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コラム

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ) 2018年11月号

今月の特集は
『10代から90代まで一緒に読みたい本』
『お酒は知性を刺激する』

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ)。今月の特集ページを一部ご紹介致します。
気になった書籍はネットストアでご注文も可能です。
(※品切れ・絶版の書籍が掲載されている場合もございます。)

すべての内容を、WEB上でお読み頂けます。





今月の特集(一部抜粋)



『10代から90代まで一緒に読みたい本』
『君たちはどう生きるか』が漫画となって大ヒットしているのは、ご存知かと思います。吉野源三郎によって世の少年たちに訴えかけられた哲学的問答は一九三 七年、太平洋戦争の始まる直前から八十年近い時を経て、現在多くの共感を呼んでいます。店頭でお求めいただく年齢も性別も幅広く、祖父母から孫へ、親から子への贈り物として、漫画と小説を併せて買って一緒に読もうという方が多かったのが印象的でした。
 主人公コペル君と叔父という斜めの関係も若い人を中心に共感を呼んでいます。
 一冊の本を共に読んで語りあう時間をもつのは、とても幸せなこと。「10代から90代まで一緒に読みたい本」と銘打ったフェアをこの夏、開催しました。中でも好評を得た本をご紹介します。
 山田太一編『生きるかなしみ』(ちくま文庫・五八〇円)はさまざまな悲しみを抱えて生きる人々の姿を描いたアンソロジー。山田太一「断念するということ」の他、吉野弘・円地文子・時実新子・宮沢清六・五味康祐・永井荷風・石原吉郎・柳田国男などの「悲しみ」にまつわるエピソード。どの作品も戦中・戦後の過酷な風景があり、短い文章の中に悲しみと怒りの接点が見えます。やり場のない思いが溢れて、『君たちは……』同様に売り続けていかなくてはならない一冊だと感じます。
 同じちくま文庫で営業の方にお勧めいただいたのは、高史明『生きることの意味 ある少年のおいたち』(四八〇円)。
 四十年以上前の作品ですが、時代背景も今とそう変わらぬように読めます。家族に見守られて過ごした幼い日々が、進学することによって激変し、激しいいじめと差別の中で、死を考え始めた少年。彼を支えたのは担任の阪井先生が教えてくれた人間のやさしさでした。著者の父は妻を若くして亡くし、息子二人を必死に育てるのですが、日本語をうまく話せない環境での労働と生活は厳しく、つらさや痛みを表現することのできない苦しみの中で生き抜く姿も描かれています。
 池田晶子『14歳からの哲学 考えるための教科書』(トランスビュー・一二〇 〇円)も中学生と一緒に読みたい本。まずは大人が読んでから、とも思います。近年教科書や試験問題にも多く取り上げられるそうで、中高生にも「知ってる!」という子の多い本ですが、年を重ねて読むと新たな発見があります。私がこの本にもし十四歳で出会っていたら、あまりに優しく真っ当過ぎて強い反発を抱いたかもしれません。どこかもうちょっと欠け落ちた考えを好んでいたように思いますが、心の奥底では、考え続ける自分でありたいという思いも持っていて、音楽や本や言葉をよりどころにしてきました。十四歳で出会えば、今よりずっと心動き、もっといい生き方を選べたのではないかという後悔と、十四歳にこれがわかってたまるかと嫉妬心さえも芽生える程に、哲学をいきいきと語りつくした不朽の名作です。
 一緒に「考える」という意味では、マリリン・バーンズ『普及版考える練習をしよう』(晶文社・一三〇〇円)も一年を通じて手に取る人が多い一冊。物事を多角的に見て考えようという児童書なのですが、普及版が出てからはロジカルシンキングの入門書としてビジネスマンが手にする姿をよく見かけます。謎解きの要素もありゲーム的に楽しめる部分も、子どもから大人まで長く幅広く読まれている理由のひとつ。凝り固まった考えをほぐして、問題の本質を見極め、続けることで考えを深めるという思考のステップを子供にもわかりやすく伝えてくれます。なぜか読み終えると街に出たくなるというか、散歩がしたくなるような。不思議な本です。
 ロジカルシンキングに続いては、プレゼン力。大学生や新社会人へのプレゼントとして人気があったのが後藤芳文・伊藤史織・登本洋子著『学びの技 14歳からの探究・論文・プレゼンテーション』(玉川大学出版部・一六〇〇円)でした。研究テーマの決め方や、情報収集の仕方、どんなツールを使ってまとめていくか、その発表方法がわかりやすく図解で紹介された一冊。中学三年生向けの論文の書き方指南ですが、自由な研究をし、それを仕事にするには必要なスキルがわかりやすく書かれていて、大学生入学時に読んでもよさそうです。ひたすら知識を身につける時期を過ぎて、さてこれからどうするという岐路に立つ人はぜひ。
 もちろん、大学生対象の本もあります。中でもよく売れた本がA・W・コーンハウザー著、山口栄一訳『大学で勉強する方法 シカゴ大学テキスト』(玉川大学出版部・九七一円)。九十頁ほどの短さに勉強をする意味から、限られた時間の中で効率的に学ぶ方法論を書かれた、シカゴ大学の新入学生向けのリーフレットを一冊にしたものです。「集中するための条件」として、部屋や椅子、風通しまで、そしてノートの取り方や話の聞き方、記憶力の高め方、知識の活かし方など。何度か改訂が行われており、初版は百年ほど前。しかし古さをあまり感じさせないところにも驚きます。社会に出てからも、試験を受けたり能力を身につけなくてはならなくなった時、その壁の高さに呆然として、始める前からあきらめてしまうことがあります。そんな時、エンジンをかけるのには最適な一冊です。
 実際に中学や高校で行われた講義録を一緒に読んで、授業の雰囲気を味わってみるのも大人になってからの楽しみのひとつです。読み進むうちに、自分たちが失ったみずみずしい発想や、子どもたちに引き継ぐべき課題が見えてきます。
・・・・つづく
 吃音に、従来の医学的・心理的アプローチとはまったく違う視点から追った伊藤亜紗『どもる体』(医学書院・二〇〇〇円)。身体論としての吃音論を展開することで、当事者の感覚に深く寄り添っています。
 ダニエル・ヘラー=ローゼン著、関口涼子訳『エコラリアス』(みすず書房・四六〇〇円)は、失語症の分析などから言語そのものに迫っています。私たちが普段意識せずに話している「言語」が、どんなにもろい前提の上でできているのかを教えてくれる重厚な研究です。
・・・・つづく

2018/11/01 掲載