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ココロの本棚さんのレビュー一覧

投稿者:ココロの本棚

23 件中 1 件~ 15 件を表示

夢をかなえるゾウ 1

2008/06/07 10:13

笑いというプラスの感情と共に頭に入れる成功法則、これは有効では。

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

こういうテーマをこんなにおもしろくしちゃうとは!笑いの中に成功のエッセンスがたっぷり詰まっています。
「成功したいという気持ちはあるけど、そのための努力が続かない」
「はっきりした夢がない。何を頑張っていいのかわからない」
「成功法則の本を読むたびに意識は高まるのだが、意志が弱いため元に戻ってしまう」
それもそのハズ。本を読むだけで成功できるならそんな簡単なことはありません。
成功したい!でも出来ない、そんな負の連鎖。身をもって感じている方、私を含め多いのではないでしょうか。

『ほんの一握りの成功者と自分をわけるものは一体何!?』
そう考えたときに、私の頭の中には「才能?努力?生まれ持った資本力?運?」など、その原因と思われる言葉がずらーっと出てきます。でもよくよく考えると、それって全部言い訳にすぎません。自分への甘えと言い換えてもいいでしょう。それらしい理由を見つけて、前に進まない自分への安心材料にしているのです。世の中には何もないところから巨万の富を築き上げた人もいるというのに。

この本は、「今の自分に納得がいかないけど、具体的に何もしていない人」の前に、突然舞い降りたインドの神様【ガネーシャ】のお話。
神様といっても、ゾウの姿をして関西弁で喋りまくる、陽気で大食いでちょっと迷惑な神様です。そして、どうやら彼は古今東西の成功者たちの業績にも一役買っているらしく・・・・・・?
とにかく会話のおもしろさに短時間で一気に読んでしまいました。笑える本なので、外出先で読むのは要注意です。

仕事で成功したい!という人だけでなく、毎日を自分なりに楽しく幸せに暮らしたい人にもオススメです。
何気ない行動の中にも、毎日をスペシャルに過ごすコツはいっぱい隠されているんですね。
「楽しく努力する」ためのヒントがたくさん詰まっています。
あくまでヒントなので、実際に行動しなければ何も変わらないのですが、簡単に実践していけそうなこともたくさん含まれています。要はいつもしている行動にプラスの意味づけをしていくことが鍵なのかな!と思いました。
つい勢いで読んでしまいましたが、また何度でも読みたい本です。

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オーデュボンの祈り

2008/05/27 15:18

夢の中にいるような感覚の不思議なミステリー

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

コンビニ強盗に失敗した伊藤は、気付くと見たことのない島にいた。150年もの間外界から遮断されてきた島の名は「荻島」。
嘘しか言わない画家。島のルールとして殺人を許された男。体重300kg、マーケットから一歩も動かない女性。そして、優午という名の喋るカカシ。優午は未来を知っている。知っているが未来のことは話さない。
その優午が殺されてしまう。未来を知る彼は、何故自分の死を防げなかったのか?

夢の中にいるような不思議な感覚。
伊坂さんの原点となるこの作品は、ファンタジー色の強いミステリーです。
島の住人たちは、夢の住人と同じように、リアリティのない世界の中で何も疑うことなく、淡々と生きています。
ふと、ミステリーであることを忘れてしまう穏やかな空間。ミステリーとしては非常にゆったりとしたテンポ。
基本的にスピーディーな展開が好きな私ですが、何故かこの独特の間に惹かれてしまうのです。
もちろん謎はしっかりと存在し、しっかりと解決されていきます。
ちょっとした会話の中や、何気ない行動に隠された伏線も見事。

肌に合う、合わないはあるかも知れません。
それは、「喋るカカシの存在を受け入れられるか」で判別がつくのではないでしょうか。
受け入れ、その世界に身をゆだねながら読んでいくと、素晴らしいミステリーと心の底からにじみ出るような感動に出会えるはずです。
予想を裏切る驚きと解決、期待を裏切らない展開(特にラスト)、両者のバランスがよく、読後はスッキリ。

タイトル「オーデュボンの祈り」に隠されたメッセージ。
伊坂さんの作品によく出てくる、人間の存在意義に対するアンチテーゼが、この物語の鍵になっている気がします。

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生物と無生物のあいだ

2008/05/17 10:15

美しいサイエンス

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

サイエンスというカテゴリーに少し躊躇しましたが、読んでみての感想は・・・・・・。
「読んでよかった!」

分子生物学を専門とする著者。
この本の中では、DNA解明への道のりや、細胞の研究、ウィルスとは何か?などが語られます。
その知識だけでも十分に楽しめるのですが、この本の素晴らしさはずばり文章です。

見た者だけに表現できる、生命の美しさ。
研究の日々、過去の偉大な学者たちの功績。
美しい表現力は、非常に文学的です。

ミクロの世界は果てしない宇宙にも似て、神秘的で広大で複雑で生命力に満ち溢れています。

生命とは一体何なのか。

貝殻と小石をわける、その境界はどこにあるのか・・・・・・。

一つ一つの細胞の躍動。生命の素晴らしさが溢れた一冊。



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明日の記憶

2008/05/17 16:25

消えゆく記憶

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

涙なくしては読めませんでした。

広告代理店の営業部長佐伯は、50歳にして「若年性アルツハイマー」と診断される。病気を隠しつつ仕事を続ける佐伯。愛する妻と、結婚間近の娘。失われていく記憶・・・・・・。

アルツハイマーに罹った主人公の一人称で語られる本書。
頭痛や目眩、不眠に悩まされ病院を訪れて宣告された「若年性アルツハイマー」という病名。

物忘れが激しい。簡単な計算ができなくなる。
そういう自覚症状を抱えつつも仕事を続ける佐伯。周囲に気づかれないよう、会話などはすべてメモにとりポケットに忍ばせて仕事をまっとうしようとするのですが。

自分の記憶が周囲と少しずつ食い違っていく恐怖。
社会から取り残されてしまうのでは?という焦り。
愛する人の顔すら忘れてしまう日がくるという絶望感。

徐々に記憶を蝕まれていく悲しさが伝わってきます。

佐伯の趣味である陶芸、その陶芸教室でのエピソードがとても悲しい。
小さな裏切り。
人はこんなにも残酷になれるものなのだろうかと、胸が痛みました。
そして裏切りに気づいた佐伯が、そのことすらも忘れていってしまうであろうことも。

ラストは残酷なまでの美しさ。
家族の闘いは続くのだろうけれど、佐伯の心の葛藤はあそこで終わったのかな。

肉体の死、脳の死、生命活動はしていても自分の人格を失う「記憶の死」
人にとって、死とは何なのか深く考えさせられました。

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ラッシュライフ

2008/05/17 10:09

まさに現代の騙し絵

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

泥棒が職業の黒澤は念入りに下見を重ね盗みに入る。
カウンセラーの京子は愛人に妻を殺そうと持ちかける。
リストラにあった豊田は40社目の不採用通知をもらい、犬と拳銃を拾う。
父を自殺で失った河原崎は、神に惹かれる。

並行して語られる4つの物語。
そこへ絡んでくるバラバラ死体や画廊経営者のエピソード。
伊坂作品の特徴ともいえる「いい具合のリアリティのなさ」がここでも冴えています。

これ、うまいね!

終盤に向かってミステリーのような謎に包まれてくるんだけど、いかにもミステリーじゃない謎解きなの。
「こう繋がるんだ!」という驚きはありつつ、自然にまとまっているんだよね。
理由は簡単。【人が故意に作り上げたトリック】ではないからです。

読み終わって、必ずもう一度読みたくなる作品。
時系列をいかした上手さが光ります。

ラスト素敵だったなぁ。
作中で主論とされる「金に勝ることなど世の中にはない」という言葉。
それに類するエピソードを重ねつつも、それを裏切るラストには感動をおぼえました。
前言を効果的に覆すことに優れた作家さんだよね。


人生は流れている。そしてところどころ交差する。
交差は点に過ぎず、すぐにまた違う方向へと動き出す。

これはそういう物語。やっぱり私は伊坂作品が好きだ。
ただし、小説のカテゴリにはいつも迷う!

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さまよう刃

2008/06/22 23:41

もはや小説の世界ではない

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

最近の社会に照らし合わせたような、重く悲しいテーマ。
少年犯罪、自己中心的な犯行、動機の希薄さ。最近ニュースでこういう犯罪をよく目にします。
被害者やその家族の人の立場になってものを考えられない、想像力に欠けた犯罪者たち。
そして、加害者保護とも捉えられる現在の法律。
勧善懲悪ではないどこかスッキリしない社会の中、事件に巻き込まれてしまった被害者の遺族はどこへ怒りをぶつければいいのか。

被害者遺族の立場から犯罪を描いた作品です。
娘を殺された主人公長峰が犯人への復讐に向かう心情が、痛いほどビリビリと伝わってきます。感情に走らず淡々と描いた文章なのに、逆に怒りと悲しみを深く感じました。
事実を知れば知るほどやりきれなくなるこの手の犯罪。奪われたものの大きさに反比例して、加害者側の動機や失うものが何と少ないことでしょう。

復讐に走る長峰、それを支える人、大きな声では言えなくても心の中で復讐を遂げることを願う人々。

世の人の心の声を、リアルに反映した作品だと思います。

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チルドレン

2008/05/25 20:57

伊坂ワールド満載の、心温まる小説

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

まず登場人物がすごくいい。全編とおして出てくる陣内のキャラクターが魅力的です。時に周りをうならせる名言を吐き、時にそれをあっさり覆す。
周囲の人のことなどおかまいなし!自分の思ったように即行動!
とてもいいキャラクターです。

個人的に好きな作品は「チルドレン2」
家裁で少年問題を扱う陣内と、離婚調停を扱う武藤。
それぞれの問題が絡み合い・・・・・・。
非行少年の更生はありえないとする意見に対し、「俺たちは奇跡を起こすんだ」という陣内。
ラスト垣間見える奇跡の輝き。素晴らしかった!

他、盲目の永瀬のキャラクターも素敵でした。
饒舌な陣内タイプと、達観した雰囲気を持つ永瀬タイプ。
この掛け合いが伊坂作品の魅力のひとつかなぁと思ったりもします。
どの話も非常におもしろい。そしてすべてにサプライズが仕掛けられ、ほんのりミステリーの香りも漂います。

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ブルーもしくはブルー

2008/05/17 10:18

もうひとつの人生。願った人生の味。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

誰もが一度は経験するであろう、人生の選択。もし選ばなかった方の人生を幸せに送っているもう一人の自分がいたら?この小説は、それを覗いてしまった女性の切ない話です。

佐々木と河見、2人の男性どちらと結婚するか悩んだところから蒼子は2人の人間となって違う人生を歩みます。パラレルワールドの同時進行といったところでしょうか。
佐々木と結婚した蒼子は、お金も自由もありますが、自分に対して無関心の夫との生活に愛情への飢えを感じ、何か物足りない空虚な日々を送っています。
河見と結婚し福岡に移り住んだもう一人の蒼子は、夫に愛されてはいるものの、強い束縛や夫からの暴力に耐え忍んだ生活を過ごしています。
一方は愛情に飢え、一方は自由への渇望が。そんな2人が出会ってしまい、お互いの生活を交換することになるのですが。

お互いが自分の分身であるがために、2人の執念のぶつかり合いがとても怖い。
怖いながらも、憎みあいながらも、本当はすごく互いに愛おしいんですね。
どんな生活を送っていても、誰と過ごしていても、すべてに満足している人間なんてどこにもいないと思う。
嫉妬やないものねだりばかりしていても、幸せなんて掴み取れない。

この本を読んでみて、そう思いました。

人生でさまざまな選択肢に迷っても、選んだならばしっかりと向かい合って生きていくことの大切さを感じさせてくれる1冊です。

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大人のスキンケア再入門 美容皮膚科医が教える「美肌」と「枯れ肌」の分かれ道

2008/05/18 16:48

医学的見地から。納得の美容本。

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

書店で見かけて、思わず手にとってしまった1冊です。
お肌の曲がり角をすぎ、日に日に衰えを感じる毎日。巷で騒がれる美容の噂に飛びついては失敗・・・・・の繰り返しでした。(もとの肌質の違いがあるので、効果を感じる方もたくさんいらっしゃると思いますが)

私は長年病院勤めをしていたのですが、やはりお医者様の知識と経験はすごいです。
全身にわたる人体への知識。各科の専門知識。加えて月に何千にもなる臨床経験。
それだけで盲目的になってしまう私。

読んでみて、「納得!」の多い本でした。
「本当に肌にいいのかなぁ?」、「駄目モトでやってみるかぁ」などという、疑心暗鬼なスキンケアの提唱ではありません。

「続けるのは大変~」、「時間とお金がかかりそう」というような、根気とコストを求められる類でもありません。

科学的見地から、肌にいい・悪い成分やスキンケア方法を教えてくれる・・・・・・そんな1冊です。

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食べてやせる!魔法のダイエット

2008/06/14 08:48

長いスパンで見る、続くダイエット法

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

テーマはずばり、゛我慢せずにやせる”こと!
何事も『我慢』したり、『ストイックであること』が偉いとされる傾向はありますが、私はそれが正しいと思いません。
もちろん結果を出すための努力は大切ですが、我慢するダイエットというのは、基本的に体によくないことが多い気がします。ストレスもつきまといますし、長期間続けられるものではありませんよね。
どうせ我慢するならやみくもに全部我慢するのではなく、必要ないものを見極めて、それだけを断つほうがいいですね。

この本は、管理栄養士であり3000人以上の減量栄養指導をしてきた方の著書。中身はイラスト混じりで、わかりやすい解説になっています。
食べてやせる!ということですが、もちろん何でも好きなだけ食べていいよ♪ということではありません。
体の仕組みと栄養を理解したうえで、代謝を上げる食事をしましょう!というダイエット法です。
そして、お肌やプロポーションを美しく保つための食事法について書かれています。

短期間で一気に痩せるといった即効性は期待できないと思いますが、食を見直すいい機会になりました。
ただ、この本のとおりにすると食べ過ぎてしまう気も・・・・・・。
そればかりは一人一人の意識の高さが鍵になってきそうですね。
長いスパンで見た美容と健康によい食事の摂り方がわかりますので、ダイエット以外の目的でも楽しんで読めると思います。
食材の効果的な調理法や食べ合わせなどにも触れていますので、料理をする方にもオススメです。

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雨の日も、晴れ男

2008/06/22 23:36

幸せの鍵

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「夢をかなえるゾウ」の水野敬也さんの著書。
元気をくれる、ユーモア溢れる1冊です。

幼い神のいたずら。
「会社をクビになる」、「詐欺にあう」、「知らない人に殴られる」。
いたずらに運命を書き換えられたアレックス。
どんな不幸な出来事に直面しても前向きなアレックスに対し、幼い神たちのいたずらはどんどんエスカレート。
会社を追われ、家を焼かれ、家族に去られ、次々と何かを失っていくアレックス。それでも彼は明るい。つらい出来事に涙しながらも、それをプラスに転換していく超晴れ男!

すごくおもしろい本でした。
日本びいきのアレックスの放つギャグは、豪快で笑えます。
お気に入りは、彼のもちギャグ「SUSHIDOGEZA」と「TERUTERUKOKESHI」。
音読すると何となく映像が浮かぶかも!?

神は、人を不幸にすることも、幸福にすることもできない。
ただ、出来事を起こすだけ。

幼いいたずらな神の言葉です。
なんらかの出来事に、不幸・幸福の意味づけをするのは、私たち自身ということですね。

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となりのクレーマー 「苦情を言う人」との交渉術

2008/10/07 12:57

恐るべきクレーマーの実態

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

世の中には強烈な人がいるんですね。

最近はネットの普及で、掲示板などで驚くような発言を目にする機会も増えました。
しかし、匿名の世界だけでなく、現実の世界にも驚くべき考えの人はいるものです。

西武百貨店でお客様相談室に勤務していた著者が語る、恐るべしクレーマーの実態。
百貨店に寄せられる苦情・・・考えるだけでも怖いです。
レストランなどとは規模が違いますし、きっと件数も多いことでしょう。

客という立場を盾にして、そこまでやるか!と読んでいてハラハラ・・・イライラ・・・。いやはや、接客業というのは大変ですね!

お客様とクレーマーの境目はどこに?
もしいわれのないクレームをつけられたらどう対処すればいいの?

接客にたずさわる方はぜひご一読を。
何らかのヒントが隠されているかも知れません。

ん~、それにしても・・・。

卑屈で悲観的になりやすい性格の私から見ると、その度胸、少しわけてもらいたいくらいだったりして。

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死にぞこないの青

2008/05/17 10:13

表裏一体

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

たまらなく不快でたまらなく胸が痛んだ。
しかし、最後まで一気に読みました。
乙一さんの作品は独特のどんよりした雰囲気があります。

マサオは気が弱い少年。人より足が遅く少し太っている。しかし勉強はそこそこに出来て、人を憎まない純粋な心を持っている。新任の教師、羽田はサッカーが得意で明るい教師。ところが教育の場で「叱る」ことによって自分の人気や評判が落ちることを何よりも恐れている。そこで羽田はすべてマサオを叱ることによって、嫌われることなくクラスのバランスをとり始めることに・・・・・・。

決して暴力的でない陰湿ないじめ。首謀者である羽田の不条理な言動にはものすごい不快感をおぼえました。


不気味な描写とともに現れるアオは、いわばマサオの分身ともいえる存在。
アオとの対話の中で心に強さを持ち始めるマサオにはたくましさを感じます。

ラストは胸をなで下ろしました。長く暗いトンネルを抜け出したような光が見えたのです。最後まで不条理でなかったことに対し、著者に「ありがとう」と言いたい。

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百年の恋

2008/05/17 10:05

こんな夫婦の形があってもいいよね

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

梨香子は信託銀行に勤める東大卒のエリート。そしてとても美しい。
一方真一は売れないライター。見た目も冴えなくモテない男。
そんな二人が結婚して子供ができて・・・・・。

まず梨香子がすごい!才色兼備の彼女は家事がまったく出来ず、部屋には汚れた洗濯物やお菓子や本などが入り乱れている。そして、何かに行き詰ると鬼のようにヒステリックになるちょっと怖い女。しかし外面はとてもいい。

最初は梨香子のあまりのだらしなさに主人公の真一が振り回されている・・・・という感じでストーリーは進んでいきます。

ところが真一の内面描写が増えるにつれ、徐々に彼に対し「ん?」という気持ちに変化していくはずです。

「女とはこうあるべきだ」という考えに凝り固まった真一。
-女はみんな子供が好きなはず
-女は家事をやらねばならぬはず

なのに彼自身は、妻の年収の4分の1しか稼がない、気弱で他人とろくに口もきけない、そういう男なのです。

女に対しどういう理想を持とうと勝手ですが、「女は家を守るべき」という思いが強いのであれば、「男は仕事で稼ぎ、表に立って妻を守るべき」ということになるのでは?

梨香子は家庭内ではだらしない女ですが、真一に対して「男のくせに」とは一度も言いませんでした。

後半は、妻に代わって子育てに奮闘する真一の姿が。

保育所の問題なども絡み合い、仕事と子育ての間で揺れる「男の子育て」がコミカルに描かれています。

夫婦の形はそれぞれ。お互いに適したことがあるならば、男女関係なくてもいいのではないでしょうか。

最初は梨香子に対して、同じ女性として不快感を抱きましたが、最後の方はむしろ応援してしまいました。

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〈図解〉「絶対記憶」メソッド 一度にたくさん覚えられて、忘れない!

2008/05/17 10:02

焼きつく記憶

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

今、あなたの前に100個の単語があるとします。

「救急車」「ピラミッド」「運動会」「デパート」「掃除機」「チョコレート」・・・どれも馴染みのある言葉ばかり、しかしそれらが関連性なくランダムに並んでいるものとします。

もしそれを「順番に100個憶えてください」と言われたらどうしますか?

この本の冒頭には100個の単語がずらっと並んでいます。
それを見た瞬間、まず脳裏に浮かんだのは「無理!」でした。
そして「うんざり・・・」という気分でした。

実際には無理ではないと思います。時間をかけて絶対にやる!という覚悟があれば憶えられるでしょう。

これが「仕事で必要」だったり「受験のため」という動機があれば取り組むこととなるのですが、そうでない限りは見ただけでやる気をなくす作業です。

とても薄い本です。

そして、半分は絵が占めています。わかりやすい図解で記憶法を学んでいき、その後、冒頭にあった100個の単語を憶えます。所要時間は読むのも含め約1時間といったところでしょうか。

実際にやってみた結論は・・・・「憶えられます!」

2日経った今でも、1~100まで順番どおりに間違いなく、しかもスラスラと単語が出てきます。

驚きです

最近は脳トレの流行もあって、よくテレビで10個~20個くらいの単語を記憶する方法をやっていますね。
「ストーリーを作りながら記憶する」方法などです。

この本は同じくイメージを使って記憶していくのですが、ストーリー法とはちょっと違います。

20個くらいの単語ならばストーリー仕立てでいいのでしょうが、100個を連続してストーリーに組み入れるのは容易ではありませんよね。

普通に記憶するのと同じで、始める前にうんざりしそうな作業です。

方法はここでは省略しますが、「記憶に残るイメージの作り方」を学べる本です。イマジネーションも豊かになりそうです。

脳の使い方次第で、まだまだ自分にたくさんの可能性が秘められていることも実感できますよ

ちなみに年齢に関係なく、70歳、80歳の方でも実践できるそうです。

ただし、100個憶えて「ばんざーい!」では意味がありませんよね。

それで終えてしまうと、単なる一芸になってしまいます

応用してこそ「体得」と言えると思いますので、これからも脳の使い方を意識していきたいです。

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