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ト―チさんのレビュー一覧

投稿者:ト―チ

9 件中 1 件~ 9 件を表示

地に足のついたファンタジー?

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ドルフ――それは、この国における治外法権の街。ドルフでは民達は法の外におかれ、ドルフの者もこの街を出れば法の外に置かれる。灯台の下、自給自足の名において外と隔絶された街――
そんな曰くつきの街で生まれた三人の主人公、ラックス、インギースク、バーサル。
彼らの「仕事」とは、時折この街にやってくる荷馬車の中身を頂戴すること。
白い月の三月七日、この街に六頭立てのの馬車がやってきた時から、物語は始まる。

蒼い装丁と分厚いページ、表紙を飾る抽象的な絵。
一見すれば剣と魔法のあふれたファンタジーでも通用しそうだが、なかなかどうして内容は現実味がある。
突如手に入った21箱の金貨のため、三人はこっそりとドルフを抜け出し、この国の都を目指す。戸籍の無い彼らがどうやってこの国を旅するか――何と彼らは外国の身分証を手に入れ、観光客と身分を偽って首都へ向かうのだ。
もちろん、ファンタジーらしい要素もある。ラックスたちのいる伯爵領があるのはこことは違う星、ルーディーボール。登場人物は猫顔や犬顔といった人々で、夜目が利く、耳がいいなどと言った動物の特徴を兼ね備えている。ラックスの父親の形見は、入れる剣をことごとく錆びさせてしまう奇妙な鞘だ。そして、ラックスの左手の秘密――。
だが、これらのファンタジー要素がある上で、バーサルの解説してくれるこの国の事情、伯爵の陰謀、なによりラックスやインギースクといった登場人物のの人間味あふれる会話がこの話の印象を「ファンタジーより地に足のついたなにか」というものに鮮やかに塗り替えている。

物語が読み進むにつれ、様々な謎が浮かぶ。ラックス・ダ・ノアルカッツとは誰か?あの21箱の金貨は何だったのか?鞘は?何故ドルフは隔離されているのか?そして、ドルフで起こる「風隠し」とは?
これらの謎はやがて伯爵という一点につながり、ラックス、インギースク、バーサルの運命に大きくかかわってくるーー

とても分厚い本だがハラハラするストーリーに飲み込まれ、一気に読んでしまう。そして、読むそのスピードに比べてとても充実感のある本だ。読んだらすぐにでも次が読みたくなってしまう。まだないのだが。

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紙の本都会のトム&ソーヤ 1

2012/02/02 20:27

たとえミシシッピ川が無くても

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

主人公の片割れ、内藤内人はごく普通の中学生だ。普通に学校に通い、普通に友達と話を合わせ、普通に塾に通う少年。
そんな平凡な中学二年生の春、夜の街で同級生、竜王創也を見かけたときから、彼の冒険は始まっていく――


読者が読み進めていくにつれ、最初に度肝を抜かれるのは「砦」での攻防だろう。
創也の秘密を知りたがる内人を試そうと、彼は内人を「砦」へ誘う。なんと彼は名だたる企業の御曹司で、企業の使わなくなった廃ビル――「砦」を使用しているそうだ。
中学生がこんなものを持っていることも驚きだが、そこでさらに内人が彼の試験をくぐりぬけるためとはいえ、サバイバル技術を駆使して牛乳パックの松明なんぞをパパッと作ってしまうのである。マッチもライターも無いのに火をつけてしまうその手際の良さに、平凡な中学生だと信じて疑わなかった我々はただただ唖然とするしかない。冒頭部分からの内人の言動や行動は、本人の言うとおりの「ごく平凡な中学生」そのものだったのだから驚きもひとしおだ。
こうしてはれて創也のお眼鏡にかない、「砦」に通うようになった内人は創也とともに様々な冒険をする――

物語は、一貫して内人の一人称で語られる。
創也曰く「最強のサバイバル技術」を持つ内人だが、感覚はいたって平凡な中学二年生、毎度毎度冒険に引っ張り出してくる正真正銘のおぼっちゃま、創也の行動やら行く手に待ち受ける障害やら彼らを取り囲む奇想天外な面々に、時に驚き、時にあきれ、時に愕然とし、時にパニックになる。そんな日常的な観点を持つ内人が語る冒険だからこそ、彼とともに笑い、焦り、驚き、次第に彼らとともに冒険にのめり込んでいってしまうのだ。

彼らを取り囲む面々も面白い。創也を護衛する最強のお守、二階堂卓也。内人の方思いの相手、堀越美晴とその父、堀越ディレクター。そして創也が「夢」のために追う謎の人物、栗井栄太――主人公の内人と創也に負けず劣らず個性的な面々の集う中、猪突猛進に進む創也に引きずられるようにして内人は彼らと待見えていく。
夢を純粋に追いかける創也と、しっかりと夢を持つ創也を羨み、協力する内人の二人の会話も面白い。基本的に常識の抜けている創也を内人が全力で押しとどめようとするその光景に、我々は笑いをこらえきれない。余談だが、私が初めて友人に「トーチって、本を読む時百面相するんだね」と言われたのはこの本だったりする。

――ミシシッピ川が無かったから、トム・ソーヤになれなかった。ぼくは、そう思っていた――
本文の前に作者が書きだした、この文から始まるコメント。
特別な場所でなくても、特別なことが無くとも、いつでも冒険は始められる。心からわくわくする「なにか」に合うことが出来る。この本は、正にそのことを教えてくれる。
退屈な日常に飽きたなら、あたりを見渡してみればいい。冒険とは、自分から進んでいくものなのだ。

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紙の本異邦の影を探しだせ

2012/01/28 16:28

「あの」晴明の、孫!?

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

時は平安中期、一条天皇の御世。有名すぎるほど有名な「あの」安倍晴明の末の孫である半人前陰陽師、昌浩。いつか絶対あの祖父を見返してやる!という強い負けん気のもと、相棒のもっくんと共に妖退治に東奔西走する日々をおくります。
戦闘の場面の迫力も一押しですが、何といってももっくんとの掛け合いが面白い。他にも晴明にやりこめられたり、藤原道長の娘、彰子へのほのかな想いなど、ほのぼのとした日常には魅力が満載。何事も一生懸命な昌浩は、つい応援したくなってしまいます。
本文だけではなくあとがきも必見。作者の結城さんはとてもユニークな方です。少年陰陽師の裏舞台もかいまみえたり。
ちなみに本文に出てくる祓詞や祝詞、すべて実際のものなのも素敵。暗記すれば御利益あるかも。

「今に見ていろ、くそじじい―――――!!」

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現代の魔女の、心温まる話

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

――ある日、ジュリーは、麦畑の上をゆっくりと流れる巨大な船団を見た。それは、これから起こるある出来事を予兆するものだった――

冒頭のこの部分を見れば、これから剣と魔法のせめぎ合う壮大なファンタジーが始まるのかと疑ってしまう。かくいう私もその一人である。しかし、残念ながらこの物語は、人とちょっと違ったものが見える農家の少女と、それを取り巻くほのぼのとした日常の話である。

ジュリーは、とある農家の夫婦の七番目の子ども。そのせいか不思議な力を持っていて、小さいころから時々妙なものを感じ取る。それは決して我々の思い描く妖精の類ではない。だがその「予兆」は他の人には決して感じ取れず、ジュリーに様々なことを教えてくれるのだ。

彼女はおそらく、昔ながらの魔女のような存在なのだろう。占いやまじないをとりあつかい、ハーブなどで薬を作り、人々に助言を与える「魔女」。人と違うものをも映し出すその目にて、幸運を見分け、不運を予知する。

彼女の周りの人々はジュリーの心根の優しさを知り、彼女が予兆にしたがってちょっとした行動を起こすのも笑って受け入れている。中には、ジュリーが「そういった存在」であることを薄々知りながらも受け入れている人もいる。
中世で村人と暮らす「魔女」たちも、こんな風に人々と和やかに過ごしていたこともあったのだろうか。

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「ぼく」と彼女たち

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

春、夏、秋、冬――四つの季節とともに語られる、「ぼく」の思い出。
この物語は、あの事件から生還を果たしてから「みーくん」となるまでの、僕の××と感動と笑いと涙で構成されたウキウキ青春学園恋愛コメディーである。後半嘘だけど。あ、一応学校はあるかな。

春――、事件が解決してまだ間もない季節。「ぼく」がまだ、病院にいたころ。せんせーこと坂下恋日医師の治療を受けながら、世間から隔絶された生活を過ごす。そこでぼくが会ったのは、テレビの前に陣取る女性・ヤマナさんだった。
「しょーねんは、ここから出たら絶対に孤立する」
夏――、小学校を留年し、下の学年に編入した「ぼく」。そこで待っていたのは、これから一生ついて回る「誘拐犯の息子」というレッテル、そして風変わりないじめっ子、ト―エだった。
「じゃーわたしだけか。えせ君の友達は」
秋――、近所の山の遠足で1人迷子になった「ぼく」。ここは、懐かしくもにもうとがよく狩りに来ていた山だ。思い出されるにもうととの一日。「ぼく」が初めて「あにーちゃん」と呼ばれた日。
「変なのが動物を殺してた。あたしより先に」
冬――、久しぶりにみかけた、御園マユ。一番先に壊れて、「ぼく」をお人形として、「ぼく」を覚えていない女の子。だから「ぼく」は、またみーくんになるなんて思いもよらなかった。
「みーくんはこれから、まーちゃんとずっと一緒なんだもん」

監禁事件から帰って日が浅く、本編以上に異常性の目立つ主人公。後ろ指をさされながら、自分の狂気を知りながら、それでも生きていく「ぼく」。
他人から見れば不幸の塊かもしれないけれど、それでも、ぼくはあの時幸せでした。
とってももしもにもしかして、壊れていない正しさのある世界なら、
どうかぼくの世界が、壊されませんように。

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紙の本精霊の守り人

2012/01/28 16:56

もしかしたら、大学を出ても読んでいるかもしれない

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

とある誓いにより、用心棒を生業とする短槍使い・バルサ
この世ならざる世界「ナユグ」の精霊の卵を抱くことになった皇子・チャグム
幼馴染の薬草師やその名をとどろかす呪術師の手を借り、帝の追手や「卵喰い」と彼らは戦う
ただ、生きたいという願いのために__

上橋さんは、文章がとてもうまいと思う。
追手と戦う章では息も忘れてその流れるような動きに見入ってしまうし、ごちそうが出るところでは口の中につばが湧くような気持ちになる。精霊の卵の力でチャグムが垣間見る世界・ナユグや、精霊の夢のシーンは、目の前に鮮やかな世界が広がるようだった。
最初に読んだのは5、6年前。それからずっと私の家の本棚にあり、先日読みなおせばあの頃と同じように色鮮やかな世界が広がった。惜しむらくは、児童書なので漢字が少なく読みづらい部分があった。これは決して児童書であるこの本の落ち度ではないのだが、今現在、文庫版の買い直しを真剣に模索中である。
今の私はもう児童書を読む年齢とは言えないのだが、学校の図書室にもこの本があるし、先日友人に貸して欲しいと頼まれた。私はこの話を、いくつになるまで読むのだろう。大学生になっても読んでいるのだろうか。

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鮮やかな世界でのひたむきな思い

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

――闇におおわれ、氷に閉ざされた世界。太陽も月も、その光を遮られ氷を溶かすことは無い。
その中で「サン・ストーン」におおわれ、輝く巨大な城。そこが、主人公、タルの暮らすところだ。

城の中は階級制度によって仕切られており、タルの階級は「オレンジ」。城に住む選民たちの中ではどちらかと言えば下の方だ。
選民の間では階級の差別意識が強く、身分の高い人々にはバカにされる日々。母は病気を患って寝込んでおり、尊敬する父は突然帰ってこなくなってしまった。父にかわって幼い弟妹たちをささえ、母を喜ばせようとタルは必死になる。
だが意地悪な役人や身分といった障害に邪魔され、一生懸命頑張ってもことごとく失敗してしまった。最後の手段を決意して城壁を登るも、「影」によって邪魔され、城壁から落ちてしまう。
落ちた先に待っていたのは、今まで見たことも無かった城の外、氷原。そこに住む部族の人々と、戦士を目指す少女、ミラだった――


虹の七色の光を放ち、その光によって様々な魔法を使うことが出来る石、サン・ストーン。城の外に広がる広大な氷原と、世界を包み込む闇。選民の使役する「影」達。そんな色鮮やかな世界を、家族を助けたい一心でタルは駆け抜ける。
生まれてからずっと城の中で暮らし、城の考え方が染みついたタルは、最初、氷原の掟や部族の人々の考えといったものに戸惑い、時に反発する。決して愚かではない、むしろ頭のいい少年のタルだが、それは彼にとっての「普通」をくつがえすものだったのだ。
魔法の城の住人、タルと氷原の戦士、ミラの織りなすいわゆる王道のファンタジーだが、氷原と城のあり方の差、見え隠れする人間の本性、権力による策謀など、断片を刻むストーリーも相まってとても読み応えのある作品である。

一家を背負ってしまっているとはいえ、タルもまだ少年。時に迷い、時におびえ、時に焦りながらそれでもも前へ、前へと進む。その姿勢に共感し、励ましながら読んでいく。そんな本だと思う。

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4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

まさか出版されるとは思っても見ませんでした
いい意味で裏をかかれました!やられた!
収録されているのは、どれもほのぼのと楽しい内容ばかり!先生方も登場して、嬉しい限りです!
第二弾を期待していいのか<●><●>
その前になつみさんのコミックスはまだか<●><●>

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紙の本アバラット

2012/01/28 18:35

飛び出した先には、まったく奇怪な世界が広がっていた

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

主人公・キャンディは活発な少女だ。ちょっと不思議な話が大好きで、退屈な田舎に飽き飽きしている。学校を飛び出し彩雲に導かれ、海の無い街で灯台を見つけた。それが、アバラットへの入口になるとはつゆほども思わずに――。

25の時間の島がある国、アバラット。昼の島と夜の島に分類される島々には、目を見張るような景色がある。いかだに乗った町、猫の見張る魔法使いの島、真夜中の王の住む城――、そして、そこに住む様々な人々。
魚のように海に住む人がいる。兄弟たちを頭に載せた男がいる。普通の人間のような人ももちろんいるし、なかにはどんな言葉でも言い表せないような外見の人もいる。それらすべてが、クライヴ・バーカーの手によって鮮やかに描き出されている。

ひょんなことから海――イザベラ海を越えてやってきたキャンディは、そこで様々なものを見る。見たことのない食べ物がある、感じたことのない風が吹く、思いもよらない文化がある――だが同時に、そこには当たり前の会話が、喜びが、哀しみが、日常があるのだ。そのなかを駆け抜けるキャンディは、やがて、この国の歴史にかかわるような大きな変動の中心となっていく。

イラストは作者自身の手によるものだが、その力強いタッチの絵は、アバラットの世界をよりリアルに感じさせてくれる。作者の身が知るその世界を、忠実に再現しているのだろう。また、章ごとに挟まれている詩も、個人的に好みである。「アバラットの吟遊詩人」などが知るしたと書かれる文は、あたかもアバラットの一端に触れたような気になる。巻末にある25の島の解説にはまだ本編に登場していない島も紹介されていて、いつこの島に行くことになるのだろうとわくわくする。

私のこれに対するイメージは、「極彩色の虹の夢」である(イラストの印象のあるのだろうが)。一つ一つの印象がとても鮮やかで、それが(いい意味で)ごちゃごちゃと入り乱れているようなのだが、よくよく見ればもっと様々ないろが広がっている。胸を突くような儚げな色も存在する。そして、その現実離れしているはずの世界に、夢を見ている時のようにどっぷりと浸ってしまうのである。
これを書いている時点では、まだ3巻が発売されていない。それはまだまだ先の話なのかもしれないが、今からもうわくわくしてしまう。今度は、どんな夢を見せてくれるのだろうか。

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