桜李さんのレビュー一覧
投稿者:桜李
2013/12/16 09:53
集大成でしょう
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
学生の頃、デルフィニア戦記にはまり、学生にとっては1冊900円と値の張るものだったにも関わらず一気に18冊揃えてしまったのを思い出します。
それから、スカーレット・ウィザードに桐原家、レディ・ガンナーと追いかけ、社会人になってだいぶ経った今、当時ほどの情熱は失われていました。
友人から、発売されるよと連絡を受け、記念のつもりで購入。
・・・だったはずなのにね。
この厚みの半分程度を占めるデルフィニア戦記に涙しました。
クロスオーバーな作品なので、色々と思うところはあるし、金銀黒について突っ込みたいことも多々あります。
それを吹き飛ばすくらい熱いものが、この本にはあります。
おそらく、リィが王様と繋がる、最後の物語。ほんとうの最終回はここにあります。
あの頃の気持ち、思い出させてくれてありがとう。
買って良かったです。
紙の本僕等がいた 1 (Betsucomiフラワーコミックス)
2012/06/01 14:22
時は重く残酷なもの。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
恋愛物の少女漫画を手に取ったのは何年ぶりだろうか。
クラスの人気者な男の子と、カワイイ女の子が出会って恋に落ちる。波乱万丈あって2人は・・・という王道を駆け抜けた16冊。
展開は読めるし、感情移入しすぎて泣いてしまうことはなかった。
でも、登場人物たちが発する言葉の重みがすごい。
「彼はその時 まだたったの15歳で そして今 まだほんの16歳で 支えなければならない現実は いつも彼の体より 大きい」
「高橋が溺れているのが おまえには見えないのか」
「壊したくないのに 壊れた 一番幸せだった瞬間が境目」
お気楽に読めるほんわか恋愛物とは違います。
学生時代の恋っていいな。この頃の精一杯っていいなって思いながらも、人と人の繋がりや、自分を取り巻く環境。決して順風満帆ではない境遇で、自分はどう生きるのか。
それぞれの生き様に寄り添って読んでもらいたいです。
紙の本ナミヤ雑貨店の奇蹟
2012/05/02 13:28
30年という時の歪みが引き起こす奇蹟
12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
たった今、盗みを終えた三人の男。
逃走用の車が想定外に止まってしまい、仕方なく逃げ込んだ廃墟。
今はもう使われていない「ナミヤ雑貨店」の店内で、男たちは牛乳箱を通じて奇蹟を体験する――
悩み相談のナミヤ雑貨店の店主は、幅広く悩み相談に応じていた。
「勉強せずにテストで百点を取るにはどうしたらいい?」「両親が夜逃げを計画しているけど僕はどうするべきか?」
軽いからかいの質問から本気な内容まで、時にとんちで勝負、時に真摯に。
前者への回答は"生協の白石さん"を彷彿とさせたとんちの効いた答え。
そして30年後・・・
廃墟と化した建物にはまだ牛乳箱があり、悩みを書いて入れると返事が返ってくるという。
心温まる大人ファンタジー。
こういう色合いの作品は「時生」以来でしょうか?久しぶりだなぁ。東野氏のミステリーも好きだけど、こういう優しいお話大好きです。
30年の時を超えて手紙のやりとりをする。
悩みを書いて牛乳箱に入れると、30年先の未来から返事が届く。
どうしてこのような不思議なことが起こっているのか、一切説明はありません。あくまで、そういう現象があるんだということを前提に物語は展開していきます。この辺がファンタジーかな?
しかし、緻密さは相変わらず。5編の連作短編ですが、読むほどに引きこまれていきます。
正直、1話はそれほどいいと思わなかった。でも2話で、あれ?と思い、3話でどっぷり。
いろんなところが繋がってます。そして全てが交錯し、最後にはひとつの形を創りあげる。とても立体的。
そんな中で、たくさんの人の悩み、そしてそれぞれの答えが描かれています。どれも正解で、どれも不正解。答えって案外頼りない。生きていくのは自分で、道を拓くのも自分なんだ。
悩んで、ほっとして、ほろりとして、生きるため精一杯の努力をすることがとても大切なんだと思った作品でした。
2012/05/02 10:29
フィギュアスケート初心者向け
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
長年のフィギュアスケートファンな私に友人が「フィギュアスケートの漫画があるよ!」と薦めてくれたのが本書でした。
フィギュアを題材にしたものは珍しいなとワクワクしながら全11巻を読了。
優秀な兄弟たちと、優秀な子にしか目をかけない両親に育てられた吹雪は、喧嘩に明け暮れた日々を脱しフィギュアスケートの道へ走り始める。
シングル・ペアを両立し、更にはブリザードアクセルと呼ばれる5回転半のアクセルジャンプに挑む!
無理!(笑
真面目に読んでるとほんと色々突っ込みたくなります。現在のアクセルジャンプ最高峰はトリプルアクセル。
数年後にはもしかしたら試合でクワドラブルアクセルを跳ぶ選手が現れないとはいいませんが、現状では不可能。ペアとシングルを両立し、両者で成功を収めることも不可能。
無理でしょーーーっ!!と強く叫びながら結局全巻読んでしまいましたが・・・。
物語の途中に挟まれた、各種技の解説はすごく解りやすいです。競技で見ていてもジャンプの種類は見分けにくく、これを読んで試合を見ると何となく区別がつくようになるようです。(友人がだいぶ見分けられるようになってました)
ジャンプに目がいきがちですが、ステップの細かい解説もあり大変興味深かったです。
スポーツコメディだと思って読めば面白いです。現実にはありえない技を連発するあたりはキャプテン翼を思い出しました。
内容としては、吹雪がフィギュアスケートを始めた頃に絡みのあったキャラクター数人が最後まで活躍せず、尻切れな感じが残念です。
フィギュアのルールはほぼ毎年改正されているので古い情報になってしまいますが、基本的なことを楽しく理解できるシリーズだと思いました。
紙の本るろうに剣心 01 明治剣客浪漫譚 完全版 (ジャンプ・コミックス)
2012/04/17 16:01
懐かしさから手にとって・・・
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
るろうに剣心は、私が中学生になる頃アニメ放送されていた作品。
当時その時間にテレビのチャンネル権がなく、同級生の間で流行っていたのを横目に眺めていました。
そして今さらながらに読んでみた完全版全23巻。
"るろうに"とは"流浪人"の意。
明治時代初期を舞台に、流浪人の緋村剣心が人斬り時代の過去を背負い、仲間に出会い、解きほぐされていく物語でした。
剣心が、薫や弥彦、左之助など主要人物たちに出会い、本格的に物語が動き始めるまでは今ひとつ。
あれだけ人気があったのにこんなもん?という印象でしたが、最初の山場である志々雄真編が走りだすと私の読む速度も猛スピードで走り出しました。
この作品のいいところは、敵には敵の主張があって。剣心たちが正しいとか、正義だとか、そういうのではなく、それぞれが思う方向に向かった結果戦わざるを得なかった。という展開。
敵であっても好感が持てるキャラクターがたくさんです。
志々雄真編の後には、雪代縁編。
緋村剣心が緋村抜刀斎であった頃の業を背負い、懊悩し、答えを見つける。
仲間たちともどこか距離をおいていた剣心が、心から仲間を想う。過去に決着をつけ、新たな道を進み始める――
きれいに収まった結末は、読了感が清々しい。
その後を描いた番外編も収録されていて、成長したみんなの姿に感動しました。
紙の本ブレイブ・ストーリー 上
2012/04/16 16:36
王道の冒険ファンタジー
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
東京に住む小学校五年生のワタル。
幸せだったはずの毎日が、ある日突然暗闇に染まった。
父親の浮気、狂っていく母親、父の子を身篭った愛人。
壊れていく日常の中、ワタルは"幻界"(ヴィジョン)への入り口を見つける。
"幻界"
そこは現世に生きる人々が作り上げた幻の世界。
運命の塔にたどり着けば、"幻界"を創った女神が一つだけ願いを叶えてくれるという。
ワタルは自らの不運な運命を変えるために"幻界"へと旅立った!
"幻界"には、もう一人旅人が来ていた。
同級生のミツルもまた、運命を変えようと旅をしていた。
高度な魔術を操り、邪魔者はなぎ払い、犠牲者を数多く出しながら強引に前進していく。
ミツルが進んだ後には残骸が残る。
仲間に助けられながら必死に旅を続けるワタルは、ミツルの後を追うように塔に辿りつく。
塔で闘う最後の敵は!?ミツルは運命を変えられるのか。ワタルの願いは叶うのか。
二人は最後に、何を願うのか。
少年が異世界を冒険するという、まぁ、よくあるファンタジー。
ただ、作者が"クロスファイア"や"模倣犯"で有名な宮部みゆき氏ということで、今回手に取ってみました。
全体的に読みやすいです。 普段本を読まない人も読める感じ。 ティーンズ向けだと思いますが、ワタルの家庭内の不和で描かれる ヒトの嫌らしい部分、醜い部分、理不尽さなどがかなりリアルに描かれているあたりは大人向けかな。
ページ数の約1/3を費やして描かれるこの修羅場な導入部分だけでぐいぐいっと引きこまれます。
臆病でゲームが大好きな現代っ子ワタルが、才色兼備なミツルに真っ向から挑んでいく。圧倒的な差を見せつけられてもめげない。仲間と助け合い、自分の信じる道を走り抜く姿・・・王道路線で描かれたこの姿はいくつになっても忘れてはいけない心意気だと思いました。
世界を創り変えることはできない。けれどこれからの未来を創ることはできる。
乗り越えていくのは自分だから。
紙の本三匹のおっさん ふたたび
2012/04/10 11:59
帰ってきた三匹のおっさん!
15人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
文句なしに面白いです。
"ふたたび"ということで、シリーズ二作目になりますが、この巻から読んでも楽しめる。もちろん、最初の作品を読んでいればもっともっとニヤニヤできる作りになっています。
還暦を過ぎ、子供もある程度手の離れたお父さんたち三人が、自警団となり町の問題を斬りまくる!前作に引き続き元気な三匹が痛快に立ち回ります。
まずは清田家。お嬢さん育ちの貴子さんがパートを始めるも、慣れない仕事と女性だらけの職場で人間関係に悩む。更に金銭トラブルにも巻き込まれ・・・・!?もう散々。しかしこれも社会勉強。世間知らずの貴子さんがひとまわり成長するお話。
前作では嫌~な嫁だと思っていたけど、好感度アップです。
次は万引き被害に苦しむ書店を舞台に。
1冊400円の漫画を買った時、書店はいくらの儲けになるの?この件にはあとがきで作者さんも触れてますが、では印税はいくらなの?印税と書店利益を差し引いた儲けは何に使われるの?
私も前から気になってた、素朴な疑問の答えにびっくり。
万引きだけでなく、新古書店のあり方、立ち読みなどとても考えされられるお話だと思います。これ知ったら万引きなんて絶対できないでしょ!
色々わかったうえで、書店の店長さんが万引き少年たちに下した采配は、素晴らしいの一言に尽きます。
さらに、町内のゴミ問題や、不況にあえぐ商店街の活性化。そしてノリさんの再婚話が持ち上がり、大学受験を控えナーバスな早苗ちゃんが揺れ動き、更には"偽"三匹のおっさんが現れ、引っ掻き回されるというドタバタなお話も。
前作よりも身近な問題が多く、さくっと感情移入できます。
とにかく二話目の万引きの話は印象的。万引き防止用のカメラ、鏡なんか設置してたら利益なんて吹っ飛んでしまう。そうして立ち行かなくなると、私達にとって大切な書店が町から消えてしまう。そんなことにはなって欲しくない。
万引き問題だけでなく、身近な漫画本一冊の値段の内訳についても、大人はもちろん子供にも読んでもらいたい一冊です。
最後に、巻末の短編。
既刊「植物図鑑」を読了された方はつい、ふわっと笑ってしまいますね。まさかこんなところでクロスオーバー作品に触れられるとは!
紙の本3月のライオン 7 March comes in like a lion (JETS COMICS)
2012/03/30 16:45
イジメ問題に言及
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ひなちゃんの巻。
相変わらず、物語の半分弱しか将棋をしない将棋漫画。(笑
学校生活における永遠の課題"イジメ"をテーマに持ってきた6巻から引き続き、イジメに対して言及していく。
結論から言えば、理想に徹しすぎている感は否めない。ただ、解決策のひとつであることも確かだと思う。
子供のイジメって、自覚なし、きっかけは些細なこと。からかい半分で始め、加減できずに行き着くところまで行ってしまい、同級生も大人も手を出せなくなってしまうケースが多いように思う。
"思いやり"に欠ける加害者と、自分では対処できず理不尽に追い詰められる被害者。
どちらの気持ちも、対処したいんだけどできない先生の立場も、とことん描かれているので読んでいて苦しい。
ひなちゃんの場合は、親身になってくれる主人公、いつも寄り添ってくれてるお姉さん、家族に恵まれているのが、少しだけ救われた気分になれる。
倒れた担任に代わってクラスをまとめ始めた学年主任が、真正面から生徒たちと向き合うシーン、よかったです。
「転校する者が出る程のいじめがあったのに、お前ら38人もいて当事者以外誰一人声を上げず、ここまで見て見ぬフリをして来た代償だから」
最後に、扉絵がひとつのお話になっていて可愛い。重いテーマの中で、ほっと癒される1ページ。
そして女の子はやっぱりスイーツよね!甘いもの食べて、笑って、少しリフレッシュ。
盛大にトッピングされたデザートは、家族からひなちゃんへの愛だね。
次からは、ちゃんと将棋の話になるみたいです。
紙の本下町ロケット 1
2012/03/25 21:00
技術者魂と経営者魂に生きる佃社長の痛快物語!
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ロケットエンジンの研究者であった佃は、ロケットの打ち上げ失敗の責任を取って退社。父親が経営していた佃製作所を継ぎ、社長となった。
ある日、自社開発の水素型エンジンの大口納入先からキャンセルが出る。売り上げが落ち込む中、大手の中島工業から特許侵害で訴えられるなど泣きっ面に蜂状態。
経営難を重く見た銀行には融資を断られ、崖っぷちの佃製作所は持って一年。
社長としての選択・決断を下すと共に、ロケットへの夢を諦めきれていない佃は、この危機をどう乗り越えていくのか。
テーマはふたつ。
・200人の従業員の人生も背負っている経営者として合理性のある決断を下し、会社を繁栄させること。
・ロケットの開発に携わりたいという、いち技術者としての夢を追いかけること。
訴訟問題といい、特許使用問題といい、大企業の容赦ない圧力に耐え忍び、反撃さえしようとする中小企業の佃製作所目線で物語は進んでいきます。
司法に持ち込まれたら資金力の小さい中小企業はひとたまりもない上に、訴訟問題に巻き込まれてるタイミングで大企業はここぞとばかりに足元を見た交渉を仕掛けてくる。
「会社が小さいからって舐めんじゃねぇ。」この言葉にものすごい気迫を感じ、小さい会社だからって負けるんじゃねぇ!とエールを送りたくなります。大企業には頭を下げ続けるしかないと諦めがちな思考にガツンと衝撃が走ります。
そんな会社社長としての立場以上に、佃社長は開発への意欲が旺盛。儲けたお金で研究を続けたい。だが、社員はそれよりも自分たちに還元の方向を希望する。夢だけじゃ家族は養えない。
私は中小企業の社員ですが、いつ成果が出るともわからない途方のない研究をするよりも、地道な作業で現状維持を望むと思います。だから社員たちの社長に対する反発心はとてもよくわかる!
結局、反発しつつも一丸となって大企業を退け、社長と一緒に夢を追いかけることになるのですが・・・社長目線の本書を読んでいると、いい社長じゃないか。社長がどんな道を選択しても、ついていくべきだ。と思ってしまいます。
矛盾してますが、どっちの気持にも寄り添える。これは物語だからできることなんですよね。
紙の本6時間後に君は死ぬ
2012/03/24 14:00
運命に抗い、自ら未来の門を叩き続ける人たちの物語。
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
表題作を含めて5編とエピローグから成る短篇集。
ジェノサイドで高野和明氏の作品に興味を持ち、手にとってみました。
5編に共通するのは、未来のビジョンが見えるという山葉圭史が登場すること。
「6時間後に君は死ぬ」と「3時間後に僕は死ぬ」の2編はテレビドラマ用に描かれたということで、わかりやすく、エンタメ性の高い内容だと感じました。
・6時間後に君は死ぬ
誕生日を6時間後に控えた美緒は街で見知らぬ男から声をかけられた。「君は25歳の誕生日を迎えた瞬間に刺されて死ぬ」と。
不審に思いつつも美緒は、予言者・圭史と共に未来を変えようと行動するが、事態は予言通りに進んでいく――
・時の魔法使い
プロットライターとして脚本家の夢を追いかける未来(ミク)は、安定しない生活と見えない未来に苦しむ。ある日、幼い頃遊んだ防空壕へと足を運び、子供の頃の自分と出会う。
幼い頃"神隠し"に遭ったことのある未来。あの時、彼女の身には何が起こっていたのだろうか。
・恋をしてはいけない日
飽き性で、次々と恋人を変える美亜に、占い師・山葉圭史は「今度の水曜日だけは人を好きになってはいけない」と言う。
そんな水曜日、美亜は交通事故を目撃し気絶しそうになる。そこを通りがかった男性に助けられ、彼に好意を持つが・・・
・ドールハウスのダンサー
閉館間際のドールハウス・ミュージアム。
叔母が道楽で創った施設に展示されたダンサーの人形と、同じ運命をたどる女性がいた。
・3時間後に僕は死ぬ
パーティー会場で働く美緒は、圭史と再会する。そして圭史は、3時間後爆発によって死ぬビジョンを視る。
2人は、運命を変えようと必死に動くが――
"運命"は人の手で変えられるのか?
運命とは、未来を変えようと行動したとしても、それすら織り込み済みのため、訪れる未来は変わらない。と思うのですが、自分が行動することで、周囲の人が予定外の動きをし、運命の矛先がズレました。という結末に少し疑問を覚えます。
とはいえ、どれもサクサク読めます。ジェノサイドの重厚感、刺々しさは全くない、ハートフルな短篇集。
特に、ドールハウスのダンサーが素敵!
ダンサーを目指してひたむきに努力する女性の話と、閉館間際のドールミュージアムの話が同時進行し、繋がっていく。
半分くらいまで全く展開が読めなかったし、結末も良くて、思わず頬がゆるみました。
時の魔法使いとドールハウスは、優しくて切ない余韻を残してくれたお話でした。
どの話も、運命に抗い、自ら未来の門を叩き続ける人たちの物語。
一生懸命さ、ひたむきさ・・・メッセージ性に溢れる一冊だと思いました。
紙の本ちびギャラ ギャラリー
2012/03/23 14:06
ちびギャラ勢ぞろい!
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ここ数年で流行っているムック本、初めて買いました。
もちろん付属のバッグ目当てです。ボンのチャームも可愛いし!
と思っていたのだけど、意外に冊子がよくてびっくり。ちびギャラミニ本シリーズに収録されているすべてが掲載されてました。
ミニ本は全巻欲しいと思いつつも揃えられてなかったので嬉しかったです。
おまけ漫画も楽しく読めました。
バッグは全体的に小ぶりで、マチも小さいし、正直なところ使いにくい感じです。
でも可愛いからいいや。(笑
この本が届いた頃、たまたま遊びに来ていた幼稚園児がふたり。
書いてる内容はわからないけれど、絵柄が可愛いからかとても食いつきが良かったです。
うさぎ~!ぱんだ~~!!と大喜びで、一緒に楽しみました。
2012/03/22 10:56
クイーンとの対決第二弾。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
右手を負傷することで、左取り(クイーンは左利き)のコツを学び成長する千早。
少しずつ、クイーンのレベルに近づいていく。
そして太一はやっと、自分のためのかるたを取って決勝戦へ。勝てる!・・・と思いきや、やっぱり最後は千早のために気負ってしまい展開が読めなくなった。
そして新は敵。かるたのライバルであり、恋のライバル!?ますます見逃せない展開で、つい本誌を立ち読みして先を知ってしまった。(笑 そのくらい勢いのある16巻!
かるたバカの千早をとりまく人たちが素敵。
太一も、新も、机くんも肉まんくんもかなちゃんもみんな一生懸命で、優しい。
とにかく熱い競技の中でも、クスっと笑えたりほっとしたり、読んでて忙しいのが心地よい作品です。
紙の本アナン、 上
2012/03/19 16:18
リアルとファンタジーの間で流れていく優しい物語。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
東京に初雪が降った日、流という名のホームレスは、高級料亭のゴミ捨て場で生まれたばかりの赤ん坊を拾う。
アナンと名付けられたその赤ん坊は、ホームレスの流(ナガレ)と、その仲間たちによって育てられる・・・
そして彼らはアナンの不思議な力に気付く。 アナンを前にすると、心に秘めた暗い部分を何故か話してしまう。
話したあと、ほっと癒されている自分がそこにいる。
成長したアナンはタイルやガラスを使ったモザイクに非凡な才能を発揮し、モザイクを媒体に、人々を癒していく。
それを見た流は、このままではいけないとアナンを連れてホームレスを離脱する。
この物語は、アナンが13歳のところで終わりを告げる。 そこには彼の未来が垣間見えているようだ。
それぞれに過去を抱えるホームレスたち。それぞれがアナンに愛情を注ぎ、必死に育てていく。
リアルとファンタジーの間で流れていく優しい物語。
以前読んだ東野圭吾氏の"虹を架ける少年"と似た部類のお話になってます。
ただ違うのはラストでしょうか。
東野氏の方は、あれ?これで終わり?と思ってしまうような・・若干中途半端なラストに対し、
こちらはある程度納得できる終わり方になってます。
飯田・梓コンビと言えば、ナイトヘッドや、アナザヘブンなどのミステリーホラー系で知られていますが、
この作品にはまた違った味わいがあります。
あったかくて切ない一冊。
紙の本少し変わった子あります
2012/03/16 10:17
沈黙さえも嗜好に変える、絶品の孤独。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
後輩から教えてもらった料理店。
女将は、きれいな人なんだろう・・・整った顔立ちだが、どうも印象に薄い。
料理は、美味しい。 訪れる日によって変わる料理、確かに旨い。というか、不味くはない。
でも、劇的に旨いとか、そういうことはない。
店の場所は、いつも変わる。同じ場所に店を構えていることはない。
看板も広告の類もない。
奇妙な料理店。
それでも私は何故か、通ってしまう。
食事の際は、女性が一人同伴する。
その女性も、毎回違う顔ぶれだ。特にどうということもない、普通の女性。
一度同伴した者と、二度と会うことはない。
初対面のその者に、毎回料理を奢るという形になるのだが、 2人で料理を食べ、とりとめもない話をし、その仕草を見る。
ご馳走様でした。と彼女は去っていく。
それで終わり。 ただ、それだけだ。
何故こんなにも、惹かれるのだろう?
少し変わった子がいるだけのこの店に。
沈黙さえも嗜好に変える、絶品の孤独。
とにかく不思議ワールドです。
少し変わった子あります
もう少し変わった子あります
ほんの少し変わった子あります
また少し変わった子あります
さらに少し変わった子あります
ただ少し変わった子あります
あと少し変わった子あります
少し変わった子終わりました
まず、サブタイトルを見て、なんじゃこりゃ。です。
でもいつの間にか引き込まれて、 気付いたら読み終わってた。
最後に、あっ、そうなんだ!という思いを残して。
これ以上は、このお店に入った者にしか味わえません。
紙の本風が強く吹いている
2012/03/12 16:27
竹青荘の10人が箱根駅伝に挑むど真ん中青春小説
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ある日突然、「ここの住人全員で箱根駅伝を目指す」と宣言したハイジ。
竹青荘の住人とは・・・
漫画が命。陸上なんてやったことないし、そもそも運動が苦手な、王子
アフリカから来た陸上競技とは無縁の国費留学生、ムサ
無邪気な双子、ジョータ・ジョージ 「駅伝出たらモテる?」
僻地出身で山歩きには慣れている、事務能力に優れた、神童
司法試験現役合格、ユキ
2浪2留で部屋はいつもタバコ臭い、ニコチャン
クイズ大好きな、キング 「就職安泰ってホントだな?」
純粋に、走ることを愛し、どこまでも走り続ける一匹狼、走(カケル)
皆を駅伝に巻き込んだ張本人、指導者兼監督の、ハイジ
紆余曲折ありながらも、ハイジの指導の下、10人は箱根駅伝目指して練習を始める。
10人の個性がすごいです。これをうまくうまくまとめていくハイジがすごい。
そして、箱根駅伝のことがとてもよくわかります。舞台裏が。
予選会の様子や、本戦に出場するための条件、各チームのタイムなど、各キャラのテンポ良い会話を楽しみつつ、とても興味深く読める前半。
そして箱根駅伝本番を描く後半。
一人ひとりが色んな想いを抱えて、走る中でそれを昇華させていく。自分を思い、家族を思い、仲間を思って走る描写が際立って美しいと感じます。
ぽっと出の新設チームが、箱根駅伝本戦に出て、良い戦いをする・・・ありえないとは言えないけれど、あまり現実味のない話。だからこそ、こういうこともあっていいなと、思うんです。
走ることってどういうこと?という問に、10人それぞれが答えを出していく青春小説。
来年は箱根駅伝、見てみようと思う。