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D☆STさんのレビュー一覧

投稿者:D☆ST

1 件中 1 件~ 1 件を表示

娯楽だと思えば…

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「伊坂幸太郎的に娯楽小説に徹したらどうなるか」という発想から生まれた…とのことですが、確かに「娯楽」に徹することができれば楽しいと思います。

よく練られた構成、ばらまかれた伏線が見事なまでに収まっていく緻密さは、まるでパズルのピースをはめ込むような快感があります。

が、最初の数ページを読んで、そのあまりの“違和感”に驚いて、そこだけを何度も読み返してしまいました。

なぜなら、4年ぶりに再開した女性同士の会話や心の動きに対して、あまりにもリアリティが感じられなかったからです。

「4年ぶりに出会ったばかりで、普通、そんなこと考えないよね?」

という、疑問のオンパレードだったので、私は、第1部の登場人物には、なにかそのように振舞わなくてはいけない“特別な理由や事情”があるのだろう、と考えるしかありませんでした。

しかし、このような疑問や期待は、この物語では解消されることはありません。

また、同様にその他の登場人物も、確かにそれなりに印象的なフレーズを残します。

しかし残念ながら、そのセリフを吐く登場人物の魅力や背景が“構成”や“伏線”の犠牲になってしまっていますので、それほど、説得力をもって心に残るわけではありません。


そのような意味で、

「痴漢は死ね」

「たいへんよくできました」

などは、ジグソーパズルとしては楽しめますが、それ以上の意味を持つことはありません。


また、ビートルズの歌詞や曲が何度も引用されますが、この物語は「ゴールデンスランバー」ではありません。

表層的な意味だけをなぞるのであれば、その次の曲、「CARRY THAT WEIGHT」がピッタリだと思います。

文字通り主人公は、“濡れ衣を着せられたという重荷を背負って生きていかなくてはならない” のですから…。


ただし、考え方によっては、最初の数ページに感じる違和感やリアリティのなさは、読者に対するメッセージと言えるかもしれません。

つまり、「この小説は、あくまでも娯楽、あくまでも作り話ですよ」という…。

そのような意味では、親切なのかもしれませんし、計算されているのかもしれません。


また、気になるのは第3部のラストで、この時点では主人公はすでに死んでいる(らしい)ことが表現されています。

物語中から察する主人公の年齢から計算すると、老衰による自然死としては少し早すぎる気がするのは私だけでしょうか?

この点についてあれこれと想像してみると、少し怖くなります。

また、この第3部を物語の中心として考えるのであれば、“ゴールデンスランバー”というタイトルもあながち的外れではないかもしれません。


 おやすみ、ダーリン。泣かないで。

 僕が、子守唄を歌うから。


つまり、主人公はいかなる死を迎えたにせよ…きっと、安らかに眠っているはず…と、解釈することができるからです。


そのような意味では、少しだけ心が軽くなる物語でもあります。

できれば、マンガか海外のドラマとして見たかったです。

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