桜李さんのレビュー一覧
投稿者:桜李
舟を編む
2012/02/09 14:51
ことばへのこだわりは辞書への愛に変わる
21人中、17人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
タイトルからは何の話だかさっぱり想像がつかず。
今回、本屋大賞の候補作品ということで興味を持ち、あらすじを見てみると辞書編纂の話だという。
今までに出会ったことのないテーマの物語だと思い、早速購入しました。
辞書編集部に異動してきた風変わりな若者・馬締を中心に、チャラ男っぽいが実は繊細で生真面目な西岡、ことばを愛する学者の松本先生や、無愛想な佐々木さん・・・数人の変人に囲まれて、新しい国語辞典『大渡海』は創られていく。
中学生の頃、父親から買ってもらった"広辞苑"が私にとって初めての大型辞書でした。
片手に収まる持ち運びやすい、軽くて使いやすい辞書を放置して、いちいち両手で抱えなければならない上に、机の半分くらいのスペースを必要とする広辞苑でいろんなことばの意味を追いかけた学生時代。
どうしてあんなに魅了されたのか自分でも不思議でしたが、この本の登場人物たちのことばへの執着だけでなく、装丁や、紙質のことを読んで、あの感覚はぬめり感というのか。確かに裏写りしてないぞ。と納得。
わからなくて意味を調べてるのに全く意味が解説されてない項目があることも思いだし、笑ってしまいます。
ひとつの言葉に対して複数の意味があって、辞書によって書き方や挿絵も違っていて。
ああ、そうか。
私は辞書のそういうところが好きだったんだね。
と、今更ながら具体的な魅力に気付かされました。
辞書一冊を世に送り出すのって、すごいことなんだと思いました。
更に、その作業に関わり、達成できたらどんなに素敵だろう。
辞書をめくりたい。編集部で、辞書部門で働いてみたいと思わせる一冊。
今は電子辞書が主流と聞きます。便利でいいと思いますが、辞書の魅力も知ってほしい。
その"とっかかり"として、是非学生さんたちに本書を読んでもらいたい。
今晩にでも、広辞苑をめくってみよう。
三匹のおっさん ふたたび
2012/04/10 11:59
帰ってきた三匹のおっさん!
15人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
文句なしに面白いです。
"ふたたび"ということで、シリーズ二作目になりますが、この巻から読んでも楽しめる。もちろん、最初の作品を読んでいればもっともっとニヤニヤできる作りになっています。
還暦を過ぎ、子供もある程度手の離れたお父さんたち三人が、自警団となり町の問題を斬りまくる!前作に引き続き元気な三匹が痛快に立ち回ります。
まずは清田家。お嬢さん育ちの貴子さんがパートを始めるも、慣れない仕事と女性だらけの職場で人間関係に悩む。更に金銭トラブルにも巻き込まれ・・・・!?もう散々。しかしこれも社会勉強。世間知らずの貴子さんがひとまわり成長するお話。
前作では嫌~な嫁だと思っていたけど、好感度アップです。
次は万引き被害に苦しむ書店を舞台に。
1冊400円の漫画を買った時、書店はいくらの儲けになるの?この件にはあとがきで作者さんも触れてますが、では印税はいくらなの?印税と書店利益を差し引いた儲けは何に使われるの?
私も前から気になってた、素朴な疑問の答えにびっくり。
万引きだけでなく、新古書店のあり方、立ち読みなどとても考えされられるお話だと思います。これ知ったら万引きなんて絶対できないでしょ!
色々わかったうえで、書店の店長さんが万引き少年たちに下した采配は、素晴らしいの一言に尽きます。
さらに、町内のゴミ問題や、不況にあえぐ商店街の活性化。そしてノリさんの再婚話が持ち上がり、大学受験を控えナーバスな早苗ちゃんが揺れ動き、更には"偽"三匹のおっさんが現れ、引っ掻き回されるというドタバタなお話も。
前作よりも身近な問題が多く、さくっと感情移入できます。
とにかく二話目の万引きの話は印象的。万引き防止用のカメラ、鏡なんか設置してたら利益なんて吹っ飛んでしまう。そうして立ち行かなくなると、私達にとって大切な書店が町から消えてしまう。そんなことにはなって欲しくない。
万引き問題だけでなく、身近な漫画本一冊の値段の内訳についても、大人はもちろん子供にも読んでもらいたい一冊です。
最後に、巻末の短編。
既刊「植物図鑑」を読了された方はつい、ふわっと笑ってしまいますね。まさかこんなところでクロスオーバー作品に触れられるとは!
ナミヤ雑貨店の奇蹟
2012/05/02 13:28
30年という時の歪みが引き起こす奇蹟
12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
たった今、盗みを終えた三人の男。
逃走用の車が想定外に止まってしまい、仕方なく逃げ込んだ廃墟。
今はもう使われていない「ナミヤ雑貨店」の店内で、男たちは牛乳箱を通じて奇蹟を体験する――
悩み相談のナミヤ雑貨店の店主は、幅広く悩み相談に応じていた。
「勉強せずにテストで百点を取るにはどうしたらいい?」「両親が夜逃げを計画しているけど僕はどうするべきか?」
軽いからかいの質問から本気な内容まで、時にとんちで勝負、時に真摯に。
前者への回答は"生協の白石さん"を彷彿とさせたとんちの効いた答え。
そして30年後・・・
廃墟と化した建物にはまだ牛乳箱があり、悩みを書いて入れると返事が返ってくるという。
心温まる大人ファンタジー。
こういう色合いの作品は「時生」以来でしょうか?久しぶりだなぁ。東野氏のミステリーも好きだけど、こういう優しいお話大好きです。
30年の時を超えて手紙のやりとりをする。
悩みを書いて牛乳箱に入れると、30年先の未来から返事が届く。
どうしてこのような不思議なことが起こっているのか、一切説明はありません。あくまで、そういう現象があるんだということを前提に物語は展開していきます。この辺がファンタジーかな?
しかし、緻密さは相変わらず。5編の連作短編ですが、読むほどに引きこまれていきます。
正直、1話はそれほどいいと思わなかった。でも2話で、あれ?と思い、3話でどっぷり。
いろんなところが繋がってます。そして全てが交錯し、最後にはひとつの形を創りあげる。とても立体的。
そんな中で、たくさんの人の悩み、そしてそれぞれの答えが描かれています。どれも正解で、どれも不正解。答えって案外頼りない。生きていくのは自分で、道を拓くのも自分なんだ。
悩んで、ほっとして、ほろりとして、生きるため精一杯の努力をすることがとても大切なんだと思った作品でした。
3月のライオン 7 March comes in like a lion (JETS COMICS)
2012/03/30 16:45
イジメ問題に言及
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ひなちゃんの巻。
相変わらず、物語の半分弱しか将棋をしない将棋漫画。(笑
学校生活における永遠の課題"イジメ"をテーマに持ってきた6巻から引き続き、イジメに対して言及していく。
結論から言えば、理想に徹しすぎている感は否めない。ただ、解決策のひとつであることも確かだと思う。
子供のイジメって、自覚なし、きっかけは些細なこと。からかい半分で始め、加減できずに行き着くところまで行ってしまい、同級生も大人も手を出せなくなってしまうケースが多いように思う。
"思いやり"に欠ける加害者と、自分では対処できず理不尽に追い詰められる被害者。
どちらの気持ちも、対処したいんだけどできない先生の立場も、とことん描かれているので読んでいて苦しい。
ひなちゃんの場合は、親身になってくれる主人公、いつも寄り添ってくれてるお姉さん、家族に恵まれているのが、少しだけ救われた気分になれる。
倒れた担任に代わってクラスをまとめ始めた学年主任が、真正面から生徒たちと向き合うシーン、よかったです。
「転校する者が出る程のいじめがあったのに、お前ら38人もいて当事者以外誰一人声を上げず、ここまで見て見ぬフリをして来た代償だから」
最後に、扉絵がひとつのお話になっていて可愛い。重いテーマの中で、ほっと癒される1ページ。
そして女の子はやっぱりスイーツよね!甘いもの食べて、笑って、少しリフレッシュ。
盛大にトッピングされたデザートは、家族からひなちゃんへの愛だね。
次からは、ちゃんと将棋の話になるみたいです。
茅田砂胡全仕事1993−2013
2013/12/16 09:53
集大成でしょう
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
学生の頃、デルフィニア戦記にはまり、学生にとっては1冊900円と値の張るものだったにも関わらず一気に18冊揃えてしまったのを思い出します。
それから、スカーレット・ウィザードに桐原家、レディ・ガンナーと追いかけ、社会人になってだいぶ経った今、当時ほどの情熱は失われていました。
友人から、発売されるよと連絡を受け、記念のつもりで購入。
・・・だったはずなのにね。
この厚みの半分程度を占めるデルフィニア戦記に涙しました。
クロスオーバーな作品なので、色々と思うところはあるし、金銀黒について突っ込みたいことも多々あります。
それを吹き飛ばすくらい熱いものが、この本にはあります。
おそらく、リィが王様と繋がる、最後の物語。ほんとうの最終回はここにあります。
あの頃の気持ち、思い出させてくれてありがとう。
買って良かったです。
JUNAさんの家族を幸せにする毎日のごはん
2012/03/02 15:52
自宅にある材料で簡単おいしい毎日ごはん
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
料理本って、作り手さんの味の好みによって当たり外れが多いうえに、自宅に常備してない調味料が至極当然に使われていてどうにも作れない。だったら目分量で独学で作った方がいいじゃないか。失敗なんて怖くない!・・・なんて開き直りの境地に至ることが多いです。ほんとうに。
そんな中で出会った料理ブロガーJUNAさんのレシピ本。
何がいいって、バルサミコ酢・オイスターソース・ワインビネガー・XO醤なんて出てこない。まして小さじ1杯の生クリームなんて、余ったらどうすれば!?という悩みが完全解消。使わずに美味しいものが作れるならそれが何より。
自宅にある調味料で。塩コショウ醤油があれば作れるよ!というレシピ満載。あ、全体的にコンソメの出番が多いような気もします。
味付けは、基本は分量通りで、味見して調整すれば美味しいごはんの完成です。メニューに困ったらさっと一読。目に止まったものを作り、気に入ったら味を自分好みに少しずつ改良してリピートしています。
がっつり系のレシピが多いので、男性にも喜ばれると思います。実際、私の連れはJUNAレシピを気に入って、本棚から本を出してきて自分で作ってます。肉料理ばっかりだけど・・・
ピアノの森 21 The perfect world of KAI (モーニングKC)
2012/02/01 21:15
やっとここまできた!
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
私は、休載や掲載誌廃刊をはさんだ後、移籍し長らく休載していたり、不定期連載でコミック化もままならない時期もあり、それでも続きが読みたくて待ち続けてるファンの一人です。
20巻を読了して、やっと!という思いが強いです。
区切りの巻というわけではないけれど、カイは慕っている先生からの卒業を迫られ、大好きな友・雨宮からは決別を言い渡され散々。
そんな中で、雨宮はカイへの憧れと嫉妬を受け止め、真正面からカイと向き合えそうな展開。雨宮パパとの微妙なすれ違いも、成長過程のひとつとして。
内容はショパン・コンクールの予選を経て本線に突入。
まさかの雨宮予選落ちにショックを受け、コンクールの結末が気になりつつカイたちの人間関係にどぎまぎしつつ、いつ発売されるかわかりませんがピアノの森が奏でる音を、今後も楽しみに待ちたい。
下町ロケット 1
2012/03/25 21:00
技術者魂と経営者魂に生きる佃社長の痛快物語!
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ロケットエンジンの研究者であった佃は、ロケットの打ち上げ失敗の責任を取って退社。父親が経営していた佃製作所を継ぎ、社長となった。
ある日、自社開発の水素型エンジンの大口納入先からキャンセルが出る。売り上げが落ち込む中、大手の中島工業から特許侵害で訴えられるなど泣きっ面に蜂状態。
経営難を重く見た銀行には融資を断られ、崖っぷちの佃製作所は持って一年。
社長としての選択・決断を下すと共に、ロケットへの夢を諦めきれていない佃は、この危機をどう乗り越えていくのか。
テーマはふたつ。
・200人の従業員の人生も背負っている経営者として合理性のある決断を下し、会社を繁栄させること。
・ロケットの開発に携わりたいという、いち技術者としての夢を追いかけること。
訴訟問題といい、特許使用問題といい、大企業の容赦ない圧力に耐え忍び、反撃さえしようとする中小企業の佃製作所目線で物語は進んでいきます。
司法に持ち込まれたら資金力の小さい中小企業はひとたまりもない上に、訴訟問題に巻き込まれてるタイミングで大企業はここぞとばかりに足元を見た交渉を仕掛けてくる。
「会社が小さいからって舐めんじゃねぇ。」この言葉にものすごい気迫を感じ、小さい会社だからって負けるんじゃねぇ!とエールを送りたくなります。大企業には頭を下げ続けるしかないと諦めがちな思考にガツンと衝撃が走ります。
そんな会社社長としての立場以上に、佃社長は開発への意欲が旺盛。儲けたお金で研究を続けたい。だが、社員はそれよりも自分たちに還元の方向を希望する。夢だけじゃ家族は養えない。
私は中小企業の社員ですが、いつ成果が出るともわからない途方のない研究をするよりも、地道な作業で現状維持を望むと思います。だから社員たちの社長に対する反発心はとてもよくわかる!
結局、反発しつつも一丸となって大企業を退け、社長と一緒に夢を追いかけることになるのですが・・・社長目線の本書を読んでいると、いい社長じゃないか。社長がどんな道を選択しても、ついていくべきだ。と思ってしまいます。
矛盾してますが、どっちの気持にも寄り添える。これは物語だからできることなんですよね。
ちはやふる 16 (BE LOVE KC)
2012/03/22 10:56
クイーンとの対決第二弾。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
右手を負傷することで、左取り(クイーンは左利き)のコツを学び成長する千早。
少しずつ、クイーンのレベルに近づいていく。
そして太一はやっと、自分のためのかるたを取って決勝戦へ。勝てる!・・・と思いきや、やっぱり最後は千早のために気負ってしまい展開が読めなくなった。
そして新は敵。かるたのライバルであり、恋のライバル!?ますます見逃せない展開で、つい本誌を立ち読みして先を知ってしまった。(笑 そのくらい勢いのある16巻!
かるたバカの千早をとりまく人たちが素敵。
太一も、新も、机くんも肉まんくんもかなちゃんもみんな一生懸命で、優しい。
とにかく熱い競技の中でも、クスっと笑えたりほっとしたり、読んでて忙しいのが心地よい作品です。
少し変わった子あります
2012/03/16 10:17
沈黙さえも嗜好に変える、絶品の孤独。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
後輩から教えてもらった料理店。
女将は、きれいな人なんだろう・・・整った顔立ちだが、どうも印象に薄い。
料理は、美味しい。 訪れる日によって変わる料理、確かに旨い。というか、不味くはない。
でも、劇的に旨いとか、そういうことはない。
店の場所は、いつも変わる。同じ場所に店を構えていることはない。
看板も広告の類もない。
奇妙な料理店。
それでも私は何故か、通ってしまう。
食事の際は、女性が一人同伴する。
その女性も、毎回違う顔ぶれだ。特にどうということもない、普通の女性。
一度同伴した者と、二度と会うことはない。
初対面のその者に、毎回料理を奢るという形になるのだが、 2人で料理を食べ、とりとめもない話をし、その仕草を見る。
ご馳走様でした。と彼女は去っていく。
それで終わり。 ただ、それだけだ。
何故こんなにも、惹かれるのだろう?
少し変わった子がいるだけのこの店に。
沈黙さえも嗜好に変える、絶品の孤独。
とにかく不思議ワールドです。
少し変わった子あります
もう少し変わった子あります
ほんの少し変わった子あります
また少し変わった子あります
さらに少し変わった子あります
ただ少し変わった子あります
あと少し変わった子あります
少し変わった子終わりました
まず、サブタイトルを見て、なんじゃこりゃ。です。
でもいつの間にか引き込まれて、 気付いたら読み終わってた。
最後に、あっ、そうなんだ!という思いを残して。
これ以上は、このお店に入った者にしか味わえません。
学園アリス 26
2012/02/27 11:00
最終章に向けて加速中
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
花ゆめ掲載の学園物にしては不穏すぎる展開。だからこそ花ゆめ年代を卒業した今でも楽しみに買い続けることができるんだろうなぁ。
そんなシリアス一直線の物語の中でもちょこちょこっと笑わせてくれるところが大好きです!
設定では蜜柑や棗たちみんな小学生。学園への強い想いや恋愛模様を見るかぎり小学生なんて嘘でしょう!?といつも思いながら読んでます。
前巻あたりから、棗から蜜柑への想いがストレートに表現されていてとてもキュンキュンします。小学生って設定は頭の隅に放り投げておくのがいいでしょう。
本誌では最終章に突入したということで・・・次巻以降も期待して待ちます。
ちはやふる 15 (BE LOVE KC)
2012/01/27 17:49
太一が熱い!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
最近になって一気読みしたちはやふる。
競技かるたという、あまり知られていない分野を描く。
へぇ、かるたって競技なんだ・・・と読み進めるうちに本当にかるたをやってみたくなる。
この15巻は、全国大会の団体戦決勝編。
ちはやが怪我!?というところで終わっていた前巻。どうなるやらとヒヤヒヤしていたときの原田先生の言葉「怪我はした方よりさせた方が動揺する」・・・深いですね。
そしてクールガイな太一が、ぐいぐいとチームを引っ張る。読了後に表紙をみるとまたしっくりくる。
瑞沢高校一丸となって戦う決勝戦。勝つのは―――!??
目が離せない展開。
クイーンの動きにも注目しつつ読んでもらいたいです。
ゴーストハント 7 扉を開けて
2012/01/04 10:00
待った甲斐があった。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
とうとう最終巻。最初に出会ったのは高校生の頃。図書室で見かけはしたもののまだ小野氏の魅力を知らず、挿絵が苦手なのも手伝って手に取らないまま卒業。
時既に遅し・・・読みたいと思っても手に入らない悔しさを抱えて10年が経ちました。
リライトを知って心躍り、続刊をわくわくしながら発売を待った2011年。ゴーストハントが彩ってくれた一年になりました。
最終巻は今まで以上の期待をこめてまず、表紙をめくってみる。そしてラストを想像しつつ読みましたが、そういうことか!と納得の結末。巻を追うごとにぼーさんが格好良くなっていって、今回もまた素敵です。麻衣が霊に語りかける場面は心が熱くなります。
単なるホラーでは終わらない。メンバーみんなの未来が、光が見える一冊。読了後、抱きしめたくなる一冊。
そして全巻を通して、装丁が秀逸で楽しませてもらいました。
――読みたいと思ったときには既に絶版。読める日が来ようとは思ってもみなかった。リライトありがとう!落ち着いたら十二国記を完結させてください。(笑
バイバイ、ブラックバード
2012/01/03 12:56
これぞ伊坂カラー。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
どこにでもいそうな、どちらかというと冴えない男が繭美という巨体でデリカシーも何も無い女と一緒に、五股かけていた女性各々に別れを告げに行く話。・・・というと魅力を感じないのだが、キャラクターの魅力にどんどん引き込まれていく。
間違っても連れて歩きたいなんて思えない(見た目も性格も)繭美だけど何故か憎めず、段々嫌いじゃなくなっていき、最終的には愛着さえ湧いてくる。
都合の悪い言葉は全て辞書を塗りつぶしてるというネタだけで何度か笑える。
最後は賛否両論だろうけど、きちんと収めない方が本書の魅力が増すような気がするので私は賛成派。
アナン、 上
2012/03/19 16:18
リアルとファンタジーの間で流れていく優しい物語。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
東京に初雪が降った日、流という名のホームレスは、高級料亭のゴミ捨て場で生まれたばかりの赤ん坊を拾う。
アナンと名付けられたその赤ん坊は、ホームレスの流(ナガレ)と、その仲間たちによって育てられる・・・
そして彼らはアナンの不思議な力に気付く。 アナンを前にすると、心に秘めた暗い部分を何故か話してしまう。
話したあと、ほっと癒されている自分がそこにいる。
成長したアナンはタイルやガラスを使ったモザイクに非凡な才能を発揮し、モザイクを媒体に、人々を癒していく。
それを見た流は、このままではいけないとアナンを連れてホームレスを離脱する。
この物語は、アナンが13歳のところで終わりを告げる。 そこには彼の未来が垣間見えているようだ。
それぞれに過去を抱えるホームレスたち。それぞれがアナンに愛情を注ぎ、必死に育てていく。
リアルとファンタジーの間で流れていく優しい物語。
以前読んだ東野圭吾氏の"虹を架ける少年"と似た部類のお話になってます。
ただ違うのはラストでしょうか。
東野氏の方は、あれ?これで終わり?と思ってしまうような・・若干中途半端なラストに対し、
こちらはある程度納得できる終わり方になってます。
飯田・梓コンビと言えば、ナイトヘッドや、アナザヘブンなどのミステリーホラー系で知られていますが、
この作品にはまた違った味わいがあります。
あったかくて切ない一冊。
