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コラム

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ) 2019年5月号

『デジタルの暗黒、アートの力』
『言葉に出会う』

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ)。今月の特集ページを一部ご紹介致します。
気になった書籍はネットストアでご注文も可能です。
(※品切れ・絶版の書籍が掲載されている場合もございます。)

すべての内容を、WEB上でお読み頂けます。





今月の特集(一部抜粋)



『デジタルの暗黒、アートの力』
 「暗黒」がインターネットとテクノロジー社会のキーワードになりつつあります。
 情報テクノロジーはますます進化し、私たちの世界の変化を加速しています。しかし、私たちはその変化について行けているのでしょうか? 私たちは、世界がどのように動いているのか、ちゃんと理解できているのでしょうか?
 幻想文学の巨匠H・P・ラヴクラフトの「世界のすべての関連を理解する能力を人間の心から取り除いたのは神の恩寵である」という言葉にインスパイアされて、現代を「ニュー・ダーク・エイジ(新しき暗黒時代)」と呼ぶのは英国のアーティスト、ジェームズ・ブライドルです。
 ジェームズ・ブライドル/久保田晃弘監訳・栗原百代訳『ニュー・ダーク・エイジ――テクノロジーと未来についての10の考察』(NTT出版・二六〇〇円)
 本書の根底にあるのは、私たちを取り巻くテクノロジーが、人間の経験のみならず、ものの考え方や行動を暗黙のうちに規定し、人々を「暗闇」に導いている、という認識です。
 ビッグデータ社会は明るい未来なのでしょうか。より多くの情報が、より良い決定へと導くというのは本当でしょうか。匿名のソフトウェアによって自動的に生成されるフェイクニュース、無益な炎上など、ネットワーク化されたアルゴリズムに囚われた現代社会。そこで私たちはいったいどのように理解し、行動すればいいのでしょうか。
 簡単に答えは出ません。ブライドルは「私たちは無力ではないし、主体性もあり、暗黒のなかに閉じ込められてもいない。私たちはひたすら考え、そして考えを改め、なおもまた考えつづけなくてはならない」と述べています。
 奇しくも、タイトルに「ダーク」を冠した本がほぼ同時期に刊行されました。木澤佐登志『ダークウェブ・アンダーグラウンド』。文字通り「ネットのダークサイド」を論じた本ですが、ブライドルの問題意識とも通底するものがあります。
 かつてインターネットは、情報のフラットなやりとりを可能にする、民主主義の理念そのものを体現するものとして歓迎された。それはマクルーハンが提唱した「地球村」のように、世界の人々を平等につなぐものとして期待された。しかし今やインターネットは、テロリストによる残虐映像が蔓延し、フェイクニュースとヘイトで溢れかえる。「フィルターバブル」という言葉が示すように、人々はSNSに閉じこもっている……。
 本書によれば、グーグルで検索できるのはインターネット全体の四%にすぎず、残る九十六%の広大な領域は「ディープウェブ」と呼ばれ、さらにその中にいわば「解放区」である「ダークウェブ」があるそうです。本書はこのダークウェブの驚くべき世界を描き出したノンフィクションです。
 木澤佐登志『ダークウェブ・アンダーグラウンド――社会秩序を逸脱するネット暗部の住人たち』(イースト・プレス・一八五〇円)
 ブライドルや木澤さんとも通底する問題意識を軽やかに表現しているのが、『WIRED』日本版前編集長の若林恵氏です。著書『さよなら未来』は、福島原発事故から音楽評論まで、バラエティ豊かなエッセイ集ですが、「テクノロジーは私たちを幸せにするのか」「便利になるって、ぶっちゃけ何が価値なんだろうか」といった、率直で爽やかな直言に満ちています。若林さんは、「コンヴィヴィアリティ(自立共生)」の思想家イヴァン・イリイチを「守護聖人」として、『WIRED』を編集していたそうです。
 若林恵『さよなら未来――エディターズ・クロニクル 2010―2017』(岩波書店・二二〇〇円)
 さて、今回のテーマの後半「アートの力」です。
 アートは、科学とは違ったかたちで世界を理解する方法と考えられます。
 西洋古代には三科(トリヴィウム:文法学・修辞学・弁証学)という、言語についての技術と科学がありました。つまり文法学=ロジックだけでなく、レトリックや弁論術、もっといえばアナロジーやメタファーも重視されていました。
 近代以降、ロジックが優位の「科学」が前面に立ちましたが、その帰結は良いことばかりではありませんでした。とりわけコンピュータの「計算論的思考」(ブライドルのことば)が優先されがちな二十一世紀の現在、ロジックではうまく扱えない部分を担う分野として、アートが浮上してきているのではないでしょうか。アートは、現代における修辞学・弁証学を担う分野である、と言えるかもしれません。
 先のブライドルは、文化庁メディア芸術祭やNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]での展示でも知られるメディア・アーティストです。二 〇一九年の「あいちトリエンナーレ」にも参加予定です。
 メディア・アートは、まさにコンピュータに代表されるメディア・テクノロジーを用いたアートとして、一九八〇年代から発展した分野です。しかしいまやコンピュータやネットワークは当たりまえ。そういう意味では、ことさら「メディア・アート」を標榜しないでもいい時代になったと言えるのですが、そんな中、あらためてメディア・アートの意義、可能性を説くのが、多摩美術大学の久保田晃弘教授とICC主任学芸員の畠中実氏の編になる『メディア・アート原論』です。一言で要約できる内容ではありませんが、メディアやテクノロジーにクリティカル(批判的・批評的)な視点でコミットするところに、メディア・アートの今日的意義があるというのが、ポイントだと思われます。
 久保田晃弘+畠中実編『メディア・アート原論――あなたは、いったい何を探し求めているのか?』(フィルムアート社・一七〇〇円)
 こうした分野を先駆的に研究・実践してきた工学者にしてメディア・アーティストである久保田晃弘氏の二十年にわたるテキストをまとめた論集が『遙かなる他者のためのデザイン』です。ハードコアな内容ですが、コラム的な短文も多く、どこからでも入れる本です。
 久保田晃弘『遙かなる他者のためのデザイン――久保田晃弘の思索と実装』(ビー・エヌ・エヌ新社・二六〇〇円)
 久保田さんの同僚でもあったアーティスト三上晴子(一九六一―二〇一五)は、日本のメディア・アートの先駆者と言える存在。一九八〇年代、情報社会における都市と身体の関係を暗示する作品を発表、東京の最先端アートシーンにおいて注目を集め、一九九〇年代はニューヨークを拠点に活動しました。このニューヨーク時代にコンピュータ科学を学び、知覚インターフェイスを中心としたインタラクティヴ作品を発表しました。二〇 〇〇年より多摩美術大学で教鞭をとりましたが、二〇一五年に急逝しました。
 『SEIKO MIKAMI』は、八〇年代、九〇年代、ニューヨーク、ヨーロッパなどの節目で三上晴子と協働したキーパースンたちが彼女の軌跡を語る本で、三上自身の遺稿と作品写真も収録されています。その遺稿で三上は、「アーティストとしての私の役割は、ある物(あるいは世界)に関する思想や意見を表現するのではなく、身体とテクノロジーがインタラクションする、オルタナティブな環境を構築することである」と書いています。
・・・・つづく

2019/05/07 掲載

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