フェア 開催終了 丸善 京都本店
開催日時:2022年04月06日(水)~2022年05月31日(火)
【2022年本屋大賞】『同志少女よ、敵を撃て』に決定致しました!
全国の書店員がいちばん売りたい本を投票で選ぶ「2022年本屋大賞」が発表され、大賞に逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房)が選ばれました。『同志少女よ、敵を撃て』は、著者のデビュー作ながらアガサ・クリスティー賞大賞を受賞し、直木賞候補にもなり大きな注目を集めていました。また、発売直後から多くの書店員にも熱烈に支持され、今回本屋大賞受賞となりました。
『同志少女よ、敵を撃て』は、第二次世界大戦中の旧ソビエトとドイツによる「独ソ戦」を舞台にした小説で、実在した女性だけの狙撃小隊を題材に、精密な戦場の描写とともに女性たちの内面の変容を描きだした作品です。主人公・セラフィマは、ドイツ軍の襲撃で家族と故郷を奪われ、その復讐のために狙撃兵となり、戦いへ向かいます。過酷な戦場を仲間と共に命がけで戦う中で、戦争の残酷さや異常さを目撃し、失っていくものや自分自身も変わっていくことに戸惑いながら、彼女は次第に「何と戦い、何を守るのか。本当の“敵”とは誰か。」を考えるようになります。そして、彼女が最後に出した答えとは―。
この本が発売となったのは昨年の11月ですが、問いかけるテーマは、過去の出来事ではなく、現実の出来事となってしまった現在の状況、そして私たち自身にも向けられているものだと思います。著者の逢坂さんは受賞スピーチで、ロシアによるウクライナ侵略が続き、自身の心が深い絶望の淵にあったこと、そして「この小説に登場する主人公セラフィマがこの光景を見たならばどのように思うかと悲嘆にくれました。」と心境を語り、それでも「私も絶望するのはやめます。戦争に反対し、平和構築のための努力をします。」と語りました。
もちろん、いま世界で起こっている出来事を考えてしまいつらいという方もいらっしゃると思います。無理にとは絶対に言いません。それでも、この物語が一人でも多くの方に届くことで、世界が少しでも平和に近づくことにつながることを心から願っています。
「2022年本屋大賞」では、他にも「翻訳小説部門」や、時代を超えて残る本や今読み返しても面白いと思う本を選出した「超発掘本」なども発表となっております。
「2022年本屋大賞」コーナーは、B1話題書コーナーにて5月末まで開催予定です。また、B1文芸書コーナーにも、2位以降のノミネート作品を始めとした特設コーナーをご用意しております。この機会にぜひご覧くださいませ!
2022/04/10 掲載
