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コラム

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ) 2018年8月号

今月の特集は
『経済学の正しい使い方』
『柄谷行人書店』

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ)。今月の特集ページを一部ご紹介致します。
気になった書籍はネットストアでご注文も可能です。
(※品切れ・絶版の書籍が掲載されている場合もございます。)

すべての内容を、WEB上でお読み頂けます。





今月の特集(一部抜粋)



『経済学の正しい使い方』
 二〇〇八年のリーマン・ショック直後、エリザベス女王から「なぜ誰も予測できなかったの?」と問われ、頭を抱えた経済学者たちの姿に溜飲を下げた人は多かったらしい。数学を駆使し、政治への影響力が大きく、ノーベル賞の部門もある「社会科学の女王」──経済学に対する、他分野の研究者や一般市民の目は思いのほか厳しい。経済危機の責任は間違った指針を与えた経済学者にあるのではないか? 理論に現実を強引に押し込めていないか? それは実のところ「科学」なのか?──失われた信用を取り戻すために、経済学はどこへ向かうのか?
 『エコノミクス・ルール 憂鬱な科学の功罪』(白水社/ダニ・ロドリック著/一八〇〇円)
 典型的な経済学批判は、理論の土台となる仮定が非現実的で、複雑な社会現象を単純な枠組に還元してしまうというものだ(たとえばホモ・エコノミクス=経済合理性を唯一の行動基準とする人間像)。だがロドリックは言う。経済学はモデルの集まりであり、唯一無二の普遍的モデルなど存在しない。社会の変化に合わせて古いモデルが新しいモデルに置き換わるのではなく、増殖していくのである。たしかにリーマン・ショックを防ぐことはできなかったが、経済学には危機やバブルを解明し克服する学説も無数にある。そして重要なのは、目の前の現実を分析するのにどのモデルをどう適用するか、ということだ。状況次第で、市場の自由化が正しいことも、政府の介入が正しいこともある。それを見極めるのは、科学というより技芸=アートの問題である、と。
 『ゲーム理論はアート 社会のしくみを思いつくための繊細な哲学』(日本評論社/松島斉著/二〇〇〇円)
 『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』(早川書房(ハヤカワ文庫)/ダン・アリエリー著/九〇〇円)
 『ヤバい経済学 悪ガキ教授が世の裏側を探検する (増補改訂版)』(東洋経済新報社/スティーヴン・D・レヴィット他著/二〇〇〇円)
 近年の経済学は、政治学・社会学・心理学・人類学などの知見を盛り込んだ多様な展開を見せている。元々は主流派経済学への批判の意味が強かったと思われるが、今ではゲーム理論や行動経済学がむしろ主流の様相を呈する局面もあるし、当の「主流派経済学」のほうも高度に細分化され、とうてい一括りにはできなくなってきている。ここに挙げた三冊には、「これが経済学?」と驚く人もいるのではないだろうか。
 『ゲーム理論はアート』では、「全体主義は日常的に起こりうるか」「貧困の救済にはどんな困難があるか」「なぜハラスメントは起こるのか」等々、ただ詳細を調べ上げてもかえって混乱が増すような難題が掲げられる。事の本質に迫るには、芸術家が作品を生み出すのと同じように、社会のしくみを表現するモデルを創造しなければならない。それは論理的で比較検証が可能でありながら、人々の心のひだも織り込まれている必要があるだろう。本書では、たとえばアーレントの「悪の凡庸さ」もゲーム理論という名の「数学」によって分析されている。
 『予想どおりに不合理』は、心理学の知見を取り入れた行動経済学の本。手弁当ならがんばるが、安い報酬を出されるとやる気が失せる。消費者が支払ってもいいと考える金額は、じつは簡単に操作されてしまう。ホモ・エコノミクスどころか、私たちの行動は不合理だらけだが、しかし「予想どおりに不合理」だ。規則性があって、何度も繰り返してしまうため、予測もできる。企業が行動経済学をマーケティングに利用しているのは理の当然なので、乗せられたくない人は知っておいたほうがいい。
 『ヤバい経済学』の著者はシカゴ大学経済学部の教授だが、専門は「日々の出来事や謎」だそうだ。「大相撲の八百長は証明できる」「米国の犯罪減少に影響を与えたのは中絶の合法化である」等、ちょっとヤバいのも混じったテーマを統計データで分析しまくり、間違った常識やインチキを暴露する。経済学とはインセンティブ(人々の意思や行動を導く誘因)の分析である、という定義があるが、著者によれば、人がインセンティブにどう反応するかを測る統計的手法が経済学にはいくらでもあるそうだ。「あとはデータがあればいい。」
 『21世紀の貨幣論』(東洋経済新報社/フェリックス・マーティン著/二六〇〇円)
 『中央銀行が終わる日 ビットコインと通貨の未来』(新潮社(新潮選書)/岩村充著/一四〇〇円)
 貨幣は物々交換の不便さから生まれた一つの商品であり、その価値は他の商品と同じように決定される、というのが一般的な経済学の説明である。だが現実に物々交換だけで成り立っている経済は、歴史学でも文化人類学でも一つも見つかっていない。『21世紀の貨幣論』によれば、マネーの本質はその起源から「モノ」ではなく「信用」を軸とした社会的な技術であるのだが、お金をモノとする「正統的」貨幣観は現代に深刻な問題を引き起こしているという。なぜ金融危機を予測できなかったのか、というエリザベス女王の質問に対する著者の答えは単純明快である。「マクロ経済を理解するための大きな枠組みに、マネーが組み込まれていなかったからだ。」
・・・・つづく

2018/08/02 掲載