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  3. mayumiさんのレビュー一覧

mayumiさんのレビュー一覧

投稿者:mayumi

228 件中 31 件~ 45 件を表示

紙の本

音もなく少女は

紙の本音もなく少女は

2010/10/11 20:11

最後のページで打ち震えました

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「神は銃弾」のテランが描く聾唖の少女の命の物語。

 貧しいイタリア移民の子供、そして聾唖者として生まれたイヴ。
 彼女を最低の生活からすくい上げたのはドイツ人移民で、孤独に暮らしているフランだった。

 娘が、底辺の生活から抜け出すには学問が、手話が必要だと奔走する母親の姿にまず心打たれる。
 そして、そんな母子を助けるフランの壮絶な過去に胸が痛む。

 その上、イヴにも不幸が降りかかってくる。

 けれど、彼女は何度でも立ちあがる。彼女は、自分の命を母が与え、フランが守ったものだと、知っているからだ。命はそのようにしてつながっていくものなのだ。

 それにしても、出てくる男がどいつもこいつも、最低野郎なのだ。(イブの恋人など例外もいるけど)
 なのに、憎みきることができない。
 母親を虐待し、イブを苦しめ続ける父親でさえ、憎みきることができない。彼は彼なりの、それしかできない生き方をしていたのだと、思ってしまう。憐れみさえ感じてしまう。

 この作品の本当にすごいところは、そこなのかもしれない。
 憎しみは何も生み出さない。愛だけが、人生の光なのだと。

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紙の本

夏目友人帳 10

紙の本夏目友人帳 10

2010/08/21 20:19

夏目の確かな成長が感じられる2本

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 *偽りの友人
 *月分祭

 夏目の小学校の時のクラスメイト、でも、変わった子供だった夏目をいぢめていた柴田が、突然やってくる。
 「こっちでは友達出来たんだ」とか「すまし顔のくせ人の顔色ばかり気にしていたのに」とか、相当嫌み言われるのになんだかんだと付き合ってしまう夏目のお人よしっぷりに、やっぱいい子だなぁと思うのであった。
 しかも、家のお使いを手伝ってもらったことをとっても恩義に感じてたりして…。
 柴田が好きになった女の子は、妖かしで、それゆえに夏目は柴田にひどいことを言われたりするんだけど、かかわった以上途中で放り出したりは決していない夏目の強さが、愛おしいようで危なかしくて不安だったりするのである。
 でも、この強さも優しさも、この町にきて藤原夫妻や友人や、それこそ妖かし達に触れてきたからなんだよね。
 最後にちゃんと夏目に謝れる柴田も、素敵だった。

 「月分祭」
 また、やっかいごとに引き込まれる夏目。
 頼まれると嫌と言えないのは、ま、仕方ないかww
 やっかいごとには、名取もからんできていて…。はからずも、名取との距離が近くなる話だった。
 違うからこそ補っていける、と思うようになった夏目は、また一つ成長したんだね。

 心にしみるいい話だった。

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紙の本

沼地の記憶

紙の本沼地の記憶

2010/05/01 19:51

ノブレスオブリージュの行方

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 高校教師の主人公は、自分のクラスに殺人犯の息子がいることを知る。
 
 アメリカ南部、人種と階級の区別が色濃くのこる時代と地域で、恵まれて育った主人公は、殺人犯の息子に手を差し伸べようとする。
 物語は、主人公が過去を回想するという形で、現在と過去が交錯していく。また、間に警察での証言や裁判での様子がはいってくる。
 まるで、真綿で首をしめられていくようだ。
 悲劇の種はあちこちにあり、それは些細なきっかけで芽吹く。また、<正しくあること>が間違った思い込みを誘い、それによって人生が歪んでいく。
 主人公は彼なりの<ノブレスオブリージュ>(持てる者の義務)だったのだろう。が、そこに偽善という味がなかったとはいえなくて、結局のところそれが彼を苦しめ続けているのだろう。
 そしてまた、苦しみ続けていることで、彼は贖罪をもとめているのかもしれない。が、それは欺瞞なのだろう。

 ラストに震える。
 光は、残酷である場合もあるのだ。

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紙の本

大作曲家たちの履歴書 下

紙の本大作曲家たちの履歴書 下

2010/02/16 20:42

西洋音楽がもつ普遍性を再認識させてくれる良書

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 大作曲家の生涯を、多角的にでもさっくりと描いたエッセイ集というより学術書。

 取り上げている作曲家は、
 バッハ
 モーツァルト
 ベートーヴェン
 シューベルト 
 ベルリーオーズ
 メンデルスゾーン
 ショパン
 リスト
 ワーグナー(以上、上巻)
 ヴェルディ
 ブラームス
 チャイコフスキー
 フォーレ
 プッチーニ
 マーラー
 ドビュッシー
 R・シュトラウス
 シェーンベルグ
 ストラヴィンスキー(以上、下巻)

 雑誌掲載をまとめたということだが、バッハとモーツァルトは書き下ろしで、その二つが圧巻。
 この密度、クオリティーでいくのかと、覚悟して読んだら…。
 こういう並びにすると、やっぱり年代順、つか、音楽史的にならべざる得ないんだろうけど、それゆえにだいぶ損してるよね。

 にしても、まず、その作曲家の人生の概要があり、生きた時代のざっくりとした説明があり、ルーツがあり、そして人生にそったエピソードをならべていくという構成が、むしろ斬新で面白かった。
 ま、いちいち女性関係を問題視するのはどーかと思いましたけどねww

 と、結局のところ音楽家って、変人だよねってところに落ち着くところもどうかと。
 いや、確かに変人ばっかりだったんだろうけど、むしろ三枝氏自身が作曲家ってこういうものだから、どうか勘弁してくだいよ、って本の向こうで頭下げてる感じがしてしようがないんですけどね。

 と、「あとがき」がよい。
 西洋音楽がなにゆえにここまで世界的に広がったかというところを、とても的確に語っている。
 うん、フォーマット化っていうのは偉大なんですね。

 ともあれ、音楽に対して新しい視点を与えてくれる良書だと思います。はい。

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紙の本

影

紙の本

2010/01/04 20:35

人はあっけなく、なんのひっかかりもなく、簡単に堕ちる

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ノーベル文学賞作家は、脳疾患で全身麻痺になっている。その息子は、父の威光に頼って仕事をしている。そして家庭は崩壊しかけている。
 かつてその家につかえていた家政婦の死によって、家族の闇がうかびあがってくる。

 人と過去が交錯する手法が心にくいばかりです。
 全ては絡み合い、もつれながら、それでも解かれていく。明らかになったとき、唖然としてしまう。何があったのか、読んでいく中で推察できるし、その想像を大きく超えたものでは決してない。けれど、あっけにとれてしまう。

 人が堕ちていくとき、それはもっとためらいや躊躇があるものではないのか。こんなにあっさりと、滑り落ちるように堕ちていくそんな俗悪なものなのだろうか。
 
 積み重なっていった悪意というものは、人をこれほどまでに愚鈍にさせるのだろうか。

 …でも、一番醜悪なのは、その死によって静まった湖面に石を投げ入れた形になった家政婦なんだと、私は思う。

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紙の本

甘い蜜の部屋

紙の本甘い蜜の部屋

2009/11/10 22:33

耽美であるということの本質

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 父親に溺愛される魔性をもった少女モイラの話。幼少期、結婚前、結婚後、の3部作になってる。でも、最後の時点で17歳だもんなぁ。さすがに、大正時代。
 ともあれ、森茉莉らしく耽美で、ロマネクスで、非常に面白かった。一歩間違えると、ただの軽薄で甘やかされた娘になるモイラを、ぎりぎり無垢の魔性の女に描いているあたりは、すごいよなぁ森茉莉。
 食事のシーンが多くて、そのあたりも非常に美味そうだった。

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紙の本

行方不明者 Takizawas Walk Away

点を結んでいけば消失点になる。そしてそこに驚きがある

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 沼のほとりにたつ2つの家で、一家惨殺事件と、その5年後に一家失踪事件がおきる。
 女性ライターは失踪事件を追い、売れない推理小説家は通り魔事件を追う。
 交錯する視点は結びつき、いつか消失点を浮かび上がらせる。

 ひきこまれて、読みすすんで、最後に驚愕する。
 折原一は、すごいテクニシャンだと思います。

 うん、絵画で消失点が複雑かつ処理が上手いと、うーんってなってしまうような、それに近い感覚かもしれない。
 そして、物語の消失点は決してぶれていない。

 ああ、これは神の視点なんだ。

 枠からはみ出たゆるぎない視点。
 そこから描かれる物語だから、揺るがないし、読んでるほうはただただ翻弄されるだけなのだ。
 そうやって揺らされることの快感。

 そこが面白いんだろうと思った。

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紙の本

中庭の出来事

紙の本中庭の出来事

2009/08/10 21:13

入れ子構造の妙

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ホテルの中庭で、脚本家が殺された。犯人のヒントは脚本家の遺作にある。主役候補の三人の女優は、それぞれにそれを演じてみせる。 

 いわゆる、入れ子構造なんだが、だんだんどれが現実でどれが演劇なのかわからなくなってくる。確かに演劇の部分は、脚本のように書かれているのだが、それにすら信用がなくなる。
 また、同じシチュエーションで視点が変わるものが何度も出てくるので、一層信用がない。

 作家と読者は、暗黙のルールの中で世界を共有するものだ。
 が、その世界が危うい時、読者は世界の何を見て、何を感じて、世界の揺らぎを止めるのだろうか。

 犯人が誰であるかは、すでに重要ではなくなっている。
 証言者の誰を信じるかも、些細なことだ。
 目の前にある中庭。それをどこから見ているかを決めるのは自分で、それだけが確かなものなのだろう。

 にしても、なんか「ガラスの仮面」っぽい感じはどーしてもいたしますよww

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紙の本

レオくん

紙の本レオくん

2009/07/23 09:01

メタファーや直喩を飛び交い、それらを超えてしまったもの

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 2歳のオス猫、レオくんが小学校にいったり、漫画家のアシスタントしたり、お見合いしたりする漫画。

 猫を擬人化する漫画は、今じゃさほど珍しいものではない。
 が、萩尾望都さまはやっぱり違う。

 レオくんを、時に擬人化し、時に猫そのものにしたりと、多分擬人化漫画に存在するであろうルールを軽く超越してしまっている。それは、読み手の価値観を揺さぶる。
 もし、レオくんのような同級生がいたらどうする?
 会社にレオくんのような同僚がいたらどうする?

 レオくんには「猫だから」という逃げ道がある。
 人間にはそれがない。だから、レオくんは猫以上には決してなれない。

 猫のほのぼのとした生活を描いているようで、奥に怖いものがあるように私は感じた。
 だからこそ一日だけレオくんの同級生だった、ヤマトちゃんの優しさや繊細さが心にしみる。レオくん主観でないこの1本をいれたところが、やっぱり萩尾望都のすごいところなんだと思う。

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紙の本

飼育する男

紙の本飼育する男

2009/06/15 20:18

主人公の狂った欲はえげつない。けれど、彼の世界には美しさがある。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 タイトル、そのままです。
 女を拉致してきて飼育している男の狂気。

 親の遺産があって、働く必要もなく有り余る金と時間を女の飼育にかけている男。
 えげつないです。
 えげつないんだけど、妙な純粋さがあって、それを物語として成立させているのだろうなと思う。

 にしても、毎度思うんだけど、大石圭の作品は食べるシーンが多い。
 でもって、わりとそれが凝っている、というか、食べ物にリアリティがある。
 食べることは生きることにつながっていると思っている。
 
 狂った情欲に支配されて、いつ逮捕されてもいい、みたいな投げやりな生活をしてる主人公だけど、根底ではまともに生きたいと、この狂った欲から解放されたいと願っているのだろうかと、感じる。

 うん。
 淫靡で暗い世界を描いているけれど、奥底には生きることへの正しさがあって、それが大石圭の作品を一味違うものにしているのかもしれない。

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紙の本

恥辱

紙の本恥辱

2009/05/29 20:15

最後のぬくもりが何よりもいい秀作。

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


 38歳の女医と、太りすぎで家から出ることさえできない50代の女性。出会うはずのない2人は、運命によって引き寄せられる。

 親は、完璧な存在ではない。
 けれど、子供にとって親は絶対なのだ。ゆえに、子供は深く傷つく。そんな風に2人は深刻なトラウマを抱え、人を信じること、愛することができずにいる。
 しかしながら、肥満の女性マイブリットは幼馴染からの手紙をきっかけに、女医モニカはある事故をきっかけに、自分のトラウマを正面からとらえ、乗り越えていこうとする。
 ただ、その方法はとても不器用だった。だから切ない。

 アルヴーゲンは、彼女たちのトラウマに対して、親を断罪することはしない。ただ、こういうことがありましたと淡々と描いている。それは無意味なことだからなのだと思う。子供は親を選べない。自分の優しさが、親を増長させ自分の身を削ることになっても、子供はそれをやめることができない。
 
 自分自身の力だけが、その呪縛から抜け出すものだ。

 最後がとても印象的だった。
 まるで、冬の陽だまりのようなちょっとしたぬくもりに心がいやされる感じがした。

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紙の本

浮世の画家

紙の本浮世の画家

2009/05/07 20:28

現実を見失ってしまうということw

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


 戦時中名をなした画家小野だったが、戦後の今は屋敷にこもり隠遁生活をしている。戦中と戦後で、正反対に変わった価値観が、彼を翻弄する。

 人は、なにを生きる拠り所とするのだろう。
 そして、自分のそれが他者からは何も価値がないと、やんわりと否定された時、自我を保っていかれるものなのだろうか。

 ここに描かれているのは、鬱々とした日々をすごす一人の老人の姿だ。
 自分で語る自画像と、彼を取り巻く人が思っている彼の姿とが、まるでぶれた写真のように居心地悪く曖昧に、こちらに提示されてくる。
 カズオ・イシグロは、読者をだます作家だ。
 「日々の名残り」でも「私を離さないで」でも、こちらが見ていたと感じていた風景を、一瞬で虚無に返してしまった。
 だから、ちょっと構えて読んでいたのに…。

 人には生きる理由が、やはり必要なのだ。
 たとえそれが身勝手な、ある意味妄想だといえるようなものだとしても。そして、特に「過去」しかない老人にとっては、過去を生きる理由にするしかないのだ。
 小野の語る過去は、常に偽善的だ。
 だが、だれがそれを責めることができるだろう。彼はそうやって自分を、「浮世の画家」が描く、行燈の光と闇の薄ぼんやんリとした境に自分を置くことで結局は、過去にも今にも上手く生きることができなくなっているのだから。

 彼の哀しみは、戦争によって「リアル」を失ったことなのだろう。そして、彼はそれに気付いていない。
 だから、物語は閉塞したままで終わるしかない。

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紙の本

黄泉路の犬

紙の本黄泉路の犬

2009/01/20 21:23

闇は忍び寄り、心に巣食う

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 強盗事件がおこる。犯人は2万円と、ペットであるチワワを奪っていった。
 そのチワワの行方を追ううちに、主人公と上司はペットをめぐる闇の部分を知ることになる。

 最近「代理(人)ミュンヒハウゼン」ではないかと疑われる事件があった。読後、まっさきにそれを思い出していた。
 人の心の病には、さまざまな名前がつけられ、こういう特徴がありますよと、公表されている。なのに、たいていそれを知らない。それらは、対岸の火事であって自分には無関係だと思っている。信じている。
 けれど実際にはそうではない。
 闇は、忍び寄るから闇なのだ。

 闇にとらわれてしまった者の末は哀れだ。
 そしてその周囲の人間も、それに気付かず何もできなかった無力感にさいなまれる。

 けれど、それを描く近藤史恵の視線は暖かい。
 動物を、小さなものを慈しむ、そういうものをこのシリーズは強く感じる。愛しすぎたことは罪ではないのだと。ただ、その方法が、手段が間違っていたのだと。
 「罪を憎んで人を憎まず」という言葉の意味が、胸にふわっと降りてくる感覚があった。

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紙の本

狼の寓話

紙の本狼の寓話

2009/01/19 20:33

表紙で損をしているのが、ひたすら惜しい1冊

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 とりあえず言いたい。
 なんでこんな表紙にしちゃったんでしょうね。
 
 近藤史恵の唯一の警察もので、強行犯係に配属された新人とちょっと変わった美人の上司のコンビで、謎をひもといていく話。で、2作目が「黄泉路の犬」…。こっちを先に買っちゃったよww
 しかも「黄泉路の犬」のほうに、これはシリーズの2作目ですよ、1作目はこれですよ、っていう案内が少ない。つかわからん。
 表紙も全然違うから、なんかこれ、このシリーズの1作目のような気がするんだけど、とかーなーりためらいながらクリックしたのであった。
 出版社、もうちょっと考えろよ。

 中身が、ものすごく面白いだけに、このダメージは大きいよ。(シリーズものの2作目を先に読むぐらい、興ざめすることはない)

 ホテルで男が殺され、その妻が行方不明になる。状況から妻が夫を殺したようなのだが、動機がみつからない。
 と、文字にしてしまうと簡単なんだが、これをきっちり少しずつ紐解いていく感じがとってもいい。キャラクター造詣が、相乗効果を出してるね。
 主人公は、母子家庭に育った次男で、兄と一緒に警察の寮で暮らしている。兄は警官で、駐在所勤務。この二人がかけあい漫才やってるみたいで、文句なしに面白い。
 そして上司は、すごい美人なんだけど署では変わり者として評判で、唯我独尊って感じ。家では、作家になるべく修行していて、主夫をやっている男がいる。ちょっとステレオになりそうなところで、ぴりっとスパイスが効いてる感じになってます。

 そして、事件を探るうちに、人間の闇の部分が浮かび上がってくるんだが…。タイトル通り、寓話を挿入している意味がわかった瞬間は、ああってちょっと感動した。
 でもって、全体を通して動物に対する愛情みたいなものがあって、すごく好感度が高いよ。

 地味な作品といえると思うが、近藤史恵の良心みたいなものが見え隠れしている1作といえるんじゃないかと、私は思う。

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紙の本

モノ書きピアニストはお尻が痛い

ピアノ、そして音楽の素晴らしさを実感させてくれるエッセイ集

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ピアニスト青柳いづみこ のエッセイ集。
 演奏会のパンフ用や、CDの解説、音楽雑誌への寄稿などが多数で、「ボクたちクラシックつながり―ピアニストが読む音楽マンガ」などからすると、結構かたい。が、決して嫌な硬さではなく、むしろ硬さゆえの透明さを感じる。
 それはピアノという楽器そのもののようだ。
 指で鍵盤を叩き、ハンマーが弦を叩いて音をだすピアノは、硬さという呪縛からは逃げられない。だから、透明度という部分を求めていく。
 青柳いづみこ、はその本質を文という媒体の中で的確についてくる。
 それは、彼女のピアノに対する愛しさなのだ。

 同時に、音楽をするということは、愛することなのだと、伝えてくる。
 
 彼女の兄のことを書いた「感覚指数」に、心打たれるのは、その内容は勿論のことながら、透明できらめいている極上の音楽のような世界を築いているからだ。

 ドビュッシーとラベルの水の音楽のことを比較してるくだりは興味深い。
 また、お酒が好きなどの人間的な部分が描かれているのも微笑ましい。そして何よりも読後に無性にピアノが聞きたくなるところが、素晴らしくいいと思う。

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