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伊織さんのレビュー一覧

投稿者:伊織

11 件中 1 件~ 11 件を表示

紙の本追憶の雨の日々

2010/02/22 23:57

赤い傘、それが示すもの。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

タイトル「追憶」からもわかる通り、男女の恋の回顧録である。
ただし、浅倉氏流の回顧録。

デビュー作である「四日間の奇蹟」でも感じたことだが、情景描写が抜群に上手い作家である。
「四日間の~」ではいささか饒舌すぎた感のあった描写が本作では余計な贅肉を落とし、またそれを上手い具合に凝縮させたかのような小説に仕上がっている。
さらに、前出の作品では「このミス」ということもあり、当てが外れてしまった残念感がありリーダビリティーの高さに補われていた感がなきにしもあらずだったが、その枠さえ外してしまえば圧倒的なリーダビリティー残ったのだった。
その浅倉氏が今回は恋愛ものを描いた。
それはもう筆に尽くしがたい静かな余韻が漂う良作となってこの世に生み出されてきた。


印象に残るのは赤い傘、包丁で野菜を刻む音、2人の間に流れる心地よい音楽だった。そして、良い意味で前出の作品の雰囲気を内包しており、喪失感、やるせなさ、切なさという様々な感情が読後を待ち受けている。
上記にあげたような背負い込む感情だけでなく、そこにはほこほこと暖かい感情も同時に湧いてくる。


作品の中に散りばめられたいくつもの素敵な例えも漏らさずチェックしていただきたい良作だ。

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紙の本キネマの神様

2010/02/17 01:38

たくさんの“愛”

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

原田さんに関しては“恋愛小説家”としてのイメージが強く、なかなか手の出せない作家さんでもあった。
本書は40歳を目前にしてとある理由から長年勤めた会社を辞めた丸山歩とその父で映画とギャンブルが好きで借金を重ねる“ゴウちゃん”こと郷直。

そんな家族の再生の物語である。
ただし、そこだけに留まらずキネマというタイトル通り、映画に纏わることがたくさん出てくる。

登場人物は歩やゴウちゃんだけが個性的なわけでなく、脇役のメンバーも個性的。
作品いっぱいにたくさんの“愛”が詰まった作品に仕上がっている。
愛と一口に言っても恋愛だけでなく、家族への愛、自分の趣味への愛と実に様々だ。
そして著者の愛の深さが窺える良作だ。


突き詰めてしまえば色々と設定などには粗が見えるし、現実であればそう上手く事が運ぶはずもない、と切り捨ててしまえるがそこが上手くいくからこその小説でもあるのだから、この際細かいことは抜きにして本書の世界観とストーリーを十分堪能してほしいと思う。


読み進めれば読み進めるほどに夢中になる、そんなストーリーだ。

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紙の本あした咲く蕾

2010/02/17 01:59

非日常を織り込んだ暖かいストーリー集

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

表題作を含む7編の短編集。
それぞれに共通しているのは各話の語り手が30代後半から40代の“わたし”。そして、各自が昭和の時代の過去を振り返るまたは回想する、といった趣きで進んでいく。

読後感は全編ともに暖かい。
以前読んだ『赤々煉恋』では人が持つ闇の部分を意図的に奥まで描かれていたが、本書ではその闇を“わたし”に過去を振り返らせることで、やわらいタッチで心暖まる作品に仕上げている。

そのスパイスとして“非日常”的なものを織り込むことによって更に物語を読ませることに成功しているのではないか。
そしてそれが過去の“わたし”が幼ければ幼いほどその傾向が強いように感じた。そしてそれが違和感を抱かせるのではなく、幼少期特有の想像力のたくましさなどでも通用する、ちょっとした非日常だからこそ良かった。

ちょっと疲れてしまったときに読みたい1冊。

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紙の本恋愛迷子

2010/02/06 20:13

迷える子羊

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

31歳の綾乃は2歳下の周平と交際して5年。
休日には互いの部屋を行き来し、何気ない日々を過ごしている。
彼を好きなことは事実だが、彼との未来を決められずにいる日々でもある。

「一緒にいることが楽しいと思った瞬間に、いつか独りぼっちになるんだと思ってしまう」
作中に綾乃がそんな呟きを漏らした。
本書は結婚に踏み切ることが出来ない31歳の綾乃の心の呟きが満載の1冊だ。

綾乃の年齢からすれば、結婚をあせってもいい年頃だとは思うが彼女には彼女なりの理由があり、そうはいかない。
周平のことはすきだけど、でも…
綾乃の呟きの数々はきっと誰しも一度は悩むまではいかなくとも、考えたことのある人が多いはずだ。
綾乃も迷い、答えを出せないでそのまま何とはなしに無為に過ぎていく日々なのだが、それが友人にでも話しづらいようなことまであるものだから余計に心の裏側、というか内側に痛いほどに突き刺さるのだろう。

そんな綾乃も徐々に自分なりの答えをだそうと少しずつ動き始める。

タイトル通り、恋愛・結婚に迷える人に贈る1冊。

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紙の本窓際の死神

2010/02/05 02:15

生と死をみつめて

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ストーリー自体はきっとありふれていて、死神(本書ではアンクー)がこれから死ぬであろう人のもとへと現れる、といった単純できっと1度は見聞きしたことがあろう展開でもある。
しかし、そこは柴田さんの持ち味がしっかり出ている1冊でもある。

各話の間に挟まれる話の男の子を除いた他は(といっても2話だが)どこにでもいそうなOLの2人。
その2人が自らを死神と名乗る、不思議な中年男性・島野と出会うことによって「死」と向き合っていく。

主人公の女性2人に共感できる部分がある読者は多いのではないか?
自分もそのうちの1人だった。
そして作中の母から娘、友人からといった、主人公に向けて放たれる言葉が
じんわり沁みこむ。

読後、主人公になりきって…とまでは言わないが、自分なりに「生」と「死」について考えたりもした。
それはこちらの想像を掻き立てるような終わり方が効果的だったのだろう。
決して救いが用意されているわけではないが、ビターでメッセージ性のある作品。

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紙の本赤々煉恋

2010/02/05 00:26

赤々と煉恋と

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

心の奥底に赤々と燃える欲望がある。
それは時としておぞましくもあり、同時に相反して美しさを魅せるものでもある。


人間とは自分にないものを求め、欲して。
手に入れたならばまた次…と欲望が際限なく、吐き出される。
欲望・手段は人によって異なるが、本書の場合はライトなものからダークなのもが織り交ざっており、読み応えとしては十分ではないか。


読後感として残るのは決していいとは言えないかも知れないが、各話が徹底したスタンスで描かれているので、逆に清々しささえ感じてしまうような、切なくも美しいストーリー。

美しくもあり、おぞましい、大人のためのお伽話のような1冊。

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紙の本恋愛嫌い

2010/03/03 21:45

“事実を認めるだけ”そして“ちょっと不幸くらいがちょうどいい”

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

喜世美・29歳、翔子・26歳、鈴枝・35歳。
年齢も勤め先も違う彼女たちが過ごすのはランチ。いわゆるランチ友達という間柄。お互いのプライベートは感知しない。それが暗黙のルール。

そんな彼女たちの共通点は「恋愛嫌い」なこと。


装丁とタイトルからもっと軽いタッチの話を想像していたのだが、なかなかに読み応えのある1冊で良い意味で裏切られた。
恋愛依存症の人からすれば対極に位置するかのような彼女たちだが、本音をいえば彼氏が欲しくないわけではない。
ただ、面倒なのだ。
そんな彼女らが呟く心の声はやけにリアルだ。
そして、自分を客観的に見ているのも大きな特徴といえるのではないか。
そんな自分を肯定するでもなく否定するわけでもなく、ただ余分な肩の力を抜き、あるがままの現状の自分を受け入れている。
作中でのコップの例えがいい例だ。


コップの中ほどまで入っている水をみて、あなたは「もう」「まだ」半分あると思うかの問いに対して鈴枝は、
「“コップに水があるなぁ”とその事実を認めるだけ」と。


その受け入れ方が潔く、気持ちよいとさえ思えてしまえるのは私だけではないはずだ。
恋愛嫌いではあるけれど(というか不器用なだけなのだ)、それぞれが自分なりの価値観を確立し、少しずつながらも前進してゆくさまが微笑ましく、応援してしまいたくなる。


自分探しに疲れたときに読みたい1冊。

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紙の本水の時計

2010/05/14 22:11

湖面に湛えられた月のように

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

読後、ストーリー的には違うんですが、内包している雰囲気が断片的にですが、浅倉卓哉さんの「四日間の奇蹟」に近いものがあるなぁと感じました。


「脳死」、「臓器移植」という重たく、そして繊細なテーマを扱いながらも冒頭に出てきたオスカー・ワイルドの「幸福の王子」の持つ物語のイメージを壊すことなく、むしろそれを使うことによって「幸福の王子」と「水の時計」という両書を見事に際立たせています。
どちらも死ぬことなく、活かされていてあっちを思い出せばこっちも一緒に思い出してしまう、そんなイメージでしょうか。
見事に重ね合わせながら進んでいく展開は秀逸です。


そして主人公・すばると葉月との関係といった謎が散らばっていて、ミステリーとしても読めはするんですが、これも前出の「四日間の~」と同様に薄めの味付けになっています。
オムニバス形式の構成で、作中の人物たちがそれぞれに背景となるものを抱えていて読ませられます。
欲を言えば、すばるが運び屋をする運搬シーンを盛り込んで欲しかったですね。
せっかく冒頭部分で特殊な機械を使うというような説明があったので、尚更です。


何箇所か引っかかったりする部分もありましたが、惹きつけられる作品であることに変わりはありません。
全体的に幻想的でそれこそ湖面に月を湛えたような、静かだけれども印象に残る作品でした。
すばると葉月が痛々しい。ツバメの巣の描写の意味を考えると…。
この本に興味を持たれて読んだ方は是非、その意味を考えてみてください。





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紙の本瑠璃でもなく、玻璃でもなく

2010/05/14 22:40

愛でもなく、恋でもなく

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

唯川さんの著書を読むのは本書で2作目である。
以前読んだのは「さよならをするために」だった。
正直、読んだときは主人公たちの若々しさが目に余ってしまい、感想としては「あら、若いって素敵ね」くらいのもんだった。


そんなわけで、しばらくの間唯川さんの本を読むのを敬遠していた。
で、今回勇気を持って(というとちょっと大げさに聞こえるかもしれないが)本書を読んだ。

今回の主人公は一人の男と軸として絡む「恋」側の美月と「愛」側の英利子。
「さよなら~」よりも年齢が上がったせいか、二人の女性の立場というよりは、置かれている環境であったりに共感できる部分は前回よりも格段に多かった。

人間の欲望はキリがない。
そしてたちの悪いことに「隣の芝生は何とやら…」だ。

本書は不倫を扱った話ともいえるが、私としてはそこに焦点を当てたかったというよりは対極といえる位置関係にある二人の女性を対比させることで、それぞれの生き方を浮き彫りにしたかったのかな?と穿った見方をしてしまった。
言わば料理を引き立てる“スパイス”として不倫が用いられたのではないかと考えたのである。


もちろん、不倫はイケナイコトで皆頭では理解していることだ。
理解できていれば、それをしないで済むかといとそれは別物。
理解しているだけでそれを避けられるかというとそうでないから厄介なのだとも思うが…。


そして余談ながら、「瑠璃でもなく、波璃でもなく」を私は「濃いでもなく、愛でもなく」という意味に受け取った。
そのこころは…
是非その目で確かめてみてください。

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秘められた願いを建物に託した造家師

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

とても幻想的、かつ不思議な魅力を持った1冊でした。
そして、これがデビュー作だと思えないくらいの見事な構成。

明治から大正時代にかけての1人の造家師を本人が語るのではなく、建築の依頼主や彼を取り巻く人たちが語ることによって読者は否応なしに彼の人となりを自分の想像力によってのみで作り上げられていきます。
依頼者の心に秘めた「願い」を建物の姿に変えていく彼の人物像は非常に興味深いです。
しかし、泉二自身が最後まで彼自身が姿を現すことなく、語ることも無く。
ミステリアスなまま。
彼の人となりは最後まで他人の眼・口・耳を通して語られるのみで、それがさらにこの話のなかに登場する造家師・笠井泉二という1人の人間の奇妙さであり、繊細さ、やさしさが際立っているように感じました。


デビュー作とは思えないような建物の描写であったり、全体を包む幻想的な雰囲気、構成力。そしてなにより文章が簡潔で余計な飾りをつけずとも奥ゆかしさを感じる不思議。
ただ、残念なことにこれは私自身の問題なんですが、少し読みづらかったです。
それでも、それを凌駕するリーダビリーティーと文章の巧さがあり、次作、「ロスト・トレイン」も必ず読みたいと思う。

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紙の本太陽の坐る場所

2010/02/06 19:54

子どもと大人の狭間で

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

かつての同級生であり現在は女優となった「キョウコ」。彼女を自分の主催・もしくは出席する同窓会へと担ぎ出そうと必死にコンタクトを取る、数人の男女。
その男女各側面から描かれた群像劇といった趣の本書。
全体を通しての居心地の悪さ、暗さが身近に迫ってくるようだった。

主に女という生き物の怖さだけでなく、醜さ、哀しさ愛おしさといった様々な女性であればきっと誰しもが味わったことがあるだろう感情のオンパレードでそしてそれが実にリアルに描かれている。

高校生時代、子どもと大人の狭間で大人顔負けの駆け引きをしてみたり、それとは逆に子どもじみた嫌がらせをしてみたり。
まさに子どもと大人の間の過程にある彼・彼女の痛々しさ・残酷さが生々しい。
そんな彼らもいい大人となり、家庭を持ったもの、仕事に勤しむものなどの内面も切り取られる。
成長してすっかり社会に馴染んでいるものもいれば、学生時代から相変わらず…といったものもいる。
そんな彼らの生々しい感情の揺れ動きが理解できる方は大勢いるのではないか。

重々しいが群像劇としてだけでなく、叙述ものとしてもアッと驚く仕掛けが用意されているので、そちらにも注意して読んでいただきたい1冊。

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