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書店員レビュー
ウラミズ (角川ホラー文庫)著者:佐島 佑
書店員:「文教堂みなとみらい駅店」のレビュー
- 文教堂
- 文教堂|カルチャーエージェント みなとみらい駅店
ホラーの新しい幕開けを感じさせる快作
角川ホラー文庫は常に斬新なホラー作品を出し続けている革新的なレーベルだ。
そこからまた思わず唸らせられるような逸品が出た。
佐島佑の「ウラミズ」がそれだ。
哀しくも美しいイメージの表紙イラストと、キャッチーなタイトルに惹かれて読んだ。
「霊が視えてしまう真城と、視えないけれどペットボトルの水に霊を溶かす力を持つ早音。その水を二つ混ぜることで強力な霊を発生させる"ウラミズ"を作り出した二人は、その水を売ってみようと思いつくが……。」
導入部分は目新しい感じもなく、ありきたりな退魔師モノを手にしてしまったかと思った。過度な期待もせず、読みやすい文章に乗っかってサクサクと読み進んでいくと、途中から随分と変わった展開になってくる。
ちょっとダメな人間の香りがする3人がチームを組んで、幽霊狩りを始めるのだが、まず3人のダメっぷりがリアルでいい。
多くの小説は登場人物が、キャラ立ちバリバリで個性が溢れ過ぎている場合が多い。しかしこの「ウラミズ」は実に自然だ。例えるなら、知り合いとして話を聞くぶんにはいいが、友達にはなりたくない奴らだ。
微妙に共感出来るが、いまいち好感が持てない。中途半端ぶりがリアル過ぎて笑えてさえくる。そんな面々が、霊を敬いも恐れもせずに、道具のように扱って商売を始める。ついつい吹き出してしまったセリフなどもあり、これはコメディホラー路線なのかと勘違いしたくらいだ。
そして中盤を過ぎたあたりから、話の展開というか雲行きがあやしくなってくる。これはどこにでも転がっているホラー小説じゃないぞと、この辺から僕は居住まいを正して読み始めた。結論から言うと、「ウラミズ」は中盤から俄然面白くなる。
影のある美女、ヤクザなどが出てきて、物語の着地点がまったく想像出来なくなる。常に予想の斜め方向に向かうような展開で、もうここからはラストまで一気読みだ。
果たしてハッピーエンドで終わるのか、それともバッドエンドなのか。それはぜひ読んで確かめてほしい。
ホラーの新しい幕開けを感じさせる快作であることは間違いない。
(評者:文教堂みなとみらい駅店 中川浩成)