ジュンク堂 書店員レビュー一覧

ジュンク堂 書店員レビューを100件掲載しています。120件目をご紹介します。

検索結果 100 件中 1 件~ 20 件を表示

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

浅草うねうね食べある記 おみやげ編 上野うね (著)

浅草うねうね食べある記 おみやげ編

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

2015年春に出版された、浅草食べ歩きコミックエッセイ本の第2弾。
 前作読者からの、紹介されているお店はどこも魅力的でたくさん回りたいけれど、旅行で頻繁には来られないし、選びきれない!といった声から生まれた今作では「おみやげ」にスポットを当て、テイクアウトできる食べ物や雑貨など、浅草職人のこだわりと伝統がつまった14店が紹介されている。
おみやげとは言っても贈りものだけではなく、その日のご飯にできるものもあるので、近くにお住まいの方は散歩本として、旅行の方にはガイドブックとして活用できる。やわらかなタッチのイラストで表現される著者の素直な感想に共感し、散歩に行こうと思わされる1冊。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

バスク料理大全 家庭料理、伝統料理の調理技術から食材、食文化まで。本場のレシピ100 作元 慎哉 (著)

バスク料理大全 家庭料理、伝統料理の調理技術から食材、食文化まで。本場のレシピ100

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

スペインとフランスの二国にまたがるバスク地方。二つの大国に分かたれながらも、独特の文化を保持し続けるこの地域は、古くから多くの旅人達を魅了し続けてきた。しかし近年、世界中から注目を集めているのは、多くの食通たちを唸らせたというバスク料理である。
バスク地方はその恵まれた地形から、新鮮な食材には事欠かない。例えば魚なら、春にはイワシ、夏はマグロ、秋はタラやイカ、冬にはタイが豊富に獲れる。しかもこの地域には、ソシエダデアと呼ばれる、女人禁制・男性だけの会員制の会食組織があるのだ。週末などに皆で集まり、食事を作って共に食べるクラブが、街ごとにたくさんあるのだとか。それほど食べることが好きな人々の作る食事が、おいしくないはずがない! 日本ではほとんど紹介されてこなかったバスク料理を、レシピはもちろん、バスクの文化風土、レストランでの注文の仕方まで網羅した、読んでも眺めても楽しい、作ってもおいしい至れり尽くせりの一冊だ。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

オトナ女子のための食べ方図鑑 「食事10割」で体脂肪を燃やす (美人開花シリーズ)森拓郎 (著)

オトナ女子のための食べ方図鑑 「食事10割」で体脂肪を燃やす(美人開花シリーズ)

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

女性の永遠のテーマ、ダイエット。痩せるためならツライ運動も食事制限にも努力を惜しまなかった20代。ちょっとした体重の増減にも一喜一憂して、話題のダイエット法は即実践。成功と挫折を繰り返し、気がつけばもう30代。
 運動してるのに、食事制限してるのに、野菜食べてるのに、サプリだって飲んでるのに。――痩せない。
 そんな悩める“ダイエット難民”オトナ女子の皆さんにオススメなのがこの一冊。様々なNG女子が図鑑形式で登場する本書は、クスッと笑えるイラスト付きで、知っているつもりで知らなかったダイエットの“それ、間違ってますよ!”を分かりやすく解説。食事で代謝は上げられる! 大人気「食事10割」シリーズの著者が、美肌と健康にも嬉しい“正しいダイエット法”教えます!!

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

SNS時代の写真ルールとマナー (朝日新書)日本写真家協会 (編)

SNS時代の写真ルールとマナー(朝日新書)

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

コンパクトなデジタルカメラだけでなくタブレットやスマートフォンで、誰でも気軽に写真を撮り、SNSなどインターネットに公開できるようになった。
コミュニケーションツールとして、日常の記録として気軽に楽しめるようになった反面、プライバシーや肖像権の侵害、写真の悪用、思わぬ事故などの問題が数多く発生するようになった。
これは今までフィルムカメラしかなかった時代とは大きく異なる現象である。写真を撮ることに夢中になるあまり、周りが見えておらず他人に迷惑をかけたり、軽い気持ちで公開した写真が、家族や友人の安全を脅かしていたりしていないだろうか。
具体的なケースにおける疑問や質問に、日本写真家協会のプロがアドバイスする。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

逆境を笑え 野球小僧の壁に立ち向かう方法 (文春文庫)川崎 宗則 (著)

逆境を笑え 野球小僧の壁に立ち向かう方法(文春文庫)

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

大きな世界で活躍できる人には共通点がある。周りをよく見ることができ、違いを受け入れることができる、柔軟な心を持った人。川崎宗則という野球選手はそういう人だ。
だから高校まで全く無名でも、プロ入りしてから大きな挫折を味わっても、アメリカに渡ってメジャーとマイナーを行ったり来たりする過酷な状況になっても、より大きくなって前に進むことができるのだ。
しかし、彼だって最初からそうだったわけではない。いかにして川崎宗則はできたのか。子どもの頃、ホークス時代、アメリカに渡ってから、進化を続ける彼の姿がそこにある。
ホークス時代は「ムネリン」だったのに最近はやたらハイテンションなイチローファン、と思われているかもしれないが、この本を読めば、ムネのことがきっと好きになるし、今まで好きだった人ももっと好きになる。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

にっぽんのかわいいタイル 昭和レトロ・モザイクタイル篇 加藤 郁美 (著)

にっぽんのかわいいタイル 昭和レトロ・モザイクタイル篇

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

古いお家や銭湯など、昭和の建物を美しく彩ったタイル。
最盛期には国内シェアの80%を占め、海外にもとてつもない量のタイルを輸出していた町が、岐阜県多治見市笠原町である。四キロ四方の小さな町を「タイルの町」に創り上げたのは、山内逸三という一人の若者だったとのこと。近代陶磁器研究の最先端技術を学び、その技術を町に持ち帰ったことで、一気に「美濃焼タイル」が広まったという。
 一言でタイルといっても、実に様々な形や色があり、それをパズルのように組み合わせることでできるモザイク画は、正に芸術作品のようである。
 タイル一つ一つが繊細に作られていることが伝わり、まるで宝石のように美しく輝いている。図版も多く収録されているので、お気に入りの一つを探してみてはいかがだろうか。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

写真関係 石内 都 (著)

写真関係

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

病気やケガなどで身体に残された傷跡を撮影した「キズアト」シリーズ、自身の母親の遺品を撮影した「mother‘s」シリーズ、広島の原爆資料館に保管されている遺品を撮影した「ひろしま」シリーズ、画家フリーダ・カーロの遺品を撮影した「Frida」シリーズなどで知られる女性写真家・石内都のエッセイ集である。
 キズや遺品といった、言ってしまえば「ネガティブ」な題材であるにも関わらず、その作品からは美しさや、力強さを感じる。
 被写体とどう向き合い、何を感じ、何を伝えたいのか……写真とは、果ては「生きる」とはなんなのか、ということを考えさせられた一冊。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

金魚ノ歌 深堀 隆介 (著)

金魚ノ歌

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

金魚がきれいな水の中で気持ちよさそうに泳いでいる。金魚が泳いだ後に出来る水面のゆれ、ヒレが広がりなんとも涼しげ。夏にピッタリの写真集!
という紹介ではないのだ。本書、実は生きている金魚を撮った「写真」ではなく、手で描いた「絵」なのである。
3Dペイントという技法で透明樹脂に着色しては乾かしてという作業を何度も行うことで、生き生きとした金魚を描くことが可能になるそうだ。何度技法を説明されても作品集を見る限りでは金魚が生きているように見える。
手を伸ばせば触れるのではないかと思わせる深堀ワールド。ぜひお手にとって涼を感じていただきたい。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

ブラックバイトに騙されるな! 大内裕和 (著)

ブラックバイトに騙されるな!

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

今、学生アルバイトのブラック化が深刻な問題となっている。今回、大学教授の著者はゼミ生との会話からこの問題を知り、アンケートを実施した。すると、試験前にシフトを入れられて単位を落とす者、店全体の管理を任されるなど正社員並みの労働を強いられる者までいることがわかった。社会人経験がないことを逆手に言いくるめられ、学生はやめたくてもやめられない。今、まさに学生自身も周りの大人も考えなければならない問題を提起した一冊である。

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

超・箇条書き 「10倍速く、魅力的に」伝える技術 杉野幹人 (著)

超・箇条書き 「10倍速く、魅力的に」伝える技術

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

世界最高峰のビジネススクール、INSEADでMBAを取得した著者による、超・箇条書きの指南書。箇条書きはBULLET POINTSと呼ばれ、世界的に重要視されるスキルである。そのやり方とは、まず伝えたいことの全体を構造化し、読者を引きこむ物語をつくり、最後に心に響くメッセージを打ち出すことである。本書では、事象のレベルを揃える、あるいは具体的に数字を出して説明するなど具体的なテクニックが紹介される。メールやプレゼンなど幅広く応用できるため、必須の武器となるだろう。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

高校野球の経済学 中島隆信 (著)

高校野球の経済学

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

著者は経済学の観点から様々なテーマを著してきたが、今回は高校野球である。明治時代にアメリカから野球が伝来し、そこからどのように現在の制度に整ってきたのかを追いながら、高校野球の問題点を経済学的見地から検証している。人格形成のための教育として「高校生らしさ」を徹底し、そのために過度の商業性の排除があるという。しかし、高校野球に関わる、あるいは職業とする大人がいるからこそ、商業性とのバランスは課題であり続ける。

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

地方議会のズレの構造 吉田 利宏 (著)

地方議会のズレの構造

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

著者は元法制局キャリアで、現在は著述業のかたわら、議会アドバイザーなどの活動を行っている。市民生活に密接にかかわっているのが地方議会だ。しかしいつになっても、ムダ遣いの報道などで住民と議会の間には溝がある。本書では一般市民と議員の双方に、現場をよく知る著者ならではのメッセージが発せられている。お互いもっと知る努力をして歩み寄れば不信感もなくなり、今よりずっと暮らしやすい自治体になるはずだと思わされた。

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

戦争と経済の本質 「教養」として身につけておきたい 加谷 珪一 (著)

戦争と経済の本質 「教養」として身につけておきたい

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

マネー関連のベストセラーがいくつもある著者の、戦争と経済について論じた一冊。日清・日露戦争の時代から直近の他国紛争まで、さまざまな戦争を独自の視点で分析している。この本を読むと、どんな時代でも、戦局を優位に進める最も重要な要素は経済力なのだなと納得させられる。地政学をからめた解説や株価の推移、IT技術の進化した近未来戦争の予想など、非常に読みごたえのある内容となっている。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

子育て支援が日本を救う 政策効果の統計分析 柴田 悠 (著)

子育て支援が日本を救う 政策効果の統計分析

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

子育て支援の大切さを統計的に実証した画期的な一冊。経済や財政、あるいは少子化や格差など、日本の将来には多くの不安がつきまとう。本書を読むと、保育サービスを中心とした子育て支援政策の充実が、様々な領域へ良い効果をもたらすことが客観的データによってよくわかり、説得力がある。その政策は、経済成長に重きをおく保守と、福祉に力を入れるリベラル、両派にとってともに望ましい方向性であり、今すぐ改革の実現が必要だ。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

国際秩序 ヘンリー・キッシンジャー (著)

国際秩序

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

本書は、長年にわたりアメリカの外交や安全保障を支えた元国務長官による世界秩序の歴史を考察したもの。ヴェストファーレン和平条約(ウェストファリア条約)の締結によって、この条約が国際秩序のシステムとして発展、普及、機能していくが、現在では弱点ばかりが露呈し、世界秩序に綻びが生じている事実を突きつける。それでもなお、21世紀のアメリカが世界秩序のリーダーであり続けるための歴史の教訓を導き出そうとしている。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

ハリネズミの願い トーン・テレヘン (著)

ハリネズミの願い

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

オランダの児童文学作家による、「大人のためのどうぶつたちの小説」シリーズと銘打たれたうちの一冊。孤独なハリネズミが、誰かを自らの家に招待しようと思いたち手紙を書くも、なかなかそれを送ることができない。動物たちの来訪に際して、どのようなことが起こりうるのか。どのように対応すればいいのか。もしもサイが来たら、キリンが来たら、クジラが来たら……。彼の頭の中で次々と繰り広げられる、その仮想の訪問がもたらす困難と、誰かを招待しようという思いのせめぎ合いにより、物語は進んでいく。
ハリネズミが思い浮かべる多種多様な動物たちの交流の様子は、人間社会での相互理解の難しさも表しているのではないだろうか。彼が想像する他の動物達のふるまいや考え方は、実際の人間社会における他人のそれと同じく様々で、本人以外にそれを完璧に知る術も無いにも関わらず、そこで必要以上に深く悩み、足踏みをしてしまうハリネズミの姿に共感を覚えた。
また主人公のハリネズミは、ハリネズミでありながら自分の針のことが嫌いである、という大変な矛盾を抱えている。こんなハリがなければ、もっとみんなと上手くやっていけるはずだと、自分の持つ欠点のせいで、他人とうまく付き合うことができずに悩んでいる反面、ハリがなくなってしまったらそれは自分ではない、ということも心の底で理解している。その姿が、実に人間らしい。自分自身の嫌いな一面がその実、自分自身を形付ける大事な個性となっていることも往々にしてある。自らを傷つけ、また時には誇りともなりうる、そんな自分にとっての『ハリ』はなんであろうか、と考えさせられる。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

ヨーロッパ・コーリング 地べたからのポリティカル・レポート ブレイディみかこ (著)

ヨーロッパ・コーリング 地べたからのポリティカル・レポート

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

スコットランド独立!?EU離脱!?
 最近のイギリス関係のニュースに、日本人はいささか面食らってはいないだろうか。一体、イギリスでは今、何が起こっているのか?
 イギリスは、長く日本のお手本であった。大陸直近の島嶼というよく似た地政学的国土を持ち、議院内閣制、民主主義を標榜しながらの君主制、殖産興業から植民地政策を経て高度成長まで、日本は資本主義の先兵であるイギリスを追いかけてきた。
 ぼくらが教科書で「ゆりかごから墓場まで」と習った、NHS(国営医療サービス)をはじめとする手厚い福祉政策も、戦後日本のお手本であった。そのお手本が、揺らいでいる。
 だが、その揺らぎは、現在の世界秩序のオルタナティヴへの胎動でもある。
反戦、反核、反緊縮の左翼的性格と、燃えるようなナショナリズムを共存させているスコットランド国民党(SNP)は、移民にも政治参加を求める「市民的ナショナリズム」を謳う。「スコットランド独立」のリアルが仄見えてくる。
「ヨーロッパ=移民排斥」というステレオタイプな見方は無意味だ。今や「右とか左とかいう横軸の問題ではない。下側が怒っているのだ」。それゆえ、「地べたからのレポート」なのだ。
イギリスは、今もぼくたちのお手本だった。

書店員:「書標(ほんのしるべ)」のレビュー

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ジュンク堂|丸善ジュンク堂書店 書標編集室

イン・アメリカ スーザン・ソンタグ (著)

イン・アメリカ

丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2016年8月号より

小説は0章から始まる。言わば前日譚。作者の頭の中で生まれた人物が、名を持ち、動き始めるまで。1876年、ポーランドで名を成した女優マリーナが、国内での名声を捨て、仲間たちと「新世界」アメリカへと旅立つ。シャルル・フーリエのユートピア社会主義思想の影響を受けて。ソンタグはマリーナと同化するのではなく、ギリシア神話の女神のように彼女に随行し、彼女とともに19世紀を生きる(ことにする)。
「ああ、不思議!
 こんなにきれいな生きものがこんな にたくさん。
 人間はなんて美しいのだろう。ああ、 素晴らしい新世界、
 こういう人たちが住んでいるの!」
 (『テンペスト』ちくま文庫・松岡訳)
 シェイクスピアがキャリアの晩年をロマンス劇でしめくくったように、ソンタグもまた晩年のこの小説でシェイクスピアと戯れている。「演劇」という世界、「アメリカ」という名の劇場を、縦横無尽に、軽やかなステップを踏んで。もちろん努力は欠かせない。日記体、書簡体、戯曲の長台詞のような長い独白・・・後半には彼女が生涯かけて得た演劇論をこれでもかとぶち込んであるし、敬意と友情をこめて、シェイクスピアの諸作を織り込んでもいる。
 でもやはりソンタグはマリーナとダンスしているのだ、無限の可能性を信じて、ためらうことなく飛び込んでいくことができたシェイクスピアの世界、そして今はもうどこにもない、アメリカという「素晴らしい新世界」を恋して。
 「アメリカ、アメリカ! それはしっぺ返しするの」

書店員:「ジュンク堂書店ロフト名古屋店」のレビュー

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ジュンク堂|ロフト名古屋店

注文をまちがえる料理店 忘れちゃったけどまちがえちゃったけどまあいいか 小国 士朗 (著)

注文をまちがえる料理店 忘れちゃったけどまちがえちゃったけどまあいいか

やさしさに包まれたなら

レビューを書こうとすると本に合わせて脳内に聴こえてくる歌を見出しに。

注文と違う料理が来ても美味しければ、まぁいいか。
注文の料理が違うテーブルに行っても、まぁいいか、
そのテーブルの人と話して交換すればいいんだもの。
ツッコミは野暮、「まぁいいか」と微笑むのが粋。

何より注文を取る認知症のスタッフの活き活きとした笑顔。
それは「必要とされている」と感じる事ができるから。
認知症になるとレッテルを貼られて「危険だから」と色々な事から遠ざけられてしまう。
でも「認知症である前に人」なのだ。失敗を温かく見守ってくれるなら世界は拡がる。

見知らぬ客同士もスタッフも自然と会話し微笑み合う、バファリンのような料理店。

書店員:「ジュンク堂書店福岡店スタッフ」のレビュー

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ジュンク堂|福岡店/MARUZEN 福岡店(文具)

ぬばたまおろち、しらたまおろち (創元推理文庫)白鷺 あおい (著)

ぬばたまおろち、しらたまおろち(創元推理文庫)

第2回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作

両親を亡くし、岡山の伯父のもとで暮らす14歳の少女綾乃には、秘密があった。
それは彼女の親友がひとの言葉を話すことのできる白蛇だということ。
この村に不満があるわけではなかったが、今までよくしてくれた伯父の期待通り、この村で伴侶をみつけ
子を産みそして年をとるのだろうかと想像すると、心が晴れないことも、白蛇のアロウにだけは相談できた。
しかしその生活も、祭の夜に起きた事件によって一変することになる。
彼女は村をとびだして、妖怪と人間がともに魔法を学ぶことのできるデリアーヌ学院に入学することになるのだ。
妖怪、魔女、ここではないどこか、鬱屈した想いを一層するかのような変化、自分だけを愛してくれる存在、そして運命的な絆。
もし過去に飛ぶことができるならば、「特別な存在」に憧れ、まだ自ら生きる場所を選ぶことができなかった十代の頃の自分にもすすめたい。
わくわくさせる要素がこれでもかというくらい詰め込まれた宝箱のような1冊は、その心を確実にときめかせてくれるだろう。

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