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まなたけさんのレビュー一覧

投稿者:まなたけ

7 件中 1 件~ 7 件を表示

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?

2012/06/17 21:56

働き方を考えるには、まず「足元」から!『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』(木暮太一著)

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

目標とする売り上げや利益を達成しているにも関わらず、それに見合うだけの昇給が得られない。日本でも「成果主義」か給与体系に組み込まれて久しいにも関わらず、このような現実に対して「なぜ給料が上がらないのか?」と疑問に思っているビジネスパーソンは多いのではないでしょうか?私も、その一人でした。それは「どのように給料が決まるのか」を知らないことにより生じる疑問だからです。

しかし、多くの読者は本書を読んで「給料が決まる論理」が分かったと同時にショックを受けたのではないでしょうか?それは、日本の多くの企業が採用している「必要経費方式」は「労働力の価値」(明日も同じ仕事をするために必要なものの価値)を基準として決められているため、「どんなに成果をあげても、価値が変わらなければ給料は変わらない」という内容だからです。

となると、「成果をあげても給料に反映されないのであれば、成果をあげる必要はないのではないか?」という疑問が出て来るかもしれません。しかしながら、そんなことは決してありません。「給料が上がるかどうか?」は経済学ではお馴染みの「需要と供給のバランス」が存在します。

では、「成果を出すために身体も精神もボロボロになってしまう働き方がよいのか?」というと決してそんなことはありません。本書では「自己内利益」という表現で表しておりますが、「働き方も自己内利益をプラスにすることが重要」と説いております。

この「自己内利益を増やす働き方「として『「働き方」のポイント』に記載した7つのポイントが本書から提示されております。これは第5章~第6章に書かれておりますが、一言でまとめると「時間や労力だけを消費するだけで何も残らない働き方をするのではなく、自分の資産として残る働き方を考えよう!」ということです。

「自分の知識や経験を生かせる仕事は苦痛を感じずに行なうことができるし、高いパフォーマンスを得ることができる!」これは多くのビジネスパーソンが感じていることではないでしょうか?このように自分の労働力を「消費」するのではなく「投資」し、「使用価値」の高い知識や経験という「自己資産」をコツコツと積み上げ、形成していく....これこそが、本書で提案している目指すべき働き方だと思います。

ところで、「自己資産」を積み上げていくためにはどうすればよいのでしょうか?本書には「考えるヒント」を書いてあっても、そこまで書いてはおりません。なぜなら、「資産はそれぞれ個人によって違うから」です。私が本書を読んで思ったことは、「やはり自分を知ること」つまり「棚卸しが必要」ということです。「棚卸し」を行うことで、自分の現在の「土台」や「力を入れるべき所」が見え、「自己資産を積み上げるには、どうすればよいのか?」を考えることができ、人生の戦略も立てることができるのではないかと思います。つまり、「自分の足元を見つめるところから始める」ということです。

最後に、最近は「ノマド」、「フリーエージェントスタイル」など、新しい働き方に関する本が多く出版されるようになりました。しかし、「働き方」について書かれている本でも「自分の現在の足元を見つめさせてくれる契機となる本」は、なかなかありません。「自分の現在の足元を見つめ、そこからどのような人生戦略を描くか」によって、「ノマド」や「フリーエージェントスタイル」に通じる道だと思います。

そういう意味で本書は、自分の足元を見つめること、そして「その足元には何があるのか?」を考えさせてくれる契機になる本だと思います。

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泣きたくないなら労働法

2012/02/02 09:11

目からウロコ!「労働法」が働く人に、こんなに大きく関わる法律とは知りませんでした!『泣きたくないなら労働法』(佐藤広一著)

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「労働法」というと、何か「難しそう!」というイメージを持ってしまいがちです。

しかし、本書は「労働法を知らない方に向けて、労働法を知ってもらおう」という意図で書かれているためか、平易な言葉で、そして時には著者のちょっとしたトピックス(例えば、「有給休暇を取得して、日韓W杯の日本vsベルギーの試合を埼玉スタジアムで観戦した」など)を交えながら「労働法のエッセンス」を紹介しているのが特徴となっています。そのため、楽しみながら「労働法」について勉強出来たと同時に、私たちビジネスパーソンにとって密接に関わる法律であるにも関わらず「労働法について、意外と知らないことが多いな!」と感じました。

例えば「なぜ営業職には残業代がつかないのか?」「振替休日と代休のちがいは?」など、このことについて疑問に思ったことはありませんか?実は、私も疑問に思っておりました。まあ、「法的根拠があるから、そのような規定を定めているのだろうな?」とは思ってはいましたが、どの法律を根拠にしているのかまでは知りませんでした。

しかし、今回、本書を読んで
 ・どの法律で定められているのか?
 ・その法律は、どのような考え方で定められているのか?
など、日常 密接に関わる事項の多くが労働法と大きく関係していることを知ると同時に、その意味を理解することができました。

冒頭で述べた通り、本書は平易な言葉で書かれているため、労働法という難しい内容を、かなり理解しやすい形で書かれています。それと同時に「知っているのと知らないのとでは大違い!」という内容も、たくさんありました。

「目からウロコ」の事項がたくさんありますよ!

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人を助けるすんごい仕組み ボランティア経験のない僕が、日本最大級の支援組織をどうつくったのか

2012/04/22 15:45

「よかった!感動した!」で終わらせてはいけない!そこから学び、一歩を踏み出すことが重要である!『人を助けるすんごい仕組み』(西條剛央著)

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書の内容に鳥肌がたちました。
そして「この本は日本人に希望を与える本ではないか!」と思いました。

本書の構成を時間軸で区切ると、大きく2つに分けることができます。
前半は、ふんばろう東日本支援プロジェクトがスタートした経緯、そしてその活動をまとめた「ふんばろう東日本支援プロジェクトのスタートからの変遷と活動のという「過去の経緯」。
後半は、組織運営のノウハウの開示やポスト3・11への提言といった「未来に向けた視点」です。

先に「この本は日本人に希望を与える本ではないか!」と書きましたが、そう思った理由は2つあります。


理由の1つ目は、「人はリミッターを外すと、こんなにも大きな力を発揮するものか!」と感じさせる内容だからです。これは、前半の「過去の経緯」の部分を読むと、強くそれを感じます。

宮城県出身の著者が震災後に支援物資を届けに南三陸町乗り込みました。しかし、そこで見た光景は悲惨なものでした。そんな光景を目の当たりにした著者は呆然とすると同時に強い決意がみなぎってくるのでした。リミッターを外した瞬間です。


 「すべてを失っても前を無効としている人がいる。何も失っていない僕らがやる気になればなんだってできるはずだ」
 本当の勇気とは何か、僕は初めてわかった気がした。
 そのとき、自分の中のリミッターは、カチリと音を立てて、完全に外れた。
 未曾有の事態には、未曾有の自分になるしかない。
 できることはすべてする、その瞬間、そう心に決めたのだった。
(本書より)


リミッターを外した人間の力とは、本当に大きいものです。ボランティア活動を行ったことがない著者が数人の仲間で始めた「ふんばろう南三陸町」は、数日の間に「ふんばろう東日本支援プロジェクト」に拡大し、数々のプロジェクトを運営していくまでになりました。著者の魂が入った言葉がツイッター上に発信されたからこそ、共鳴する多くの人が現れ、それが日本最大級の支援組織に発展していったのではないかと思います。

我々の思考の中には「現状維持バイアス」がかかっており、その結果、変化を好まない行動を取りがちです。しかし、「リミッターを外し、現状維持バイアスをつき破ったとき、人は大きな力を発揮する」ということを著者は示したのです。

「意思が未来を切り拓き、未来が過去を意味づける」(本書より)と著者は述べておりますが、我々も目的に焦点を合わせ、そこに何らかの「意思を持って初めの一歩を踏み出したとき、それが大きな波紋の一歩になるのではないか?現状はさまざまな困難が待ち受けているかもしれないが、乗り越えることができるのではないか?と読者に感じさせる力を本書は持っております。


理由の2つ目は、「これは今後の日本の組織のモデルになるのではないか?」と思えたことです。

「組織の硬直化」はあらゆるところで言われていることです。震災後に支援おいても、行政の「前例主義」、「要請主義」により、支援物資が被災地に行き渡らず倉庫に眠ったままという事態が発生いたしました。これは「組織の硬直化」の最たる例です。そしてそれは、「時事刻々と変化していく事態に対応できずにいる現在の組織の姿」を露呈したのです。

先日読んだ『2022―これから10年、活躍できる人の条件 (PHPビジネス新書)』(神田昌典著)に、このような記述がありました。


 ライフサイクルの末期の組織とは、アメリカ人が経営しようと、中国人が経営しようともどうしようもなく硬直化・官僚化する。似たようなものだ。
 私たちの課題とすべきは、日本人のビジネスパーソンの能力を上げることではない。いままでの「会社」における仕事の仕方を変えないまま、どんなに頑張ってもライフサイクルの末期は末期。どんなに汗をかこうと、どんなに自分に厳しくしようと下り坂を上り坂に変えるためには努力ではどうしようもない。
 繰り返すが、ライフサイクル末期で重要なことは、古き価値観を手放し、新しき価値観を創造すること。壁で包囲された窮屈な世界にこだわるのではなく、壁がない自由な世界に飛び出すことを選択しなければならないのだ。
(神田昌典著『2022―これから10年、活躍できる人の条件 (PHPビジネス新書)』より)


恐竜が滅亡したのは、環境の変化に対応できなかったから。変化に対応できない硬直した組織は衰退の一途をたどる。これは、過去の歴史を見ても明らかです。

今回の「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の組織の優れたところは「無形の型」にあります。


 融通無碍の水のような機能体であることによって、戦局(状況)に合わせてここぞというポイントに、こちらの戦力を集中させられればいい-
(本書より)


このような「一戦必勝が可能な組織」を走りながらも作っていったからこそ、変化の中でも数々のプロジェクトを運営することができたのだと思います。

目的に共鳴して集まり運営された「ふんばろう東日本支援プロジェクト」、そして変化に柔軟に対応できる「無形の型」の組織運営は、今後の日本の社会において大きな参考モデルになるのではないかと思います。


最後に、私が本書を読んで強く思ったことを書きます。

本書は本当に鳥肌が立つほどの凄い本でした。しかし、「よかった!感動した!で終わっていいのか?」という疑問です。「よかった!感動した!で終わらせてはいけない。そこから学んだ何かを自分たちの行動につなげていくことが重要ではないか?」と読んでいくうちに強く感じたことです。

簡単にリミッターを外すことはできなくとも、本を読んで学び、それが小さな行動に結び付けることによって、それは大きなムーブメントにつながることもある。本書は震災支援のプロジェクトについて書かれた本ですが、それは我々の日常の生活に生かすことができると思います。

「意思が未来を切り拓き、未来が過去を意味づける」(本書より)

本書を読みっぱなしで終わらせない!小さなことでも、何かできることを行動に結びつけて行きたい。それが「未来を切り拓く意思」であり、「意思が未来を切り拓くことにつながっていく」ことだと思うのです。そして、「その契機になれば!」というのが本書のメッセージですから。


 -君の助けを必要としている人がたくさんいるよ。
 -いまやらなければいつやるんだい?
 -いまこそ君の力を発揮するときだよ。
 -うまくいくように見守っているよ。
 もし、そうだとしたら、東北は、日本は甦るに違いない。-すでにこれだけ多くの人が何かに「呼ばれて」動いているのだから-。
 そして本書を読んで、少しでも心が動いたあなたも、何かに呼ばれているのかもしれない。あなたがその心の声に耳を傾ける機会になれたら、本当にうれしい
(本書より)

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情報の呼吸法

2012/02/03 00:34

「ソーシャルキャピタル」の構築が、今後ますます重要になる!『情報の呼吸法』(津田大介著)

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書の内容の感想の前に、まず、本の感想を書きたいと思います。

まず、本を手にとって驚いたのが「装丁」です。私が立ち寄った書店では、アイデアインク・シリーズの2冊『情報の呼吸法 (アイデアインク)』と『ソーシャルデザイン (アイデアインク)』が並べられて置かれておりました。薄い水色と薄い黄緑の本のコントラストは、なんとも美しいものがあります。

今回読んだ『情報の呼吸法 (アイデアインク)』は、本編も薄い水色の紙に文章が書かれておりますが、見づらいということもなく、心地よい感覚で読めたので、「これはなかなか面白い装丁の本だな!」と思いました。

まだリアル書店では、渋谷や新宿など、限られた地域でしか出回っておりませんが、ツイッターなどの評判やアマゾンのランキングなどを見ると、今後の展開が楽しみなシリーズです。

2012年3月以降、続編が登場する後続の本にも期待したいと思います。


さて、本書の感想に入ります。

本書は、著者である津田大介さんの「素直な気持ちを言葉に表した本だな!」と思いました。

津田さんと言えば「tsudaる」という言葉が一世を風靡したように「ツイッターの伝道師」というイメージが強いです。
『情報の呼吸法』というタイトルが付いていたので、「ツイッターを使っての情報収集や発信について書かれた本かな?」と思いましたが、その期待は良い意味で裏切られました。

本書の内容を大きく分けると「津田さんが今までどのように考え、行動してきたのか?(音楽との関わり、ジャーナリスト生活、ツイッターとの出会い、震災後の思い、なぜメルマガでの発信など)」、「これからの情報社会を生き抜くために必要なことは何なのか(ソーシャルキャピタルの構築・棚卸・マネタイズなど))に大別できると思います。

しかしながら、そこで述べられている言葉はいたって自然。いわゆるビジネス書にありがちな「固い論調」というものではなく、平易な言葉で、津田さんの思いを自然に読者に語りかけるような感覚で書かれているため、本を通じて津田さんの思いを共有しやすいのではないかと感じます。

本書を読む中で注目したのは「人への着目」そして「ソーシャルキャピタル」という言葉でした。

「人に着目する」について、まずは私がツイッターやfacebookなどでどのように情報に接するのかを振り返ってみたので、まずはそれについて述べたいと思います。

私がツイッターやfacebookで情報に接するとき、大きくは以下の2つで行います。

 1)タイムラインを眺めて、ピンと来た情報を拾い集める
 2)特定の人の発言に注目し、ピンと来た情報を拾い集める

そして、上記2つのやり方は、多くの方がツイッターやSNSなどで情報を参照したいときに行っているのではないでしょうか。

ここで注目したいのは「2)特定の人の発言に注目し、ピンと来た情報を拾い集める」というやり方です。

「特定の人の発言に注目する」時、たとえ著名人でなくとも、常時「いい情報を発信しているな!」と思うと、自然に注目してしまいます。そして、これらの行動は、情報過多の現代において、「必然的な流れ」になってきております。いわゆる「インフルエンサー」と呼ばれる方は、良質な情報を発信し続けることで信頼を集め、「ソーシャルキャピタル」を構築してきたと思います。

私は本書を通じて「“ソーシャルキャピタル”という言葉は『7つの習慣』で言っている「信頼残高」と同義ではないか?」と思いました。

『7つの習慣』では「信頼残高」について以下のように述べております。


「銀行口座がどういうものであるかは、誰もが知っているだろう。口座にお金を預け入れることで貯えができ、必要に応じてそこから引き出すことができる。それと同じように、信頼口座つまり信頼残高とは、ある関係において築かれた信頼のレベルを表す比喩表現であり、言い換えれば、その人に接する安心感ともいえるだろう。」
(スティーブン・R・コヴィー著『7つの習慣』より)


本書を読んで、「ソーシャルキャピタル」を構築する上で重要なことは「エンゲージメント」ではないかと思います。それは先日読んだ、佐々木俊尚さんの著書『キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)』と相通ずるものがあります。


「エンゲージメントという関係の中では、「企業か個人か」といった「だれが主体なのか」という枠組みは融解していきます。言い換えれば、企業も個人もひとつの独立したキャラクターとして人格を持って語らなければ、エンゲージメントをだれかと生み出すことができない。自分自身の言葉で語っている存在だけが、お互いにエンゲージメントによってつながることができるのです。
(中略)
 企業か個人か、という問題ではないのです。そこに人間らしさがあるか、自分の言葉で語っているかということが、エンゲージメントを形成してお互いにリスペクトを感じるためには絶対に必要だということなのです。」
(佐々木俊尚著『キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)』より)


「情報は、我々にとって空気のごとく不可欠な存在となった」と思っております。しかし、現代は「情報過多の時代」です。そのような中、「我々は、どのように情報と接していけばよいのか?」ということが課題となってまいります。『情報の呼吸法』というタイトルには、「情報とどのように接したらよいのか?改めて考えてみよう」という意味も込められて付けられたような気がしております。

「ソーシャルキャピタルの構築の重要性」をはじめ、本書は情報過多の現代を呼吸していくための大きなヒントを与えてくれる本です。

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フェイスブック若き天才の野望 5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた

2012/04/01 21:30

この本は、インターネット関連の本の中でも歴史に残る名著である!

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

読みごたえがありました!

本書の素晴らしさは、単に「フェイスブックがどのようにでき、発展してきたのか?」ということを述べているにとどまらず、以下の点も考察された内容となっているからです。

 1)フェイスブックがインターネットの歴史において、どのような役割を果たしてきたのか?
 2)フェイスブックは世の中にどのような影響を与えてきたのか?また、どのような可能性を与えるのか?

本書の素晴らしさを、解説の小林弘人さんが以下のように述べております。


 本書の魅力は、2種類の要素が高次に組み合わさっている点にある。ひとつめは急成長を遂げつつあり、全米のみならず全世界が注目すべき新興企業の生い立ちとその成長に関する内幕を迫った筆致。ふたつめは、ソーシャルネットワーク、ひいては過去・現在、そしてこれからのインターネットの在り方について示唆に富んでいる点である。著者のデビッド・カークパトリック氏はフォーチュン誌のシニア・エディタとして長い間テクノロジーを追いかけてきたベテランである。彼の取材量とストーリーテリングもさることながら、インターネットの歴史の中でフェイスブックがどういう文脈に位置するのかといった優れた考察が融合し、本書を成功に導いている。
(本書より)


小林弘人さんの述べている1点目の「フェイスブックの生い立ちとその成長の筆致」について、私は最初に、映画『ソーシャルネットワーク』を思い起こしました。



「失うもの失くして5億人の友達は創れない」という映画のキャッチコピーに表れている通り、この映画では「マーク・ザッカーバーグとエドゥアルド・サベリンとの友情、そしてマークの裏切り」、「マーク・ザッカーバーグとウィンクルボス兄弟の法廷闘争」を中心に描かれております。そして、マーク・ザッカーバーグは映画の中で、「金のためなら仲間を裏切る男」というヒールな人物として登場します。

しかしながら、本書のマークの言葉を読むと、「われわれの会社はガスや水道と同じ公益事業なんです」(本書より)と言っているように、お金儲けのことを考えない実直な青年の姿がうかがえます。そして、そんなマークを支えたのが、映画ではあまり目立った存在ではなかったダスティン・モスコヴィッツであり、ヒール役で描かれたショーン・パーカーでした。特に、ショーン・パーカーはベンチャーキャピタル(VC)の裏側も知り、煮え湯を飲まされてきた経験を生かしてVCとの交渉をまとめあげました。VCより引き出した巨額な投資は、しばらくの間、収益がほとんどあがらなかったフェイスブックの運営に欠かせないものとなってまいります。ショーン・パーカー自身は自らのスキャンダルによってフェイスブックの社長を退くことになりますが、恐らく、ショーン・パーカーの存在がなければ、フェイスブックは「資金が湯水のごとく消えていった巨大な運営費」に押しつぶされ、現在は存在していなかったかもしれません。

映画や、映画の原作となった『facebook』(ベン・メズリック著)では描かれなかった創業時から2010年頃までのフェイスブックの成長の経緯が、本書には詳しく掲載されております。フェイスブック社について、関係者のインタビューを交えながら、これほど詳しく書かれた本は、恐らく他にはないと思われます。このため、小学生、中学生、高校生が成長し、数年~10年後に「フェイスブックの成長の歴史を知りたい」と思ったとき、代表的な本として名前があがる本だと思っております。

2点目の「ソーシャルネットワーク、ひいては過去・現在、そしてこれからのインターネットの在り方について示唆に富んでいる点」について、「透明性と、それによって引き起こされたプライバシーの問題」、「贈与経済」のことなど、「フェイスブックの成長とともに明らかになってきたこと」が本書の中で書かれております。フェイスブックの成長の歴史をつづった本と思っていた私は「贈与経済への示唆など、まさか、そこまで書いているとは思わなかった」というのが正直な思いでした。本書に書かれている以下のマークの言葉を読むと、「本書は、新興企業の単なる成長物語ではない!」ということが分かります。


 ザッカーバーグは、今やフェイスブックやインターネット上のほかの勢力は、贈与経済が大規模で機能していくのに十分な透明性を生み出していると言う。
 「もっとオープンになって誰もがすぐに自分の意見を言えるようになれば、経済はもっと贈与経済のように機能し始めるだろう。贈与経済は、企業や団体に対してもっと善良にもっと信頼されるようになれ、という責任を押しつける」
 この透明性、共有、寄付のいずれにも社会に深く浸透する含蓄がある。
 「本当に政府の仕組みが変わっていく。より透明な世界は、より良く統治された世界やより公正な世界をつくる」
 これは彼の核心をなす信念である。
(本書より)



 透明性をいっそう高めることを必然とする信念の一方で、ザッカーバーグは当然そこから導かれる問題を懸念していた-誰がユーザーの情報を制御するのか。彼は言う。
 「世界がますます透明な方向へ動いていくことは、次の10年、20年に起きる変革のほとんどを後押しするトレンドになるだろう。ただし大規模な暴力行為や政治崩壊がないことが前提だ。しかし、どうやってそれが起きるかという大きな疑問が残る。誰かに透明性についてどう思うかを聞くと、頭の中にマイナスイメージを浮かべる人もいる-監視社会の光景だ。本当に陰惨な未来を描くことだってできる。果たして透明性は、集中した権力を分散化するために使われるのだろうか。ぼくは、透明性が高まっていくトレンドは不可避だと信じている。もっとも、この側面〔われわれが常に監視される社会になる〕かどうかは、正直なところぼくにはわからない」
(本書より)


このように、本書のマークの言葉には、インターネットやSNSのあり方について示唆する言葉がたくさん登場してまいります。

様々な示唆を与えてくれる内容となっているのは、「マスコミ嫌い」で有名なマーク・ザッカーバーグ、そして、フェイスブックの運営に携わったダスティン・モスコヴィッツ、ショーン・パーカー、ピーター・シール、ジム・ブライヤー、シェリル・サンドバーグなどが一度ならず何度もインタビューに応じ、自ら語ってくれた言葉が本書の中でちりばめられ、それが本書を構成する重要な要素となっているからだと思います。

「インターネットの歴史に残る企業の成長の過程の詳細な内幕と、果たしてきた役割、そして未来への示唆」が描かれている本書は、「インターネットに関連する本の中でも歴史に残る名著」だと思いました。

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図解アメリカのソーシャルメディア・ビジネスのしくみ

2012/03/17 14:34

ソーシャルメディアの活用術を図でイメージできる本

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「ビジネスにおけるソーシャルメディアの活用」はここ1年ほど叫ばれており、数多くの本が出版されております。私も多くの本を読んでまいりました。

その中で、本書は「ビジネスにおけるソーシャルメディアの活用」について書かれた本に関し、私の中ではトップレベルに値する本だと思いました。

そう思った理由は以下の通りです。

1)ソーシャルメディアをビジネスに活用する用途を明記の上、多くのソーシャルメディアの特徴や活用方法をしっかりと書いている。

2)ソーシャルメディアを組み合わせて活用しているアメリカ企業の事例や特徴を、分かりやすく記述している(特に、図解で企業のソーシャルメディア戦略を書いているので、どのように活用しているかをイメージしやすい)

3)PART2で書かれた企業の事例を汎用モデル化し、図解で示している。そして、「ソーシャルメディア活用のポイント」を分かりやすく、かつ、踏み込んで書いている

ソーシャルメディアをビジネスで活用する本というと、「twitter」や「facebook」とSNS単位で書かれている本が大半でした。

しかし、実際にビジネスで活用しようと考える場合、ソーシャルメディアを単体で使うことはほとんどなく、「目的に応じて、SNSの特徴を考慮しながら、Webページ、ブログ、twitter、facebook、YouTubeなどを組み合わせて使っていく」というのが実情だと思います。

ただ、数多く出版されているSNSの本のなかで、「顧客を着地場所にランディングさせるために、ソーシャルメディアをビジネスモデルとして提示してくれた本」は、ほとんどありませんでした。私が読んだ中では『~Twitter、Ustream.TV、Facebookなど、ソーシャルメディアで世界一成功した男~ゲイリーの稼ぎ方(ソーシャルメディア時代の生き方・考え方)』(ゲイリー・ヴェイナチャック著)くらいでしょうか?

ソーシャルメディアは、もはや無視できない存在となっております。多くの企業は「ソーシャルメディアを上手く使っていこう」と思っていると思います。しかし、「どのメディアを、どのように使っていったらよいのか分からない」という企業も多いのではないでしょうか?

そういう意味で、本書は「ソーシャルメディアを上手く活用するためのモデルを分かりやすく提示してくれる貴重な本」だと思います。

本書で示されたソーシャルメディアの活用モデルを図でみると、ヒラメキが得られると思いますよ!

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「ひとり時間」で、すべてがうまく回りだす!

2012/02/16 00:52

「ひとり時間」は、自己を省みて、良い方向に進むために必要な時間である!『「ひとり時間」で、すべてがうまく回りだす!』(池田千恵著)

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

池田千恵さんの本を読んだのは初めてです。冒頭にも書いた通り、昨年末に、ブロガーが集まったとある飲み会で、ブロガー仲間から「池田千恵さんの本がいいよ!」と奨められたのがキッカケです。

実際に読んでみると、共感しながら読んでいる自分がおりました。

ここでは書きませんが、本書には、池田さんが何故「ひとり時間」を大切にするようになったのか、その理由が書かれておりました。私は、「朝活の女王」として雑誌などに登場する池田さんの姿からは想像もできず、驚きを隠せませんでした。と同時に、私も似たような経験を持っているので、自分の経験とダブらせながら読んでいました。

自分の経験を省みたとき、不調を脱するキッカケとなったのは
 ・自分の日常、考えていること、悩み、不安、解決策などを朝晩書き出してみる
 ・ひとり時間でそれを省みて、継続、軌道修正などを考えてみる
ということを継続的に行ったことでした。書き出し、ひとりで落ち着いた雰囲気の中で省みることを継続的に行うことで、過去から現在の軌跡、成長の跡を確認でき、そしてそれを未来に向けてどうするかを考えることが出来ました。それと同時に「自分は良い方向に進んでいる」と実感できたのです。

もちろん、当時は本書はまだ発刊されていませんでしたので、自分なりに試行錯誤の中で行ってまいりました。ただ、本書を通じて池田さんの経験を知り、池田さんが提唱する方法を知ることで、「自分が行ってきた方向性は間違っていなかった」と確認することは大きかったと思います。

「忙しい」とは「心を亡くすこと」とよく言いますが、「忙しい」ときほど「ひとり時間」が必要な時だと思います。本書には、「ひとり時間の効用」だけでなく、「どのように、ひとり時間を確保するか」といった、池田さんの「ひとり時間に関するノウハウ」が書かれております。

「忙しい方」に、是非、読んで頂きたいと思います。

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