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丸善 書店員レビュー一覧5ページ目

丸善 書店員レビューを100件掲載しています。81100件目をご紹介します。

検索結果 100 件中 81 件~ 100 件を表示

丸善 丸の内本店店員

書店員:「丸善 丸の内本店」のレビュー

丸善
丸善|丸の内本店

クリエイティブ・マインドセット トム・ケリー (著)

クリエイティブ・マインドセット

あなたも創造的な人をめざしてみてはどうだろう?

世界最高のデザイン会社IDEOとスタンフォード大学のdスクールを創設したデイヴィッド・ケリーと、『発想する会社』の著者、トム・ケリーがクリエイティブ・コンフィデンス(創造力に対する自信)について書いた本だ。創造力に対する自信と「デザイン思考」というのがこの本の主なテーマだ。

日本を含む世界5カ国(アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス)の5000人を対象にした調査によると、日本以外の国では、日本が一番クリエイティブな国だと答える人の割合が多かったそうだ。しかし日本では、日本が最もクリエイティブだと答えた人の割合がとても低かったとのこと。

日本はさまざまなイノベーションを起こし、世界からはクリエイティブな国だと思われているのに、日本人自身はそれに気づいていない。そこに現在の日本の停滞の原因があるのではないだろうか? もっと自信をもつべきなのだ。

創造性というものは、一部の特殊な人だけが持ち合わせているものではない。誰もが持っていて、人間の自然な思考や行動の一部だと著者はいう。それをうまく使いこなすのに必要なのが、クリエイティブ・コンフィデンス(創造力に対する自信)だ。いかにして創造性に対する自信を手に入れるか。また「デザイン思考」をいかすにはどうしたらいいのか?がこの本をよめばわかる。創造性を妨げる恐怖の感情を取り払って、あなたも創造的な人をめざしてみてはどうだろう?


(評者:丸善丸の内本店 ビジネス書担当 田中大輔)

丸善 札幌北一条店店員

書店員:「丸善札幌北一条店」のレビュー

丸善
丸善|札幌北一条店

地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブックス)ベン・H.ウィンタース (著)

地上最後の刑事(ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブックス)

早川さん早く続きをお願いします。

傑作。

半年後に地球にデカい隕石が落ちてきます。全人類は即死ではないですが、確実に滅亡すると偉い人が口をそろえて言ってます。こんな時に刑事さん、そこのマックで他殺っぽい自殺が発生したんですが、詳しい捜査なんかしませんよね?だってあと半年で世界はなくなっちゃうんだし、今は自殺なんてあちこちで起きてますよ・・・・捜査するんですよ。捜査するからこそ最後の刑事なのです。

世界はアンニュイ、デカダン、ディストピアもいいとこ。苦しまない自殺法のDVDがベストセラーになってます(アマ〇ン?)。そんな世界でも若い主人公パレスは信念に基づき納得できないことは捜査する、正義を行使することに価値があると考える刑事。タイトル通りこれぞ最後の刑事だ、とここでは感じる訳です。
世界のあちこちでは北斗のマッドマックス状態の街も数多くあるようですが、パレスのいる小さい街は比較的平和です。とはいえ突然蒸発したり、自分探しの旅に出たりと警察官が減りまくり今や4、5人。いくらなんでも少なすぎ。
パレス以外の残ってる警官は、ぎりぎり踏ん張ってはいるけれどやる気ゼロの野郎ばかり。ほとんど捜査の助けになりません。
街の住人もピリピリした空気を放っていますが、最後まで人間らしくいよう、という気が伝わるのですが、逆にそれが緊張感を生んでおり、いまにも破裂しそうです。
そんななか、パレスは仲間に笑われても捜査を続けていきますが、途中経過を上司に報告しても
「エ・アロール?それがどうしたの?」とまともに取り合ってくれません。
それでも何とか捜査を続けていきますが、やる気のない仲間や証人に手を焼いたり、可愛いけれど出来の悪い妹に振り回されたり、夢にうなされたりと、紆余曲折の中、
何とか真相に近づくのですが…。

あちこちでSFミステリと紹介されていますが舞台は現代の様ですし、隕石云々以外はSFっぽいところも感じません。でも、全体に流れるけだるい感じ、
レプリカントは出てきませんが「ブレードランナー」の様。ライトなハードボイルドでブレラン大好きな僕は読んでいる間幸せでした。パレスの語り口もドライで詩の様です。
ミステリとして見れば、どんでん返しはあるが事件や真相は地味、革新的なことは何も無いんですが、元々そこで勝負する小説ではないのです。この作品は「世界を感じてナンボ」の作品です。読者は必ず一度は「あと半年の命なら自分はどう生きるか?」と考えるはずで、そう考えてしまった瞬間に物語にすんなり入り込んでしまうのです。著者はそこまで織り込み済みだったのではないでしょうか。

隕石のことを忘れたわけじゃない、でも捜査せずにいられないパレスに「がんばれ最後の刑事!」
と読者は最後までエールを送る事必至です。でも読了後に落ち着いて考えてみると、こんな世界で一つの事件を追い続ける神経を持った主人公こそ、逆にちょっと変なのでは?と考えてしまいました。いずれ消える世界で正気を保つため、個人的な心配ごとで崩れ落ちないために仕事に打ち込むしかないのではないかと。
うまいなぁと思うのは3部作にしたところ。今回はまだ隕石は落ちないのでとりあえずは仕事に集中できる訳です。パレスにも猶予がある訳で今後が気になります。最後にどう決着をつけるのか見当もつきませんが、急にSFづいてブルース・ウィリス的アルマゲドンな解決はやめてほしいと思います。

―以下、犯人が判っちゃう内容です。未読の方はここまでで。―

本作が出版されたのが2013年末、タイトルと内容紹介に惹かれてすぐ読みました。
その時から”とても面白い”印象はあったのですが、犯人の犯行動機なんてすっかり忘れていました。その後、私事ですが2014年1月に子供が出来まして、今回レビューするのにもう一度この作品を読んだのですが、動機が明らかになったところで、今や子持ちの僕は泣いてしまいました。世界が無くなろうとも親の愛は不変なのだな、いやさ、不変であってほしいと思った次第です。

丸善 札幌北一条店店員

書店員:「丸善札幌北一条店」のレビュー

丸善
丸善|札幌北一条店

ブラックライダー 東山 彰良 (著)

ブラックライダー

美しい表紙に隠されたグチャグチャ

自分ではオモシロかったけど、人にお勧めするのは憚られる。
「ブラックライダー」はまさにそんな作品でした。たった今読み終わったので興奮冷めやらないうちにご報告させていただきたいと思います。かなり内容に触れているのでご注意ください。

1帯の惹句に書いてあることはほぼその通りです。特に万人向けでない、の部分は同意。
 「このミス」上位だからと言って気軽に購入するのは考え物。

2表紙は本当に美しいですが、表紙の牛ベビーが大きくなってから黒い馬に乗って
 ブラックライダーを名乗り、悪いやつをバッタバッタとやっつける痛快娯楽作品!!・・・では
 全然ないです。

3最後にストンとはまる結末を迎えない。また、登場人物が多いのに
登場人物一覧が無く、読み進めるのにはある程度根気が必要。というか
もともと分りやすく書こうとしていない(ように感じる)。
ーーーーーーーーーー
1:短い小説ではないですが、「長いな~」とは感じませんでした。
     何故なら、この世界がどうなるのか気になりすぎて続きを読まずにいられなかったからです。
しかし、ネット等で散々書かれていますが、本当に人を選ぶ作品ですし、
また、読解力が高いからと言って面白い訳ではなく、完全に趣味の問題。

2:美しい表紙は「水沢そら」という方が書いているそうです。
血なまぐさくて泥臭い作品ですので、この表紙にかなり助けられて購買に結びついていると思います
流行りのポストアポカリプスもので、マッカーシーの「ザ・ロード」というよりはキングの「ダークタワー」を思いだしました。または大人版「風の〇のナウ〇カ」。
3部構成になっており主人公が定まらない、いわゆる群像劇。
くわえて終末ものらしく、ページをめくれば息を吐くように人が死んでいきます。
グロテスクな描写は本当にグロテスク。特に子供がバンバン死ぬのは参りました。
結局話の骨子はとにかく復讐の物語である・・・と感じました。

3結末をちょこっと言っちゃうと、生き残った登場人物が「結局最後どうなったか」がはっきりとは書かれておらず、推測するしかありません。本当に死んだのか、実は生きているのかは読者に委ねられてしまいます。
登場人物は多いですが、どんどん死んでは出てくるので、入れ替え立替えで常に5人くらい覚えられれば大丈夫です。
ーーーーーーーーーー
著者が挑もうとしたのは「史実を創る」ことと、「人間の汚い営みを普通に書く」ことだとおもいます。
「エンターテイメント小説だ!面白いだろヘイッ!」ってなスタンスでは無く、こういう人間たちがこういう世界でこういうことをしました。で、こうなったんですけどどうですか?という書き方。
決して大仰ではなく、かと言って淡々ともしておらず、人殺しも悪党もそれなりの愛嬌があり血が通っている感じがします。とくに2章の主人公、牛腹のマルコの造形は尋常ではないです。他の主役たち、レイン兄弟やバード保安官、またはその愛馬ドットにも愛情を感じることができます。世界観に関して言えば、日本人でこれに匹敵する世界を書ける作家が他にいるとは思えません。このスケールの大きさから、かなりの前準備をしてから書かれた作品であろうと思われます。
新たなジーザス誕生譚に読者をぶち込む様な罰当たりな(褒め言葉)作品です。

「汚い営み」の方ですが、人間が汚い心を持ち続けて生き続けることの潔さ、だと思います。
登場人物のほとんどが敵や国に、蟲や血筋や歴史、果ては自分も許せず、赤黒い復讐の心を常に抱えて、ふたことめには「ぶっころしてやる!」が当たり前の世界で、それがどうした?とみんなフツーに生きている。常に殺したい相手がいることは眉をしかめるようなことなのか?腹が減って人を食ったことはそんなに悪いことか?お前、変なやつだなぁ、と言われ続けられているようでした。
また、蟲の由来や核戦争など、様々なSF的要素がうまく消化されいるとは言えません。しかし何でもかんでもオチを付けて読者に説明する義務は作家には無いのです、多分。

長くて読みづらい、わかりやすいカタルシスもそれほど無く、スカッとした結末も用意されていない。なのに読むのを止められない強烈な吸引力、これが「ブラックライダー」です。
※でも「ブラックライダー」は出てきません。
そして本当に「合わない人は全然ダメ」、まさに本が人を選んでいるのです。おすすめの本を紹介すべきここのレビューに「人を選びます」とか書いちゃってすみませんが、他人の書いたレビューなんざそんなもんだ、ってことで話半分で読んでいただけたら幸いです、ごめんなさい。
読書にお値段分の満足を求める方にはゼロサムゲーム、分が悪いと思われますが、「とにかく凄い本」を読みたい!!と思う方にはお勧めします。選ばれれば凄まじい読書体験ができるでしょう。

サト

丸善 札幌北一条店店員

書店員:「丸善札幌北一条店」のレビュー

丸善
丸善|札幌北一条店

ラバー・ソウル (講談社文庫)井上 夢人 (著)

ラバー・ソウル(講談社文庫)

ストーンズがプラスティック・ソウルなら僕らはラバー・ソウルだ!

岡嶋二人から岡嶋一人、じゃなくて井上夢人の、「オルファクトグラム」から数えて実に14年ぶりのハードカバーミステリ。
執筆活動はされていたようですが個人的には過去の人でした。申し訳ありません。
井上夢人といえば岡嶋時代から挑戦的なミステリをどんどん描いていた作家と記憶しているのですが、
新本格(最近あまり耳にしませんが・・)の波にもちょっと乗り遅れ、なんだか不遇の作家のような気がしていました。

で、復活のラバーソウルですが、まず表紙!すばらしいです。表紙が全てを語っているといっても良いんじゃないでしょうか。
表紙はもちろん主人公です。表紙ではむちゃくちゃカッコいいんですが、読むとむちゃくちゃ気持ち悪いです。
岡嶋井上(面倒なので以後これで)のミステリは「ここで騙すぞ」と見せかけて「じつはこっちでした」系の、
足もとすくい系(今考えました)のミステリだな、と僕のような年寄りのミステリ読みは「どこが仕掛けなのか」と構えて読む訳ですが、
こいつのストーカーっぷりがまぁ気持ち悪くて!それどころじゃありませんでした。(怒)
でも読みやすい文体はさすが今まで残った名作家、ぐいぐい読まされます。で、最後で真相が分かると
「そう来たか!・・・でもちょっと考えればそうくるってわかるよな普通」と、なんでこれに思い当たらなかったのが不思議な感じがしました。
主役の気持ち悪さがパンチ効きすぎで、どこで騙されようがどうでも良くなったのかもしれません。
でも不思議と読み終わるとスカッとするんですよこれが。
そういえば岡嶋井上はさわやか青春ストーリーもうまい作家サンなのでした。これは違いますが。
気持ち悪さに身もだえしながら一気読みが吉。

サト

丸善 札幌北一条店店員

書店員:「丸善札幌北一条店」のレビュー

丸善
丸善|札幌北一条店

服用禁止 アントニイ・バークリー (著)

服用禁止

砒素って定番過ぎてなんだか安心(ミステリ小説に限る)

へんてこひねくれミステリ作家(褒め言葉)、バークリーの新刊です。
これでアンとニー・バークリー、及び他名義の作品でも未訳の長編ミステリは
DeathintheHouseのみになってしまいました(Wikiより)。
今回はシェリンガムもチタウィックも出てこないノンシリーズですが、
未訳だったのが不思議なくらいの佳作ではあります。ノンシリーズだからでしょうか?
派手さはないですがロジカルに進み、読者への挑戦なんかもあり、
それなりのどんでん返しもありまして、なんだかバークリーらしくないといえば
らしくないのですが、そこはひねくれ作家バークリー、本作の真価は犯人と探偵(役)の最後のやり取りでしょう。
読む人によっては「こんな終わり方でいいのか?」と思うであろうこの結末って、
ミステリ史上に結構な問題提起をしているぞっ!と感じるのですが、考えすぎでしょうか?(類似した作品があったらすみません、知りませんです)
ミステリ作家なら一度はチラッと頭をよぎるが、いやいやまさかね。無し無し。
と、常識ある作家ならあえて書かない結末をしれっと書いちゃうからセイヤーズに嫌われちゃうんだなぁとなんとなく分かります。
「フフッ」と笑っちゃう結末ですが僕は大好きですし、生涯忘れないであろう作品になりそうです。
万人向けではないですし(だってバークリーですから)
エッセンスだけなら短編でも十分な作品ですが、
ここを読んでいる好事家なあなたは読むべきでしょう。

サト

丸善 天文館店(2024年1月31日閉店)店員

書店員:「丸善天文館店」のレビュー

丸善
丸善|天文館店(2024年1月31日閉店)

「さらっと書いたのに心が伝わった!」という文章が作れる むらかみ かずこ (著)

「さらっと書いたのに心が伝わった!」という文章が作れる

親切な文章

気遣い・気配りといったテーマがごく最近までビジネス書のトレンドでした。
この本は、まさにそういった観点から文章を作ることに特化しています。
目指すは、思いやりのある「親切な文章」。
手紙だけでなく、ブログやツイッターのコメントにも使えるアイデアも満載。
あの人へ、文章から好印象をアプローチしてみては?

丸善 天文館店(2024年1月31日閉店)店員

書店員:「丸善天文館店」のレビュー

丸善
丸善|天文館店(2024年1月31日閉店)

少しのコツで印象が変わる美しい食べ方 いつもの食事も大事な席もこの一冊で安心

少しのコツで印象が変わる美しい食べ方 いつもの食事も大事な席もこの一冊で安心

マナーはやっぱり大事です

"レストランなどでのマナーも大事ですがハンバーガーやたこ焼きの美しい食べ方って?

大事な席でのマナーはもちらんですが普段の食事のマナーを見なおして美しい食べ方を目指してみませんか。"

丸善 丸の内本店店員

書店員:「丸善 丸の内本店」のレビュー

丸善
丸善|丸の内本店

部屋を活かせば人生が変わる 部屋を考える会 (著)

部屋を活かせば人生が変わる

片づけの本が・・・・

片づけの本が、年が明けてからも売れ続けています。やましたひでこさんの「断捨離」や近藤麻理恵(こんまり)さんの『人生がときめく片づけの魔法』といった定番ものもまだまだ人気があります。昨年はとにかくモノを減らす生活を目指す、自称“捨て変態”ゆるりまいさんの『わたしのウチには、なんにもない。』や中崎タツヤさんの『もたない男』なども人気作となりました。また、少し毛色が違いますが、『親の家を片づける』『片づけられない親のための幸せの生前整理』といった、終活つながりの片づけ本も話題になっています。こういった本がヒットするということは、モノとの付き合い方が昔とは違ってきていることなのかもしれません。

『部屋を活かせば人生が変わる』は、こういった片づけ本とは少し感じが違います。ただ単にお掃除や片付けをしようというのではなく、それによってきれいになった部屋は自分の活力となる、というテーマが面白いです。何かを取り組む際の環境の大切さと、整った環境をつくるためにはどうすればいいのかが具体的に書かれており、実際にやってみたい、何かが変わるかも、というわくわくした気持ちにさせてくれます。新年度にいいスタートを切りたい方、暮らしを仕切りなおしたい方、一度この本を手に取ってみてはいかがでしょうか。


(評者:丸善 丸の内本店 実用書担当 望月あゆ美)

丸善 丸の内本店店員

書店員:「丸善 丸の内本店」のレビュー

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丸善|丸の内本店

憲法と、生きる 東京新聞社会部 (編)

憲法と、生きる

これは「憲法とともに戦後を・・・

これは「憲法とともに戦後を生きてきた人々の営みの記録である」。本書は「はじめに」の中でこのように紹介されている。一見、抽象的でわかりにくいが、本編は憲法で保障されている筈の権利を侵害され、取り戻そうとする人々の具体的な話である。元々、東京新聞社会部により「憲法と、」のタイトルで6回の連載となった記事が下敷きとなっている。1950年代に改憲論に反対した人々、咽頭がんで声を出せなくなり議会で代読を望んだが黙殺された市議、学資保険の満期払戻金を収入と認定され保護費を減額された生活保護受給者、米軍基地の集中する沖縄、3.11後の福島。この他にも憲法の規定する権利を手にする為に生きる人達のことが書かれている。

憲法というと、まず9条を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。私たちはそのくらい曖昧にしか憲法を知らない。憲法は私たちの人権を保障している。それを知らず、主張することがなければ、いつの間にかうやむやにされかねない。手遅れにならないよう、憲法を知らなくてはならないと思う。


(評者:丸善 丸の内本店 和書グループ 伊藤美保子)

丸善 丸の内本店店員

書店員:「丸善 丸の内本店」のレビュー

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丸善|丸の内本店

いのちを選ぶ社会 出生前診断のいま 坂井 律子 (著)

いのちを選ぶ社会 出生前診断のいま

知らないうちに有識者意見会議が行われ・・・

知らないうちに有識者意見会議が行われ、知らないうちに法制化される。われわれの回りでは日常的にそんな事が起きてはいないだろうか。知らないという事は、決して責任が無いと言うことではない。
本書では出生前診断について日本と海外の現状、歴史が分析されて書かれている。既に技術が浸透した国での考え方、問題点、展望を、また日本での歴史について知ることができる。

「出生前診断は何のためにあるのか。その選択肢は存在して良いのか。」
「その診断結果を知ったときに中絶という選択肢を選んで良いのか。<いのちを選ぶ>という選択肢は存在して良いのだろうか。」
「中絶に対し拒否感があるが、当事者に立ったとき、同じ事をはたして言えるのだろうか。」

それを想像すると自身が答えを持つに足る知識、経験がないことに気づき、自分の無知に対しひどく罪悪感を覚える。読めば明解な答えを得ることが出来るわけではない。しかし、本書は同じように感じる人が自身の答えを持つために必読の一冊である。


(評者:丸善 丸の内本店 医学書売場担当 工藤誠也)

丸善 丸の内本店店員

書店員:「丸善 丸の内本店」のレビュー

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丸善|丸の内本店

ラグビー「観戦力」が高まる 指導者・現役選手は「競技力」が高まる 9割の人があやふやだった正しいラグビーの見方 斉藤 健仁 (著)

ラグビー「観戦力」が高まる 指導者・現役選手は「競技力」が高まる 9割の人があやふやだった正しいラグビーの見方

トップリーグが佳境に入り・・・

トップリーグが佳境に入り、大学選手権、日本選手権へと連なるラグビーシーズン到来である。先日の対オールブラックスとのテストマッチのチケットがほぼ即日完売、秩父宮が満員になったように、ラグビーには根強い人気がある。とはいえ野球やサッカーと違い、プレー経験者やコアなファンを除くと、やったことはないけど観る専門だというファンが多いスポーツではないだろうか。かくいう私もその一人だ。

ラグビーとは「ボールが一番先頭にある状態のまま(=前に投げたり落としたりしてはいけない)立ったまま(=倒れたらボールを放すかパスしなければならない)相手陣地にボールを運ぶゲーム」ということではあるが、オフサイド?? ハンド??と、どうもルールが難しい気がするというのが観戦初心者の正直なところだろう。

本書はそういった初歩的なルールやポジション名の解説から、最新の戦術まで丁寧に教えてくれるラグビー観戦教本といえる。だいたいのルールは知っているけど、一緒に見に行った初心者に説明するほどには詳しくないという人から、まったく初めてという人まで、本書を読めばラグビー観戦力が高まるはず。

テレビ観戦もいいけれど、やはり実際にスタジアムで観戦してみよう。そして、来る2019年ラグビーワールドカップ日本大会ではスタジアムを満員にしよう。


(評者:丸善 丸の内本店 人文書担当 喜田浩資)

丸善 丸の内本店店員

書店員:「丸善 丸の内本店」のレビュー

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ノボさん 小説正岡子規と夏目漱石 伊集院 静 (著)

ノボさん 小説正岡子規と夏目漱石

明治の誰もが知っている夏目漱石・・・

明治の誰もが知っている夏目漱石、そして少しその影になりがちな正岡子規。こんなにも愛すべき人物だとは今まで思いもしなかった。好きなベースボールへの情熱、生命をかけて追求する文学、俳句の世界、純粋でまっすぐなノボさんこと正岡子規の姿がとてもわかりやすく描かれている。彼をしたい絶え間なく後輩や友が集まることにも納得がいく。嫌いなものはけっして受け入れないが一度心を許せば限りない友情を感じる、子規と漱石はどこか似ていたのかもしれない。
この時代ならではのことだったかも知れないが、貧困の中でも、病に伏してわがままになる子規を愛情をもって受け入れる母、八重と妹、律の姿には胸を打たれる。

この小説のもうひとつの楽しみは、時代の風物を感じることができる点である。寄席や食べ物、ベースボール、映画を観ているように味わえる。まだ伊集院静の作品を読んだことのない読者にもぜひ一読してほしい作品。


(評者:丸善 丸の内本店 文芸担当 三瓶ひとみ)

丸善 丸の内本店店員

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「心の闇」と動機の語彙 犯罪報道の一九九〇年代 (青弓社ライブラリー)鈴木 智之 (著)

「心の闇」と動機の語彙 犯罪報道の一九九〇年代(青弓社ライブラリー)

1990年代以降・・・

1990年代以降、主婦、少年、エリートが起す凶悪犯罪が多く報じられ、このような一般に犯罪とほど遠い(そうあるべき)人々の犯行動機に「心の闇」という言葉が頻繁に使われるようになる。「心の闇」とは犯罪をはじめとする逸脱行為をめぐり、その行為者の内面・動機が“よく分からないもの”“よく見えないもの”として私たちの間に強い不安感を喚起し、その逸脱者を社会における例外者として疎外する反応を方向づける言葉だ。それらの報道の典型的なパターンは、「心の闇」の解明を訴えながら最後は「まだその闇は払われていない」などとその解明を常に先送りにし、私たちの中に漠たる不安を置き去りにする。それは行為者を例外者として措定することで、動機が分かってしまえば自分自身が「第二の逸脱者」になりうるという別の不安を隠蔽する戦略でもある。

思考停止たるこのような戦略に対して、私たちはどのように立ち向かえば良いのだろう?さまざまな主体間の状況やコンテキストを捨象する「論理‐科学的」な語りではなく、他者との対話の中で出来事の成り立ちを語り合う「物語」の力の復権こそ俟たれる、という著者の提言に共鳴する。

この本は「動機規則」「動機の語彙」という視点からこれらの語りと私たち受け手の反応が創り上げる「排除型」社会モードを解明し、他者を理解し関係を再構築する方途を探る。広く社会コミュニケションのあらゆる場面に反省と展望が啓かれる本だと思う。


(評者:丸善 丸の内本店 宮野源太郎)

丸善 天文館店(2024年1月31日閉店)店員

書店員:「丸善天文館店」のレビュー

丸善
丸善|天文館店(2024年1月31日閉店)

上京花日 花田貫太郎の単身赴任・東京 7 思い出の指定席 いわしげ 孝

上京花日 花田貫太郎の単身赴任・東京 7 思い出の指定席

遺作

鹿児島出身の漫画家、いわしげ孝さんが2013年3月6日亡くなられました。
病気により休載。その後再開し、描き続けた作品です。

「上京花日」は鹿児島と東京の書店を舞台にした、主人公、貫太郎の人とのつながりを描いた作品です。その中で複雑な人間関係、運命の人との再会、この先どうなって行くのだろうと気になるところでした。しかし残念な事に未完の作品となってしまいました。
短編3作品「クズ鉄の街」「親父の日」「いつか親父になる日」
さりげない父親の偉大さを感じる物語です。

丸善  店員

書店員:「丸善書店・ジュンク堂書店 営業本部」のレビュー

丸善
丸善|

LIFE なんでもない日、おめでとう!のごはん。 IIJIMA Nami’s homemade taste 1 飯島 奈美 (料理・スタイリング)

LIFE なんでもない日、おめでとう!のごはん。 IIJIMA Nami’s homemade taste 1

表面がこんがりキツネ色の・・・

表面がこんがりキツネ色のホットケーキとか、パンが具の水分を吸わずふんわりとしているサンドイッチとか、“なんでもない”料理ほどいざ作ってみると思い通りにいかなかったりする。
そんな “なんでもない”料理を、見た目が“おいしそう”でかつ“おいしく”作るコツが載っているのがこの『LIFE』。

市販のレシピ本はやたら凝った料理が載っているけども、ありふれた料理をおいしく作るにはどうすればいいかが載っている本にはなかなか出会えない。
この『LIFE』に載っている料理は、まさに“なんでもない”ごはん。
冒頭に挙げた二つはもちろん、ナポリタン、ハムエッグ、バタートースト、おいなりさんなど、 ありふれているけども、どうすればおいしく作れるのだっけ?な22品が載っている。手順は全て写真つきで紹介されているので、料理はあまり・・・という方でも安心して挑戦できると思う。

私自身、ホットケーキを作るとこれまではどうしても表面がヒグマ色になってしまっていたのだが、この本のおかげで初めてこんがりキツネ色でふかふかとしたホットケーキを作ることができた。

著者の飯島奈美さんは、NHKの連続ドラマ小説「ごちそうさん」をはじめ、映画「かもめ食堂」や「めがね」等、フードスタイリストとして多くの映像作品を監修されている。
テレビで見る“おいしそう”な“なんでもない”あの料理を自分で作れる喜び。この本でぜひ味わってみてください。


(評者:ハイブリッド総合書店honto 書誌データベース担当 AT)

丸善 丸の内本店店員

書店員:「丸善 丸の内本店」のレビュー

丸善
丸善|丸の内本店

ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく 堀江 貴文 (著)

ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく

今年のビジネス書No.1は…

今年のビジネス書No.1はこれで決まりだろう。この本はきっとたくさんの人の人生を変える。私はそう確信している。

+++++
もし、あなたが「変わりたい」と願っているのなら、僕のアドバイスはひとつだ。ゼロの自分にイチをたそう。掛け算を目指さず、足し算からはじめよう。僕は働くことを通じて、自分に足し算していった。仕事という足し算を通じて、つまらない常識から自由になり、しがらみから自由になり、お金からも自由になっていった。掛け算ができるようになったのは、ずいぶんあとになってからのことだ。僕には確信がある。どんなにたくさん勉強したところで、どんなにたくさんの本を読んだところで、人は変わらない。自分を変え、周囲を動かし、自由を手に入れるための唯一の手段、それは「働くこと」なのだ。
+++++

と、少し長いが私の胸に刺さった部分を引用した。私はこの部分を読んだとき、この本が稲盛和夫の『生き方』や、松下幸之助の『道をひらく』同様、ビジネス書の定番となりうる普遍性を持ち合わせていると感じた。

また堀江貴文という人物に抱いていたイメージが、だいぶ違うこともわかった。彼は天才や超人ではなく、努力の人だったのだ。なにごともゼロにイチをたすこと、つまり経験を積み重ねることが大事である。そんな当たり前のことに気づかされた。あなたの人生を動かせるのはあなただけである。この本をきっかけに、あなたにもゼロにイチをたす、その一歩を踏み出してもらいたい。


(評者:丸善 丸の内本店 1階売場長補佐 田中大輔)

丸善 丸の内本店店員

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丸善|丸の内本店

おかしな建築の歴史 Architectural Keyword 125 (エクスナレッジムック)五十嵐 太郎 (編著)

おかしな建築の歴史 Architectural Keyword 125(エクスナレッジムック)

ここで紹介する本書は…

ここで紹介する本書は、いわいる「建築史」の本とは一味違う。まず注目して欲しいのがその作り。現代から近代、そして近代以前という形で、歴史をさかのぼって紹介されている。さらに面白いのは、見開きもしくは1ページを使って、一つのキーワードについて説明されているところだ。最近耳にした、もしくはこの単語本屋さんの棚で見かけたあの本に書いてあったけど意味が良くわからないなぁ、そんなキーワードを集めてある。時系列でまとめてあり、さらにそのキーワードが他のどのキーワードと関連しているのかという説明までついているので非常にわかりやすい。今までこんな建築史の本があっただろうか!(いや、ない!!)

中から一つ例に挙げると、きっとどこかで耳にしたことがあるはずの「メタボリズム」。(注:太っちゃうほうではないです。)簡単な言葉の説明、その運動の流れ、関わった人たちから具体的な作品までが説明されており、写真もついているのでイメージがしやすい。

さらに、書面に花(?)を添えるのが、「建築妖精 おちくさん」という不思議なキャラクターだ。テーマにあわせて変幻自在に姿を変えるおちくさんを見ているだけでも楽しいし、「こんなテーマだったらおちくさんはこんな・・・」なんて想像するのもいいかもしれない。とにかく、自由に楽しめる一冊であることは間違いない。

この本さえあれば、街中の建築を見上げて「あれはね・・・」なんて薀蓄をきっと言えるようになるはず。


(評者:丸善 丸の内本店 理工書担当 山口)

丸善 丸の内本店店員

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丸善|丸の内本店

一路 上 浅田 次郎 (著)

一路 上

参勤交代を描いた小説で…

参勤交代を描いた小説で、父の火災による死によって御供頭の大役を仰せつかった小野寺一路の中仙道12日間の参勤道中での奮闘を描いた作品である。
一路は千葉道場免許皆伝、塾では塾頭を務めた優秀な武士である。火災から残った「六和辛酉歳蒔坂左京太夫行軍録」の小冊を手本にこの道中を進める。

当主、蒔坂左京太夫は7500石の旗本である。双子の馬喰、丁太、半次。髪結の新三。参勤道中の御先手、佐久間勘十郎。空澄和尚。栗山真吾。許婚の薫。大きな斑馬ブチ。彼らはこの道中、なくてはならない役割を果たすこととなる。道中では他大名の御行列との遭遇。雪の和田峠。左京太夫のおじ将監、伊東喜惣次の悪巧み等、多くの苦難を強いられるが、一路、左京太夫の機転、人徳により乗り切ることが出来る。非常に痛快であり、時代小説の面白さを十分堪能できる作品となっている。


(評者:丸善 丸の内本店 店長 壹岐直也)

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俺に似たひと 平川 克美 (著)

俺に似たひと

元気だった身近な人が介護される側になる…

元気だった身近な人が介護される側になる。
これまで出来ていた事ができなくなるという事は、介護を受ける人の心身に大きな影響を与えます。
以前の対人関係が崩れてしまい、互いの隠しておきたい部分、見たくない部分をさらけ出さざるをえなくなります。
専門家は介護サービスの制度やリハビリの方法は教えてくれても、当事者と支える人の間の新しい関係性は自分達で築き上げていかなければなりません。

本書ははじめ、WEB上で連載されていたそうです。
著者自身の父親の介護体験を元に連載されていたそうで、介護経験のない自分にもその生活を感じさせられるリアル感があります。
介護という重いテーマにも関わらず、テーマの重さで読者が身動きできなくなる文章ではなく、テンポよく読むことができます。

介護は身近に起きてみるまでなかなか実感できませんし、当事者になってしまうと自身を見失ってしまうこともあります。
介護経験の有無を問わず、知識として知るべき本といえる一冊です。


(評者:丸善 丸の内本店 医学書担当 工藤誠也)

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傍聴弁護人から異議あり! 北尾 トロ (著)

傍聴弁護人から異議あり!

北尾トロさんによる…

北尾トロさんによる裁判員裁判の8つの法廷の記録です。北尾さんが長年、裁判の傍聴をしているのは、よく知られていますが、今回はいつもと違う視点で傍聴をしています。タイトルに「傍聴弁護人」とあるように、「弁護人チームの一員になったつもりで」傍聴をしています。

「傍聴弁護人」なんて言葉は勿論、現実には存在しません。北尾さんが自らを勝手に弁護人チームに入れんが為につくった言葉です。とは言え、北尾さんの法廷に対する思いは強く、証人や被告人の発言に動揺し、裁判員の表情に一喜一憂し、ともすれば、弁護人チームの立場を忘れがちになります。だからこそ、通常であれば、他人事として、殆ど心に留めない事件の法廷の行方から、私も目が離せなくなります。そして、北尾さんの気持ちは揺れつつも、弁護人の目線で裁判の進行を説明してくれているので、とてもわかりやすく読めました。法廷によっては、弁護士と事前に会って戦略を聞いた上で、傍聴しており、そこで、読んでいる私たちに刑事裁判についての問題を投げかけられているような気もします。


(評者:丸善 丸の内本店 ビジネス・社会書担当 伊藤美保子)

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