sakuranonaoさんのレビュー一覧
投稿者:sakuranonao
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紙の本書店はタイムマシーン
2008/10/16 00:54
「こんな本はいかがですか」と。
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
自分の好きなものを他人に勧めるのは、得てして難しい。
あまりにもそれが好きすぎて、のめりこみすぎて、冷静に、客観的に語れなくなってしまう。
あるいは、それの良さを盲目的に信じすぎて、それの良さを理解出来ない相手を心の中で下に見てしまったり……
好きだからこそ、言葉足らずになって相手に嫌な思いをさせてしまう。良くないことだ、と自己嫌悪に陥る。
桜庭一樹という人は、本が、読書が本当に好きなのだと思う。
本の中の物語、登場人物の心、作者の願い。本に込められた全てをいつでも心から楽しんでいる。この読書日記からは、それらがひしひしと伝わってくる。
しかし、作者は読書をただ一人で楽しむだけにとどまらない。
作者の担当氏とお互いに本を薦めあったり、友人と感想を言い合ったり……
本書は文字通り、読書「日記」であり、単に読んだ本の感想だけでなく、作者の一年間の生活の一部も共に綴られている。
日記の中で、もはや読書は作者の生活と一体化している。
きっと作者にとって、それらは長年の付き合いでもう傍にあって当たり前のもので、それだけにそれらとの接し方も十分心得ているのだろう。
だからこそ、「本を通じて人と付き合うにはどうすればよいのか」も、作者はよく知っている。
あまりにも自然に、桜庭一樹という人は、読者に本を差し出してくれる。
読めばもっと、読みたくなる。
そんな本だ。
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