御於紗馬さんのレビュー一覧
投稿者:御於紗馬
文体練習
2010/02/02 23:40
日本語だって凄いのです
16人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「文体練習」とはありますが、練習というよりも実験というべきかも知れません。何気ない日常のエピソードを言葉の使い方や視点、表現方法から方言、アナグラム的な言葉遊びなどなど、様々な手段で表現したその数、99+3(訳者後書きに補足があります)。
何気ない言葉の選び方、並び方一つでこれほど印象が変わるのかと、読み進むにつれて感動しました。文章といっても、書き方一つで大きな広がりを見せる事をまざまざと見せつけてくれます。
しかし何より、訳者の朝比奈弘治氏に讃嘆の意を表します。レーモン・クノーは言わずもがなのフランス文壇の大御所。原本はもちろんフランス語です(若干嘘ですが)。また、フランス人にしか分からない文化の影響を大きく受けています。それを原意を損なわず、日本人が判る形に訳された労力を考えると頭が下がる思いです。
翻って考えれば、これはまさしく日本語の可能性をも追求した一冊です。あらゆる方法と口で言うのは簡単ですが、実物を見ればその凄さが実感できます。言葉の魔力の奥深さを秘めた逸品です。
粘膜人間
2008/11/12 00:50
ライトではない、コアな伝奇が今蘇る!
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
第15回日本ホラー大賞 長編賞受賞作です。
非常にショッキングな描写が目を引きますが、単なる衝動的なバイオレンスではなく、民話的なイコンが散りばめられた物語に仕上がっています。
何より清美が良い。
河童との約束で利一が差し出す、「非国民」の妹。兄が恋人を連れて軍を抜けたため、憲兵より拷問を受け、薬物『髑髏』(このネーミングセンス!)を投じられ、精神を病んでいます。
拷問の様子、『髑髏』による幻覚は偏狂的な描写があてがわれています。そして薬物の副作用で記憶から失せた兄の秘密。否、真実というべきか。その謎は次第に明らかになるのですが、ホントに、「清美」とはよく名付けたものです。
何より河童が良い。
純朴で、欲望に忠実(特に下半身的な意味で)、痛みを受けても次の瞬間にケロリとしている。 人の知らぬ知識を持ち、人間の倫理・思考の埒外に居る、そんな異形の生き物が真に生き生きと描写されています。
「今のが毒猫の毒ぢからだっ」なんてセリフ素敵すぎます。
第壱章→第弐章→第参章と、次第に上がっていく異界的なテンションも見事です。特に雷太の存在は、よくよく考えてみれば彼自身が 「身代わりっ子」ではないか? 落雷で身籠ったから雷太?
そんな空想すら頭をよぎります。途中、彼は尋常ならざる状態に陥りますが、普通に考えれば人間ではあり得ないのです。
よくよく考えると、漂浪者のベカやんは勿論、雷太も清美も、登場人物は皆アウトサイダーなんですよね。清美の兄をつけ狙う憲兵だって、権力を笠に着ては居るものの、決して表の人間ではない。利一と祐二も、雷太に殺意を覚え、それを実行に移した時点で、人の道から外れているわけで。
そんな周辺者達だから、河童やキチタロウ、毒猫など、本当に人間外の存在と縁してしまう。 そして人外の報いを受けてしまう。 直接的ではないものの、因果報応的な作品だと感じました。非常に因習深き人の業が色濃く描き出されています。
作者の二作目に早くも期待しております。
仕込みに仕込まれた陰惨な世界に再びどっぷり浸りたいものです。
金瓶梅
2011/02/14 23:34
タダでさえ中国四大奇書の一つだというのに
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
中国四大奇書の一つ『金瓶梅』。タダでさえ艶書として名高いこの一冊を、山上たつひこが調理することでさらなる飛躍、いやトンデモナイ化学反応を起こして新たな境地に達している。
確かに、下ネタも多いのだけど、大胆なアレンジを加えながらも、「中国古典」としての格調を崩さず、『金瓶梅』としての骨子も押えてかつ、外伝的というべきか異聞というべきか、「こう言うのもありじゃないか?」というところに落とし込んでいるところが、凄い。
一つ例を上げるために(申し訳ないが)ネタバレさせて頂くが、早々に武松が「虎に喰われてうんこになってしまう」。普通ならこんな手の加え方は出来ない。武松による藩金蓮への仇討が『金瓶梅』の見所の一つであるはずだ。だが、それでも予定調和的に話はうまく着地してしまう。この凄さは、ちょっと見て頂けないと伝わらない。何せ、常理の外のギャグマンガでもあるのだ。なかなか、説明では伝わらない。
これだけやりたい放題なのに、何故か救いのある、ホッとできる最後のコマ。ここに安心ではなく、山上たつひこの恐ろしさを感じ取ってしまうのです。非常にお薦めの一冊であります。
風が吹くとき
2011/07/06 23:31
まさか、冗談にならなくなる時代が来るとは
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
子供の頃、見たことがある方も多いと思います。おそらく「反戦」「反核」の文脈で語られる事の多い本書ですが、実際、これはブラックジョークです。
いや、「ブラックジョーク、でした」と言うべきでしょうか。今の日本においては、もはや、冗談ではなくなってしまいました。
善良な、しかし世情にも科学的知識にも疎い初老の夫婦のささやかや生活は、“戦時中”であっても田舎暮らしの彼らには脅かされる事なく続いていました。しかし、一撃の核爆弾が彼らの回りを一変させます。その「想像を絶する」破壊力は、正しく「彼らの想像を絶し」、未だ日常の延長線だと思っている彼らには、「現状」を正しく把握する術すらなく……
読者視点からは、非常に滑稽です。ドリフターズにおける、「志村、後ろ後ろ!」状態。放射能の汚染という概念は、彼らの持ち得ないものですが、明らかに彼らを、蝕んでいきます。しかし彼らは、それでもなお助けを信じてやまないのです。文字通り全てが吹き飛んでいるなど、思いも寄らないことでしょう。
さて、現在の日本です。確かに戦争は行っていませんが、情報の分断、電力統制、疎開、職不足、物資の不足、政治の混乱、などなど、戦中の内地としか言いようのない状態です。しかもその原因は「想像を絶する」自然災害と、それによって引き起こされた核の恐怖。子供の頃からコレでもかと「反核」を教育されていたにも関わらず、肝心の「放射能」について、具体的なイメージも、対策も、基準値さえ曖昧なままだったという驚愕の事実と、この情報化社会において未だに「隠蔽」で物事を済ませようとするお歴々の方々の滑稽さ。現実の方が「悪い冗談」としか言いようのない状態です。
一度、今の状態を見直す意味でも、手にとってみる価値はあると思います。
苦笑いを、貴方にも、是非。
リトル・リトル・クトゥルー 史上最小の神話小説集
2009/02/07 16:59
111篇にも及ぶ秘せられし神々の狂宴
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
期間限定で公募された800字のクトゥルー小説群。
原稿用紙2枚に収められた掌編ではあるけれど、
その数、111編。抜群のボリュームです。
全く異なる角度から切り広がる
狂おしき夢魔と宇宙規模の神々の世界は
時に恐ろしく、時に笑いを含み、時に優しく、
物悲しく貴方の魂に迫ってくることでしょう。
編者は『クトゥルー神話事典』の東雅夫氏。
この点で、作品の内容やレベルについては
折り紙つきであります。
著者はプロアマ問わずのごった煮状態なので、
「えっ、アノ人が!」みたいな所も楽しめると思います。
知らない人にはサッパリな世界かも知れませんが、
どこから読んでも大丈夫な珠玉の作品集ですので、
入口としては非常に入りやすいかも知れません。
ほら、その戸口の陰からも、早くおいでと喚ばれていますよ……
冷食捜査官 1
2009/01/19 01:10
とり・みきの隠れ代表作!
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
とり・みきの隠れ代表作が、ようやく表舞台に現れました。
人工食のみ認められた近未来、現存する冷凍食品(略して冷食)は
一部グルメや懐古主義者に裏で膨大な額で取引され、
それに伴った汚職やシンジケート、殺人までが発生するに至ります。
冷食がらみの犯罪を捜査摘発するのが冷食捜査官です。
冷食が「(人工食で育った)一般人が食べたら
(下手をすれば)死ぬ」というレベルに至っているため、
捜査の説得力を増しています。
新たな制度が生んだ悲喜劇がしっかりハードボイルドしている上に、
とり氏のシュールなギャグが物語に巧く溶け込んでます。
十数年かけて紡がれた世界に酔いしれること請け合いです。
横井軍平ゲーム館 RETURNS ゲームボーイを生んだ発想力
2011/06/25 05:31
小さな会社を世界で知らぬ物に押し上げた傑物の偉業がここに!
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
今から50年近く前の事、仕事が余りに暇なので、ある社員は旋盤削って玩具を作って遊んでいました。さて、彼を叱るべきでしょうか? 社長は彼を呼びつけ、その玩具を商品化するよう指示しました。玩具はウルトラハンドと名付けられヒット作に。社員の名は横井軍平。そして、その会社の名は、任天堂。
花札屋だった任天堂がおもちゃ屋に成り、ゲーム&ウォッチで大当たりし、ファミコンを、ゲームボーイを作ってきた陰に横井軍平は居ました。本書は彼が携わったものを追いながらその着想や発想、困難、失敗や成功のエピソードが分かりやすく、丁寧に記されています。そこにはゲーム業界に限定されない、あらゆる分野で生かし得る貴重な経験が詰まっています。また、任天堂が成長していく過程を知ることも出来ます。
残念ながら、横井氏は任天堂を退社した一年後の1997年に自動車事故で亡くなっています。57歳という、まだまだ働き盛りの年齢でした。彼がまだ生きていれば、今のゲーム業界の構図は違っていたものになっていたかもしれません。
最後の章では、彼のモノづくりのエッセンスがまとめられています。特に、安くなった技術を転用することで低コストを実現する「枯れた技術の水平思考」は、逆を言えば決して手を抜くな、安易に流れるなという戒めとして心に刻むべきものです。また、若い開発者を育てる、巧く仕事をさせる事についても力説しておられます。
さて、ある社員が仕事中、玩具を作って遊んでいるとして。その発想力、行動力を生かせる仕事を、与えることが出来るでしょうか? 社内に眠っている人材を、活かすことが出来るでしょうか?
出来ます。その答えがここにあると信じてやみません。
アンギャマン リアル遠足伊勢巡礼編
2011/01/17 01:52
遠くまで足であるいていく、それがリアル遠足なのだ!
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
作者と目玉キャラの多苦(たく)が延々と、大阪から伊勢まで歩いて行く6日の旅程を描いたエッセイ漫画である。
寺院仏閣や史跡があれば寄り道し、夜になると野宿の場所を探す。作者が愚痴れば多苦が突っ込む。史跡の謂れなどは作者がざっくり説明してくれる。そのやりとりが楽しい。
背景は概ね写真をそのまま使っており、交通機関を使うと流れて行くだけの風景も、人の生活も、ここには確実に存在する。
WEB版は作者のサイト「スカラムーシュ(http://www.scaramouch.jp/index.html)」でも読めるのだが、ふと気がついたときに手にとって、パラパラと眺めることが出来るのは本の醍醐味であると思う。その場に行った(居る)つもりになれる点で、紀行モノとして秀逸の出来だと思われる。
日常に追われ、毎日決まった道しか見ていない人には特にお勧めしたい一作である。
人はなぜ恐怖するのか?
2010/01/19 23:42
エンターテイメントとしての、恐怖に迫る!
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
著者の五味氏はお化け屋敷のスペシャリストです。
暗中模索、試行錯誤の末に
「お金を払ってまで来て頂ける、恐怖の場」を作り上げた、
いや、今もなお作り続けている方です。
そのエッセンスを抽出した一冊。
講演を聞いているような丁寧な構成になっています。
どのように恐怖を配置するか、どのように恐怖に誘導するか、
というテクニックの部分もさることながら、
「エンターテイメントとしての恐怖」という観点からが
明確になっている所が、非常にユニークなポイントです。
「入るとホントに発狂する」ような恐怖の館ですと
お客は来てくれません。
お化け屋敷は感情を発散せる場であるとし、
「無事に、何もなかった」がゴールである肝だめしとは
本質的に異なるものである事を明示してくれています。
だからこそ、何度も恐怖を味わいに来てくれる
リピーターさえ存在するのです。
この辺り、小説や映像など、
他の「エンターテイメントとしての恐怖」にも
通じる所があると思います。
恐怖と付き合う手かがり満載の、貴重な一冊です。
半田溶助女狩り the complete edition
2011/01/17 02:26
それが また いいのじゃ ううっ
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
山上たつひこの伝説の作品群の完全版。
定番の「鋼鉄男」「半田溶助女狩り」の各シリーズに加え、「アタッシュケースの男」「椅子こそ我が命」「謎のシークレットサービス」の3作が収録されている。
山上たつひこの恐ろしいところは、人智の及ぶギリギリの狂気で攻めて来る所だと思っています。強すぎる音は、音として認識できないように。辛すぎる料理は苦痛でしかないように。狂気の沙汰も強力過ぎると、人間の心には(ブレイカーが掛かってしまい)届かないのです。
「半田溶助」シリーズはといえば、一般的には滑っていると思うのです。少し、力を入れすぎた感がある。普通の人の理解を超えてしまっている。ただし、普段から濃い作品に接していると、コレぐらいが丁度良くなってしまう。そういう意味ではかなりのイカモノと言えるかも知れない。
最近、ギャグマンガが物足りない方にお勧めしたい。
粘膜兄弟
2010/05/30 17:22
粘膜にまみれた運命の歯車は 無慈悲に人間を飲み込んで行く
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
粘膜シリーズも早くも第三弾。
帯には「シリーズ最新作にして最高傑作」とありますが、
ある意味これは正しい。
飴村行は一作ごとに、確実に腕を上げています。
ストイックなまでに今風の言葉を排除した地の文は
狂気じみた銃後と戦中の様子を淡々に描き、
登場人物の会話はややシモに走ることは有りますが、
ウィットに飛んだユーモアを感じさせます。
そして、悲惨な部分はとことん悲惨に、
残虐なところはとことんに残虐に、その筆は止まりません。
しかし、根底に流れるのは勧善懲悪であり、因果報応。
飴村行は海野十三や夢野久作の流れを組む
恐怖や推理や科学が渾然としていた時代の後継者です。
「新・冒険小説」と言っても過言ではないかもしれません。
本作品ではとうとう、メロドラマ的展開も身につけました。
どんなキャラクターでも、死ぬときは、コロッと死ぬ。
「一ページ先が、予測不可能」というのが
誇張でもでお世辞でもないのです。
ホラーの枠を越えた暴走する運命に酔い痴れてください。
予定調和的に全てが収まるのは、奇跡としか言い様がありません。
以下、蛇足:
実は『粘膜蜥蜴』を見かけた店頭で購入したために
ここでの書評が書けなかったのです。
どうしたモンかと煩悶しているうちに、
三作目が出てしまったのです。『粘膜蜥蜴』もお勧めです。
コンピュータの名著・古典100冊 若きエンジニア〈必読〉のブックガイド 改訂新版
2010/01/07 01:29
最初の一歩を踏み出すための一冊
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
どこの業界でも人材育成は火急の問題と思うのですが、IT業界においては会社によって、全然ほったらかしという事もありえますし、何より教える人材が居ないという事もよくある話です。
そうなると独学をするしかなくなるのですが、これもまた、自分の判断だと何を読んでいいか判りません。また、会社で勉強していたとしても、次のステップに進むためには、やはり自分で勉強するしかないのです。
本書は日本のトップクラスの技術者たちが選んだ100冊+αの概要が書かれています。さすがに3年前の本なのでクラウドなどの最新技術には触れてはいませんが、何年経っても変わらないしっかりとした土台を築かせてくれる良書が紹介されています。激動のIT業界で生き残るための、心強い味方になってくれるはずです。
……ま、技術書ばかりなので紹介されている本はどれもお値段が張るのですが……その辺は飯のタネだと思って割り切るしかありません。
Effective Java 第2版
2010/01/07 01:12
Javaを効果的に扱う上での、まさに「基本」
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
Javaを使う以上、Javaのドキュメントは必読なのですが、例えばJDK 5 ドキュメントの下の方を見て頂くと、この本に触れている事が判ると思います。確かにリンク先は英語ですが、ちゃんとドキュメントを読んでいれば、この本には突き当たるはずなのです。
単に条件分岐だけさせていれば、確かにプログラムは動くのだけど、それでは「Java」でやる必要はありません。Javaならではのクセや機能、APIドキュメントには無い「やってはいけないこと」やちょっとしたコツなどがこの本には詰まっています。Javaの技術者を自負するためにはマスターしておきたい一冊です。
難を言えば、技術文書に慣れてないと読み解きにくい事と、あくまでコアJavaとしての機能であるので、デザインパタン的な事やJ2EE関係については触れていない事でしょうか。しかし、判らなくても食らいついていく気概は欲しい所です。
ちなみに、2版という事でJDK5の機能を大きく包含する内容になってており、ボリュームも増量しています(1版と比べて値段が違うのもそのせいでしょう)。
とりあえず、Javaのプログラマなら持っておくべき一冊です。
デスマーチ ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか 第2版
2010/01/07 01:42
デスマーチ・プロジェクトを乗り切るために
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
著者は「デスマーチ・プロジェクトとは『プロジェクトのパラメータ』が正常値を50%以上超過したもの」と定義しています。要は時間や人間、資金などの資源が完成させるための半分以下しかないのに「やれ」と言われている状態です。
こんな無茶ぶりが発生するのは何故か、どんな人物たちが登場しているのか、著者は検討します。そしてどこが折中ポイントか(完全な完成は不可能ですから)つぶさに解析し、勝機を見出していくのです。
IT業界向けの本になっていますが、他業界でも通じるものがあると思います(特に、日本の企業は内部的にはデスマーチ・プロジェクトではないでしょうか?)。
ただ目の前の仕事を淡々とこなすだけではデスマーチ・プロジェクトは乗り切れません。好む好まざるに関わらず政治は巻き込まれますし、最悪、退職を迫られる事もあるかもしれません。
確かに日本独自の問題もありますが、指針として非常に優れています。特に技術書というわけでもなく、IT業界の人じゃないと解らないという事もないので、ビジネス書として普通に読めると思います。
今を生き抜くために役立つ一冊です。
街角のオジギビト
2010/10/02 14:21
この本さえもまた、忘却されてしまうのか
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
オジギビトとは、建設現場等に存在した
「おじぎをしている人」である。
その収集はとり・みき氏のライフワークの一つであり、
本書はその集大成。
さまざまな種類のオジギビトがこれでもかと掲載されている。
(そのあまりにマニアックぷりに、評価は4としました)。
オジギビト自体は高度経済成長期、東京オリンピックの建築の頃の
誕生とされているが、最近は最近は壁絵やモニュメントが
もてはやされるようになり、
「オジギビト」自体を見ることも少なくなってしまった。
その上、不況の影響もあり、建設現場自体が少なくなっている。
ある意味、日本が元気だった頃の残滓のような存在、
いつの間にか居なくなった、昭和の残滓のようにも思えてくる。
本書は絶版が決まったということである。
減少しつつあるオジギビトの本までも
絶版というのは、何かしら物悲しい。
