コラム
丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ) 2021年11月号
今月の特集は
『いい夫婦になるため、いま特に夫に求められる勉強講座』
『『ケアの倫理とエンパワメント』(講談社)刊行記念選書フェア 〈ケアの倫理〉をいま考える』
丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ)。今月の特集ページを一部ご紹介致します。
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すべての内容を、WEB上でお読み頂けます。


今月の特集(一部抜粋)
『いい夫婦になるため、いま特に夫に求められる勉強講座』
この「愛書家の楽園」の十一月フェア展開期間中の11月22日は語呂合わせで「いい夫婦の日」。今回のフェア企画は、それを契機に、多様な本を通して夫婦について考えてみよう、というものです。ただ、単に夫婦仲良く、とか、長く添い遂げるまで、といったような古風な夫婦のあり方はもう幻想というか、そこにはどこかもう無理があるような気がします。共働きの人たちも当然のように増え、男女それぞれの意識や役割も変わり、夫婦のあり方は実に多様になってきているように思います。
ただ、どちらかというと、まだ男性の考え方に時代にそぐわないものがあるのではないか。無意識のうちに男性中心的な、女性との間に差別的構造を持ち込んでしまうような考え・行動があるのではないか。そのことが社会的にさまざまな問題を生じさせることにつながっているのではないか。多くのメディアや言説の中には、まだまだ男性の視点から語られる夫婦のあり方が支配的で、それが女性の生きにくさを生じさせ、無用な閉塞感を生み出しているのかもしれない。そんなことを男である私自身も感じることがよくあり、それは正直マズイと思うのです。男性と女性が共に活き活きと生活し、その男女が夫婦になることでさらに人生を充実させる。そうするためには、やはり男性自身の意識を変える必要がある、いまどういう問題があるのかをもっとよく考え、勉強する必要がある。変わろうぜ、男子(笑)。
ということで、題して「いい夫婦になるために、いま特に夫に求められる勉強講座」です。ただ、筆者は五十代前半で、結婚して21年、夫婦共働き(共にフルタイム勤務)、高校一年生の娘がひとり、という人間です(ふだんは女子に囲まれているとも言えます)。以下は、そうした環境や経験から考えたもので、ものの見方にやはりバイアスがあるかもしれないことをあらかじめご承知おきいただければ幸いです(男女の夫婦を前提としてしまっていることなど)。
まず勉強のスタートとして読んでもらいたいのが、田嶋陽子『愛という名の支配』(新潮文庫・649円)です。田嶋先生は日本を代表するフェミニストと言っていいでしょう。90年代前半以降、さまざまなテレビ番組でもお馴染みとなった方です。本書の最初の出版も1992年。
田嶋先生が本書でさまざまに指摘される、「女性であるがゆえに受ける差別の構造」は、その後、女性の社会進出も徐々に進んできたこともあって、当時よりは少しましな状況になっているかもしれませんが、本質的にはあまり変わっていないように思います。だからこそ、男性はいまこの時代においても田嶋先生の指摘を真摯に受け止めなくてはならない。それは、日常生活であれセックスの場面であれ、男女の無意識的な関係のなかに潜む支配・被支配の構造のありようです。そこに正面から目を向け、その自覚から良き夫婦関係を築くための男性側の「勉強」を始めたいものです。いま読んでも田嶋先生の鋭い洞察を多く感じられ、現代の#MeToo運動や#KuToo運動を先取りする議論も展開されています。
…続く
2021/11/01 掲載
