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コラム

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ) 2018年7月号

今月の特集は
『あなたはマルクスを読んだか』
『教え、育むということ』

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ)。今月の特集ページを一部ご紹介致します。
気になった書籍はネットストアでご注文も可能です。
(※品切れ・絶版の書籍が掲載されている場合もございます。)

すべての内容を、WEB上でお読み頂けます。





今月の特集(一部抜粋)



『あなたはマルクスを読んだか』
今年はカール・マルクス(一八一八‐一八八三)の生誕二〇〇年です。文政元年に生まれて明治十六年に亡くなったこの人物は、疑いなく、歴史上最も影響力の大きかった思想家でしょう。
 その思想をかんたんに語るのは無理ですが、戦後日本を代表する思想家・吉本隆明によるみごとな要約がありますので、引用しましょう。吉本は、マルクスの思想体系に見出される「三つの旅程」を、以下のように抽出しています。
 「ひとつは、宗教から法、国家へと流れくだる道であり、もうひとつは、当時の市民社会の構造を解明するカギとしての経済学であり、さらに、第三には、かれみずからの形成した、〈自然〉哲学の道である。」(吉本隆明『カール・マルクス』光文社文庫・四七六円)
 マルクスの射程は、とても広いのです。そして興味深いのは、「マルクス主義者」ではない少なからぬ人が、その思想を発展させるトリガーとして、マルクスからインスピレーションを得ていることです。
 もしかしたら、マルクスの「魅力」はむしろ、「創造的誤読」を触発することにあるのではないか?
 というわけで、今回の「愛書家の楽園」は、マルクスの代表的著作と、重要な「誤読」(?)の数々をご紹介しましょう。
 まず、何はさておき、マルクス自身の著作を挙げましょう。
 たぶん、次の五冊が、マルクスのエッセンスを知るにはベストだと思います。
 カール・マルクス/城塚登・田中吉六訳
 『経済学・哲学草稿』(岩波文庫・九〇〇円)
 カール・マルクス、フリードリヒ・エンゲルス/廣松渉編訳・小林昌人補訳『ドイツ・イデオロギー 新編輯版』(岩波文庫・九〇〇円)
 カール・マルクス、フリードリヒ・エンゲルス/大内兵衛・向坂逸郎訳『共産党宣言』(岩波文庫・五二〇円)
 カール・マルクス/岡崎次郎訳『資本論(1)』(大月書店国民文庫・一二〇〇円)
 カール・マルクス/植村邦彦訳『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日[初版]』(平凡社ライブラリー・一五〇〇円)
 『経済学・哲学草稿』は、マルクスがパリに亡命中の一八四四年に書いた原稿で、生前には発表されませんでしたが、一九三二年に公刊されると大きな反響を呼びました。キーワードは「疎外」。人間が作った物や制度が、逆に人間を支配するようになる本末転倒状態のことで、資本主義の非人間性を表す言葉です。
 『ドイツ・イデオロギー』も未完の草稿で、生涯の盟友エンゲルス(一八二〇‐一八九五)との共著(一八四五‐一八 四六年)。マルクス自身も属していた「青年ヘーゲル派」の哲学者たちへの徹底批判で、のちに「唯物史観」などと呼ばれる、マルクス、エンゲルスの転回点になった著作です。岩波文庫版は故・廣松渉氏による綿密な校訂により、マルクスとエンゲルス各自の書き込みを、フォントを区別するなどして綿密に再現。正直、本としては読みにくいことこのうえないですが、断片的に読んでも面白い。アフォリズム集のようにも読める鋭いフレーズが満載です。「哲学者たちはただ世界をさまざまに解釈してきたにすぎない。肝腎なのは、世界を変革することである」という有名な言葉を含む「フォイエルバッハ・テーゼ」も収められています。
 『共産党宣言』(一八四八年)は、『資本論』と並んで最も有名な著作で、これもエンゲルスとの共著。当時彼らが属していた政治団体「共産主義者同盟」の綱領文書で、共産主義(コミュニズム)のアウトラインを示したもの。革命運動に直結したアジテーションに満ちています。「ヨーロッパに幽霊が出る――共産主義という幽霊である」「今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である」という有名な言葉から始まり、これまた有名な「万国のプロレタリア団結せよ!」で終わります。このときマルクス二十九歳、エンゲルス二十七歳。
 主著『資本論』は、ずばり「資本主義」という巨大な怪物に挑んだ超大作。長大かつ難解な著作ですが、まずは国民文庫版の(1)だけ読むといいと思います。『資本論』は全三巻構成で、国民文庫版(1)には第一巻の三分の一が収められています。これだけでも読みごたえは十二分。初版刊行は一八六七年、マルクスは四十九歳でした。ちなみにマルクスの生前に出版された『資本論』は第一巻だけで、第二巻、第三巻はマルクスの遺稿をエンゲルスが編集・補筆して刊行されました。
 『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』は、マルクスの知られざるもう一面=ジャーナリストとしての才能を表す傑作です。一八五一年、共和制下のフランスで、ナポレオンの甥ルイ・ボナパルトのクーデターが成功し、しかもその独裁権力は国民投票で圧倒的な支持を得る。この一見不条理な事件はなぜ起きたのか? ――人類学者レヴィ=ストロースが、自分の思考に活気を与えたいときに本書を読んでいたというのは有名な話です。
・・・・つづく

2018/07/12 掲載