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shinoκ30さんのレビュー一覧

投稿者:shinoκ30

2 件中 1 件~ 2 件を表示

実験論文「ネズミ」の法則?

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 著者の瀬戸弘幸氏は「優健美館ブログ」で「味の素が販売するブルーベリー食品の効能について理解」等で科学的常識に難があることを露呈している.
>2007年10月30日 麹の第一の役割:酵素について
>2007年10月31日 味の素への質問と回答
>2007年11月01日 味の素の商品について
>2007年11月07日 ブルーベリー健康補助食品
>2007年12月31日 今年最後のご挨拶
 本書はその瀬戸氏が22年前に著した「味の素批判本」なのだが,やはり科学知識や用語の間違いも多く,お世辞の言い様もないほどヒドい内容である.タワット・カナボディー博士へのインタビューの中にも以下の記述(p.120)がある.
>[問]先生の実験はPhisiology(訳註-この英語は専門辞書にもなし)の方法を用いておられますか。
>[答]昔の人々はPhisiology的方法を用いていました。ネズミ、イヌ、ウサギなどの実験動物に投与して、その結果を調べる訳です。
 "Phisiology"は"Physiology"のミススペルだと思われるが,Physiology[生理学・生理機能]が載っていない「専門辞書」があるとは信じ難いし,この英語力で海外でまともな取材ができたとも思えない.
 国立がんセンターの高山氏らの報告を全訳(「グルタミン酸ピロリサットからのミュタジェンスを与えることによるネズミの腸、肝臓、種々の他の器官での癌の発生」,p.171-185)しているのだが,「専門辞書」を引きながら全訳した努力は認めるが,日本語として意味不明で「誤訳を指摘されるレベル」にも達していない.著者が内容を理解していないことは確実である.
 「実験論文『ネズミ』の法則」というのがある.「ねずみ」という語は,齧歯目,食虫目,オポッサム目,単孔目などに属する小型哺乳類を差す日常語である.狭義に齧歯目に限定した場合でも,単に「ネズミ」と言っただけでは,実験動物のネズミ科クマネズミ属の「ラット」やハツカネズミ属の「マウス」やテンジクネズミ科の「モルモット」を区別できない.したがって,齧歯目の実験動物のことを単に「ネズミ」と記述することは不適切である.実際,実験方法の説明の中で(子供向けの本などの例外を除いて)専門家が「ネズミ」という表現をすることは基本的にはない.このことから「実験論文中の'rat'や 'mouse' などの語を『ネズミ』とだけ翻訳している人は,そういう常識がない証拠であり,それだけで内容の理解についても信用ができない」と判断できる.これが「実験論文『ネズミ』の法則」である.瀬戸氏も翻訳文中でネズミ,ネズミと繰り返しており(原文中では'rats'),この法則が見事に当てはまっている.

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第3の著者の存在

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 著者の主張は「不法滞在者は凶悪犯罪の予備軍であり,治安維持のために彼等を取り締まる必要がある」というものである.当然,犯罪統計などの資料をもとに不法滞在者の犯罪に関して議論することが期待される.しかし,著者の思考は「外国人犯罪など本来はなくて当たり前」というところで停止してしまっているので,ひたすら外国人による犯罪事例を列挙する印象操作に終始する.
 著者に代わって計算すると,この本が出版された年の前年(平成11年)の警察白書によれば,平成10年の来日外国人による凶悪犯(殺人,強盗,放火,強姦)の検挙人員は251人で,そのうち不法滞在者は137人である(2 警察事象の国際化の概況).一方,法務省の推計による平成10年の不法滞在者数は約28万人であるから(図1−15 不法残留者数の推移(平成2年7月〜11年1月)),不法滞在者の中で凶悪犯で検挙されたのは約0.049%(=137人/28万人×100)である.同年の凶悪犯(殺人,強盗,放火,強姦)の検挙人員の総数が6949人であるから(統計1-5 刑法犯罪種別検挙人員の推移(平成7〜11年)http://www.npa.go.jp/hakusyo/h12/h12s.pdf),来日外国人以外の検挙人員は6698人(=6949人−251人)になる.つまり,来日外国人以外が凶悪犯で検挙された割合は約0.005%(=6698人/1億2千万人×100)であるから,不法滞在者は「来日外国人でない者」よりも約10倍ほど凶悪犯で検挙されやすいということは言える.しかし,凶悪犯全体に占める不法滞在者の割合は約1.97%(=137人/6949人×100)に過ぎず,凶悪犯の増加の主因を不法滞在者に求めることはできない.また,犯罪件数全体で見ても,平成13年と昭和55年では犯罪件数は約2倍に増加しているが,日本国内の外国人は2倍以上増加しており,全体の犯罪件数の内,外国人犯罪の占める割合は微減している.「犯罪増加の主因が来日外国人である」ということも言えないのである.
 生活習慣や文化の異なる外国人が地域社会との軋轢を生んだり,貧困な不法滞在者の増加が治安の悪化を招く危険があるという著者の懸念には同意できる部分もあるが,残念ながら,本書の中で説得力のある論証ができているとは言い難い.また,著者(瀬戸弘幸氏)は別のところでは「南米日系人の日本への永住を積極的に受け入れ,日本人ビジネスマンがフィリピン女性に産ませた数万人の子供やインドネシアの独立戦争に参加した日本兵の子供も受け入れるべきだ」という主張もしている(このスレの17番のカキコ).日本に生活基盤もなく,生活習慣や教育も異なる南米人や東南アジア人を「日本人の血を引く」というだけで積極的に数万人単位で受け入れた場合,それこそ治安維持上の問題を生じる恐れがあるだろう.この点に関して著者の主張に一貫性はない.
 第3章「堀の中の外国人犯罪者の実態」の内容は,『堀の中』で自分が出会った嫌な外国人(イラン人,アメリカ人等)に対する悪口や外国人が特別扱いされていることに対する不満である.しかし,留置所や刑務所内での実体験に基づいていて,文章にも味があるので読み物としてはなかなか面白い.てっきり瀬戸氏の体験だと思って読み進め「こういうモノも書けるんだ」と少し見直しかけたのだが,どうも時代が合わない.瀬戸氏が「スト破りで組合事務所に突っ込んだ」威力業務妨害罪や「ヤクザを日本刀で斬りつけた」傷害罪で有罪になったのは30年以上前(1976年以前)であるし,22年前(1986年)には「東菱酒造」の元社長に対する恐喝の疑いで逮捕されたものの不起訴となり,それ以降この本を執筆するまでの間に服役経験はないハズであるのに,第3章のエピソードは1996-1999年のものだからである.第3章を最後まで読むと,やっと著者の紹介があり,この章はAV男優で「新宿の喫茶店中村屋で起きた女性編集者に対するストーカー刺傷事件」(男女4人を刺傷して懲役2年の実刑)の犯人である栗本一幸氏の手によるものだということが分かった.第8章「外国人犯罪」の「潜入ルポ『タイ人売春婦』(タイ人立ちんぼ)」にも「筆者が刑務所に入る前とは平成9年」という記述があるので,この部分も栗本氏によるものだろう.しかし,なぜか表紙には栗本氏はクレジットされていない.それにしても,犯罪率の高い不法滞在者による治安の悪化を懸念する著者3人(瀬戸氏,有門氏,栗本氏)のうち2人が傷害の前科があるというのはずいぶんシャレが効いた話ではある.

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