コラム
丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ) 2023年1月号
今月の特集は
『あの名著、併せて読みたいこの一冊』
丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ)。今月の特集ページを一部ご紹介致します。
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すべての内容を、WEB上でお読み頂けます。


今月の特集(一部抜粋)
『あの名著、併せて読みたいこの一冊』
今回の特集は「あの名著、併せて読みたいこの一冊」ということで、著名な古典的名著とその解説書・副読本・評論・スピンオフ……など、本編の読み解きの一助となる本の組み合わせ企画です。
誰しも、名前は知っているけれど、なんとなく読みそびれてしまっていたり、敬遠してきた名著はいくつかあるのではないでしょうか。もちろん、手をつけらなかったのには、それなりの理由があるはずです。原典が難解で読みづらかったり、文章は読みやすいけれど意味するところが掴みづらいといった事情もあるでしょう。一方、そうした本ほど、ずうっと気になって忘れられないものです。
いつかは読みたい――そんな時に頼りになるのが、今回の特集でとりあげた「併読」本です。たった一本の補助線を引くことで、本編の理解が一気に進むということがよくあります。ここに上げた併読本は、どれも、そのような絶妙な補助線を引いてくれる一冊ではないかと思います。そうした意味では、併読本を先に読むことをお勧めいたしますが、もちろん、原典を先に読んでも一向に構いません。
一粒で二度おいしい、併読という読書の愉しみを是非皆様に味わっていただきたいと願っております。
※本特集は、「愛書家の楽園」の住人に、各人が思い描く「名著」と「併読本」の絶妙な組み合わせを一組ずつ挙げてもらいました。哲学、宗教。文学、映画、物理、ミステリ……とジャンルは多岐にわたり、併読本のとらえ方も様々です。その点もお楽しみいただけいただければと思います。
【名著】『新訳 老人と海』(左右社・アーネスト・ヘミングウェイ著/今村楯夫訳・2,200円)
巨大なマカジキや獰猛なサメたちと格闘する漁師サンティアゴを、屈強な男ではなく、自らの老いに向きあうひとりの弱い人間と捉え直す新訳。同時に、老人の愛弟子であるマノリンを十代前半の子どもではなく二十二歳の青年と位置づけることで、ふたりの関係性にも新たな解釈を加えている。
【併読】『カリブ海の黒い神々──キューバ文化論序説』(作品社・越川芳明著・2,970円)
詩、絵画、映画から、宗教、逃亡奴隷、移民、そして製糖……。ディアスポラの文化や歴史を縦横に論じ、『老人と海』の新たな読み解きへとなだれ込む、圧倒的な知的冒険。アフロ宗教の司祭の資格を持つ著者でなければ書き得なかった、圧巻のキューバ論。ヘミングウェイの名作が、別の相貌を見せる。
【名著】『ツァラトゥストラ 上・下』(光文社古典新訳文庫・ニーチェ著/丘沢静也訳・上巻858円、下巻1,012円)
ニーチェは文章はわかりやすいが、それでは内容はなんだったかと聞かれると、はて? 一番の主著なのに一番文章はわかりやすく、内容はわかりにくい。『道徳の系譜』や『善悪の彼岸』は理解できても、『ツァラトゥストラ』は逆に何が言いたいのかという事になりがち。あえて古典新訳文庫で、さらに読みやすく、さらにわかりにくく。
【併読】『ニーチェ』(ちくま学芸文庫・ジル・ドゥルーズ著/湯浅博雄訳・990円)
ドゥルーズには『ニーチェと哲学』という名著もあり、そちらはかなり難解。この本のドゥルーズは、優しく語りかけてくれます。フランス現代思想が鉤十字からニーチェを奪還してくれたおかげで、我々は正しくニーチェに感動する事が出来る。ニーチェ愛あふれる入門書。いっしょに読むべしとオススメします。
…続く
2023/01/01 掲載
