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コラム

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ) 2019年1月号

今月の特集は
『ノンフィクション大賞 愛書家の楽園――住人たちの2018年の読書』
『岡本太郎と沖縄とジュンク堂書店』

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ)。今月の特集ページを一部ご紹介致します。
気になった書籍はネットストアでご注文も可能です。
(※品切れ・絶版の書籍が掲載されている場合もございます。)

すべての内容を、WEB上でお読み頂けます。





今月の特集(一部抜粋)



『ノンフィクション大賞 愛書家の楽園――住人たちの2018年の読書』
昨年も同時期に「愛書家の楽園――住人たちの2017年の読書」と称して年間ベストの特集をお届けいたしましたが、今年は本屋大賞で「ノンフィクション本大賞」が新設されたのを機に、「愛書家の楽園」でもノンフィクションの傑作を住人たちに紹介してもらうことにしました。
 一作は本年度の収穫を、もう一作はオールタイムベストを挙げてもらいました。本年度とは、便宜上2017年11月1日より2018年10月31日までとしました。
 ノンフィクションとはなにか?という問いを住人たちに問いかけると、各人各様の意見が一筋縄では収まらず、あえて定義はいたしません。各自の選書結果が、そのままその答えになっております。「ノンフィクション大賞」と銘打っておりますが投票はせず、すべてを大賞と認定します。
※選者五十音順

●不染鉄『不染鉄ノ便リ』(求龍堂・二三〇〇円)
 一八九一年に小石川で生まれ、一九七 六年に奈良で没した画家・不染鉄が、一 九六五年から二年間、二十代の女性に書き送りつづけた、百通近い絵葉書。老境を迎え自在に生きたいと思いながらも、いい絵を描きたいと念じる気持ち、そしてにじむ淡い恋情。精緻を極めた画業と異なる力の抜けた絵と文字を見つめながら、彼のように自在を求めたいと願う。
●中上健次『紀州 木の国・根の国物語』(角川文庫・六四〇円)
 「岬」で芥川賞を受賞した翌一九七七年、作家は郷里を経巡る旅に出る。「岬」の続編で代表作のひとつとなった『枯木灘』発表と同年である。半島の地形を眺め、そこに根生する人らと交わり、土地の名前に思いを致し、信仰や習俗、そして差別の問題を見つめ直した最良のルポルタージュであり、この旅によって中上の文学はさらに大きな視座を獲得した。
(青木誠也/作品社)

●野崎歓『水の匂いがするようだ 井伏鱒二のほうへ』(集英社・二二〇〇円)
 よくぞ井伏鱒二に脚光をあててくれた。「山椒魚」や太宰の師匠としての知名度に埋もれていた井伏は、実は味わい深いユーモアと観察眼、戦時でもぶれない世界観を有していた。また、存在しない日記をもとにリアリティあふれる作品を創作する力量には驚かされる。太宰が「谷崎にはなれるが井伏にはなれない」と吐露した理由がわかる。
 スティーブン・ピンカー/山下篤子訳
●『人間の本性を考える 上・中・下』(NHKブックス・上巻品切/中巻一一 二〇円/下巻一二〇〇円)
 人間は生まれた時「空白の石版」であり後天的に人格が決まるというタブラ・ラサ説の批判をし、人間の本性は生得的に決まる部分が大きいと論じた。脳科学・行動科学の解説書としては非常に読みやすい。のちにイデオロギー論争の的にもなった本書だが、《生得的なもの》を無視した人間把握はあり得ないという視点は有益だ。
(大内達也/丸善ジュンク堂書店)

●ロバート・ホワイティング/玉木正之訳『ふたつのオリンピック(東京1964/2020)』(角川書店・二四〇〇円)
 あと五年早く生まれていたら体験できた幻の東京が目の前に広がる。同じ町を生きて来たのに見たこともなかった闇の世界と、ひょっとしたら自分がいたかも知れない現場が交錯する。都市論、マスコミ裏面史、人物論、もちろんスポーツ評論として大いに楽しめる。年経るごとに著者の体重が増えて行く一行が効果的。来年までの普請中にこそ読むべき本だ。
●幸田文『木』(新潮文庫・四三〇円)
 学生時代、丸善の月刊誌『學鐙』に載るこの文章に心を動かされた。一向に本にならないので思い切って手紙で申し出たら、代りの青木玉さんから先約がございましてと断られた。没後出た単行本は書架に常備である。えぞ松、ひのき、杉、桜……脚力の萎えを押して訪ねる森林の様子から、幸田文は後に書く「崩れ」を見抜いている。環境をめぐる永遠の書。
(尾方邦雄/みすず書房)

●四方田犬彦『詩の約束』(作品社・二八〇〇円)
 本年の詩論(詩壇)の収穫。詩人と詩人以外の文学者との架け橋となる一冊。十八に章分けされたひとつひとつはどれも興味深い。研究者だけでなく実作者にも得るものは多い。古今東西の詩にとどまらず、詩の周辺にまでも広く丁寧に言及・考察されていることにより、評論としての深みも増している。
●サイモン・シン/青木薫訳『フェルマーの最終定理』(新潮文庫・七九〇円)
 云わずと知れた文系のため(?)の必読書。数学のまるでダメな人ほどハマるかも。「谷山=志村予想」のくだりは何度読んでも熱くなる。フィクションを凌駕する一冊はまさにこれといっていい。フェルマーの最終定理に至るまでの数学界における大まかな流れも概観されており、歴史書としても楽しめるようになっている。
(鎌田伸弘/丸善ジュンク堂書店)

●松本創『軌道――福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い』(東洋経済新報社・一六〇〇円)
 凄惨きわまる事故現場の映像が未だ脳裏を去らない。あの福知山線脱線事故から十三年が経った。JR西日本の企業体質が問われた「組織事故」からの恢復はどのように進められたのか。その道程に寄り添う著者は、遺族と加害企業の社長の取り組みに迫る。昨今の日本社会を振り返りつつ、「遺族の責務」という言葉の重みを卓抜したタイトルと共にかみしめた。
●猪瀬直樹『昭和16年夏の敗戦』(中公文庫・六四八円)
 太平洋戦争開戦前夜、各省のエリート官僚らを集めて行われた模擬内閣による対米戦争のシミュレーションは、日本は米国に勝てないと結論づけていた。情報は時の首相に届いていたが、結局戦争を止めることは出来なかった。歴史に埋もれた史実を証言と原資料から描き出し、日本という国家の宿痾を描き切ったノンフィクション作家・猪瀬直樹の最高傑作。
(神谷竜介/千倉書房)

●磯部 涼『ルポ 川崎』 (サイゾー・一六〇〇円)
 街の姿、におい、といったものは何によって形づくられるのだろうか。東京に隣接し高層マンションや住宅地が拡大する一方で、「川崎中一殺人事件」のような凄惨な事件が起きた「川崎」が持つ多面的な像が、若者の生き様から見事に描き出される。複雑な要素が絡み合い、最も変貌著しい街「川崎」の底にあるリアルなものから見えてくるのは、希望か、絶望か。
●坂口安吾「安吾の新日本地理」(『坂口安吾全集11』所収)(筑摩書房・七二〇〇円)
 綿密な文献渉猟、深い読み込み、そしてアジア大、さらには世界的な視野の広い想像力をもって、日本の多様・多彩な姿が描かれる。昨今のベストセラー本の対極をなすような、豊かな文学的創造をこの作品を通じてぜひご堪能ください。中国や朝鮮半島、ロシア等との関係が新たな段階にある現在、安吾の持つ想像力、そして歴史認識にふれることは必須の教養だと思います。
(黒田拓也/東京大学出版会)

・・・・つづく

2019/01/01 掲載

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