本読む虫さんのレビュー一覧
投稿者:本読む虫
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バーバの夏休み
2007/12/28 08:14
愛の大切さを再確認できます。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
どこにでもいるような女子中学生を主人公にしてストーリーを組み立てている点、リアリティーがあります。
凝った文章ではなく、歯切れよく、淡々と進むのが一種のリズムとなっていてスッと作品にはいりこめるのもこの文章の特徴でしょうか。
テーマとなっているのは「愛の連鎖」ということのようですが、それを主人公の奈々子に関係する人物それぞれの人生経験・エピソードを織り交ぜながらそれらに感化され、奈々子が実感してゆき、主人公が成長していくという筋立てとなっています。
余命わずかと知った奈々子の祖母「バーバ」がそれらを照らし出す大きな役割を果たしています。
小説中、多く描かれる料理の場面が実は愛情のメタファーとしてしくまれており、料理を通して愛ということに自覚的になっていく奈々子のとらえ方がおもしろいです。最後、奈々子がバーバに手作りのスープをたべさせるのですが、料理することのメタファーを自然と読み取らせている分、感動的な結末へとみちびかれます。
現代社会の核家族化と家族の崩壊とその再生を卑近などこにでもありそうな家族をモデルとして描いている点が小説としてのみどころでしょう。
一見稚拙のようにも感じられる文体は、奈々子の心中思惟としてストーリー展開していることと関係していて、意図的なものと思われます。その表現効果を得ている逆に評価したいと思います。
カバーのデザインもとてもセンスがよくインテリアになりそうです。
坪内氏の帯文の推薦文も的を射たもののように思います。
はじめて読む著者の作品ですが、完成度は高いと感じました。
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