トークイベント 開催終了 ジュンク堂書店 那覇店/MARUZEN那覇店(文具)
開催日時:2022年08月21日(日) 16:00~17:30
ゆまに書房刊『琉球文学大系 第1巻 おもろさうし 上』発売記念トークイベント
日時:2022年8月21日(日)16時~
場所:ジュンク堂書店那覇店B1Fイベント会場
出演:波照間永吉さん 大城道子さん
琉球文学研究120年。琉球文学のテキストを初めて集大成。 名桜大学創立25周年、公立大学法人化10周年記念事業。 ゆまに書房創業50周年記念出版。
【名桜大学『琉球文学大系』編集刊行委員会】
◆ 名誉委員長
山里 勝己 前・名桜大学学長/名桜大学大学院教授
◆ 委員長
波照間 永吉 名桜大学大学院教授
◆ 副委員長
照屋 理 名桜大学上級准教授
◆ 委員
山里 純一 名桜大学大学院教授 赤嶺 守 名桜大学大学院教授
小番 達 名桜大学教授 小嶋 洋輔 名桜大学教授
屋良 健一郎 名桜大学上級准教授 渡具知 伸 編集刊行事務局長
刊行にあたって
波照間 永吉 『琉球文学大系』編集刊行委員会委員長
琉球文学研究が始まって約120年が経つ。この間、伊波普猷・仲原善忠・外間守善・池宮正治など多くの研究者がこの未開の大地を耕して豊饒の沃野とし、さまざまな成果物を世に送ってきた。しかし、まだこの領域のテキストを体系的に整理し、研究者はじめ多くの人々に提供する仕事は成されていない。
『おもろさうし』や琉球歌謡のテキストについては、評価すべき仕事はなされているが、琉歌・組踊はじめ説話、沖縄芝居、琉球和文学・琉球漢文学、そして文学を支える歴史・民俗などの基礎資料を含めた、琉球文学を一望するテキストの制作がなされなくてはならない。琉球文学研究、そして琉球・沖縄文化研究の拡大と深化のために、研究水準を保ったテキストの整備が必要である。『琉球文学大系』を構想する所以である。
今回、名桜大学が『琉球文学大系』を構想し、その実現に向けて確たる一歩を踏み出したことは、琉球文学研究史にとどまらず、ひろく琉球・沖縄文化研究の世界で特筆されることである。文学領域を主要な部分とするが、文学と表裏をなす歴史・民俗などの領域についてもその必須文献を収録することとしている。これを整備し公刊することによって、琉球・沖縄文化研究は大きく裾野を広げることができるにちがいない。その概要は、全35巻。文学領域27巻、歴史領域4巻、民俗・地誌領域4巻である。これまでの研究の粋をあつめ、信頼される本文を構築し、細密な語注を施し、全巻に解説を付す。そして、現代語訳の必要な文献については可能な限り訳文も付けていく予定である。
この事業の完成によって、ユネスコが「消滅の危機に瀕した言語」とした琉球語の表現の豊かさ・多様性が多くの人々に共有されることになるだろう。未来につながる琉球語へ永遠の生命を吹きこむ仕事になるにちがいない。
1992年、関根賢司氏は「アンソロジー〈琉球弧の文学〉の構想」(『省察』第4号)の中で「琉球文学古典大系(あるいは全集、あるいは集成)、全一〇〇巻(あるいは全六〇巻、少なくとも三十六巻)という企画を構想しなければならない」と書いた。我々の構想の魁であることを記しておきたい。一方、氏はこれを「幻の〜」とし、その実現は「ほとんど絶望的だ」とも書いた。しかし、今、氏が負の要素として挙げた研究者の協力態勢は整い、そして編集・刊行の経済的問題も、山里勝己前学長の思想と沖縄への篤い思いに導かれて、名桜大学が本事業を地域文化への貢献事業と位置づけることによって、道が開けた。幻ではなくなったのである。10年〜12年という時間は『琉球文学大系』の完成のためにはむしろ短い。世紀の大事業の完成に向けて心して歩んで行きたいと思っている。
全35巻の構成 第1巻=発売記念特価:本体5,400円+税/第2巻〜第35巻=各巻定価:本体6,200円+税
2022/07/30 掲載