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コラム

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ) 2018年5月号

今月の特集は
『Black Lives Matter』
『丸善ジュンク堂書店 美術書カタログ2018 defrag 2』

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ)。今月の特集ページを一部ご紹介致します。
気になった書籍はネットストアでご注文も可能です。
(※品切れ・絶版の書籍が掲載されている場合もございます。)

すべての内容を、WEB上でお読み頂けます。





今月の特集(一部抜粋)



『Black Lives Matter』
 2018年3月、アメリカ・カリフォルニア州で、持っていた携帯電話を銃と間違えられたひとりの黒人男性が、自宅の庭で警官に射殺される事件があった。2人の警官がそれぞれ10発ずつ発砲したという。ちょっと想像ができないくらい異常な事態に感じられるが、警官に黒人が射殺される事件は今までにもたびたび発生しており、そのたびに警察による過度な権力行使と人種差別を問題視する声が各地からあがり、アメリカ国内では大きな問題になっている。
 Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)という標語を目にされたことはあるだろうか。直訳すれば、「黒人の命も大切だ」だろうか。アメリカでの人種差別に反対するデモなどでは必ず見受けられるもので、私も一昨年ボストンを訪ねた際に教会の入口の上にこの標語が書かれた旗が掲げられているのを見かけたりもした。「黒人差別ってまだあるの?」と驚かれる方もいるかもしれない。だが、10年も前に黒人の大統領が誕生したアメリカの、現実の話である。
 「私には夢がある」という有名な演説をしたキング牧師のことはご存知だろう。公民権運動で中心的役割を果たした彼が、暗殺されてから今年で50年の節目を迎えた。これをひとつの契機として、今一度、アメリカにおける黒人差別の歴史と闘いの軌跡を振り返ってみたいと思う。そうすることが、今もなおアメリカ社会に暗い影を落とし続ける人種差別の根深さを認識し、そしてまた、日本国内や世界各地における差別問題についても考える端緒となることを願う。
 まずは、アメリカでの黒人をめぐる歴史の流れを把握するための入門書から始めよう。本田創造『アメリカ黒人の歴史 新版』(岩波新書/820円)は、奴隷貿易の始まりから、キング牧師が暗殺され公民権運動が分解していく1960年代までを主にまとめている一冊。歴史の大きな流れとディテールのバランスが良く、丁寧で過不足のない解説で最初の一冊に最適だろう。そして、その次に続けて読みたいのが上杉忍『アメリカ黒人の歴史―奴隷貿易からオバマ大統領まで』(中公新書/820円)だ。本田創造の流れを汲んだ上で、80年代以降の状況と研究を踏まえて書かれている。黒人の投票率が少しずつ伸びる中で、黒人の人権問題にからむ票の取り合いがあったことや、近年の統計から読み取れる黒人差別の現状についても触れられており、駆け足ながらも現在に至るまでの動きが網羅的にまとめられている。この二冊を読めば、大まかなところはほぼ把握できるだろう。この二冊に加えて、勢いのついた方は続けてもう一冊、『黒人差別とアメリカ公民権運動―名もなき人々の戦いの記録』(集英社新書/ジェームス・M・バーダマン著/760円)を新書三点セットとして読んでいただきたい。歴史的な出来事の背後にあった個別の事例を丁寧に取り上げている。白人による黒人差別がどれだけ不条理なものであったか、名もなき黒人たちの闘いがどれだけ困難なものであったかがまっすぐに伝わってきて、本を持つ手が震えてしまう。
 新書の紹介が続いてしまうが、3月に刊行されたばかりの評伝、『マーティン・ルーサー・キング―非暴力の闘士』(岩波新書/黒﨑真著/820円)も挙げておきたい。「非暴力の聖人」といったイメージが強いキング牧師だが、著者によると、彼は非暴力を「戦略」として採用し、さらにそれを生き方にまで高めていったという。キング牧師の死後、一九八三年になってキング牧師の誕生日が国民の祝日になるなど、国家体制へ取り込まれていく部分まで書かれていて興味深い。
 アメリカ国内でキング牧師と同じくらい有名なのが、学生非暴力調整委員会(SNCC)の代表をかつて務め、1987年以来ずっと連邦議会下院の議席を守り続けている、ジョン・ルイスだ。ルイスの半生を追ったグラフィック・ノベル『MARCH』(全三巻/岩波書店/ジョン・ルイス、アンドリュー・アイディン著/ネイト・パウエル絵/押野素子訳)が現在、三か月連続刊行中だ。グラフィック・ノベルとして初めて全米図書賞(児童書部門)を受賞し、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー・リスト第一位、コレッタ・スコット・キング賞オナーブックなどに選ばれた話題作。学生たちのシット・イン(黒人には食事を提供しないレストランなどで、提供されるまで座り込みを続ける運動)が、多くの学生たちの犠牲の上に徐々に公民権運動への社会の機運を高めていく様子や、内部での意思統一のむずかしさなどを当事者目線で描いている。丁寧な解説がつけられているので、公民権運動に関する知識があまりなくても楽しむことができるだろう。

・・・つづく

2018/05/07 掲載