コラム
丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ) 2023年2月号
今月の特集は
『身近なアイツに歴史あり! オモシロ通史本の世界』
『本に生える植物』
丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ)。今月の特集ページを一部ご紹介致します。
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(※品切れ・絶版の書籍が掲載されている場合もございます。)
すべての内容を、WEB上でお読み頂けます。


今月の特集(一部抜粋)
『身近なアイツに歴史あり! オモシロ通史本の世界』
書店を見回していると、「○○の歴史」「△△の世界史」といったタイトルの本がたくさん並んでいます。なかには、「サラ金」「バナナ」「トラクター」「酔っ払い」「ふんどし」といったややニッチな雰囲気のものも……。
「アレにこんな歴史が? ふむふむ」と思いながら本を眺めていると、あるときそのなにげない物が、それ単体で存在しているのではなくて、世界じゅうのあれこれとつながっていることに気づきます。一見するとちょっと変わった歴史書。でも実は人類の大きな歩みにつながっている! 今回のフェアでは、身近な物が世界へと目をひらいてくれる「物の通史本」を集めました。
機械(メカ)らウロコ!
『トラクターの世界史 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』(中公新書・藤原辰史著・九四六円)は、まさに身近な物が実は世界の大きなうねりとつながっていることに目を開かせてくれる本。エンジンが開発され、一般向けのトラクターができると、家畜を使った農業が減っていく。家畜を飼わないから肥料を購入するようになる。産業革命以降、肥料産業が発展してきた理由はそういうことだったんですね。田舎の道で、土のあとをつけながらブロロロロと走っているあのトラクターにそんな歴史があったとは……ページをめくる手が止まらなくなることうけあいです。
次に紹介したいのが『世界を変えた12の時計 時間と人間の1万年史』(河出書房新社・デイヴィッド・ルーニー著/東郷えりか訳・2,970円)。有史以来生み出されてきた様々な時計によって、人間の生活がどう変わってきたのかを描きます。たとえば原子時計。この非常に精密で正確な時計が人工衛星に搭載されて宇宙にうちあげられたことによって使えるようになったのがGPS! GPSって時計の技術が使われていたんですね。この技術があれば防げたかもしれない大韓航空機追撃事件をはじめ、世界史のなかの事件、戦争、政治や経済の営みが線としてつながって見えてきます。
『50の名車とアイテムで知る 図説 自転車の歴史』(原書房・トム・アンブローズ著/甲斐理恵子訳・3,080円)は、自転車の機構や意匠をたっぷり楽しめる本。カラー図版やコラムも掲載され、趣味人垂涎の一冊です。ペダルがなく蹴って進む二輪車から、前輪が極端に大きい型、チェーン式やスポーツバイク、電動自転車まで、発明と進化の歴史をビジュアルで辿ります。
食卓からのぞく世界
食の通史本にもロングセラーの名作がたくさん。『カレーライスの誕生』(講談社学術文庫・小菅桂子著・990円)を開いてみましょう。イギリス留学を通じて明治期にカレーと出会った日本人。最初から「なんだこのうまいものは!」と受け入れたわけではなさそうです。慣れないバターの香りにあてられて食欲がわかない。でもなにか食べなければと、お米が使われているライスカレーを頼んでみたが、どうしてもドロドロしたルウが食べられない。杏の砂糖漬けを副食物にしてなんとかライスだけ食べた……なんていう明治人のトホホな記録を読んでいるとなぜだか癒されるのは私だけでしょうか。給食メニュー化や、インスタントカレーの開発秘話も必見です。
『砂糖の世界史』(岩波ジュニア新書・川北稔著・924円)は、食品を通して世界史を知る、最初の一冊に最適です。砂糖はプランテーションを生み、奴隷を生み出した最初期の「世界商品」でした。砂糖ひとつを通して、上流階級から庶民までの生活の実態を想像することができますし、大陸をまたぐ国どうしの関係性まで窺い知ることができます。専門用語を一切使わずやさしい解説で、歴史を学ぶ本質を伝えてくれる大変な名著です。
…続く
2023/02/01 掲載
