夏至南風さんのレビュー一覧
投稿者:夏至南風
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人形寫眞文庫 木本黒陽
2008/05/17 16:02
人形という自由
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
作家自身が写真を撮り、作家自身が自作について語る、ファンには嬉しい一冊でした。
作品を見て、そこから勝手に作者像を捏造していましたが、この本を通してようやく生身の
木本黒陽さんの心にすこしだけですが触れた感じがしました。
編集も木本さんの世界や木本さんの作る人形の気配にぴったりで、宝物のようにいとおしい
本になりました。
ソフトカバーの本ですが紙がしっかりしていて高級感があります。
手ざわりがとにかく良いんです。
親密な感じ・・・がします。
本を開き、それを閉じるまでの時間、木本黒陽さんの作品世界を浮遊するのが大好きです。
木本黒陽さんの作る球体関節人形を都内某所で先日、はじめて間近にしました。
この本の巻末にある作品データで、人形のだいたいの大きさは理解していたつもりでしたが、
実際に目の前にする人形はそれよりもずっと大きく見えました。
関節に施された球体が誇張された四肢を繋ぎ、そうして身を横たえる人形のあまりにはっきり
とした存在感に揺さぶられる思いでした。
本の中で息づき、本を見た私の心の中に住みはじめた人形は、どなたかの家の中でひっそりと
存在しているのだなと思うとほんとうに不思議な気がしました。
強烈にデフォルメされた姿をしているのに、とても生々しくもあって、その絶妙さに目と心を
すっかり奪われました。
何もない所からこの姿を生み出す苦しみと喜びを、木本さんが本の中で軽く触れていたのを思
いだしました。
見に行った人形はすでに売約済みになっていました。
この人形と暮らし、この人形に見つめられる日々は、本を通して垣間見るものとはまた違うの
だろうと思いますが、どちらも魅力的なことは違いないと確信しました。
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