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コラム

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ) 2025年6月号

今月の特集は
『女が書く/女を読む』



丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ)。今月の特集ページを一部ご紹介致します。
気になった書籍はネットストアでご注文も可能です。
(※品切れ・絶版の書籍が掲載されている場合もございます。)

すべての内容を、WEB上でお読み頂けます。





今月の特集(一部抜粋)




『女が書く/女を読む』

 三島由紀夫の戯曲「サド侯爵夫人」(新潮文庫『サド侯爵夫人・わが友ヒットラー』所収・649円)には男は一人も登場しない。舞台は女だけの世界。六人の女たちの語りのみで不在の男サドの行為と思想、その妖しく、ある種いかがわしい人間像を現出する。「場面も変らず、大道具小道具の活用もなく、ただ言葉・言葉のやりとりで劇的緊張をかもし出す」。
 女性の言葉だけでひとつの世界を構築すること。それを三島が舞台上で実現したように、書棚の中で実現してみたい。フェミニズムやジェンダー論といった理論とは関係なしに、今回「女が書く/女を読む」と題して女性の書いた作品、女性の視点を編集に活かした本をセレクトしてみました。
戦後80年、戦争を読む
 今年2025年の夏、第二次世界大戦の終結から80年を迎える。この間、戦争について膨大な言葉が紡がれたが、歴史であれ、証言であれ、その多くは男性中心であった。そして、戦争文学もまた然り。「戦争文学全集のたぐいで、女性を前面に掲げた巻が編まれることは、これまでなかったといってよかろう」と述べているのは『女性たちの戦争〈セレクション戦争と文学4〉』(集英社文庫・1,760円)の解説者である成田龍一と川村湊。同書には大原富枝「祝出征」、田辺聖子「文明開化」といった短篇から石垣りんの詩「家族旅行」、中村汀女の俳句まで網羅されている。「兵隊宿」の著者で、広島での被爆体験をもつ竹西寛子は「戦争というものは、戦場や被爆という直接の戦闘だけではなく、国民の普通の生活の中にもあったわけですね。そういうものを書きたかったんです」と語る(付録インタビュー)。
 この発言の延長線上にあるのが中央公論新社編『少女たちの戦争』(中央公論新社・1,430円)。1941年12月8日の太平洋戦争開戦時に、20歳未満だった少女たち27名が非日常のなかの日常を綴ったエッセイが並ぶ。最年長は19歳の瀬戸内寂聴、最年少が3歳の佐野洋子。出会った兵士に「サヨナラ」が言えなかった佐藤愛子、空襲の中で読書を続けた田辺聖子、疎開先から字のない葉書を送る妹とそれを受け取る父の姿を見つめた向田邦子……。母でも妻でもない、少女たちの体験した、ひもじさと苦しさと悲しみだけではない日常がいきいきとよみがえる。

…続く

2025/06/01 掲載

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