ポリサッカロイドさんのレビュー一覧
投稿者:ポリサッカロイド
| 1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
Y染色体からみた日本人
2008/12/05 00:25
天皇家のY染色体は縄文系の可能性がある
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
この本の良いところは、医学者が素人でも読めるように気配りして書いてあることだ。確かに難解な遺伝子の話は書いてあるが、その部分が理解できなくても何の問題もない。なかなか巧みな構成だと思う。
さらに良いところは、読者が楽しめるように生データが記載されていることだ。私が記載された数字で遊んだのは、日本人の季節ごとの精子濃度の濃淡がその父親の子供の誕生月に影響を与えているというところだ。日本人男性700人以上のY染色体が分析されており、そのハプロタイプと誕生月が表になっているのだ。
この著者の面白いところは、この表を提示することで読者にゲームを仕掛けているところであると私は思っている。私は著者のゲームに参加して、そのハプロタイプ毎のデータを打ち込んでみた。
次に打ち込んだのは天皇家の男系の誕生月である。誕生月は公表されているので、20人以上のデータはすぐ集まり、エクセルの相関係数を算出するCORREL関数で表示してみた。
なぜ天皇家の誕生月を使用する気になったかというと、この筆者がこの本の最終章で天皇家の家系に何か拘っていたからだが、結果は意外なものだった。
なんと天皇家はY染色体のハプロタイプCの人々に近いのである。これは縄文系の遺伝子なのである。タイプCのシェアの多い地域は九州である。九州は早期の大きな縄文遺跡があった地域でもあり、弥生時代が始まった地域でもあるが、縄文人の遺伝子が神武東征とは面白い。
まあ、この著者は、日本の場合、渡来人が原住民を圧迫するストーリー『アダムの呪い』のようなことは無く平和裏に交わったと最終章で力説しているので、天皇家が縄文系でも何の矛盾もないのだが・・・本当かなというところだ。ちなみに相関係数の値は0.6488(22人)であり微妙な数値であるが、弥生系との相関係数は0.2483~-0.4591であり全く関係なかったので、やはり最もらしいのである。今後誕生月のデータを増やせば更に良い数字・信頼性が上がるかもしれない。
皆様もこの本とエクセルで遊んでみたらいかがかな?
| 1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
