上のリスク量」と「実感のリスク量」の差が「判断にブレを日常的にもたらす」と教えてくれる。

「読まぬなら、読まずとも良い」ともとれる本書の一貫したトーンは「知らぬなら、知らずとも良い」と受け止めることができ、下の句を深く考えさせられ、ここにも判断のブレがあると気づかせてくれる一冊です。

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キーワードを、きちっと把握する。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ターゲットマーケティングの逆成果か、高校生のためだけの評論文キーワードではない。

逆に「紙おむつ手法」をタイトルマーケティングに取り入れたのかもしれない。(紙おむつは、赤ちゃんが買うものではないので、宣伝自体は、母親向けに行われている)

さて、タイトルの次に注目されるのが本書の統一された文章構成である。具体例の中でキーワードについて説明している形になっているので、その理解にぶれることなく認識することができる。特にその背景も含んで解説してあるところが、心憎い。

中身は実に面白い。普段、日常生活で使用しているキーワードを改めて原点に戻って定義づけ、明確にしている。
本書を読んだ後に、あいまいな使い方をされている文章に接すると、あいまいな使い方をされること自体、ウザイと感じるこことなるかもしれない。

きちっとした定義、意味を知ることによって、読み解いたり、表現したりすると、まさに明確なものが見えてくる。
続きは本書にお任せする。

インターネットで表面的な言葉の意味は、すぐに調べられる時代だからこそ、意味の深さを知るには、貴重な一品である。

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噂で買って、事実で売る。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

噂で買って、事実で売る。

株式投資のスイング手法の鉄則であるが、これがなかなか出来なくて、塩漬けとなる。いかにこのことで悩む投資家の多いことか。

本書はひとつの光明をあてている。脳が噂にいかに翻弄され、その行動を規定するかを、具体例で示している本書はわかりやすく、自らの価値判断にいかに関係するかを解き明かしている。

普段の生活に則して理解できるので、日常生活における行動の理解が進むことは、次の行動を起こす指針となる。

と同時に、株式投資行動に応用すると、本書の価値は定価にとどまらないことは言うまでもない。価値ある逸品である。

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紙の本夢をかなえる成功習慣

2009/04/04 22:32

自分自身を最大の敵とするか、最高のサポーターとするか。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

海に囲まれた小さな島。
その島の中心から四方八方に道が伸びている。
「どの道をいっても海につながっている」
私達の人生はこのようなものだ。
著者は言う、「どの道も成功につながっている」と。

行く手をハバムモノは現実の障害物ではなく、その出来事に対する”自分の感じ方”だと本書は読み解ける。
「どの道を行っても成功できるのだから、もう迷わなくてもいい」と。

"考え方より、感じ方”
その感じ方も、つきつめると「快」と「不快」しかないと著者はいう。
不快となるようなピンチの時、あわてている自分を、舌を出して笑えるかどうか。
「脳天気」で大いにけっこう。
難しいことも明るくこなす度量があるということです。
小さなことでクヨクヨしない、強さと心のやわらかさがあるということなのです。と心強い。

自分自身に常に鞭打ち、やがて自爆するか、「今、ここ、私」を感じて、前に進むか。
「自分には、今日と明日以降しか、もう残っていない」を「快」と感じることがポイントのようだ。

本書冒頭に「成功する人は、成功習慣をもち、失敗する人は失敗習慣をもっている」とある。
 それは今までの習慣の延長線上につくることができる。どちらの場合でも。

ポイントは「意思の力より感情の力の方が遥かに大きい」ことだ。
ならば、感情に乗っていく、成功への。
そのためには、自分を敵と思うのか、最大の味方と思うのかが、大きな分かれ道だと強く感じる本書だった。

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紙の本考具

2008/11/03 00:27

誤解と五感

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 私達は常に何かを考えている。しかし考える手順は気にしていない。したがって、いつもワンパターン思考となることさえも気づいていない、自分自身では。
 今、目の前にある情報に対して、自分自身どう思うか。その思う方法はその人独自のものだ。そこにいろいろな手法を提示してくれるのが本書である。

 情報のインプットの仕方、アウトプットの方法、実現への手順。情報を切り取る道具はいろいろあるが、情報に対する感じかたの方法は、自ら進んで学ばなければ身につかない。
 なぜなら私達は、直線的理解はもちろん、放射状的思考、飛躍表現的発想はできてしまうのに対し、つぎつぎに都合よく、それらを組み合わせてしまい、元の木阿弥になってしまうからだ。
 赤、青、黄色、エトセトラと混ぜ合わせていくと、黒となって何も見えなくなる状態に似ている。

 五感が優れているがゆえに、書き出さなくても忘れないと誤解して、結局何も実現しない状態を著者は「読んで、わかって、やらない」と鋭く指摘している。
 初版から5年たち、話題には時々上るが、たとえば周りに、オズボーンのチェックリストメモを持っている人を見たことはない。「人間はなぜか評価する力だけは備わっている」と著者は謎を解いている。つまり、理解はできるがたいした事はできないと、著者のいうところの「現場」を体験せずに判断してしまうからである。(五感がイメージを誘発し、誤解と気づかずに判断してしまう。)

 イメージを具体化していく方法が惜しげもなく解説してあるというのに、身につけられないのは、なんともいたましい。五感がかえって邪魔をして、思考の方法を結果ワンパターンにしてしまい、結論として「考え抜くことができない」となってしまう誤解を、本書は解いてくれる。
 ”もはや問題は「やり方」ではない。するか、しないかだ”と読み解くことができ、”習慣になるまで意識して機会あるごとに繰り返し行うこと”が大切と気付かされた一冊でした。

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悪い面ばかり見て、悲観的になるよりも、良い面を見てうれしくなる方が楽しい

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「できないかもしれない」と思って事に当たると、”できるもの”もできなくなる可能性が高い。それは萎縮してしまうからだ。
「できる」と思って事に当たると、”できないこと”もできてしまう可能性が高い。
その理由は、本書にお任せします。
 
 損をすると気分が悪い。その気分の悪さを解消しようとして、自己励まし思考がはじまる。こうなると負け癖がついてしまう。本書を誤って解釈すると負のスパイラルに入りかねない。
 逆に本書のプラス思考手法を使って、「必ず損切できる」と紙に書く。その紙を見ながら損切実行とするならば、本書の価値は絶大だ。
 よく効く薬は、使い方を誤ると猛毒になることが、よくわかる本である。

 気になるのが第三章「不動産投資の運用手法を考える」である。
本書の出版は2004年。ちょうど検証しながら読める時期にきたので、楽しく読むことができる。妥当かどうかは読者の判断にゆだねるとして、ここでは「不動産投資において”安くて良い物”はない」という大原則を紹介しておきたい。すなわち不動産において割高はあっても、割安は無いということである。(個人と個人が売買することがあまり無い現実を考えると自明のことではあるが)

 家賃収入と投資利回り、入居なしのリスクなどは本書に詳述されているが、本当の投機(チャンス)は現在のドバイに見られるように、会社が少ないのにオフィスビルが次々と計画され、計画段階から高騰している現実にある。この時こそ、醍醐味があり、運用と言えるのだが、残念ながら最後に出て行くのが日本であろう。”石橋を叩いて壊す”堅実さが致命的である。中国投資しかり、ベトナム投資の結果がはっきりした今、ドバイについては押して図るべしである。
 
 どうも私達はマイナス思考に偏りがちのようである。「そんなに美味しい話があるわけが無い、できるわけが無い、眉唾だ」と。たいていは、その思考が身を救うので、ますますいわゆるマイナス思考の成功体験(転ばぬ先の杖の信用が増す)を積み重ねてしまう。
 本書を通じてプラス思考体験もした方が、ほどよく中庸になるかもしれない。
そう、「そんなことできるわけがない、かもしれないが、できないわけもない」のである。

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”デフラグ&ブラックアウト”

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 パソコンに”デフラグ”をかけると断片化されハードディスクの各所に散らばった関連ファイルがまとめられ、次回のアクセスが早くなる。軽快な使用感を味わえる。

 睡眠とはこのデフラグに似ている。
起きている間に、見たり聞いたり体験したり、感じたり考えたりした断片的なものが、デフラグによりまとめられて、すっきり感があるように。

 ただし、パソコンと違うところは、デフラグの方向性定めとかないと、”ホワイトアウト”してしまうところだ。ぼんやりして、何も見えず、結局わからない状態。強いて言えば、大切な情報までもデスクリーナップしたようなことになる。

 本書を通じて感じるのはブラックアウト方式。寝る前に、情報を発信(質問を自分に)しておき、顕在意識のブラックアウト(睡眠)にはいる。ブラックアウト中は質問されたことに必死で答えを見つけようとするような感じだ。やがてブラックアウトを抜け通信が可能になった(目覚めた)とき、答えが返ってくる。

 このでデフラグ&ブラックアウトが毎日おこっている。いつも(顕在意識で)気づけるとは限らないが、試してみる価値はある。なぜなら、私たちは、毎日、ブラックアウト(睡眠)を体験しているのだから。

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「投資」は「投機の失敗」の成れの果て。塩漬けポートフォリオよ、さようなら。

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投資の最大の課題、「価値」と「価格」。本書では「値段があるから事後的に価値が決まるのだ」とバッサリ。「市場でつけている値段だけがすべて」と断言している。さすがに日経先物取引の解説書である。また、この先物も証拠金によるレバレッジ取引であるから強制ロスカットがあり、塩漬けマニアにとっては、許せないかもしれない。

株式運用をする際の戯言「投資とはうんぬん、すべったころんだ、投機になった」が一切なく、現在値によってのトレード技術を具体的に説いていて、非常にわかりやすく、実践的にまとめられている。

損切(ロスカット)と利食い(利益確定)については、かなりのページをさき、損切は邪念との戦い、利食いは煩悩との戦いであると心理的なことにもふれ、、損切は機械的に行うことにより、資金の目減りを防ぐのであるから、ある意味簡単であるが、利食いはポジションがあっているだけに、手仕舞うアクションが難しいと鋭く切り込んでいる。

初心者のために日経225ミニの解説もあり、非常に親切な構成となっている。
よく言われるシュミレーションは、実弾でないことがすべてを語っているので、ミニから始められるところが有難い。
 銃の名手が単にマトを狙って打ち抜くのと、そのマトが銃を持ってこちらを狙っているのを打ち抜くのでは、天と地ほど違いがある。実践で学習していくには、非常に良い参考書となるであろう。
もっともシュミレーションでは、塩漬けもつけられないが、先物の実践でも塩漬けはありえない。

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