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コラム

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ) 2024年1月号

今月の特集は
『エスノグラフィーを読む』
『一年間で会話ができるようになるために ~英語、中国語、韓国語~』

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ)。今月の特集ページを一部ご紹介致します。
気になった書籍はネットストアでご注文も可能です。
(※品切れ・絶版の書籍が掲載されている場合もございます。)

すべての内容を、WEB上でお読み頂けます。





今月の特集(一部抜粋)





 『エスノグラフィーを読む』

 最近よく目にする「エスノグラフィー」という学術用語。社会学や人類学の棚を眺めると、タイトルや帯によくその言葉を発見する。どうやらいまを知るための重要な言葉らしい。「エスノグラフィー」とは、民族誌とも訳され、集団や社会の行動様式をフィールドワークによって調査・記録する手法およびその記録文書のことをいう。ひとたび読んでみると、そこに住む人の生活や息遣いが瑞々しく、ときに残酷に描かれ、みるみるうちにハマってしまった。「事実は小説より奇なり」を感じたい方は、これから紹介する「エスノグラフィー」をぜひ読んでみてほしい。今回は学術的重要度からというより、私(榎本)のような初学者でも読みやすくて興味深いという視点から、「ルポルタージュ」「フィールドワーク」「生活史」「オートエスノグラフィー」「写真」のカテゴリーにわけて紹介する。
ルポルタージュ
 なかなか説明するのが難しいのだが、「ルポルタージュ」とは人々の人生をその周りを含めて取材して、総合的に再構成したものを言う。社会学者や人類学者というより、新聞記者やライターが主に活躍しているイメージがある。個人的にはルポルタージュというと、知られざる真実を暴くというやや扇動的なイメージがあるのだが、それとは反対に人々に寄り添うように描かれたルポルタージュを紹介する。
 インドネシア研究の大家・土屋健治によるルポルタージュ『カルティニの風景』(めこん・2,090円)は、十九世紀にインドネシアで活躍した脱植民地運動の活動家の若き女性カルティニを描いている。著者は、インドネシアに惹かれた自らの人生と重ね合わせながら、民族意識の高揚の時代を生きたカルティニの人生に邂逅しようとする。「私」を主語にして打ち出すことで、著者がカルティニと主体的に出会い直すことが可能になり、そこからインドネシアの民族意識と精神史を表し出そうとした。東南アジアの風景が、映像として立ち上がる名作だ。次に紹介するのは荒井裕樹『凛として灯る』(現代書館・1,980円)。私は「米津知子」という人も70年代の「モナ・リザスプレー事件」も知らず、この本を読んで初めて知ることになった。その事件を起点に、障害者であることのコンプレックスやウーマンリブ運動、青い芝の会との出会いを描きながら、なぜ米津氏が事件を起こすに至ったのかに迫っている。米津氏の半生を描いているのだが、いま現在起こっていることとリンクしていて、まるで当時から未来を生きる私たちに向けて言葉を発し、行動していたのではないかと思わざるを得ない。月並みだが二点とも、対象者に対する尊敬の念が深く、それゆえ私たちの感情を揺さぶるのだろう。

…続く

2024/01/01 掲載

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