きよはるさんのレビュー一覧
投稿者:きよはる
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松本清張歴史小説のたのしみ
2008/11/10 00:12
松本清張歴史小説のたのしみ
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清張の出世作「西郷札」に、そんな秘密があるなんて知らなかった。これは著者の大発見だと思う。
第二に、この本の面白いのは、清張の歴史小説を、その史料から解読していくところだ。新井白石の『藩翰譜』(はんかんふ)なんて、今まで知らなかった。この『藩翰譜』から清張は深い影響を受けて作品を書いている。
正直、これまで読んだことのない歴史小説も取り上げられていたが、「戦国権謀」や「面貌」は、ものすごい作品だと、この本で知った。
松本清張が森鴎外に詳しいことは、「或る『小倉日記』伝」でも知られるが、この本は、清張が鴎外作品に挑戦した、いくつかの作品を具体的に挙げて説明している。それがじつに、的確だ。「白梅の香り」が鴎外の歴史小説第一作「興津弥五右衛門の遺書」を意識して、同じ材料を用いて作品を書いているという指摘、清張の「疵(きず)」が鴎外の「佐橋甚五郎」を完全に換骨奪胎した作品であるという指摘など、著者のいうとおりだと感心させられる。また「三位入道」の、武士でありながら漂泊をもとめた主人公像にも、心ひかれた。
タイトルどおり、読者に松本清張の歴史小説の醍醐味を満喫させてくれる本だと思う。
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